業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、昨年9月末に緊急事態宣言が解除されたものの、年初にはまん延防止等重点措置が発出される等、長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響下にありますが、ワクチン接種が進んだこともあり、景気はやや持ち直しの動きが見受けられました。しかしながら原材料やエネルギー価格の高騰等による経済活動への打撃に加え、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う影響はさらなる価格高騰を招き、世界経済後退の懸念が生じています。今後の状況によっては経済活動の停滞が長期化する可能性もあり、先行きへの警戒感が高まっております。

このような状況の中、当社グループではコロナ禍に対応するための緊急経営計画「Revival Plan 2020-2021」(通称:Revival 20-21)に取り組んでまいりました。

2年目となる本年度は、アフターコロナを見据えて、成長を「加速すること」、そして新たな事業やビジネスモデルを「新たに創ること」に挑戦いたしました。「加速すること」では、繊維セグメントは、衛生加工素材の拡販・定着やサステナブルで環境に配慮した製品の販売を、産業材セグメントの複合材料事業は、生産効率向上のための体制再構築を迅速に進めました。「新たに創ること」では、繊維セグメントにおいて、同業他社との企業間連携、ファッションブランドとの共同プロジェクト、海外市場への販売推進のため台湾での現地法人設立等、新たな取組みを開始いたしました。また、産業材セグメントの複合材料事業においては、これまで航空機部材や電気絶縁材料等の製造で培った技術を活かし、航空機の部品やエンジン部品をはじめ、様々な分野におけるエネルギー消費低減に寄与する材料の軽量化に取り組んでまいりました。

以上のような施策を実施しましたが、コロナ以前の2019年度水準、売上高380億円、営業利益20億円への復帰を目指した「Revival 20-21」の目標には届きませんでした。産業材セグメント、不動産・サービスセグメントは、売上高、営業利益ともに前年実績を上回ることができましたが、コロナ禍の継続により、コロナ以前の2019年度水準には戻りませんでした。また、繊維セグメントにおいては、コロナ禍の継続により、海外をはじめとする新規商流を開拓できなかったことやエネルギー及び原材料価格等の外部要因が、「Revaival 20-21」の目標値との乖離要因となりました。それに加えて当社の海外連結子会社である㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアにおける火災による影響が損失拡大の一因となり、火災に伴う損失額を特別損失として計上いたしました。

その結果、売上高は356億70百万円(前連結会計年度比6.4%増)、営業利益は13億56百万円(同13.3%増)、経常利益は10億38百万円(同10.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は49百万円(同399.3%増)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりです。

 

(繊維セグメント)

原糸販売事業は、国内産地向け販売の回復と共にベトナム協力工場を活用した「COTTON USA」を主とした差別化糸の海外販売が堅調に推移いたしましたが、国内生産糸はコストアップの影響が大きく、利益が圧迫されることとなりました。

輸出衣料事業は、中東民族衣装用生地輸出がほぼ回復、円安基調も追い風となり、下期後半を中心に売上が好調に推移いたしました。

ユニフォーム事業は、ユニフォーム生地販売については市場での在庫過多が徐々に解消され、新規及び企業制服更新の案件獲得等もありましたが、下期に入り原材料価格等の上昇により利益が圧迫されました。またニット製品販売についても市況は回復いたしましたが、コストアップに加え、ベトナムのロックダウンによる納期遅延もあり、売上・利益共に苦戦を強いられました。

生活資材事業は、リビング分野においては巣ごもり需要による販売増加のあった前年度と比較して荷動きが鈍化し、売上・利益共にやや苦戦いたしました。リネンサプライ分野においてホテルリネンは苦戦したものの、病院リネンは堅調に推移いたしました。

メディカル分野は量販店向けフルテクトマスクの販売が引き続き順調に推移いたしました。

また、当社の海外連結子会社である㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアでの火災による一部操業停止のため、業績は当初計画より落ち込み、利益が減少いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は186億26百万円(前連結会計年度比3.9%増)、営業損失は4億80百万円(前連結会計年度は1億92百万円の営業損失)となりました。

 

(産業材セグメント)

産業資材部門では、ドライヤーカンバス事業は、主要顧客である国内製紙会社の生産設備の停機により国内カンバス市場は縮小いたしましたが、操業に若干の回復が見られ、設備改造に伴う需要が取り込めたことに加えて、輸出が堅調に推移したことにより増収となりました。フィルタークロス事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少ない官公需が底堅いことに加え、経済活動の活発化に伴う国内製造業の回復や新規取引先への販売拡大効果により、増収増益となりました。空気清浄機分野は、前年同様大口スポット需要もあり、堅調に推移いたしました。

機能材料部門では、化成品事業は中国向けの化学品需要が増加したとともに、食品用増粘安定剤が堅調に推移した結果、全体では増収となりました。複合材料事業は、電力分野等の複合材料部材は低調となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により落ち込んだ航空機用途の需要が回復基調にあり、全体では増収となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は120億22百万円(前連結会計年度比11.3%増)、営業利益は6億79百万円(同174.9%増)となりました。

 

