文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、経営上の重要な基本理念、目標等を「私たちの信条(Our Credo)」として取りまとめております。
経営理念(Our Mission)
(a) 私たちは、製品・サービスを通じて大切な「命」を守ります。
私たちがご提供する製品やサービスは、これらを利用する方々の安全、ひいては命に直結しています。
私たちはそれをいつも心にとどめて活動し、全ての品質に対して決して妥協することはありません。
(b) 私たちは、社員のやる気を応援し、「夢と未来」の実現を支えます。
社員が夢を描き、その実現に向かって、持てる力を存分に発揮できることが重要と考えています。
私たちは、社員が誇りとやりがいをもって仕事に臨み、成果を分かち合い、さらなる成長を目指していくことを全力で支えます。
経営目標(Our Vision)
(a) 私たちは、お客様から信頼される企業を目指します。
私たちの『品質方針』である「安全性」・「品質向上」・「納期厳守」・「価格競争力」のレベルを高めるべく、お客様との対話を大切に、一切の妥協なく努力を続けます。
(b) 私たちは、お客様とともに成長を続けます。
社員の一人ひとりが、日々の活動を通じて人間として成長できるよう、一歩ずつでも前進していきます。
やがて、社員が自分の人生を託すにふさわしい、素晴らしく夢のある企業を自ら創りだせるよう、努力と工夫を怠らない組織となることを目指します。
当社グループは、売上収益、営業利益のほか、EBITDA(※)を経営上の重要な指標としております。
※EBITDA=営業利益(損失) + その他の費用 - その他の収益 + 減価償却費及び償却費
当社グループが属する建設業界において、我が国の建設投資の状況は、2010年度の41.9兆円を底に下げ止まり、2021年度は前年対比2.9%増の62.6兆円の見通しとなっております。(注1)
住宅においては、総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査」によると居住世帯のある住宅数5,361万戸のうち、1990年以前に建築された住宅が全体の約39%(2,113万戸)を占めており、今後は住宅の改築・リフォーム・耐震工事などの需要が高まるものと認識しております。
また、道路橋などの社会的インフラは、高度経済成長期等に集中的に整備されたため、今後急速に老朽化することが懸念される中、2014年に策定された国土交通省インフラ長寿計画により、インフラの戦略的な維持管理・更新等が推進されております。
さらに、2015年には厚生労働省「安全衛生規則」が改正され、足場からの転落事故を防止する「手すり先行工法」の推奨など、より一層、安全に配慮した製品が求められております。
また、建設現場において、技能を持った熟練した職人の不足問題(注2)や、労務単価の上昇(注3)、労働時間の適正化といった問題が顕在化しており、より一層、工期短縮に資する施工効率の高い製品や、軽量で作業負担の少ない製品、コスト削減に資する保管効率や運搬効率が高い製品が求められております。
他方、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大は、我が国においても極めて大きな経済及び社会活動への影響を与えました。建設業界においては、1回目の緊急事態宣言発令時(2020年4月)は、建築工事の中断・延期や新規投資案件の延期等の影響が多く見られました。その後、社会活動や経済活動の持ち直しに伴い、足元では一定の落ち着きが見られるものの、先行きはきわめて不透明であり、予断を許さない事業環境であります。
(注1)国土交通省(2021年10月発表)「令和3年度(2021年度)建設投資見通し」より
(注2)国土交通省(2022年5月発表)「建設労働需給調査結果」より
(注3)国土交通省プレスリリース(2021年2月発表)「令和3年3月から適用する公共工事設計労務単価について」より
当社が調査依頼した仮設資材市場調査報告書(2021年12月調査実施・非公表)によると、当社が提供する「システム足場」は、2020年度の出荷金額ベースで市場シェア1位となっております。
これは当社グループが、仮設資材のリーディングカンパニーとして「製造力」「マーケティング力」「営業力」の三位一体の総合力で競争力のある製品を開発し、製造・販売することでシェアの拡大に努めた結果であると考えております。例えば、2015年7月の安全衛生規則の改正に対応した「先行手すり」を迅速に開発・販売したところ、多くの顧客より価格と扱いやすさを高く評価いただいております。
また、市場シェア1位を支える当社の土倉工場(岐阜県海津市、敷地面積40,642㎡)では、その生産能力を活かし、顧客の求める仕様に柔軟に対応した多品種対応を行うとともに、原材料の調達コストや外注コストの低減を図ることにより、国内生産でありながら競争力の高い製造原価を目指しております。
当社グループは、これらの「より高く売れるもの」を「より安く作り」「より多く売る」取組みにより、高い営業利益率の実現を目指しております。
また、様々な顧客ニーズに対応した製品開発のノウハウを培う中で、自動車産業で使用される特殊パレットなど、顧客の課題解決に特化した特注型の製品開発を実現する技術力とノウハウが蓄積された結果、物流機器部門が仮設資材部門に次ぐ新たな柱として成長しております。
(c) 成長戦略
