課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針、経営環境

 当連結会計年度における経済環境は、国内では企業収益や雇用環境の改善、個人消費の持ち直しなどから、緩やかな回復が続いてきましたが、海外経済の減速による輸出の低迷などの影響により、年度末にかけて先行き不透明感が増してまいりました。当社グループの拠点がある米国におきましても、着実な景気回復が続いているものの、通商問題の動向や中国経済の先行きをはじめ、主要海外各国の経済と政策の動向、金融資本市場の変動の影響など、広く注視の必要な状況が継続しております。

 当社グループの主要な事業領域である都心部における不動産関連の事業環境は、居住用不動産においては在庫件数・成約件数ともに高水準で推移し、成約価格が低下傾向にあるなど、先行き不透明な状況にありますが、オフィス需要は引き続き旺盛であり、賃料水準も上昇を続けるなど、好調さを堅持しております。一方、海外事業の拠点がある米国ロサンゼルス圏におきましては、中古住宅の取引成約価格は引き続き高水準で推移しており、在庫は安定的に推移いたしました。

 

 このような事業環境のもと、当社グループは第5次中期経営計画(2017年3月期~2019年3月期)に基づき、「収益不動産残高の戦略的な拡充を通じた、強固な事業基盤の確立と安定的な収益基盤の追求」「新たな収益の柱となる事業の開発と育成」「規模拡大に耐えうるケイパビリティの再構築」を基本方針に掲げ、各種施策に取り組みました。
 
 当社は、成長性を示す経営指標としてEBITDA、経常利益、税金等調整前当期純利益(税引前利益)を定めています。
  2020年3月期の連結業績計画は以下のとおりです。       

                                          (単位:百万円)

 

2019年3月期(実績)

2020年3月期(計画)

売上高

24,861

26,000

EBITDA

2,324

1,330

経常利益

1,802

840

税引前利益

1,043

890

 

(注) 当社グループでは、当連結会計年度の経営目標を「業績計画」として開示しております。「業績計画」は経営として目指すターゲットであり、いわゆる「業績の予想」または「業績の見通し」とは異なるものであります。なお、業績の予想については、その時点におけるグループ全体の確度の高い情報及び合理的であると判断さ れる情報を基に、各四半期における進捗の見通しを「フォーキャスト」として適時更新し開示しております。

 

また当社は、2019年6月4日に公表した、第6次中期経営計画を達成するため、以下の項目をガイダンスとして定めています。

① 収益不動産残高

収益不動産販売事業は、当社の現時点におけるコアビジネスであるため、収益不動産残高(期末)を、業績計画達成に向けての目安としております。主に、「国内短期/中期販売用収益不動産残高」「米国販売用収益不動産残高」は当期を含む近い将来の収益不動産売上高、「国内長期保有用収益不動産残高」は賃料収入の目安となります。

(単位:百万円)

 

2019年3月期(実績)

2022年3月期(ガイダンス)

収益不動産残高(期末)

21,229

36,500

国内短期/中期販売用収益不動産残高

14,688

24,300

国内長期保有用収益不動産残高

2,013

8,000

米国販売用収益不動産残高

4,527

4,200

 

 

② フィービジネス売上高

フィービジネス売上高は、安定収益基盤強化に際しての目安としております。「ストック型」には賃料収入や不動産管理収入等が、「フロー型」には売買サポート等の都度受注する収入が含まれます。

(単位:百万円)

 

2019年3月期(実績)

2022年3月期(ガイダンス)

ストック型

3,072

4,000

フロー型

39

250

 

 

③ ニュー・コアビジネス売上総利益

現時点のコアビジネスである収益不動産販売事業への依存度を下げるべく、新たなコアビジネスを育成することを、事業ポートフォリオ安定化を進めるうえでの目安としております。

(単位:百万円)

 

2019年3月期(実績)

2022年3月期(ガイダンス)

ニュー・コアビジネス売上総利益

0

800

 

 

④ 純資産

社債の発行等を含めた多様な資金調達手法を確保するために、資本市場からの信用力強化を進めるうえでの目安としております。

 

2019年3月期(実績)

2022年3月期(ガイダンス)

純資産

119億円

180億円

 

