有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社が属する不動産業界は、景気動向、金利動向及び地価動向等の経済情勢の影響を受けやすく、当社においてもこれらの経済情勢の変化により各事業の業績は影響を受けます。当社では、不動産査定及び不動産営業において豊富な経験と高い専門知識を持った人材を多く有しており、不動産にかかるリスクの軽減と同時に、収益の極大化を図ることができるよう市況の動きに注意を払っておりますが、不動産市況が当社の予測を超え、想定した以上の資産価値の下落を生じるような事態になった場合、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産の用地取得競争の激化による取得価格の上昇や建設資材価格の上昇に伴い原価が高騰する状況において、販売価格への転嫁が難しい場合には、売上総利益が圧迫され、当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は2022年7月期においては当期純損失46億88百万円を計上したことにより自己資本比率が0.3%と著しく低下し、有利子負債比率も26,756.7%と高い水準となっており、このような場合特に財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
2022年9月30日に第三者割当増資の実行により純資産及び自己資本比率は改善したものの、今後の経営の安定化のためにも、利益の蓄積及び多様な調達手法を活用した財務基盤の充実及び仕入れと売却のバランスを意識し、厳格な管理による在庫コントロールを更に徹底し、営業キャッシュ・フローの改善を図る必要があります。
(有利子負債比率=有利子負債額÷自己資本×100)
不動産ソリューション事業の売上は顧客への引渡時に計上しております。そのため、当社の業績を四半期ごとに比較した場合、引渡時期により当社の売上高及び経常利益、当期純利益が変動するため、四半期ごとの業績は必ずしも他の四半期の業績と比較して均一にはならず、各四半期の業績の偏重の度合は過年度の四半期業績と同様になるとは限りません。
また、各プロジェクトの進捗状況、販売計画の変更、販売動向の変化及び建設工事等の遅延による引渡時期の変更が、当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、一取引当たりの金額が高額なプロジェクトも行っており、当該プロジェクトの売却時期が変更された場合、当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、物件取得及び建築等の事業資金を金融機関からの借入金により調達しており、当社の総資産額に占める有利子負債の割合は、比較的高水準であります。今後におきましては、資金調達手段の多様化に積極的に取り組むことにより財務基盤の強化に注力する方針でありますが、市場金利が上昇する局面においては支払利息等の増加により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は資金調達に際しまして、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診し、融資実行を受けた後にプロジェクトを進行させております。しかしながら、事業着手時期の遅延、もしくは何らかの理由により計画どおりの資金調達が不調に終わった場合等には、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。加えて当社では、有利子負債の返済原資を主に取得した物件の売却代金としており、物件の売却時期が計画から遅延した場合、又は、売却金額が当社の想定を下回った場合には、当社の資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
当社では、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において取得済みの許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、将来何らかの理由により、当該許認可等が取消され又はそれらの更新が認められない場合には、当社の事業活動に支障をきたすとともに、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、今後の法律改正又は規制の動向によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社が取得している許認可等は次のとおりであります。
建設工事においては、当社はほぼすべての工事を外注しており、当社の選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合、外注先の経営不振や繁忙期等により工期の遅延、労働者の不足に伴い外注価格が上昇する場合等には当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、杭工事における施工不具合や施工データの改ざん等の発生により、建設現場における管理体制の強化等が図られた場合には、建設コストの増加や建設工期が長期化する可能性があります。これらの場合には、当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、保有している賃貸マンション、テナントの入居者、収益不動産並びに居住用不動産の売主・買主、及び不動産仲介やリフォーム請負顧客等の個人情報を保有しており、今後も当社の業務の拡大に伴いこれらの個人情報が増加することが予想されます。当社といたしましては、これら個人情報を正確かつ最新の内容に保つよう努めるとともに、内部の情報管理体制の強化により個人情報の保護に注力しております。しかしながら、不測の事態により個人情報の漏洩等があった場合、損害賠償請求や信用低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、不動産ソリューション事業に係る仕入に際して、立地条件、競合物件の動向、地中埋設物の有無、仕入価格等について十分な調査を行い、その結果を踏まえて仕入を行っております。
