課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、毛織物・手編毛糸・スポーツ向け素材・紳士衣料品・婦人衣料品及び不動産賃貸と取扱品目・顧客は各部門により異なっておりますが、「お客様第一」「品質本位」の基本理念を共有して事業運営に当たっております。

原料から製品まで高い品質を追求してものづくりを進めるとともに、販売環境の整備やサービス力の向上に注力してお客様の高い評価と信頼を得ることにより、企業価値を増大させることが、株主・顧客・取引先・社員等各ステークホルダー(関係各位)の利益につながるものと認識し経営の基本理念としております。

 

(2) 目標とする経営指標

主な経営指標として「株主資本利益率(ROE)」を活用しております。株主資本の投資効率の向上をめざし企業価値の増大をはかるため、10%の達成を目標にしております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、日本・中国そして欧米におけるグローバルなビジネス展開を戦略の基本と位置付けて挑戦を続けております。衣料事業は製造部門と販売部門が一体となり、自信をもって販売できる「品質」の「魅力」ある商品を国内外に提供し、不動産賃貸事業は保有する資産を有効に活用し、それぞれの地域特性に合わせた価値向上に取り組んでまいります。

当社グループは、部門間の連携を強化して事業環境の変化に対応し、各事業においてお客様にご満足いただけるよう商品やサービスの質の向上に取り組み、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

日本国内は人口減少・少子高齢化とともに消費者の志向の多様化が進んでおり、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ライフスタイルや消費行動が大きく変化しております。海外においても、消費者が求める商品やサービスの変化から、当社グループの事業領域では企業間の競争が激しさを増しております。

当社グループを取り巻く市場環境は先行き不透明な状況にありますが「お客様第一」「品質本位」の経営理念のもと、製造から販売まで完結できる総合力を活かし、中長期の視点で利益を生み出せる企業グループへの進化に取り組んでまいります。

 

① 製造部門

縫製工場は、市場が求める製品を提供し続けられる製造体制を構築し、品質競争力・コスト競争力を高めてまいります。

原材料の製造部門は、市場のトレンド変化に合わせた提案力・価格競争力の向上をはかり、独自の技術を活かした機能性の向上に加え、リサイクル素材の活用や環境に配慮した素材の開発により、需要の変化に対応してまいります。

 

② アパレル小売部門

当社の主力ブランド「ニューヨーカー」とライセンスブランド「ブルックス ブラザーズ」を柱として、衣料事業の黒字化を目指しております。「ニューヨーカー」は、品質の向上や魅力ある商品企画によりブランドの価値向上につとめ、ライフスタイルの変化にともなって多様化する志向への対応と新たな消費者への訴求のため、得意分野であるビジネスウェアの商品構成を強化してまいります。また、売上拡大のために、中国をはじめとするアジア地域での市場開拓を強化してまいります。

「ブルックス ブラザーズ」は、新たなクリエイティブディレクターによる商品構成でブランドの世界観を表現し、顧客基盤の拡大を目指してまいります。

商品供給の面では、安定的な生産背景の確保を目的として、日本国内の協力工場との関係を強化してまいります。

 

③ パターンオーダー事業

メンズ・ウィメンズの「ニューヨーカー」とともに、パターンオーダーブランドの「アトラエル」の展開を進めており、「ブルックス ブラザーズ」でもメンズに加えウィメンズの展開を拡大しております。また、中国市場での紳士・婦人服オーダーの拡大に取り組み、ユニフォームの受注強化などで新規顧客を獲得し、着実な成長を目指してまいります。

 

④ Eコマース事業

実店舗とオンラインストアのお客様情報の一元管理や、AIの活用により利便性向上をはかる等、オンラインストアの拡充をはかっております。自社サイトでは情報コンテンツの充実により訪問客数の増加をはかり、外部モールとの連携強化により受注件数の拡大につとめてまいります。また、実店舗との融合によってシームレスな顧客サービスを提供し、利便性の向上をはかり、売上拡大を目指してまいります。

 

⑤ 不動産賃貸事業

小田原の商業施設「ダイナシティ」は、新しい生活様式が定着する中、地域社会のインフラとしてもご利用いただいております。引き続き地域密着・地域共生という原点を大切にしながら、新しいテナントの誘致等により、地域を牽引するライフスタイル発信拠点を目指して施設全体の魅力を高めてまいります。オフィスビルは、事業環境の変化により需要の減少が想定されますが、効率性を重視した有効活用につとめてまいります。

 

⑥ 環境対応

「持続可能な開発目標(SDGs)」につきましては、2002年より自社工場が導入している「コンプライアンス&サプライチェーン・トータル・マネジメント・システム」および、サプライヤーの皆様に理解と遵守適合同意をお願いしている「ダイドーサプライヤー行動規範」等、各事業を通じて対応を進めております。

今後も、環境への配慮、社会の変化に対応した製品・サービスの創出やそれらを生み出す調達、生産プロセスへの配慮、そして地域との共生や人権への配慮を行なうことで、事業を通じて持続可能で豊かな社会の実現へ貢献し、社会から信頼される企業であり続けられるようつとめてまいります。

 

⑦ DX(デジタルトランスフォーメーション)

新たなデジタル技術の導入と活用により、営業・販売活動や管理業務の効率化を進め、消費行動の変化への対応とサプライチェーンの品質向上をはかってまいります。

衣料事業では、販売部門は実店舗とオンラインストアの融合を進め、シームレスな顧客サービスを提供できるよう取り組んでまいります。また、製造部門と販売部門での情報共有により在庫効率を向上し、原材料・商品のロスを最小限に抑えられるよう仕組みづくりを進めております。

 

CSR(企業の社会的責任)とコンプライアンス(法令遵守)につきましては、法令の遵守に基づく企業倫理の重要性を認識するとともに、「お客様第一」「品質本位」の経営理念を通じて、企業価値の最大化を実現するために、的確かつ迅速に経営されるべきと考えております。その実現のために、株主の皆様やお客様をはじめ、お取引先・社員等の各ステークホルダー(関係各位)との良好な関係を築くとともに、株主総会・取締役会・監査役会・会計監査人など、法律上の機能制度の一層の強化・改善を行ない、コーポレート・ガバナンス(企業統治)を充実させてまいります。

 

なお、当社ホームページ(https://www.daidoh-limited.com/)において株主及び投資家の皆様への迅速かつ正確な情報の開示につとめるとともに、企業情報の共有化を進め、経営の透明性を高めてまいります。

また、2005年4月より施行されました個人情報保護法に関して、全役員及び全従業員に継続的な啓発を行い、必要な措置をとっております。

 

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