当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況および分析の内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績及び財政状態の状況及び分析の内容
① 当連結会計年度の事業環境
当連結会計年度におけるわが国の景況感は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の普及、感染対策と経済社会活動の両立が進み、企業の設備投資が回復する等、全般的に持ち直しの傾向が続きました。一方、年度終盤においては、オミクロン株による感染再拡大に伴う、宿泊・飲食等の個人消費の弱含み、ロシアによるウクライナ侵攻等に伴う原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等、一部に弱さと不透明感がみられる状況となりました。
不動産市況については、住宅分譲市場では、顧客ニーズの多様化・低金利環境の継続等の下支えにより、供給戸数がコロナ前の水準まで回復し、首都圏では初月契約率が6年ぶりに70%を超える等、堅調な販売動向となりました。賃貸オフィス市場では、空室率が、都心エリアを中心に、直近数年間の中では高い水準で推移しましたが、エリアによっては年度中盤で低下傾向に転じ、一部では、コロナ後の企業成長や働き方の更なる多様化を見据えたオフィス移転の需要も出てきています。また、eコマースの普及等に伴う物流市場の拡大が継続すると共に、コロナ禍の影響を大きく受けた商業・ホテル市場についても、徐々に回復に向かう傾向となりました。不動産投資市場では、良好な資金調達環境及び国内不動産に対する国内外投資家の旺盛な投資意欲によって、物流施設・賃貸住宅を中心に物件取引が活発化し、市場規模の拡大が継続しました。不動産流通市場では、リテール事業において、住み替え需要の増加や新築物件との価格差等によって、首都圏中古マンションの取引件数・平均取引価格が高い水準で推移する等、堅調な市況が続いています。
② 当社グループの経営成績の状況及び分析の内容
このような事業環境の下、当社グループの経営成績は、売上高は645,049百万円(前連結会計年度比64,389百万円、11.1%増)、営業利益は91,210百万円(同14,876百万円、19.5%増)、事業利益は92,765百万円(同16,317百万円、21.3%増)、経常利益は82,557百万円(同16,591百万円、25.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は55,312百万円(同13,113百万円、31.1%増)となりました。
(売上高)
住宅部門において、住宅分譲事業の計上戸数が増加したこと、都市開発部門において、収益不動産事業の物件売却収入が増加したこと、並びに仲介・CRE部門において、売買仲介事業(リテール)の取扱件数及び取扱高が増加したこと等により、645,049百万円(前連結会計年度比64,389百万円、11.1%増)となりました。
(事業利益)
事業利益は、売上高が増加したこと、及び住宅部門における、住宅分譲事業の粗利益率が向上したこと等により、92,765百万円(前連結会計年度比16,317百万円、21.3%増)となりました。
(経常利益)
経常利益は、事業利益が増加したこと等により、82,557百万円(前連結会計年度比16,591百万円、25.2%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加したこと、及び特別損失として計上した新型コロナウイルス感染症による損失額の減少等により、55,312百万円(前連結会計年度比13,113百万円、31.1%増)となりました。
2022年3月期 経営成績の概要
◇ 経営上の目標の達成状況
経営上の目標の達成状況については以下のとおりであります。
指標※1 |
指針※1 |
当連結会計年度 |
事業利益 |
85,000百万円 (2022年3月期) |
92,765百万円
|
ROA |
4~5%程度 (2020年3月期~2022年3月期) |
4.7%
|
ROE |
8~9%程度 (2020年3月期~2022年3月期) |
9.2%
|
総還元性向 |
40~50%程度 (2020年3月期~2022年3月期) |
44.3%※2
|
自己資本比率 |
30%水準 |
30.3%※3 |
※1 2019年4月に策定した前中長期経営計画にて掲げていた指標・指針となります。
※2 当連結会計年度の総還元性向については、2021年10月28日及び2022年1月27日開催の取締役会決議による自己株式の取得(取得期間:2021年10月29日~2022年4月25日)における取得価額の総額を考慮して算出しております。
※3 当連結会計年度末(2022年3月31日)の数値を記載しております。
事業利益※の推移 ROA・ROEの推移
