(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残るなかで、一部に弱さがみられます。
公共投資は底堅く推移しており、当社グループの主力である道路橋・鉄道橋などの橋梁事業の今年度の総発注量は、前年度の実績を上回りました。
このような環境下、受注高につきましては、大型の新設橋梁、高速道路の更新工事などにより639億74百万円となりましたが、前年同期に大型工事の受注があったことから前年同期比9.5%減となりました。
その具体的な内容は次のとおりであります。
橋梁では、国土交通省の圏央道利根川橋、西深瀬高架橋西、東日本高速道路株式会社の五霞高架橋、中日本高速道路株式会社の糸貫IC第一本線橋、西日本高速道路株式会社の佐世保高架橋北、阪神高速道路株式会社の喜連瓜破橋、東京都の平井大橋長寿命化工事その3、千葉県の土屋橋、兵庫県の大門橋、東日本旅客鉄道株式会社の品川駅構内環状第4号線交差部工事などを、また建築他では株式会社大林組他JVの北海道ボールパーク鉄骨工事などを受注しました。
売上高につきましては、手持ち工事が概ね順調に進捗したことにより580億2百万円(前年同期比4.9%増)となりました。
その具体的な内容は次のとおりであります。
橋梁では、国土交通省の東扇島橋梁工事その2、横浜環状南線栄IC・JCT橋脚工事、為当第1橋、国道289号線5号橋梁、新川島橋上部その2工事、中日本高速道路株式会社の上粕屋高架橋、西日本高速道路株式会社の吹田JCT~池田IC橋梁更新建設工事、城陽第一高架橋、淀川東高架橋、水尻高架橋、首都高速道路株式会社の東品川・鮫洲更新工事、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の福井橋りょう、木の芽川橋りょう、長野県の福島立体跨道橋、笠倉壁田橋などを、また建築他では株式会社大林組他JVの北海道ボールパーク鉄骨工事などを売り上げました。
損益につきましては、工場構内ヤードの有効活用促進などの生産効率化、工事採算性向上の取り組み、働き方改革による業務効率化などにより、営業利益は58億10百万円(同5.6%増)、経常利益は59億92百万円(同8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は34億6百万円(同10.6%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(宮地エンジニアリング)
受注高につきましては、大型工事の受注があったことにより、389億86百万円(同6.4%増)となりました。
売上高につきましては、手持ち工事が概ね順調に進捗したものの332億94百万円(同5.4%減)となりました。
損益につきましては、生産の効率化、工事採算性の向上などの取り組んだものの、営業利益は32億63百万円(同16.4%減)となりました。
(エム・エム ブリッジ)
受注高につきましては、前年同期に大型工事の受注があったことから、249億84百万円(同26.7%減)となりました。
売上高につきましては、手持ち工事が順調に進捗し、248億21百万円(同24.4%増)となりました。
損益につきましては、売上高の増加に伴い、営業利益は25億43百万円(同55.9%増)となりました。
なお新型コロナウイルス感染症については、感染リスクを極力抑えるための方策を実行し、当連結会計年度の当社グループの生産高(工場生産、現場施工)への影響はありません。また、当連結会計年度末以降、有価証券報告書提出日までの間においても、特段の影響はありません。
② 財政状態の状況
資産合計は、前連結会計年度末と比較して10億77百万円増加し、618億15百万円となりました。主な要因は、現金預金が74億62百万円、流動資産のその他に含まれる未収入金が7億70百万円、それぞれ増加し、受取手形・完成工事未収入金等が70億71百万円減少したためであります。
負債合計は、前連結会計年度末と比較して30億7百万円減少し、227億24百万円となりました。主な要因は、支払手形・工事未払金等が12億83百万円増加、短期借入金が25億円、未払金が10億72百万円、未成工事受入金が3億88百万円、それぞれ減少したためであります。
純資産合計は、前連結会計年度末と比較して40億84百万円増加し、390億91百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が28億61百万円、その他有価証券評価差額金が2億69百万円、非支配株主持分が8億51百万円、それぞれ増加したためであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して74億62百万円増加し、159億79百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況と増減要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、119億15百万円の資金増加(前連結会計年度は10億94百万円の資金増加)となりました。主な要因は、その他の流動資産の増加11億18百万円、その他の流動負債の減少11億74百万円、法人税等の支払額16億79百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益59億64百万円の計上、減価償却費10億98百万円の計上、売上債権の減少70億71百万円、仕入債務の増加13億14百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、11億85百万円の資金減少(前連結会計年度は25億87百万円の資金減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出10億30百万円、無形固定資産の取得による支出1億16百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、32億67百万円の資金減少(前連結会計年度は17億41百万円の資金減少)となりました。主な要因は、短期借入金の減少25億円、配当金の支払額5億42百万円、非支配株主への配当金の支払額1億49百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
宮地エンジニアリング(千円) |
33,186,260 |
△5.3 |
エム・エム ブリッジ(千円) |
24,321,838 |
45.9 |
その他(千円) |
2,966 |
△24.7 |
調整額(千円) |
△116,479 |
- |
合計(千円) |
57,394,586 |
10.7 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 |
受注残高 |
||
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
