業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの長期化の中で、7月下旬以降のデルタ株の感染拡大や1月以降のオミクロン株の感染拡大など、新型コロナウイルス感染者数が急拡大する局面はあったものの、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進行の効果もあり、経済活動の制限も順次緩和され、全般的には消費活動は持ち直し傾向にあります。

 そのような中で、社会のSDGs推進に向けた動きを背景にしたリユースへの意識の高まりから、身近なリユースショップの買取サービスへの需要は堅調に推移し、また、販売面でも、生活用品をお買い得に購入したいというニーズは引き続き高い水準で推移しました。

 当社グループにおきましては、第4四半期会計期間は、第3四半期に続き堅調に推移し、12-2月の第4四半期連結会計期間の営業利益は414,917千円と、第4四半期累計期間としては過去最高の営業利益を達成しました。単体においては、通期で直営店を過去最高となる17店出店し、既存店も年間を通して堅調に推移しました。グループ会社においては、2021年1月から連結決算に組み込まれたピックアップジャパンの売上が加わり、また、リユース事業を行うカインドオルは、EC販売を伸ばすことで、売上、利益とも大きく回復しました。一方で、販売費及び一般管理費は、単体で新規出店が順調に進んだことにより新店にかかる販売費及び一般管理費が前期比479,667千円増加したものの、販管費率は56.8%と低下しました。

 その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高23,313,103千円(前期比24.4%増)、営業利益995,329千円(前期比831.3%増)、経常利益1,054,109千円(前期比502.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は703,470千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失134,966千円)となり、連結決算としては過去最高益を達成しました。

 利益率の指標では、差引売上総利益率は61.0%(前期比0.4pt上昇)、販売費及び一般管理費比率は56.8%(前期比3.3pt低下)、営業利益率は4.3%(前期比3.7pt上昇)、経常利益率は4.5%(前期比3.6pt上昇)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。

 

 (リユース事業)

 連結売上が前期比24.4%増、単体の売上は同15.3%増、単体既存店が同7.8%増となりました。カテゴリー別では、前期にコロナ禍の影響を強く受けた衣料は前期比24.7%増と回復し、生活雑貨も同14.5%増となりました。一方で、電化製品は、前期第2四半期に特別定額給付金の国民への給付を受けて販売が大きく伸びたことの反動に加え、8月が例年よりも気温が低下しエアコンなどの夏物家電の販売が想定を下回ったことなどから、前期比3.3%増に留まりました。また、ピックアップジャパンの売上が加わったこともあり、服飾雑貨は前期比46.8%増、ホビー用品は同34.8%増と高い伸びとなりました。また、EC販売は自宅でのショッピング需要に対し、自社ECサイトでの出品を強化し、連結のEC販売額は前期比34.6%増となりました。

 仕入では、連結ではピックアップジャパンが加わったこともあり当期連結商品仕入高は前期比32.8%増、単体の仕入は同20.4%増となりました。単体の買取チャネル別では、持込買取が同23.9%増と堅調に推移し、店舗以外の買取チャネルでは、出張買取が同34.0%と大幅増となり、宅配買取も同23.4%増と引き続き好調に推移しました。

 出店は、当連結会計年度においては、単体にて総合リユース業態を7店、服飾専門リユース業態を8店、ブランド専門業態を2店、計17店出店しました。出店地域も、関東10店、関西3店、中部3店、九州1店となり、各地域にバランスよく出店が進みました。当連結会計年度末における店舗数は、単体で直営店149店、FC店4店の合計153店、グループ全体で合計220店となりました。

 以上の結果から、売上高は22,690,117千円(前期比24.2%増)、セグメント利益は2,476,108千円(前期比77.7%増)となりました。

 

 (その他)

 レンタル事業の「Cariru」では、緊急事態宣言等の解除後に高まった結婚式需要を取り込み、レンタル事業の売上は前期比195.8%増となりました。

 システム事業では、開発コスト増加等により営業損失が発生しました。また、2月に会社分割(新設分割)により、グループ会社デジタルクエストのシステム開発事業を承継させた株式会社トレファクテクノロジーズを新設し、デジタルクエストの株式は2月末に売却しました。