※18/3期は営業利益の数値を記載 ※ROA=事業利益÷期中(平均)総資産
※ROE=当期純利益÷期中(平均)自己資本
1株当たり配当額・総還元性向の推移 自己資本・自己資本比率の推移
※総還元性向:(1株当たり配当額+1株当たり自社株買い金額)
÷1株当たり当期純利益
③ 部門別の経営成績の状況及び分析の内容
部門ごとの業績の状況及び分析の内容は、以下のとおりであります。
(注)1.各部門の売上高は、部門間の内部売上高、振替高を含みます。
2.端数処理の関係で合計数値があわない場合があります。
3.当連結会計年度より以下のとおり報告セグメントの変更等を行っております。
(報告セグメントの変更等)
「仲介・CRE部門」における不動産の仲介・コンサルティング事業について、2021年3月31日まで野村不動産㈱と野村不動産アーバンネット㈱の2社体制で行っておりましたが、同年4月1日付で、拠点、人員及び機能を一本化すべく、野村不動産㈱を吸収分割会社、野村不動産アーバンネット㈱を吸収分割承継会社とする組織再編を行っております。あわせて、同日付で野村不動産アーバンネット㈱の商号を野村不動産ソリューションズ㈱に変更しております。
また、2022年1月14日付で、武蔵㈱の全株式を取得し、「住宅部門」へ区分しております。
<住宅部門>
当部門の売上高は309,225百万円(前連結会計年度比36,647百万円、13.4%増)、事業利益は32,550百万円(同10,146百万円、45.3%増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。
これは主に、住宅分譲事業において、計上戸数が増加したこと、及び粗利益率が向上したことによるものであります。
マンション分譲では「プラウドタワー亀戸クロス」(東京都江東区)、「プラウドタワー東池袋ステーションアリーナ」(東京都豊島区)、「オハナ中浦和」(埼玉県さいたま市桜区)、「プラウドタワー名古屋錦」(愛知県名古屋市中区)等を、戸建分譲では「プラウドシーズンつきみ野」(神奈川県相模原市南区)等、計4,329戸(前連結会計年度比660戸増)を売上に計上いたしました。
また、当連結会計年度末における契約済未計上残高は3,548戸(前連結会計年度末比272戸増)となっており、次期計上予定売上高に対する期首時点の契約率は74.6%となっております。
なお、共同事業における戸数、売上高、契約残高については事業シェア按分で計算しております。
更に、事業活動を通じた持続可能な社会への取り組みとして、ZEH※マンションの開発に加え、再生可能エネルギー電力等の採用によりCO2排出量実質ゼロを実現する「(仮称)相模大野4丁目計画」「(仮称)向ヶ丘遊園集合住宅計画」等、断熱・省エネ・創エネでエネルギー収支ゼロを目指す住まいづくりを推進しております。また、CO2削減等につながる国産木材の積極的な活用を集合住宅において推進しております。
※ ZEH-M Oriented基準による
住宅分譲事業 売上高・粗利益率の推移
売上高等内訳
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||
計上戸数 |
売上高 |
計上戸数 |
売上高 |
||
住宅分譲 |
首都圏 |
2,981戸 |
211,465 |
2,944戸 |
210,413 |
|
関西圏 |
312戸 |
18,081 |
496戸 |
26,522 |
|
その他 |
375戸 |
18,062 |
889戸 |
47,079 |
|
小計 |
3,669戸 |
247,609 |
4,329戸 |
284,015 |
|
(うち戸建住宅) |
(372戸) |
(22,741) |
(451戸) |
(29,990) |
収益不動産(注) |
― |
5,960 |
― |
5,621 |
|
シニア・その他 |
― |
19,007 |
― |
19,588 |
|
合計 |
― |
272,577 |
― |
309,225 |
(注)不動産投資市場向けに開発・販売する賃貸住宅を指します。
住宅分譲 期末完成在庫数(販売中)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
首都圏 |
161戸 |
74戸 |
関西圏 |
45戸 |
18戸 |
その他 |
33戸 |
38戸 |
合計 |
239戸 |
130戸 |
(うち戸建住宅) |
(18戸) |
(0戸) |
住宅分譲 期末完成在庫数(未販売)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
合計 |
182戸 |
253戸 |
(うち戸建住宅) |
(5戸) |
(0戸) |
住宅分譲 契約済未計上残高
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
||
戸数 |
契約残高 |
戸数 |
契約残高 |
|
