当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に関連する諸制限の発出・解除が繰り返される中にありましたが、企業収益や雇用情勢、個人消費などは持ち直しや底堅さが表れた分野も見られました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻により資源価格の高騰に一層の拍車が掛かっているほか、サプライチェーンへの悪影響、金融資本市場の変動等が顕在化しており、引き続き本情勢の趨勢、及び経済の下振れリスクに対しては予断を許さない状態が続いております。
当社製品の主な供給先である建設業界におきましては、国土交通省「建設総合統計」によると、2021年4月から2022年2月の建設投資総額は48.0兆円(前年同期比1.0%減)と足踏み感はあるものの、民間を中心とした需要が見られました。このような経営環境の中、主力製品であるくさび緊結式足場及び次世代足場を中心とした売上収益が堅調に推移いたしました。また物流機器部門においては、経済及び企業活動の回復に伴い、輸送機器及び大型倉庫関連の需要が高まったことから売上収益が増加いたしました。
利益面におきましては、安全措置資材など付加価値の高い製品への需要が継続しつつ、仮設資材の販売が回復したことに加え、物流機器では大手Eコマース企業向けの大型倉庫案件が利益に寄与いたしました。一方、当社製品の主要な原材料である鋼材価格の上昇が想定を上回って推移したことから、販売価格の見直しを行ったほか、コスト削減、支出抑制に取り組みました。これらの結果、当連結会計年度の営業利益率は13.3%となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上収益は16,063百万円(前期比15.7%増)、営業利益は2,135百万円(前期比15.3%増)、税引前利益は2,063百万円(前期比15.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,452百万円(前期比17.9%増)となりました。
なお、当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、事業部門別の業績は、次のとおりであります。
仮設資材部門は、主に戸建住宅などの低層から中層をターゲットにした「くさび緊結式足場」と、中層から高層の大型施設や公共工事をターゲットにした「次世代足場」の2つの製品群を展開しております。
当連結会計年度においては、建設工事の底堅さを背景に、主力製品であるくさび緊結式足場及び次世代足場の需要が堅調に推移いたしました。また、工事現場の安全性向上を目的とした安全措置資材の需要は引き続き高い中、作業性に優れる当社製品への引き合い及び販売が堅調に推移いたしました。
これらの結果、仮設資材部門の売上収益は12,425百万円(前期比14.9%増)となりました。
物流機器部門は、建設業界のみならず、自動車や物流倉庫など幅広い産業に向けて、オーダーメイドによる「運ぶ・収納する」ソリューションを提供しております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症からの立ち直り基調が強まる中、各種産業の生産活動や物流量の活発化が見られ、これらに関連する物流機器の需要増加に繋がりました。また、一部ではサプライチェーンの停滞により、追加の輸送機器の需要が生じました。さらに、大手Eコマース向けの大型倉庫案件も堅調に推移いたしました。
これらの結果、物流機器部門の売上収益は3,637百万円(前期比18.6%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,460百万円となり、前連結会計年度に比べ1,277百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は835百万円と前年同期に比べ2,056百万円減少しました。主な収入要因は、税引前利益2,063百万円、減価償却費及び償却費546百万円、営業債権及びその他の債権の減少211百万円であり、主な支出要因は、棚卸資産の増加982百万円、法人所得税の支払額895百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は817百万円となり、前連結会計年度に比べ636百万円支出が増加しました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出676百万円、無形資産の取得による支出136百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,306百万円となり、前連結会計年度に比べ202百万円支出が増加しました。主な収入要因は、短期借入金の借入による収入1,114百万円であり、主な支出要因は配当金による支出497百万円、自己株式の取得による支出299百万円、長期借入金の返済による支出1,500百万円であります。
当連結会計年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。
2.金額は製造原価によっております。
3.当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、事業部門別の生産実績を記載しております。
当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、事業部門別の販売実績を記載しております。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な取引先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
4.その他の仮設資材及びパレットには、IFRS第16号に基づくリースから生じる売上収益が前連結会計年度は464,321千円、当連結会計年度は428,229千円含まれております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき、また当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき、それぞれ作成されております。この連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
特に、のれん及び耐用年数を確定できない商標権及び棚卸資産の評価については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に乗じる影響などは、「第5 経理の状況」(重要な会計上の見積り)に注記しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
仮設資材部門では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言発令の影響などによる建築工事の中断・延期、並びに、新規建設投資案件の延期等の影響を受け、仮設資材全体の需要は落ち込みました。一方、工事現場の安全性向上を目的とした墜落・落下防止対策用の安全措置資材の需要は引き続き高く、これらの供給に注力することで、売上収益を下支えいたしました。その結果、仮設資材部門の売上収益は12,425百万円(前期比14.9%増)となりました。一方、物流機器部門は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が主に海外との物流減少の影響を与え、一部分野では需要の落ち込みがみられましたが、自動車産業や半導体産業など、企業活動の持ち直しがみられたことや、物流倉庫分野でも新規案件が獲得できたことなどにより、堅調に推移し、売上収益は3,637百万円(前期比18.6%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度における売上収益は、前連結会計年度に比べ2,177百万円増加し、16,063百万円(前期比15.7%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ500百万円増加し、4,122百万円(前期比13.8%増)となりました。また、売上総利益率は、引き続き幅広い原材料調達ルートの活用や仕入れ先との交渉を通じて、調達価格上昇の抑制に取り組みしたことや、コロナ禍の状況にあっても、安全措置資材など高付加価値製品の需要は高く、これら製品の製造・供給への注力など、収益性の改善に取り組みした結果、前連結会計年度に比べ0.4ポイント減少し、25.7%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、役員報酬等の減額やその他の固定費の削減を行うとともに、新規投資案件の見直しなど、あらゆる手段を通じたコスト削減、支出抑制に取り組みました。その結果、前連結会計年度に比べ169百万円増加し、1,978百万円(前期比9.3%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ282百万円増加し、2,135百万円(前期比15.3%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ221百万円増加し、1,452百万円(前期比17.9%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は9,081百万円となり、前連結会計年度末に比べ209百万円減少しました。この主な要因は、棚卸資産が984百万円増加した一方、現金及び現金同等物が1,277百万円減少したためであります。また、非流動資産は13,434百万円となり、前連結会計年度末に比べ488百万円増加しました。この主な要因は、有形固定資産396百万円増加によるものであります。この結果、資産合計は22,515百万円となり、前連結会計年度末に比べ278百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は3,552百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,123百万円増加しました。この主な要因は、借入金が1,041百万円増加、営業債務及びその他の債務が388百万円増加したためであります。また、非流動負債は3,804百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,560百万円減少しました。この主な要因は、借入金が1,482百万円減少したためであります。この結果、負債合計は7,357百万円となり、前連結会計年度末に比べ436百万円減少しました。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は15,158百万円となり、前連結会計年度末に比べ715百万円増加しました。この主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上1,452百万円、配当の実施493百万円、自己株式の増加163百万円によるものであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは経営上の重要な指標としてEBITDAを採用しております。当連結会計年度における当社グループのEBITDAは2,689百万円となり、前連結会計年度に比べ9.0%増加いたしました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度における借入金を含む有利子負債の残高は5,220百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,460百万円となっております。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループが事業活動を展開している仮設業界は、日本国内における建設市場の経済動向により大きな影響を受けております。このため、日本国内の景気動向や当該市場の経済環境の変化により、仮設業界全体が影響を受けた場合、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
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