当社グループは、2021年12月14日に、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表いたしました。2026年3月期の売上収益目標として250億円、営業利益として35億円を目標とし、その実現のため、仮設資材部門、物流機器部門、さらに「躍進分野」において、以下の戦略のもと、事業活動に取り組んでまいります。
仮設資材部門は、中低層建築物向けの「シンワキャッチャー」、高層マンションや大型公共施設向けの「SPS」「NDS」など、低層から高層マーケットまで「システム足場製品」を供給できる唯一のメーカーであります。その独自性、高いシェアと認知度を活用し、特に次世代足場の市場において、工事現場を取り巻くさまざまな課題解決に資する当社製品の拡販に努め、シェアを一層高めてまいります。また、顧客の足場資材保有負担の増加、足場の調達手段の多様化などが見られる中、レンタル事業のさらなる充実を図り、顧客ニーズへの対応力を高めてまいります。
2003年、建設現場で使用される金属製カゴの製造からスタートした物流機器部門は、その後自動車、電機、化学、倉庫、農業など、幅広い産業のお客様とともに、「運搬・保管」の効率化を実現し、高い評価をいただいてまいりました。今後一層のビジネス展開を図るため、既存の機材センターや新規物流拠点を活用したレンタル事業への参入、ホームページより見積から注文までを可能にするECサイトの構築検討など、より利便性の高いサービスを展開してまいります。さらに、独自の製造技術を活かし、倉庫業向けをはじめ更なる顧客創出に注力するほか、市場探索や販売能力を高めるために有力な企業とのアライアンスの構築も検討してまいります。
当社グループのコア事業である「仮設資材部門」、そして成長を続ける「物流機器部門」。これらに続く収益基盤の確立は、当社の今後の成長における大きな要素であると考えております。当社グループではこれを「躍進分野」とし、超高層マーケット向け仮設資材製品の開発・販促、現在取り組んでいる中国合弁事業を皮切りに東南アジアなど海外への事業展開、既存事業とシナジーが見込める対象先をターゲットとした積極的なM&Aの検討及び実施など、当社の発展に資する成長のシーズを探索し、新たな成長の柱へと育ててまいります。
当社グループは、2021年12月に2022年3月期から2026年3月期までの5カ年を実行期間とする「中期経営計画」を策定・公表いたしました。次期は当該計画の2年目となり、各事業部門の施策を着実に実行するとともに、躍進分野に注力し、2026年3月期の目標達成に向け取り組んでまいります。
足元では、ロシアによるウクライナ侵攻等による資源価格の更なる高騰、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンへの影響、金融資本市場の変動等が懸念されます。特に当社製品の主要な原材料であります鋼材の価格は、当面の間は価格上昇が継続するものと見られることから、収益面に大きな影響を与えることが想定されます。次期も引き続き、価格改定など、収益性の確保の取り組みを継続する他、以下の課題に取り組んでまいります。
当社グループが持続的な成長を果たすためには、優秀な人材を確保し育成することが不可欠であると考えております。
当社グループでは、積極的な採用活動を一層推し進め、製品開発力の強化や営業力の強化、内部管理体制の強化等に資する優秀な人材を確保してまいります。
また、成長を促す仕組みづくりに取り組み、社内外の研修体制の整備、人材管理体制の構築、外部ノウハウの活用等を推進してまいります。
当社グループは、コンプライアンスの方針・体制・運営方法を定め、企業の社会的責任を深く自覚するとともに日常の業務遂行において関係諸法令を遵守し、社会倫理に適合した行動を実践することが、継続的な企業価値の向上につながると考えております。
全てのステークホルダーを尊重し、企業の健全性、透明性を高めるとともに、長期的かつ安定的な株主価値の向上に努めるため、迅速で合理的な意思決定体制及び業務執行の効率化を可能とする社内体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。
また、子会社においても管理体制を強化し、グループ全体でのガバナンスの強化を推進してまいります。
当社製品が顧客に選ばれ続けるための基盤は、製品品質の維持・向上にあるものと考えております。
製造人員、製造設備、製造方法等の変更時などの変化点における特に重点的な品質確認を実施するほか、過去に発生した品質問題を毎日のミーティング時に振り返り、対応策の継続確認や更なる対策の検討を行うことで、同じ問題を繰り返さない体制をさらに強化してまいります。
また、製品自体の品質確認のみならず、製造設備の造り込みやメンテナンスの定期化等の確認、検出された不具合の速やかな情報展開・情報共有を通じ、品質に問題のある個体を造らせない活動も行ってまいります。
当社グループの製造・調達部門においては、従来からの手法をそのまま踏襲し続けるのではなく、常に改善点を模索し、コストダウンを実践しております。
その範囲は、工程短縮だけにとどまらず、設備のランニングコスト、検査コストなど幅広い視点から、様々なコストダウン活動の積み重ねにより大きな効果を目指すものであります。材料調達においても、歩留まり向上を意図した適切なサイズの材料発注や複数社購買の推進などに注力することで、仕入れコスト低減に努めてまいります。
これらの活動は定期的にレビューし、取り組みの効果や方向性などを確認しつつ、コストダウンに対する不変的な姿勢としての定着を図ってまいります。
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