首都圏 |
2,260戸 |
170,232 |
2,555戸 |
197,478 |
関西圏 |
394戸 |
20,655 |
439戸 |
23,687 |
その他 |
622戸 |
34,075 |
553戸 |
28,705 |
合計 |
3,276戸 |
224,963 |
3,548戸 |
249,870 |
(うち戸建住宅) |
(159戸) |
(10,425) |
(226戸) |
(15,689) |
<都市開発部門>
当部門の売上高は202,460百万円(前連結会計年度比23,232百万円、13.0%増)、事業利益は38,590百万円(同3,120百万円、8.8%増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。
これは主に、収益不動産事業において物件売却収入が増加したことによるものであります。
オフィスビルでは「野村不動産大手町北ビル」、物流施設では「Landport青梅Ⅲ」、商業施設では「KAMEIDO CLOCK」、ホテルでは「NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO」等、計17物件が竣工しております。
また、企業ニーズの多様化や働き方の変化に対応したオフィスブランド「PMO」、「H¹O(エイチワンオー)」、「H¹T(エイチワンティー)」を引き続き展開しており、サテライト型オフィス「H¹T」においては、当連結会計年度末時点で216店舗(提携先含む)まで拠点を拡大しております。
更に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして加盟した「RE100※1」の目標達成に向け、保有する全ての国内賃貸資産※2において、2024年3月期迄に入居テナント分も含めた全ての消費電力を再生可能エネルギー由来の電力といたします。
また、「野村不動産溜池山王ビル」では、建設時のCO2排出量削減等にむけて木造ハイブリッド構造を採用し、高い耐震性能・耐火性を確保しつつ無柱の木質オフィス空間を実現する点が評価され、国土交通省の「令和3年度 サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されております。
※1 事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力で調達することを目標とする国際イニシアチブ
※2 野村不動産株式会社が電力会社と直接電力契約を実施する賃貸資産(テナント使用分含む)。野村不動産株式会社が他者と区分・共有して保有する資産、売却・解体対象資産および一部賃貸住宅の共用部は除く
売上高内訳 (単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
賃貸(オフィス) |
47,411 |
45,422 |
賃貸(商業施設) |
11,018 |
12,302 |
賃貸(その他) |
5,776 |
4,131 |
収益不動産(売却)(注) |
87,846 |
106,451 |
収益不動産(賃貸)(注) |
11,239 |
13,977 |
フィットネス |
11,509 |
13,624 |
その他 |
4,426 |
6,550 |
合計 |
179,227 |
202,460 |
(注)不動産投資市場向けに開発・販売するオフィスビル・商業施設・物流施設等を指します。
賃貸収入(オフィス・商業施設)の増減分析
|
増減額(百万円) |
主な要因 |
新規・通期稼働資産 |
1,314 |
東京虎ノ門グローバルスクエアの通期稼働等 |
既存資産 |
1,431 |
新型コロナウイルス感染症の影響による、商業施設における賃料減免及び歩合賃料減少の影響軽減等 |
売却・振替え |
△3,450 |
資産売却、棚卸資産への振替え |
賃貸床面積
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
オフィス |
706,771㎡ |
655,663㎡ |
商業施設 |
120,966㎡ |
131,874㎡ |
合計 |
827,737㎡ |
787,536㎡ |
空室率(オフィス・商業施設)
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
5.1% |
6.0% |
賃貸床面積 収益不動産の売却額の推移
※19/3期以降は賃貸住宅分を控除後の数値、18/3期は賃貸住宅分を含んだ数値となります。
<資産運用部門>
当部門の売上高は12,804百万円(前連結会計年度比348百万円、2.8%増)、事業利益は7,836百万円(同248百万円、3.3%増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。
これは主に、国内運用会社において運用資産残高が増加したことによるものであります。