(注)1 ガイダンスについて

   第6次中期経営計画達成に向けたガイダンスは、当社グループの目指す規模感(ガイダンス)を示すために設定した目安値です。

2 ①収益不動産残高について

 「第5次中期経営計画」におけるガイダンスと比較し、本「第6次中期経営計画」では次の2点において当該収益不動産残高のガイダンス設定基準を変更しております。

(1)国内長期保有用としていた収益不動産12物件を国内短期/中期販売用に変更

(2)次期の収益不動産販売事業収益に直結する観点をシンプルに評価するべく、収益不動産残高の算定基準を期中平残から期末残に変更

3 ②フィービジネスについて

  フィービジネス売上高のうちストック型は賃貸収入、不動産管理収入等の当社グループの保有資産を起点として安定的に計上される売上高、フロー型は売買サポート売上等の随時発生する売上高を指します。

4 ③ニュー・コアビジネスと各ガイダンス項目間の関係について

  「③ニュー・コアビジネス」とは、当社が将来的にコア事業として育成するビジネスを想定しております。従いまして、現業として進捗している事業における、「①収益不動産残高」や「②フィービジネス売上高」といったガイダンス項目の内容と、一部重複する可能性があります。

 

 

(2) 対処すべき課題

① 仕入力及び商品企画力の強化

当社グループにとって優良な収益不動産の仕入は安定成長の起点であります。したがって仕入力の強化は引き続き最重要課題のひとつであり、情報網の整備、仕入担当者個々のスキルアップ、ナレッジを共有するための仕組み作り、データベースの整備による客観的な判断軸の構築など、総合的な取り組みを進めてまいります。またそれと両輪をなすのが、商品企画力の強化であります。当社グループは、居住用不動産からオフィスや商業施設へと商品バリエーションを広げたいと考えており、商品企画力を強化することによって仕入の幅を広げ、“不動産の内部成長”を具現化できる優良な収益不動産を確保してまいります。

 

② 収益構造の転換と顧客基盤の拡充

当社グループの主力事業である収益不動産販売事業は、いかに優良な収益不動産であってもある程度の市況の影響を受けることは不可避であります。したがって今後の安定的な成長のためには、フィービジネスのバリエーションをこれまで以上に拡げることが重要であります。現在の当社グループの主なフィービジネスは、販売後のプロパティ・マネジメントの受託、保守・修繕工事の受託、既存顧客の買い替え等の売買仲介などが中心でありますが、今後はさらに顧客基盤の拡充を図り、顧客のニーズ及びシーズに対して的確なサービスを提供し、フィービジネスを厚くする仕組み作りに注力してまいります。

 

③ 新たな収益基盤の確立

不動産ビジネスから富裕層ビジネスへ、そしてプレミアムビジネスへの進化と発展を目指す当社グループにとり、新たな収益基盤の確立は喫緊の課題であります。これまでは不動産ビジネス及びその周辺事業を中心に新たな収益基盤を探索してまいりましたが、今後はそれに加え、新商品・新エリアの積極的な開発・開拓、あるいは事業ポートフォリオを重層化するための、業務提携・資本提携・M&A等の積極的活用による外部エンティティとの関係強化などの多様な観点を取り入れ、新たな収益基盤を確立し、富裕層ビジネス、さらにはプレミアムビジネスを具現化して行きたいと考えております。

 

④ 人材力及び組織力の強化

事業領域を拡張しながらさらなる成長を実現するためには、多彩な人材力とそれを活かす組織力が必要不可欠です。当社グループの今後の中期的な事業展開のためには、既存の人材に加え、マーケティング&セールス、グローバル戦略、事業企画、顧客コンサルティング、経営企画などに長けた、これまで以上に多岐にわたる人材力が必要です。あわせて、意思決定の判断軸やスピードの異なる複数の事業を成功に導くためには、組織を率いて事業を牽引する有能な経営人材が必要です。いずれも、新卒社員を含めた既存社員の育成とプロフェッショナル採用との両側面から強化を進めてまいります。

 

⑤ 資金調達力の強化と資本基盤の増強

当社グループの経営戦略実現のためには、収益不動産残高の戦略的拡充はもとより、富裕層ビジネスやプレミアムビジネスを強化するための成長資金が必要不可欠です。当社はこれまで3回のライツ・オファリングを実施、エクイティ・ファイナンスによって成長資金の調達と資本基盤の増強を同時に実現して来ました。一方、増資によって高まる大規模買付行為のリスクに対しては、独自の「大規模買付ルール」を導入し対応してまいりました。将来的には、こうしたリスクがなくかつ資金使途の自由度が高い社債の発行を目指しておりますが、そのためにも、当面は資金調達と同時に資本基盤増強が実現できるエクイティ・ファイナンスを中心に、資金調達力を強化してまいります。

 

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