(不動産・サービスセグメント)

不動産賃貸事業、ゴルフ場事業及び物流事業は、堅調に推移いたしました。一方でリネンサプライ事業は前年に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、苦戦いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は56億25百万円(前連結会計年度比3.5%増)、営業利益は18億27百万円(同7.4%増)となりました。

 

(2) 財政状態

(資産)

流動資産の当連結会計年度末の合計は230億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億25百万円の減少となりました。これは主に、売上債権やたな卸資産が増加したものの、現金及び預金の減少によるものであります。

固定資産の当連結会計年度末の合計は585億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億57百万円の減少となりました。これは主に、減価償却による有形固定資産の減少によるものであります。

その結果、当連結会計年度末の総資産は、815億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億83百万円の減少となりました。

 

(負債)

流動負債の当連結会計年度末の合計は165億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億11百万円の減少となりました。これは主に、仕入債務や収益認識に関する会計基準の変更により流動負債その他が増加したものの、短期借入金の減少によるものであります。

固定負債の当連結会計年度末の合計は332億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億24百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の減少によるものであります。

その結果、当連結会計年度末の負債は、497億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億36百万円の減少となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、318億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ46百万円の減少となりました。これは主に、為替変動に伴う為替換算調整勘定が増加したものの、配当金の支払に伴う利益剰余金の減少によるものであります。

その結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.6ポイント増加し、39.0%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金は、29億88百万円の増加(前連結会計年度は27億75百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益2億95百万円、減価償却費18億71百万円、火災損失7億84百万円による増加であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金は、6億54百万円の減少(前連結会計年度は23億42百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得5億68百万円による減少であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金は、37億91百万円の減少(前連結会計年度は5億9百万円の減少)となりました。主な要因は、短期借入金返済13億71百万円による減少、長期借入調達32億円による増加、長期借入金返済49億59百万円による減少、配当金の支払い4億34百万円による減少であります。

 

その結果、資金は13億64百万円の減少(前連結会計年度は74百万円の減少)となり、期末残高は50億8百万円(前連結会計年度は63億72百万円)となりました。

 

(キャッシュ・フローの指標)

当社グループのキャッシュ・フロー指標トレンドの推移は以下のとおりであります。

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

36.8

37.4

39.0

時価ベースの自己資本比率(%)

12.4

13.0

12.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

10.0

10.2

8.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

11.4

11.4

13.3

 

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

キャッシュ・フローは、営業キャッシュフローを利用しております。

有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債(ただし建設協力金を除く)を対象としております。

 

 

(4)生産、受注及び販売

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

繊維

16,576

4.0

産業材

9,497

8.0

不動産・サービス

合計

26,074

5.4

 

(注) 1 金額は外注加工(材料費部分を含む)を含んでおります。

2 金額は製造原価により算出しております。

 

②受注状況

該当事項はありません。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

繊維

18,616

4.0

産業材

12,022

11.3

不動産・サービス

5,031

4.7

合計

35,670

6.4

 

(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上高、営業利益)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ21億51百万円増加の356億70百万円、また、営業利益は前連結会計年度に比べ1億59百万円増加の13億56百万円となりました。

なお、セグメント別の詳細につきましては、「(1)経営成績」に記載のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

2022年3月期業績予想

2022年3月期実績

増減

2022年3月期業績予想

2022年3月期実績

増減

繊維

18,600

18,626

26

100

△480

△580

産業材

11,700

12,022

322

500

679

179

不動産・サービス

5,700

5,625

△74

1,750

1,827

77

調整

△600

△602

△2

△750

△670

79

連結合計

35,400

35,670

270

1,600

1,356

△243

 

 

当社グループは、2022年3月期の業績予想を売上高354億円、営業利益16億円と予想して活動してまいりましたが、コロナ禍の継続により、海外をはじめとする新規商流を開拓できなかったことやエネルギー及び原材料価格高騰等の外部要因があったものの、概ね予想どおりに推移しました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、補助金収入が2億25百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ2億9百万円減少の2億33百万円となりました。また、営業外費用は、新型コロナウイルス感染症による損失が1億93百万円減少したこと等により、前連結会計年度に比べ1億51百万円減少の5億51百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ1億1百万円増加の10億38百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、2021年9月8日に当社の海外連結子会社である㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシアにおいて発生した火災に伴う損失額についての受取保険金を54百万円計上したこと等により56百万円となりました。特別損失は、当該火災に伴う損失額を7億84百万円計上したこと等により7億99百万円となりました。

また、法人税等合計は、前連結会計年度に比べ10百万円増加の2億60百万円、非支配株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ3億8百万円増加の△14百万円となりました。

以上のとおり、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ39百万増加の49百万円となりました。

 

財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(2)財政状態」に記載のとおりであります。

 

 

キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(3)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第2[事業の状況]2[事業等のリスク]に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社グループは、財務の健全性や資本効率の向上を追求しながら、株主への適性な利益還元を実施するとともに、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入金での調達によるものであり、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入金及び私募債での調達によるものであります。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務の有利子負債の残高は250億31百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は50億8百万円となっております。

 

 

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