基幹事業である国内REITビジネスにおいて、野村不動産マスターファンド投資法人(以下「NMF」)及び野村不動産プライベート投資法人(以下「NPR」)が、野村不動産株式会社より「Landport習志野」、「プラウドフラット戸越銀座」、「MEFULL浦和」等、計4物件(取引額計42,096百万円)を取得したほか、投資家のニーズを捉えた私募ファンド組成が進む等、運用資産残高が順調に拡大しました。
なお、野村不動産投資顧問株式会社は、ESG(環境・社会・ガバナンス)の潮流に沿った投資家ニーズの期待に応えており、NMF及びNPRにおける気候変動の緩和と適応に関する継続的な取り組みが評価され、環境省主催の「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」を不動産運用会社では初めて受賞しました。
更に、NMF及びNPRにて、2016年から継続してGRESB※1で4スター以上の評価を獲得するとともに、NPRにて、私募REIT初のエコアクション21認証※2を取得しました。
※1 GRESB:不動産会社・ファンドのESG配慮を測る年次のベンチマーク評価
※2 エコアクション21認証:環境省が定めた環境経営システムに関する第三者認証制度
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
売上高 |
12,456 |
12,804 |
運用資産残高 (単位:百万円)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
|
国内運用会社 |
REIT |
1,396,973 |
1,424,772 |
私募ファンド等 |
139,513 |
196,370 |
|
海外運用会社 |
279,159 |
326,929 |
|
合計 |
1,815,646 |
1,948,071 |
期末運用資産残高の推移
<仲介・CRE(※1)部門>
当部門の売上高は43,762百万円(前連結会計年度比4,325百万円、11.0%増)、事業利益は11,716百万円(同2,739百万円、30.5%増)と、前連結会計年度と比べ増収増益となりました。
これは主に、売買仲介事業のリテールにおいて、取扱件数及び取扱高が増加したことによるものであります。
野村不動産ソリューションズ株式会社におけるリテール事業では、2021年4月に都心エリアのハイグレードマンションに特化したサービスブランド「レアリア(REALIA)」をスタートし、「レアリア麻布※2」を開業しました。また、同年6月に「品川センター」、同年10月に「なんばセンター」をオープンし、当連結会計年度末における個人のお客様向けの拠点数は89拠点となりました。
また、同社では、2021年4月に中堅・中小企業、企業オーナー、個人資産家層等向けサービス(ミドル事業)を行う「パートナー営業本部」を新設しました。
更に、環境に配慮した素材を採用した店舗内装やSDGsを意識したCRE提案を行う等、サステナビリティ推進にも積極的に取り組んでおります。
また、デジタル先進性を有する企業を目指し、電子契約システムやオンラインコンシェルジュによる非対面の営業手法を導入するなど、積極的なDX投資によるデジタルマーケティングの強化及びデジタルを活用した営業生産性・競争優位性の向上を図り、更なる成長の加速と新たな市場開拓・顧客獲得に努めてまいります。
※1 CRE:Corporate Real Estateの略。企業向けの不動産戦略支援サービス(不動産の有効活用や売買のコンサルティング等)
※2 2022年4月に「レアリア東京」に改称
売上高内訳 (単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
売買仲介 |
34,718 |
39,833 |
(リテール) |
(23,334) |
(28,706) |
(ホールセール) |
(11,384) |
(11,126) |
その他 |
4,717 |
3,929 |
合計 |
39,436 |
43,762 |
売買仲介取扱件数・取扱高
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
取扱件数(件) |
9,322 |
10,081 |
取扱高(百万円) |
893,423 |
964,882 |
リテール仲介手数料推移 ホールセール仲介手数料推移
<運営管理部門>
当部門の売上高は99,230百万円(前連結会計年度比845百万円、0.9%増)、事業利益は9,205百万円(同△76百万円、0.8%減)と、前連結会計年度と比べ増収減益となりました。
これは主に、住宅管理戸数の増加に伴い運営管理収入が増加した一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で、計画修繕工事などの延期による受注工事収入が減少したことによるものであります。