 以上の結果から、売上高は660,397千円(前期比30.0%増)、セグメント利益は26,240千円(前期はセグメント損失52,877千円)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は、現金及び預金が366,686千円、商品が445,539千円、建物及び構築物が179,625千円、敷金及び保証金が154,473千円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して1,392,095千円増加し、11,809,650千円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、短期借入金が119,415千円、1年内返済予定の長期借入金が133,908千円、長期借入金が296,760千円、未払法人税等が218,028千円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して807,471千円増加し、6,913,687千円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、新株予約権が162,819千円増加、親会社株主に帰属する当期純利益を703,470千円計上したこと等により、前連結会計年度末と比較して584,623千円増加し、4,895,963千円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ、415,684千円増加し、2,353,018千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは870,485千円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益848,706千円、減価償却費326,127千円、減損損失216,808千円があった一方で、たな卸資産の増加額471,066千円、法人税等の支払額95,498千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは732,242千円の支出となりました。これは主に店舗新設等に伴う有形固定資産の取得による支出539,272千円、敷金及び保証金の差入による支出168,182千円、無形固定資産の取得による支出57,996千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは274,830千円の収入となりました。これは主に長期借入れによる収入1,510,000千円、短期借入金による収入119,415千円があった一方で、長期借入金の返済による支出1,079,332千円、配当金の支払額179,418千円があったことによるものであります。

 

④仕入及び販売の実績

 a.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

リユース事業 商品別仕入実績

品目

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

仕入高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

生活雑貨

514,593

5.6%

123.1%

衣料

3,748,542

40.7%

121.7%

服飾雑貨

2,500,136

27.2%

167.2%

電化製品

882,104

9.6%

119.4%

家具

257,538

2.8%

107.0%

ホビー用品

727,243

7.9%

143.3%

その他

575,445

6.2%

128.0%

合計

9,205,604

100.0%

132.8%

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

   2 その他には、仕入副費が含まれております。

 

 b.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

 リユース事業 商品別販売実績

品目

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

生活雑貨

1,481,238

6.5%

114.5%

衣料

10,404,849

45.9%

124.7%

服飾雑貨

4,865,948

21.3%

146.8%

電化製品

2,624,418

11.6%

103.3%

家具

1,128,917

5.0%

101.4%

ホビー用品

1,716,642

7.6%

134.8%

その他

468,102

2.1%

119.1%

合計

22,690,117

100.0%

124.2%

 

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

      2 その他には、その他商品と引越関連の売上が含まれております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表を作成するにあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。

 

 a.固定資産及びのれんの減損

当社グループは、固定資産及びのれんのうち減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、固定資産及びのれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

固定資産及びのれんにおける回収可能価額の評価の前提条件は、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

なお、固定資産の減損につきましては、「第5 経理の状況  1.連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係)」に記載しております。

 b.たな卸資産の評価

当社グループはたな卸資産の貸借対照表価額は主として個別法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により算定しております。期末における正味売却可能価額が取得原価よりも下落している場合、その下落分を減額しております。決算時点で入手可能な情報等に基づき合理的に判断しておりますが、正味売却可能価額の見積りは不確実性を伴うため、正味売却可能価額が想定よりも下回った場合には損失が発生する可能性があります。当該見積りおよび仮定について、市場動向の変化等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の売上総利益に影響する可能性があります。

 

②財政状態の分析

 財政状態の分析は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。

 

③経営成績の分析

 経営成績の分析は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。

 

④キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 

⑤資本の財源及び資金の流動性

 当社グループでは、安定した財務基盤を維持した上で、事業活動によるキャッシュ・フローの拡大を目指し、継続的な事業投資を行っていくこと、そして、業績に応じ継続的に株主還元を行っていくことを財務戦略の基本方針としています。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、仕入資金、人件費及び店舗家賃等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店及び既存店の改装等にかかる投資であります。また、新たな成長投資として、M&Aへの投資資金の需要があります。

