課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

当社は、以下の経営理念に従い、仲介・コンサルティングから土地購入・開発まで、土地活用における最適なソリューションを提供する総合不動産ディベロッパーとして培ってきた商品及びサービスと共に、不動産テック企業としてのIT導入による利便性や迅速性といった新たな価値を創造し、提供してまいります。
 ①ITを活用し、不動産にインテリジェンスを吹き込む
 ②お客様に選んでいただける商品ブランドの確立
 ③パートナーとWIN-WINの関係であり続け、高い信用力を保つ
 ④自らの意志によって、課題解決に果敢にチャレンジする人材の育成
 ⑤地域社会の一員として、サステナブルな社会実現に貢献する
 
 当社は、早期に業績の回復及び財務安全性を高めることに注力し、不動産ソリューション事業、不動産賃貸事業、不動産コンサルティング事業について、成長性・安全性・リスクを見極めながら最適なポートフォリオの構築を目指し、企業としての総合力を高めてまいります。そのために、今後当社といたしましては、既存の事業はもとより既存不動産事業とシナジー効果のある事業の成長を図るため、「収縮と転換」、「多極化」及び「事業ポートフォリオの最適化」の3つの基本戦略テーマを定め、以下の施策により強固な経営基盤を築き、事業の拡大に努めてまいります。

 

○収縮と転換

・当社主力商品「LEGALAND」をマーケットリーダーに成長させます。

・東京都心10区、ターミナル駅徒歩10分などの重点エリア物件を積極的に購入していき収益性を高めていきます。

〇多極化

・大阪と東京の2大都市を事業の中心としながら、その他の都市圏についても人口増減や、不動産需給などのマーケット動向を注視して、優良物件を購入することにより収益性を高めていきます。

〇事業ポートフォリオの最適化

・新型コロナウイルス感染症によるインバウンド需要の減少の影響を受け、売却が先送りになっているホテル物件の処分も含め、適正な保有不動産のポートフォリオを見極めながら事業を進めます。

・不動産DXによる収益化を実現させ、利益の下支え及び不動産事業の拡大を支援していきます。

 

 

このような経営方針の下、当社が対処すべき主な課題は、以下の項目と認識しております。

(1) 内部管理体制の強化

当社事業の継続的な発展のためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は重要な課題であり、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては、ステークホルダーに対して経営の適正性や健全性を確保しつつも、さらに効率化された組織体制の構築に向けて内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

(2) コンプライアンス体制の強化

当社は、法令、定款及び社内規程等の遵守は勿論のこと、日々の業務を適正かつ確実に遂行しており、クリーンで誠実な姿勢を企業行動の基本として、事故やトラブルを未然に防止する取組みを強化してまいります。
 今後、更なる事業拡大と企業価値の向上に向けて、引き続き日常業務におけるコンプライアンス意識の醸成を図るとともに、リスク・コンプライアンス委員会の定期的開催、内部通報制度の周知、各種取引の健全性の確保、情報の共有化及び再発防止策の策定などを行い、また、社内啓蒙活動を実施し、企業の社会的責任を重視した透明性のある管理体制の構築を図ってまいります。

 

(3) 仕入力及び販売力の増強

当社は、不動産を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しながら、優良な物件を仕入れるため、数多くの物件情報を収集できるネットワークを一層強化し、不動産査定及び収益力のある物件を発掘する目利き力を活かして、社会動向を見据えた多種多様なニーズに合致した物件の仕入れを引き続き積極的に行ってまいります。
  また、物件ごとにソフト・ハードの両面において適切なバリューアップを施すことで、資産価値を高める一方、最適な投資利回りを確保し、投資対象として魅力のある物件を提供できるよう努めております。

 

(4) 収益構造の転換

販売用不動産の販売に依存する収益モデルは、少なからず市況の影響を受けるビジネスモデルであり、販売の成否による1事業年度間の業績の波が大きいため、市況が好調な時は大きなリターンが期待出来るものの、当該収益構造のみに過度に依存することはリスクが高いと考えております。
 また、不動産調達から開発までにかかる用地・建築費の高騰の影響もあり、従来の不動産販売による事業スキームでは収益性の飛躍的な向上は図りにくく、今後の更なる事業拡大においては収益構造の転換が最重要課題と捉えております。
 当社は不動産DXを推し進め、オンラインサービスを通じて新たな顧客層とのタッチポイントを獲得し、多様なユーザーニーズに応える総合プラットフォームを構築することで安定的かつ収益性の高い事業モデルを確立してまいります。

 

(5) 財務体質の健全化

当社は、これまで事業・業容の拡大に際して、事業用地の取得及び運転資金を主として金融機関からの借入れによって賄ってきたことに加え、2022年7月期においては当期純損失46億88百万円を計上したことにより自己資本比率が0.3%と著しく低下しており、有利子負債比率も26,756.7%と高い水準となっております。このため、景気の変動による業績悪化や金利動向に大きな影響を受ける財務構造となっており、今後の企業間競争に耐えうるべく財務体質の改善が急務であると認識しております。
 2022年9月30日に第三者割当増資の実行により純資産及び自己資本比率は改善したものの、今後の経営の安定化のためにも、利益の蓄積及び多様な調達手法を活用した財務基盤の充実及び仕入れと売却のバランスを意識し、厳格な管理による在庫コントロールを更に徹底し、営業キャッシュ・フローの改善を図ってまいります。

(有利子負債比率=有利子負債額÷自己資本×100)

 

 

(6) 安定した資金調達の確保

当社が掲げる経営戦略を実現するためには、不動産開発における物件の仕入資金の調達力を上げていくことが必要不可欠であります。
 市況の変化に大きく左右されることなく安定した資金調達を行うために、物件単位の資金調達に加えて、フリーキャッシュである手元資金の増強が有効であると認識しております。
 そのためには、金融機関からの借入れのみならず、多様な資金調達手法を検討していくことが重要であると考えております。

 

(7) 人材の確保と育成

上記の課題を克服するためには、優秀な人材を継続的に確保し、育成することが最も重要な課題として認識しております。

そのために当社では、従業員のプロフェッショナル化として不動産運用に係る従業員に対し不動産に関する専門知識の習得を求めるだけでなく、すべての業務に携わる従業員に対し、自己研鑽を重ね、高い専門性を身に付けること、自律的に行動していくことを求めております。

これにより、従業員個々の能力向上を図り、当社の人材レベルの向上、ひいてはサービスの質向上、維持に繋げていきたいと考えております。

その実現には、人材に対する投資が必要不可欠であると考え、毎年策定する人員計画に教育研修を盛り込み、継続して人材のレベルアップに取り組んでおります。

併せて、経営理念やコンプライアンスに基づいた業務運営体制の徹底のため、リスク管理などに対する全社員の意識向上にも努めております。

 

(目標とする経営指標)

当社は経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、安定的かつ継続的な成長を重視し、財務活動等を含んだ企業の総合的な収益力を示す経常利益を指標とし、企業価値の継続的向上を目指してまいります。
  また、財務基盤強化の観点から、自己資本比率も重要な経営指標として位置づけており、早期に20%以上に向上させていく方針です。

各指標の達成状況につきましては、月次の取締役会及び経営会議等で定期的にモニタリングを行ってまいります。

 

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