課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の方針

当社グループの社是「人生はやまびこである」のもと、全従業員は「正しきことは正しく報われる」という創業者野崎正平の信念を受け継ぎ、「誠実」「謙虚」「感謝」の心で行動することとしています。また、経営理念「安全・安心を基本として、ユーザーに信頼され、愛され、感動される商品・サービスを提供することで、社会になくてはならない企業として貢献します。」のもと、水産練製品・惣菜の製造販売及びきのこの生産販売を主体とした事業を展開し、常に「安全・安心な品質」と「お客さまに愛されるおいしさ」を追求することで事業の永続的な発展を図っています。

事業の展開に当たっては、法令の遵守、人権の尊重、公正な取引及び商品・サービスの安全・安心に取り組むとともにお客さま、お取引先さま、株主・投資家の皆さま及び従業員並びに地域社会から満足していただけるよう次の基本方針のもと企業価値の向上に努め、当社グループの一層の発展を目指していきます。

① すべての事業分野において品質保証体制の強化を図り、お客さまに安全で安心な商品・サービスの提供を行っていきます。

  水産練製品・惣菜事業のマーケティング機能を強化することにより、お客さまに信頼され、愛され、感動される商品を開発、提供しブランド価値の向上を図っていきます。

・魚肉たんぱく製品のおいしさや健康機能を追求した「安全・安心で高品質な商品」を国内外に拡販し、水産

練製品業界のトップブランドを目指す。

・DXによる工場の合理化・少人化を実現し、付加価値や生産性の向上に結び付け、収益の最大化を図る。

・原材料の持続可能性を実現する新たな価値を持った食の提供により、一正ブランドの向上を図る。

  きのこ事業の技術研究並びに商品開発を強化し、事業規模及び事業領域の拡大を目指していきます。

・栽培技術の更なる進化による安定栽培の維持と最大収穫量の実現を通し、拡販による収益の最大化図る。

・おいしさや栄養機能等の調査・研究を進め、付加価値の向上と一正まいたけブランドの確立を実現する。

・AI・IoTにより管理、最適化されたスマートファクトリーのもとで、環境に配慮した省エネ・循環型ビジネ

スモデルの構築を目指す。

(2)超長期ビジョン

当社グループでは、30年後のありたい姿で 

ある“ICHIMASA30ビジョン” (2016~2045

年度)を次のとおり制定し、30年後のありたい姿から今を変革していくというバックキャスティング思考をもとにグループ経営を行っています。

 ①「“安全・安心”に“健康・環境”と

 “心の豊かさ”をプラスして世界中に日

  本の“食”で貢献するグローバル企 

  業」

 ②「常に技術を探求し、未来に向けてあ

  らゆる“食”の情報を発信する食品バ 

  イオ企業」

 ③「あらゆるステークホルダーの皆さま

  に“食”を中心に“幸せ”と“喜び” 

  をお届けするあたたかい企業」


 

 

(3)第二次中期経営計画の総括

当社グループでは、2021年7月から2026年6月までの5か年を第二次中期経営計画「成長軌道への5年」と位置づけ、引き続き収益力、財務基盤の強化に取り組むとともに、海外事業の更なる拡大を図っていきます。

1)経営基本方針

 「国内外のマーケットへの果敢なチャレンジを通じ、事業の成長力・収益力基盤を確立し、ファーストステー ジ「成長軌道」を確実に実現する。」

・国内マーケットは少子高齢化のもと縮小が予想されるが、商品力、生産力、販売力に磨きをかけ、競争優位性を確立しシェア拡大を目指す。

・海外マーケットでは成長マーケットを分析し、水産練製品・惣菜事業、きのこ事業ともに拡販を推進する。

 

2)全社戦略と主な戦術・施策

 上記の経営基本方針のもと、5つの重要戦略キーワードから全社戦略を設定し、全従業員が戦略実行に向けた戦術を策定し、施策を実行していきます。

全社戦略

主な戦術・施策

①「変革」と「創造」

 持続的成長と働きがい向上のために人財投資を積極的に行うとともに、「変革」と「創造」を基軸とした考動を通じ経営環境の変化を克服する。

 

 