しかしながら、開発に必要な条件がそろわなかったり、土壌汚染や地中埋設物等の契約不適合が発見されたことにより事業計画の遂行に重大な問題が生じたり、不動産価格の急激な変動等の要因により販売価格の引き下げを行い、取得原価が販売予定価格を上回ったりした場合、販売用不動産の評価損が発生する恐れがあります。その結果、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社が所有する固定資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下や保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損会計を適用し業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
火災、破裂爆発、落雷、風ひょう雪災、水災、地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火及び津波並びに電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故並びに戦争、暴動、騒乱、テロ等の災害により、当社が保有する物件について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。また、偶然不測の事故・自然災害により不動産に対する投資マインドが冷え込んだ結果、不動産需要が減り、当社の事業が影響を受ける可能性があります。こうした場合には、当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在、当社が関係する重大な訴訟の事実はありません。しかしながら、当社が売却した物件における契約不適合の発生、当社が行う開発工事にかかる近隣トラブル、当社が請け負った工事に対する顧客からのクレーム、入退去時のテナント等とのトラブル等を起因とする、又はこれらから派生する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
売買対象不動産に瑕疵がある場合、売主が買主に対して契約不適合責任を負うこととなります。万が一当社の販売した物件に瑕疵があるとされた場合(工事における施工の不具合及び施工報告書の施工データの転用・加筆等を含みますが、これらに限りません。)には、その直接的な原因が当社以外の責によるものであっても当社は売主として契約不適合責任を負うことがあります。これらの場合には、当社が当該欠陥・瑕疵等の補修、建替えその他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、当社の業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
一般的に不動産業界は比較的参入障壁が低いということもあり、大小様々な既存競合他社が多数存在し、競争激化による影響を受けやすい業界構造となっております。当社では慎重に事業計画を精査しプロジェクトを進行しておりますが、競合他社の動向によっては事業計画の遂行に問題が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の将来の成長は優秀な人材をはじめとする人的資源に大きく依存するため、専門性の高い不動産の知識と豊富な経験を有する人材の確保と育成が不可欠な条件であります。したがいまして、これら優秀な人材こそが当社の経営資源の核となるものであり、今後も優秀な人材の中途採用並びに、優秀な学生の新卒採用、人事制度の充実等により人材の育成に積極的に取り組んでいく方針でありますが、当社が求める人材の確保・育成が充分にできない場合や当社の役職員が大量に社外に流出した場合には、当社の事業展開及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社の代表取締役である平野哲司は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定するとともに、新規事業の事業化に至るまでの重要な役割を担っております。
当社では、役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、平野哲司に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により、平野哲司の業務執行が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ストック・オプション制度は、企業価値と役職員個々の利益を一体化し、ベクトルの共有や目標の達成等組織における職務の動機付けを向上させることを目的として導入し、今後も資本政策の中で慎重に検討しつつ、継続的に実施してまいりたいと考えております。
当事業年度末における潜在株式数は84,000株であり、2022年7月31日現在の発行済株式総数の2.5%に相当しておりますが、権利行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、上記の潜在株式数84,000株は、2022年9月30日現在の発行済株式総数では1.7%に相当し、権利行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
当社の物件を取得・保有するにあたって不動産取得税、固定資産税等の各種の租税公課が発生します。現在、国策として住宅の取得を推進しているため、不動産取得税の税率軽減措置や固定資産税の負担調整措置等の税負担の軽減措置が講じられております。しかしながら、上記の税負担の軽減措置が行われなくなった場合、住宅の取得・保有にかかる負担が増加することから、お客様の住宅購入意欲の減退につながり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