なお、当連結会計年度末におけるビル等管理件数は772件(前連結会計年度末比16件減)、住宅管理戸数は186,549戸(同3,387戸増)となっております。
また、野村不動産パートナーズ株式会社は、分譲マンション「プラウド」のみを対象としていた大規模修繕工事の長周期化商品「re:Premium(リ・プレミアム)」(2017年発表)に続く新商品となる「re:Premium Duo(リ・プレミアム デュオ)」を開発しました。これにより、大規模修繕工事の長周期化の対象を、プラウド以前の野村不動産株式会社が分譲したヒルズ、ステイツ、コープ野村等にまで拡大し、建物のライフサイクルコストの低減を実現する等、事業活動を通じて、持続可能な街づくりに寄与する取り組みを推進しております。
更に同社は、2021年住まいサーフィン「管理会社満足度調査」において13年連続総合1位、2021年「オリコン顧客満足度調査」における「分譲マンション管理会社 首都圏」において5年連続第1位、「分譲マンション管理会社 東海」において2年連続第1位を獲得しております。
売上高内訳 (単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
運営管理 |
56,783 |
58,264 |
受注工事 |
35,863 |
35,215 |
その他 |
5,737 |
5,750 |
合計 |
98,384 |
99,230 |
管理受託数
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
ビル等管理件数(件) |
788 |
772 |
住宅管理戸数(戸) |
183,162 |
186,549 |
ビル等管理件数・住宅管理戸数の推移
※20/3期以降、NREG東芝不動産ファシリティーズ㈱と野村不動産パートナーズ㈱の管理件数及び管理戸数を合算した数値を記載
19/3期以前は、野村不動産パートナーズ㈱の数値を記載
<海外/その他>
売上高は2,755百万円(前連結会計年度比685百万円、33.1%増)、事業利益は92百万円(前連結会計年度は事業損失1,495百万円)となりました。
これは主に、海外における住宅分譲事業において計上戸数が増加したことによるものであります。
海外における住宅分譲事業においては、ベトナム・ホーチミンにおける「GrandPark Phase2」等を計上したほか、フィリピン・マニラで事業推進中の分譲住宅「ザ・シーズンズレジデンス」が、優れた不動産プロジェクトを表彰する「International Property Award」にてフィリピンの最優秀賞を受賞しました。
また、当連結会計年度においては、フィリピンにおいて、同国で有数の財閥グループであるGTグループの不動産会社Federal Land Inc.と、新合弁会社「Federal Land NRE Global Inc.」を設立することを決定しました。
アジアにおける住宅分譲事業においては、企画・開発フェーズからの事業参画、品質改善のためのプロジェクト「KAIZEN」活動に取り組み、各国における住宅の高品質化・長寿命化等の基本性能の向上を通じて持続可能な社会の実現を目指しております。
また、2021年5月にアジア・オセアニア地域での不動産テック企業に特化したベンチャーキャピタルファンド「Real Tech Ventures I」への出資を行いました。アジアにおける大規模タウンシップ開発において、当該ファンドを通じて獲得する先端技術等を活用し、スマートシティの実現に挑戦してまいります。
④ 財政状態の状況及び分析
(資産、負債及び純資産の状況)
(単位:百万円)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
総資産 |
1,921,306 |
2,040,506 |
119,199 |
6.2% |
総負債 |
1,334,956 |
1,419,107 |
84,151 |
6.3% |
(うち有利子負債) |
(1,008,500) |
(1,022,735) |
(14,235) |
(1.4%) |
純資産 |
586,350 |
621,398 |
35,047 |
6.0% |
(うち自己資本) |
(583,328) |
(618,762) |
(35,434) |
6.1% |
自己資本比率 |
30.4% |
30.3% |
― |
― |
D/Eレシオ |
1.7倍 |
1.7倍 |
― |
― |
(注)D/Eレシオ=有利子負債/自己資本
(資産)
当連結会計年度末における総資産は2,040,506百万円となり、前連結会計年度末に比べ119,199百万円増加いたしました。これは主に、子会社からの配当にかかる源泉所得税等を含むその他の流動資産(51,533百万円増)、棚卸資産(18,708百万円増)、及び投資有価証券(14,726百万円増)が増加したことによるものであります。
各部門の資産は下表のとおりであります。
