当連結会計年度においては、連結売上高24,861百万円(通期業績計画達成率103.6%)連結経常利益は1,802百万円(通期業績計画達成率180.3%)、連結当期純利益は663百万円(通期業績計画達成率100.6%)となり、売上・利益ともに当初の計画を達成することができました。
第5次中期経営計画の最終年度となる当連結会計年度においては、ロサンゼルスを拠点とする米国での事業が引き続き堅調であり、連結売上高の24.1%(前連結会計年度は18.9%)に成長したこと、当社初の不動産小口化商品である「ARISTO京都」を2018年12月中に完売することができ、商品の多様化と顧客層の拡大に寄与したこと、また、今後の成長資金の獲得のために2018年8月に発行した第21回新株予約権の行使が進み、978百万円の調達が出来たことなど、各種成果を残しております。
当連結会計年度の経営成績は以下の表のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1 (不動産販売)は「収益不動産販売事業」、(ストック)は「ストック型フィービジネス」、「税引前利益」は「税金等調整前当期純利益」、「純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」をそれぞれ省略したものです。
2 EBITDA(償却等前営業利益):営業利益+償却費等
償却費等には減価償却費、ソフトウェア償却費、のれん償却費等のキャッシュアウトを伴わない費用を含みます。
当連結会計年度において、2018年7月31日に東京国税局より、過年度消費税に係る更正通知書を受領した関係から、過年度消費税相当額等を引当てることにより、第1四半期において757百万円を特別損失として計上しておりました。これに対し、2019年3月期連結業績計画を達成するべく、第2四半期において販売ラインナップの柔軟な組み替えを実施し、また、第3四半期以降においても市況の変化を先取りした積極的な営業施策を採ることにより、上記の結果となりました。
なお、当該更正処分に関しては、2018年12月14日付で、本件更正処分等の取消しを求める訴訟を東京地方裁判所に提起しております。
セグメントの概況は次のとおりです。なお、当社グループでは営業利益をセグメント利益としております。
(収益不動産販売事業)
売上高21,879百万円、EBITDA2,558百万円、営業利益2,548百万円となりました。
当社グループの優位性は、独自のノウハウによる収益不動産の仕入からスタートし、リノベーション、プロパティ・マネジメント、資産運用の助言等をワンストップで提供することにあります。当連結会計年度もこれによる顧客からの信頼を背景に、国内41棟及び米国20棟の販売を行いました。
一方、収益不動産の仕入に際しては、市況の状況変化を捉え、個別物件ごとの採算性を見極めながら慎重に実施いたしました。その結果、国内35棟及び米国19棟の仕入を完了し、仕入高は14,389百万円となりました。
当事業における将来の収益源であり、同時にストック型フィービジネスの収益源の一部でもある収益不動産の残高は、こうした販売状況及び仕入状況によって21,229百万円となり、前連結会計年度を1,146百万円下回りました。
(ストック型フィービジネス)
売上高3,413百万円、EBITDA1,015百万円、営業利益881百万円となりました。
収益不動産の期中平均残高は、前連結会計年度の19,380百万円に対し、当連結会計年度は22,618百万円と増加しました。また、販売後の収益不動産に対するプロパティ・マネジメントの受託が進み、当連結会計年度末の国内収益不動産管理戸数は4,746戸(前連結会計年度末は4,464戸)となり、緻密な業務改善による入居率の改善とあいまって、賃料収入及び不動産管理収入が増加し、安定的な収益基盤を強化することができました。
さらに、受託規模の拡大と顧客リレーションの強化に伴い、受託する収益不動産の保守・修繕工事や買い替え・買い増し等に際しての売買サポートの受注の機会が増え、当連結会計年度においては、工事収入や売買サポートフィーも増加いたしました。
(注)各セグメントの営業利益は、全社費用等のセグメントに配賦しない費用及びセグメント間の内部取引による営業費用控除前の数値であり、その合計は連結営業利益と一致しません。
当連結会計年度においては、前述のとおり、過年度消費税相当額の特別損失をリカバリーするべく予定外の収益不動産の前倒し販売や金融機関による購入者に対する不動産融資姿勢の硬化に対応し、販売価格を積極的に改定し計画物件の早期販売を優先する一方で、不動産市況の変化の影響を考慮して仕入れ活動を慎重に行いました。その結果、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が1,133百万円減少し、有利子負債(短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債及び長期借入金)も3,014百万円減少いたしました。また、新株予約権の行使による978百万円の調達や当期純利益663百万円の計上等に伴い、純資産が1,795百万円増加いたしました。これらの要因から、資産合計と負債純資産合計は、前連結会計年度末と比較し、176百万円減少いたしました。