収益物件の賃借人との賃貸借契約の期間満了時に契約が更改される保証はないこと、また賃借人が一定期間前の通知を行うことにより賃貸借期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合もあるため、賃貸借契約の解約が増加した場合、後継賃借人が見つかるまでの間、賃貸収入が減少する等、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、法令遵守、サービスの品質・安全性の確保、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社を取り巻く環境や競合他社及び競業他社を取り巻く環境において何らかの問題が発生した場合、取引先の評価に悪影響を与え、それにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は、経済活動に大きな影響を及ぼしており、その収束はいまだ不透明な状況にあります。
特にインバウンドの減少はホテル関連市場に大きな影響を及ぼし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大長期化した場合、当社の運営するホテル物件の収支にも影響を及ぼすものと考えております。当社はアフターコロナのマーケット動向にも注視しながらも、コロナ禍においても好調な需要である住宅系不動産開発にシフトし、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。
また、従業員の業務環境においては、従業員に対するマスク着用、手洗い・うがい・咳エチケットの徹底やアルコール消毒液の配備、出勤時の検温など、感染対策に努めながら事業活動を行っております。従業員や取引先の感染リスクは常に存在するとの認識のもと予防強化並びに、感染者発生時での安定した事業継続について調査・研究を進めてまいります。
当社が属する不動産業界は、景気動向や市場ニーズの変化によって、不動産の販売価格が変動しております。当社が適時かつ的確に市場ニーズを捉えた開発及び販売ができなかった場合や、他社との価格競争による販売価格の下落があった場合には、当社の財政健全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの仕入開発にかかる投資額の大半は金融機関からの融資による資金調達を行っているため、金融機関の融資姿勢が悪化した場合は新規の仕入開発が停滞することとなり、当社の財政健全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
(21)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、インバウンド需要向け大型開発物件の売却を行い、28億36百万円の損失が発生したこと等により、当事業年度において営業損失32億32百万円、当期純損失46億88百万円となりました。
旺盛なインバウンド需要を前提に2019年5月に大型開発物件に関する用地取得を行い、開発のための既存物件の解体等を進めておりましたが、その後新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生・拡大により市場環境に大きな変動があり、当該物件の対象市場となるインバウンド需要についても極めて大きな影響を受けることとなりました。
インバウンド需要の回復を見据えて当該物件の売却に注力してまいりましたが、変異株の拡大等により未だ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束が見えない状況を鑑み、当該物件を保有し続けることは今後の事業運営の大きな足かせとなっているため、当該物件について損失を生じさせてでも早期に売却処分を進めることこそが経営体質を身軽にし、他の物件の開発を加速させ、会社利益の最大化を図ることができる最良の手段であると判断いたしました。当初想定の強い引き合い価格ではないものの、購入の意向をいただいた相手先と協議を進め、2022年2月16日に信託受益権譲渡契約を締結し、2022年2月17日に当該物件を引渡しております。
その結果、大型開発物件の当初想定価格による譲渡でなかったことにより当社の財政状態が悪化したため、今後の事業運営のための十分な資金確保が懸念され、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
このような状況を解消すべく、当社は以下の対応策を講じることにより、財務基盤の安定及び業績回復に取り組んでおります。
① 自己資本の増強
毀損した自己資本を補填すべく、2022年9月30日払込期限による、第三者割当増資の方法により30億円の資金調達を行っており、財務基盤の増強を図っております。
② 主力商品である「LEGALAND」を中心とした物件開発の加速による業績回復
2022年2月4日公表の「販売用不動産の売却に関するお知らせ」のとおり、「LEGALAND」は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)禍においても堅調な販売実績を上げており、「LEGALAND」を中心とした物件開発を加速させております。
③ 物件仕入リスク基準の明確化によるリスクコントロール及びリスク分散
物件仕入のリスク基準を明確にし、適切なリスクコントロールを行ったうえで仕入を行うことを原則とし、これまでよりも一段厳しい基準でのリスクヘッジ対策を行っております。
仕入段階で物件の種類及び物件規模によってリスク評価を行い、安全性に注視したリスク分析により安全性の高いポートフォリオを構築しております。また、仕入の規模をコントロールしながら中小規模の物件仕入を複数行うことによるリスク分散を行っております。
④ 報酬制度や業務委託内容の見直しによる経費削減
販売費及び一般管理費において、報酬制度や業務委託内容の見直しに取り組み、経費削減を実施しております。
上記施策は既に順次対応し一定の効果を出しており、貸借対照表日の翌日から少なくとも1年間における事業運営に必要な資金を確保できていることから継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められないと判断しております。
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