宮地エンジニアリング(千円) |
38,986,318 |
6.4 |
52,996,678 |
12.0 |
エム・エム ブリッジ(千円) |
24,984,798 |
△26.7 |
41,371,672 |
0.4 |
その他(千円) |
2,966 |
△24.7 |
- |
- |
調整額(千円) |
- |
- |
△81,359 |
- |
合計(千円) |
63,974,082 |
△9.5 |
94,286,991 |
6.8 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
宮地エンジニアリング(千円) |
33,294,466 |
△5.4 |
エム・エム ブリッジ(千円) |
24,821,742 |
24.4 |
その他(千円) |
2,966 |
△24.7 |
調整額(千円) |
△116,479 |
- |
合計(千円) |
58,002,695 |
4.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
西日本高速道路株式会社 |
6,715,144 |
12.2 |
21,359,173 |
36.8 |
国土交通省 |
10,369,729 |
18.8 |
7,029,871 |
12.1 |
中日本高速道路株式会社 |
9,152,684 |
16.6 |
1,874,995 |
3.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2021年度)は、2019年度を初年度とする3か年にわたる中期経営計画(2019年5月14日公表)の最終年度にあたっており、本計画の数値目標(最終年度)とそれに対する各連結会計年度の実績は以下のとおりであります。
(単位:億円)
項目 |
2021年度目標 |
2019年度実績 |
2020年度実績 |
2021年度実績 |
売上高 |
600 |
638 |
552 |
580 |
営業利益 |
45 |
52 |
55 |
58 |
経常利益 |
45 |
53 |
55 |
59 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
27 |
26 |
38 |
34 |
自己資本比率(注)1 |
45%以上 |
43.8% |
49.6% |
54.0% |
有利子負債比率(注)2 |
35%以下 |
15.8% |
10.2% |
1.6% |
ROE(注)3 |
10%以上 |
10.4% |
13.5% |
10.7% |
ROA(注)4 |
7%以上 |
9.3% |
9.2% |
9.8% |
(注)1.自己資本/総資産
※自己資本は純資産から非支配株主持分を除いております。
2.有利子負債/自己資本
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
3.親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本
4.経常利益/総資産
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、受注高は大型の新設橋梁、高速道路の大規模更新工事の受注がありましたが、前年同期に大型工事の受注があったことから前年比減少となりました。売上高は手持ち工事が概ね順調に進捗したことにより増収となりました。損益については千葉工場構内ヤードの有効活用促進などの生産効率化、工事採算性向上の取り組み、働き方改革による業務効率化などにより、営業利益、経常利益は増益となりました(親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期の特別損益の計上の影響で減益)。この結果、中期経営計画の最終年度(2021年度)の目標値に対し、自己資本比率は増加、有利子負債比率は内部資金の活用により期末借入金残高を圧縮したため大幅に減少、ROEおよびROAは増加し、売上高を除いていずれも目標値を達成することができました。
しかしながら、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因として、国・地方公共団体の発注量、主要原材料である鋼材の価格動向、地震や台風などの自然災害および重大な事故の発生による生産設備や架設現場の損壊・損傷、建設業法や独占禁止法等の法的規制、施工物件に関わる瑕疵担保責任等が挙げられます。当社グループといたしましては、これらの要因に対し適切に対応(受注量の確保、生産性の向上、経費節減、安全対策の徹底、法令遵守、製品・施工品質の向上)し、安定的な業績の確保を図ってまいります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症については、有価証券報告書提出日現在において当社グループの業績に特段の影響は予想しておりませんが、今後の予期せぬ事象によって見積りによる不確実性が顕在化した場合には、受注活動の停滞、購入品の調達遅れ、現場施工や工場生産の停滞など、実際の結果が見積りよりも悪化する可能性があります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ⅰ)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ⅱ)契約債務
2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
年度別要支払額(百万円) |
||||
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
1年内返済予定の 長期借入金 |
300 |
300 |
- |
- |
- |
リース債務(短期) |
75 |
75 |
- |
- |
- |
リース債務(長期) |
141 |
- |
130 |
10 |
1 |
当社グループの第三者に対する保証は、従業員の金融機関からの借入に対する債務保証であります。保証した借入の債務不履行が保証期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2022年3月31日現在の債務保証額は、3百万円であります。
ⅲ)財務政策
当社グループは、運転資金および設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については短期借入金で、長期運転資金および設備資金については長期借入金で調達しております。
また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計5,000百万円のシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高はありません)。
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