連結貸借対照表の詳細は以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は30,625百万円となりました。うち、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が21,242百万円、現金及び預金が7,105百万円を占めております。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、18,677百万円となりました。うち、有利子負債が15,119百万円を占めております。
(純資産)
純資産合計は、11,947百万円となりました。うち、資本金及び資本剰余金が8,715百万円(構成比28.5%)を占めています。また、円安の進行により為替換算調整勘定が165百万円増加し、△36百万円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前連結会計年度より65百万円減少し、7,074百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は、2,302百万円となりました。これは、(1)経営成績の概況に記載のとおり、税金等調整前当期純利益1,043百万円を計上したこと、たな卸資産が1,143百万円減少したことによる資金の増加などが主な要因です。
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、190百万円となりました。これは、貸付金の貸付による支出94百万円、敷金の差入による支出87百万円などが主な要因であります。
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、2,206百万円となりました。これは、新株予約権の行使による収入978百万円があった一方で、有利子負債が3,029百万円減少したことによる資金の減少などが主な要因です。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当社グループは、収益不動産販売事業、ストック型フィービジネスが主要な事業であり受注活動を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は、2019年6月4日公表の「第6次中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の策定に関するお知らせ」において記載したとおり、「不動産ビジネスから富裕層ビジネスへ、そしてプレミアムビジネスへ」をテーマに掲げるとともに、2022年3月期までの中期的な基本方針を
Ⅰ.変化する環境下でも安定的に収益を生み出せる強靱な事業基盤への進化
Ⅱ.新事業分野の開発・開拓と、既存事業との相乗効果の発揮
Ⅲ.顧客体験価値の最大化を前提とする永続的な顧客基盤の構築
としております。
第6次中期経営計画の最終年度である2022年3月期の連結業績計画は、売上高300億円、EBITDA22億円、経常利益15億円、税引前利益15億円を掲げております。
成長ステージにある当社グループにとって、資金調達は重要な経営課題です。
当社はこれまで、エクイティ・ファイナンスによる成長資金の獲得と財務的安全性の確保を起点に、収益不動産の仕入とそれに伴う借入を行い、新たな利益剰余金を積み上げる、というサイクルで成長してまいりました。将来的に社債の発行等を含めた多様な資金調達手法を確保するべく、純資産の拡大等を進めておりますが、現時点の当社グループにおいては、引き続きエクイティ・ファイナンスを起点に成長を目指すことが有効と考えております。このような背景から、2019年6月4日公表の「ノンコミットメント型ライツ・オファリング(行使価額ノンディスカウント型)及び感謝配当(中間配当)に関するお知らせ」のとおり、新たなエクイティ・ファイナンスの実施を本年6月25日開催の第93期定時株主総会に付議いたしました。
今後とも、成長資金の獲得と財務安全性及び手元流動性のバランスを維持しつつ、企業価値の向上を目指してまいります。
収益不動産販売事業は、当社グループの連結売上高の約9割を占める主力事業であります。
当事業は引き続き当社の収益の柱の位置付けとなりますが、当事業は不動産市況の変動を受けやすく、決算期毎の業績の振れ幅が大きくなりやすい傾向があります。当事業における安定性と収益性の向上には継続的に取り組んでまいりますが、他の事業を成長させ、新しいコア・ビジネスとすることで、当事業への依存度を減少させることにも併せて取り組んでまいります。
ストック型フィービジネスは、当社グループの安定収益源であり、当事業の成長は、当社の経営基盤のさらなる安定化に直結すると認識しております。
現時点においては、連結売上高における当事業の比率は約13%に留まっており、今後の成長余力は大きいと考えております。長期保有用収益不動産残高の増加や収益不動産管理戸数の増加により、安定収入である賃料収入及び不動産管理収入を増加させていく方針です。
また、工事収入や売買サポート売上高も当事業に含まれており、これらの分野ついても、さらに力を入れてまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。その作成に当たり、会計方針は原則として前連結会計年度と同一の基準を継続して適用するほか、引当金等につきましても過去の実績等を勘案し合理的に見積りを行い、またたな卸資産のうち重要な長期滞留物件等が認められる場合には、回収可能性の検討を行い必要な評価減を行なっております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
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