 運転資金と設備投資資金については営業キャッシュ・フローで充当するとともに、必要に応じて金融機関等からの借入れによる資金調達を実施し充当しております。また資金調達においては、安定的な経営を続けるために必要な流動性を確保するため短期借入金を活用するとともに、新店投資等の固定資産への投資にあたっては長期借入金を中心とした資金を重点的に調達しております。M&A資金の調達については、投資回収期間を念頭に、金融機関等からの長期借入を主としております。

 

⑥経営戦略の現状と見通し

 当社は、株主価値を中長期的に高めるために、持続的な成長が必要と考え、成長投資とリスク許容できる株主資本の水準を保持し、その株主資本を効率的に活用することを資本政策の基本方針としています。この方針をふまえ、重視する経営指標としては、事業及び企業の収益力を示す売上高経常利益率と株主の観点から見た収益性と資本効率を表すROE(株主資本利益率)であります。

 2022年2月期は、コロナ禍で低下した前期から回復し、経常利益率は4.5%(前期0.9%)、ROEは15.6%(前期▲3.0%)となりました。
 当社が展開する人々の生活に密着したリユース事業は、SDGsの推進、そしてサステナブルな社会構築に向けて人々のリユースへの意識の高まりを背景に、ますます世の中に必要とされるサービスとなり、インフラとしての役割が増していると認識しております。人々の断捨離習慣の定着や不用品の買取換金ニーズの増加から、身近なリユースショップの買取サービスへの底堅い需要があり、また、販売面でも、衣料、家電、家具等の生活用品をお買い得に購入したいというニーズが増大し、リユース品への需要は拡大しています。
 また、長く続くコロナ禍の中で、EC販売やインターネットを経由する宅配買取の役割もますます重要性が増しております。当社では、EC出品業務の効率化を進め、多様なアイテムを、リアル店舗と自社ECサイトで併売する体制を整備し、2022年2月期の連結でのEC販売額は前期比34.6%増となり、EC比率は14.5%となりました。ECサイトでの出品数が増えるほど、実際に手にとって商品を選びたいニーズが生まれてリアル店舗に足を運んでくださるお客様が増え、またリアル店舗を訪れたお客様がECサイトの存在を知ってサイトも利用するという高い相乗効果が生まれています。今後も、リアル店舗を強化しながらECサイトのユーザビリティも向上させ、さらなる顧客接点拡大に努めてまいります。
 当社は、引越や不動産、オークションなどの周辺事業も強化し、多岐にわたる事業をリユースと有機的に連携させることで、差別化や強みの強化につなげてきました。なかでも、2020年4月から開始した、大型家具・家電など生活用品全般を扱うBtoBのオンラインオークションは、同業他社からも多くの参加があり、十分な手応えを得られていますので、サービスの完成度を高めて流通額の拡大を目指していきます。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針について

 2023年2月期は、年間で20~25店と前期に続き過去最多の出店を計画しています。社会全体でサステナビリティへの取り組みが進むなか、当社では、最近の傾向としてリユースショップの誘致を積極的に行っているショッピングモールへの出店が増えています。今後も、複数の業態を組み合わせて、郊外、都心への出店に加えモールへの出店も行っていきます。外部環境の変化に合わせて事業モデルも変革させ、ニーズに合わせた店舗づくりに取り組んでまいります。

 加えて、海外展開も注力します。すでに出店したタイ・バンコクに続き、2023年2月期には台湾への出店を予定しています。世界的なリユースのニーズに対応できるよう地域に根ざした店舗展開を実現させて、サステナブルな社会の実現に貢献していきたいと考えています。

 コロナ禍で人々のライフスタイルは大きく変化し、その変化は確実にリユースのニーズを増大させました。新たな顧客ニーズや販売ニーズが生まれていることから、生活に密着したリユース事業は、人生のさまざまな場面で必要とされております。
 今後も、社会の変化や事業環境の変化、企業成長による変化に対応し、次なる成長の芽を育てていきたいと考えています。世の中になくてはならない企業として価値を提供し続け、永続的な発展を目指します。

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得