・IWS(いちまさワークスタイル)、新しい働き方の確立

・働きがいのある・働きやすい・多様な人財が活躍する会社づくり

・風通しが良く誰もが自由に発想し、創造的な意見が飛び交う組織風土への変革

・成長する意志ある誰もが成長できる能力開発環境の構築

・すり身原料にとらわれない商品の研究開発

・魚肉たんぱく、まいたけの機能性共同研究

②「選択」と「集中」

 水産練製品・惣菜事業は商品・市場・生産等の「選択」と「集中」を徹底し、魚肉たんぱく製品の強みを活かした攻めの販売施策を通じ国内において圧倒的な基盤をつくる。

 

・魚肉たんぱく製品の強みを活かした主力商品のリニューアル継続やサステナブルな商品の開発強化

・主力商品である「サラダスティック」の販売強化と新設する本社第二工場の合理化・省人化・量産体制の確立

・販売・廃止の生産アイテム選択を着実に実施し、生産効率化・生産性向上と販売の強化・効率化の両立を実現

・販売地域の「選択」と「集中」による海外拡販強化

・多様な国際ニーズに対応した商品開発と市場開拓

③「デジタルトランスフォーメーション(DX)」

 全社で「DX」の推進に取り組み、ニューノーマルでの競争優位性を確立し、事業収益の最大化を実現する。

 

 

(顧客価値の創出)

・DXを活用した市場データの深度ある収集、分析と提供

・フードテックによる応用、実現の可能性の探求

(生産性向上・働き方改革)

・全社業務プロセスの見直しによるデータのデジタル化、業務の自動化・省人化推進

・DXによる新しい製造方法の研究開発

・スマートファクトリーを目指した生産データのデジタル化とデータの有効活用による生産性向上

・生産管理システムによる品質向上と効率化推進

・SFA・CRM、オンライン商談などによる営業活動の効率化

・ゼロトラストモデルによるサイバーセキュリティ対策構築

④「新規事業」

 「新規事業」への取組みは、第二次中期経営計画  期間中に探索を行い事業化に着手する。

・水産練製品・惣菜事業+きのこ事業+「第3の事業」の主力3事業の構築を指向

・新規専担部署の設置

⑤「アライアンス」

  お取引先さまと強固かつ高品質な「アライアンス」体制を構築し、ともに環境・経済・社会等の変化に対応する

・品質向上の技術・知的サポート実施

・「一正やまびこ会」等を通じたアライアンス活動の実施

・「いちまさ通信」による情報提供の継続

・運行管理システムの構築・運営

 

 

 

3)第二次中期経営計画最終年度数値目標(連結ベース)

 

項目

2026年6月期数値目標

売上高

   400億円(※)

営業利益

    26億円

自己資本利益率(ROE)

    10%

投下資本利益率(ROIC)

    9%

自己資本比率

    60%台

 

 ※収益認識に関する会計基準適用後の数値

当社グループの経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標は上記のとおりですが、各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(4)経営環境

① 国内外の市場環境

 2021年度の出生数は過去最低を記録するなど少子化が加速しており、少子高齢化や人口減少等を要因に、国内市場はこれまで以上に厳しい経営環境が予想されます。また、世界的な食料需要の拡大や天候不順等による原材料価格の上昇、原油価格の高騰によるエネルギー関連コストの上昇は、当面、継続するものと想定しています。

 一方、海外では国内同様に健康志向が高まる米国や西欧諸国などの先進国、成長を続ける中国、東南アジア諸国などの新興国で水産練製品需要が拡大し、市場の拡大余地があると考えられます。

 また、CO2排出量の削減や食品ロスの削減など、持続可能な社会を実現するために、ESG経営の実践やSDGs目標の達成に向けた社会的な要請は日増しに強まっています。

 

② 新型コロナウイルス

 世界各国でワクチン接種が進んでいるなかで変異株の出現により、新型コロナウイルス感染症の収束はいまだ見通せない状況が続いています。しかし、世界的には防疫と経済活動の両立が進むとともに、徐々に国際的な人の行き来も再開してきており、今後、景気回復が見込めるものと想定されています。