(単位:百万円)
部門 |
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
住宅 |
505,976 |
514,546 |
(内たな卸資産) |
(463,944) |
(458,049) |
都市開発 |
1,160,805 |
1,204,549 |
(内たな卸資産) |
(412,862) |
(436,810) |
(内有形固定資産) |
(696,545) |
(705,527) |
資産運用 |
42,868 |
43,220 |
仲介・CRE |
25,201 |
35,787 |
運営管理 |
50,095 |
48,881 |
その他 |
89,237 |
117,787 |
調整額 |
47,122 |
75,733 |
合計額 |
1,921,306 |
2,040,506 |
(内たな卸資産) |
(875,520) |
(894,229) |
主な用途別の有形固定資産の残高は下表のとおりであります。
(単位:百万円)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
オフィス |
533,659 |
523,769 |
商業施設 |
81,962 |
95,390 |
(負債)
当連結会計年度末における総負債は1,419,107百万円となり、前連結会計年度末に比べ84,151百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金(19,829百万円増)、預り金(18,717百万円増)、並びに有利子負債(14,235百万円増)が増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は621,398百万円となり、前連結会計年度末に比べ35,047百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金(12,785百万円増)が増加したことによるものであります。なお、当連結会計年度において、27,004百万円の自己株式を消却し、新たに8,957百万円の自己株式を取得しております。
(2) キャッシュ・フローの状況及び分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況及び分析の内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から2,831百万円減少し、67,793百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、52,793百万円の資金の増加(前連結会計年度比116,297百万円増)となりました。これは主に、法人税等の支払いがあった一方で、税金等調整前当期純利益81,052百万円の計上、仕入債務の増加、預り金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、46,277百万円の資金の減少(同9,511百万円増)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得、並びに投資有価証券の取得による支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、9,619百万円の資金の減少(同121,995百万円減)となりました。これは主に、長期借入れによる資金調達を行った一方で、配当金の支払い及び社債の償還を行ったことによるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
◇ 資金調達の方法及び状況
当社グループは、事業活動及び成長投資等に必要な資金を、営業活動により得たキャッシュ・フローで賄うことを基本とし、不足している場合については、外部からの調達により確保しております。
外部からの調達に関しては、財務健全性の指標として自己資本比率を30%水準と設定した上で、中長期にわたる不動産開発事業の特性を踏まえ、主に、国内金融機関からの長期借入金や社債の発行等により、長期資金を中心とした資金調達を行っております。また、現在の低金利での調達環境を踏まえ、金利の固定化を進めるとともに、償還額の年度別の分散等を図ることで、借換えリスクの低減を図っております。また、このような良好な調達環境を活かすとともに調達手段の多様化を図るため、ハイブリッド社債(劣後特約付社債)による資金調達を実施しております。当連結会計年度においては、2021年7月に国内初の取り組みとなる「包括型サステナビリティ・リンク・ローンフレームワーク」を金融機関の協力のもとで制定の上、本フレームワークも活用して、総額435億円のサステナビリティ・リンク・ローンを調達しました。
