当社グループの事業活動は、原繊材、機能材、設備材、ライフサイエンス、繊維など広範な分野に亘っております。当社の研究開発活動は、『総合研究所』が中心となり、技術力の向上と研究開発力の強化を行い、既存事業の収益力向上のための付加価値の創出と、新事業開拓に結び付くテーマ探索を行っております。そのために社外との共同研究の積極的な推進と、得られた成果の着実な固有化(特許化)を進展させて研究開発活動を活発に進めております。
2022年3月31日現在の保有特許件数は、国内外を含めて661件、当連結会計年度において出願した特許件数(実用新案含む)は国内外を含めて53件であります。
また、総合研究所内に「全社デジタル技術活用の推進」および「環境技術の導入・評価」を目的とした専門部署を発足させ、全社的・長期的視点での取り組みを強化しております。
なお、当連結会計年度に支出した研究開発費は2,577百万円であります。
セグメント別の当連結会計年度における研究開発の概要は次のとおりであります。
ヤーン、ロービング、チョップドストランド並びにチョップドストランドマット等のグラスファイバー原繊製品の研究・新商品開発に取り組んでまいりました。
『Tガラス』、『NEガラス』、および『NER®ガラス』等の先端的なガラス組成開発や、異形断面ファイバーなど独自の繊維化技術開発、顧客ニーズを先取りする新規バインダー開発などにより、新市場の創造や顧客の潜在的ニーズを刺激する高付加価値商品の拡充を積極的に推進しております。特に、5Gの実現によって成長が見込まれる次世代通信システム向け高機能グラスファイバーの研究・商品開発に取り組んでおります。また、ガラス組成・ガラス繊維形状、バインダー技術を掛け合わせた『NEガラス・異形断面ファイバー』など、最先端の先進的スペシャルガラスファイバーの商品開発を強力に推し進めております。更には、「地球環境に貢献する企業」として、環境への負荷低減(CO2削減)や省エネルギー化を推進するため、ガラス溶融技術の革新に取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は730百万円であります。
電子材料用途並びに産業資材用途のガラスクロス製品等の研究開発に取り組んでまいりました。
電子材料用途では半導体パッケージの薄型化に対応するため、極細ファイバーの製織技術と独自の表面処理・開繊技術による高性能な超極薄クロスの開発と改良を推進しております。また、高強度、低熱膨張、高周波対応など多様で高度化する顧客ニーズを先取りした『Tガラス』クロス、『NEガラス』クロス、および『NER®ガラス』クロスなど、材料特性を活かした先端的な機能材料を創出し提案してまいります。
当事業に係る研究開発費は672百万円であります。
産業資材用途・建築土木用途のグラスファイバー製品とグラスウール製品の研究開発に取り組んでまいりました。
グラスファイバー製品では遮熱性能を向上させたロールブラインド『遮熱ベールスクリーン』や国内外の大型スタジアム等の膜構造建造物用途の不燃膜材の開発と改良を推進しております。更には、「地球環境に貢献する企業」として、環境への負荷低減を推進するため、生分解性を有する産業資材製品の開発に取り組んでおります。
グラスウール製品では省エネルギーに貢献するため断熱性能の向上を目指した製品の拡充と開発を推進しております。軽くて高性能な住宅用グラスウール断熱材『ハウスロンZERO』は好評を頂いております。
当事業に係る研究開発費は121百万円であります。
メディカル事業では、外部研究機関との共同研究を積極的にすすめ、免疫血清学系の体外診断薬製品の改良開発に加え、新たな高付加価値製品の上市を目指して国内外の研究開発を展開しております。特に、高感度ラテックス試薬開発、遺伝子組換えカイコを用いた抗原開発に注力しております。今後も引き続き医療に貢献する製品の開発に努めてまいります。
スペシャリティケミカルス事業では、メディカル関連分野や電子材料分野への品種の拡充と、既存の製品に続く新機能商品の開発に取り組んでまいりました。より高収益な事業体質の確立を目指し新たな技術開発を推進しております。
飲料事業では、大手流通企業のプライベートブランド商品や多品種小ロットのOEM商品を中心に、自社オリジナル商品の開発にも力を入れ、5品種を上市致しました。今後とも各方面へ更なる商品開発を進めてまいります。
当事業に係る研究開発費は587百万円であります。
当社の固有技術をベースに、顧客ニーズにマッチした商品開発を進めてまいりました。
衣料資材向けでは、国内外の顧客の環境意識の高まりに対応すべく、接着芯地と裏材ともにリサイクル糸を使用した環境対応商品を拡充し広く訴求してまいりました。
また、新たな市場を目指して、帝人フロンティア㈱と防虫加工(スコーロンDT)の取り組みを行い、生地への機能化技術開発など、加工技術を応用した商品開発を総合研究所と部門が連携して進めております。
当事業に係る研究開発費は74百万円であります。
総合研究所の運営費用の中で、企画・管理業務と将来の柱となる事業を担う基盤技術や先端技術の獲得を目指した研究開発活動の費用については、各事業セグメントに帰属させておりません。
本運営に係る研究開発費は390百万円であります。
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