 国内では、海外からの外国人観光客の受入れを開始し、1日当たりの入国者数の制限も緩和されたものの、諸外国と比べると依然として厳しい水際対策が実施されていること、外食産業の売上は前年同月比では増加し始めていますが、感染拡大前の水準には戻っていないことなどから、今後の動向を予測することが難しい状況となっています。

 

(5)対処すべき課題

① 国内市場

 国内では少子高齢化の進展に加え、食の多様化・グローバル化などにより、水産練製品市場は全体として成熟化しており、国内各メーカーにとって新たな需要を創出するための商品開発が共通の課題となっています。このような市場変化に対応するために、水産練製品・惣菜事業においては、お客さまのニーズを丹念に探索するなかでニーズにマッチした新商品を開発するとともに、常に付加価値向上を図るための主力商品のリニューアルを継続し、競争優位性の確立を目指していきます。

 世界的な需要拡大による品薄傾向等を背景に、原材料であるすり身の価格は高騰が続いており、そのほか油脂類、エネルギー等のコストも上昇が続いています。

 また、生産年齢人口の減少による労働力不足は一層深刻になると予想されており、安定した生産を継続し商品供給責任を果たすためにも、生産アイテムの削減を行うことで生産効率化を進め、収益及び競争優位性の確立を図ることとしています。加えて、ファクトリーオートメーションによる省人化が必須であるとの認識のもと、FAシステム部において工場でのAI 、IoT活用を進めています。

 商品開発・リニューアルに当たっては、安全・安心・健康・おいしさの観点から、減塩商品のラインナップの充実や簡単に食べられる高たんぱく商品、国産原材料にこだわった商品、すり身を使用した代替シーフードの“ネクストシーフード”シリーズ、まいたけサプリなど新しい発想による、これまでにない商品開発も行っています。新型コロナウイルスの感染予防の観点からも安全・安心・健康へのニーズはより高まることが予想され、さらなる健康機能の付加についても検討していきます。

② 海外市場

 国内市場は市場縮小が避けられない一方で、健康志向の高まりから海外での水産練製品需要はカニ風味かまぼこを中心に伸長しており、欧米諸国のほか、アジア全体へも輸出量が増加しています。また、冷蔵環境が未整備な地域でも手軽にタンパク質を摂取できる常温商品も商品ラインアップに加えました。当社グループでは、2017年9月にインドネシアに合弁会社を設立し、水産練製品の製造販売を開始しており、成長が続く東南アジアを中心に、合弁会社から北米、香港、中東等への輸出を強化していきます。

③ きのこ事業

 当社グループを含めた大手メーカーによる大量生産・大量販売の仕組みが確立し、消費者の健康志向の高まりによる需要増加もありますが、少子高齢化、人口減少等の影響により食品市場は全体的に縮小傾向となっています。これまでは素材そのものとしての提供が主でしたが、今後はお客さまのニーズが高まっているデリカ惣菜用の食材として業務用需要も取り込んでいくなど、販売チャネルの拡大が重要であると考えています。また、高収益体質をより高めるために、まいたけ包装効率化ラインを設置し、収益の向上を図るとともに、技術研究並びに商品開発を強化し、事業領域の拡大を目指していきます。

④ 環境対策

 当社グループでは、2021年7月に「一正蒲鉾株式会社ESG経営宣言」を制定しました。宣言は6つの項目からなっていますが、ESG経営とは、「持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上を両立」すると規定し、当社の持続的成長のためには、海洋資源や地球環境への貢献を行いながら企業価値を向上させていく必要があるとしました。

 サステナブルな「E(環境)」への貢献については、TCFD提言への賛同を表明するとともに、2030年度CO2排出量を2013年度比50%削減の目標を設定・開示しています。そのほかの環境対策としてエネルギー使用量、食品リサイクル率、産業廃棄物排出量などの環境目標を設定するとともに、エコ包材の使用、モーダルシフトの利用などにも取り組んでいきます。

 環境への貢献に当たって、中長期サステナビリティコスト(環境コスト)の算定および経営計画への織込みを模索しており、今後、サステナビリティコストの定義を確定し、将来発生リスク概要を明確化することとしています。

 

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