手許資金に関しては、資産効率性を損なうことなく、必要な資金を柔軟に確保するため、入出金管理に基づく必要最小限の現預金の確保と合わせて、当座貸越及びコミットメントライン契約を締結する等の対応を講じております。また、当社にて、グループ各社の資金を一元管理するキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上を図っております。
なお、当連結会計年度末時点の有利子負債の状況については以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
有利子負債残高(A) |
1,008,500 |
1,022,735 |
総資産(B) |
1,921,306 |
2,040,506 |
EBITDA(注)1 |
96,911 |
111,771 |
支払利息 |
9,015 |
8,825 |
有利子負債依存度(A/B) |
52.5% |
50.1% |
D/Eレシオ(注)2 |
1.7倍 |
1.7倍 |
(注)1.EBITDA=営業利益+受取利息・配当金+持分法による投資利益+減価償却費+のれん償却額
2.D/Eレシオ=有利子負債残高/自己資本
有利子負債残高の内訳 (単位:百万円)
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前連結会計年度末 (2021年3月31日) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
長期借入金 |
751,500 |
754,235 |
社債 |
160,000 |
150,000 |
短期借入金 |
31,000 |
39,500 |
1年以内返済長期借入金 |
56,000 |
69,000 |
1年以内償還予定社債 |
10,000 |
10,000 |
合計 |
1,008,500 |
1,022,735 |
有利子負債/支払利息の推移
◇ 資金の主要な使途を含む資金需要の動向
当社グループの主要な資金需要は、国内における分譲・売却事業における販売用不動産等の取得・開発等に係る資金、保有・賃貸事業における固定資産の取得・開発・運用等に係る資金、海外における投資・開発等に係る資金、M&A・資本業務提携等の戦略投資に係る資金、株主還元に係る資金等であります。
(成長投資と株主還元の考え方)
当社グループは、2019年4月に策定した前中長期経営計画において積極的な投資を行いながらも資産の回転性を高めることで、総資産の純増額を一定程度に抑制し、資本効率性を向上させることを基本方針としております。当社グループでは、株主資本コストを7%~8%と想定しており、これを上回る資本効率性を目標とすることで企業価値の向上を図ってまいりました。
また、これにより創出された利益は、成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、当社の持続的な利益成長と株主還元の両立を実現しております。
株主還元については、安定的且つ経営環境に応じた機動的な株主還元を行うため、配当に自己株式の取得を組み合わせることで、2020年3月期~2022年3月期における各事業年度の総還元性向を40~50%程度とすることを指針としておりました。
この指針のもと、2022年3月期の配当については、利益成長をもとに安定した増配基調を確保する方針から期末配当を従来予想から増額し1株当たり55.0円とし、これにより実施済みの第2四半期末配当金とあわせた1株当たり年間配当金は97.5円となりました。
また当事業年度において、財務健全性、株価水準、事業環境等を総合的に勘案し、自己株式について7,000百万円の取得を実施しており、結果、当事業年度の総還元性向は44.3%となりました。
なお、2022年4月に策定した中長期経営計画において、高い利益成長と高い資産・資本効率の両立を目指しつつ、株主還元については、フェーズⅠ(2023年3月期~2025年3月期)の総還元性向を40~50%とする方針を掲げております。
(3) 生産、受注及び販売の実績
生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績及び財政状態の状況及び分析の内容 ③部門別の経営成績の状況及び分析の内容」に記載のとおりであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、その作成にあたっては、経営者の主観的な判断を伴う見積りが必要になる項目があります。
経営者はその見積りが合理的であると判断していますが、市況の変化等により将来の結果が異なるものとなり、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
当社グループの重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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