業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 経営成績の状況

 当連結会計年度における国内の状況につきましては、新型コロナウイルスの感染者数が増減を繰り返し、経済及び社会がその影響を受けながら推移いたしました。当年度の上期においては大都市を中心に感染が拡大し、その後減少に転じました。一方、下期においては変異株オミクロン株が流行したことなどから各地方自治体はまん延防止等重点措置を講じるなど、感染状況及びその影響は発生時期や地域によって大きく異なる結果となりました。

 一昨年以降、政府主導で実施しているワクチン接種及び追加接種については、3回目の接種率が全年代で4割を超えるなど接種率が上昇しておりますが、変異株を含むコロナウイルスに対するワクチンの有効性及び予防効果などについては検証中であり、直ちに現状が好転する見通しは立っていない状況です。

 医療業界におきましては、受診件数や手術件数及び検査数は、感染者数に連動するように変化いたしました。各医療機関においては、感染防止対策を徹底しながら医療提供体制の確保に懸命に取り組んでおられますが、医療従事者の偏在や離職率の上昇など各医療機関における人員不足が常態化するなど、お客様を取り巻く環境は依然として厳しい状況です。

 このような状況下、当社はお客様の安全に配慮することを最優先に、医療現場の業務の効率化に貢献すべく提案活動を進めてまいりました。当期の営業活動については、感染拡大防止を第一に、各医療機関の訪問規制ルールや各地域における感染状況に応じて臨機応変に行ってまいりました。また、当期においても医療機関への訪問を行うすべての社員に対し、定期的に自主的なスクリーニング用PCR 検査を実施するなど、お客様と従業員に対する安全に配慮した上で活動を行っております。

 当期の販売状況につきましては、手術用キット製品の売上高は、「プレミアムキット」が堅調に推移したことから増加いたしました。この「プレミアムキット」は、当社の最重要戦略製品であり、手術における安全性を確保しながら、術前の準備段階から術中、術後までの業務を効率化できる付加価値の高い製品であり、厳しさを増す医療現場の業務改善に貢献できることから高いご評価をいただいております。なお、不織布製品は、昨年需要が急増したサージカルガウン及び感染防護製品であるプリコーションセット等のマイナスの影響を受け売上高は減少いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は36,778百万円(前期比0.8%増)となりました。

 キット製品の売上高は22,557百万円(同6.5%増)、内「プレミアムキット」の売上高は13,314百万円(同18.4%増)となりました。売上原価は、新工場の減価償却費が減少いたしましたが棚卸資産の評価減などにより前期に比べ原価率が増加いたしました。販売費及び一般管理費は、コロナ感染症拡大に伴う活動自粛の影響などにより前期に比べ減少いたしました。この結果、営業利益は6,135百万円(同8.9%増)となりました。経常利益は、前期と同様に営業外収益として新キット工場の牛久市助成金収入を計上した一方、期中に行いました自己株式取得の手数料の影響などにより6,285百万円(同5.0%増)となりました。また、前年に特別利益として計上した株式の一部売却による影響を受け、特別利益が1,028百万円減少し、これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は4,370百万円(同11.9%減)となりました。

 なお、セグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。

 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6,677百万円減少し98,967百万円となりました。

 流動資産は、現金及び預金6,185百万円の減少と、通貨スワップ213百万円の増加等により6,031百万円減少し35,290百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、新キット工場Ⅱ期工事の設備投資等による建設仮勘定2,078百万円の増加、建物及び構築物の減価償却等による755百万円の減少、機械装置及び運搬具の減価償却等による1,094百万円の減少等により、35百万円減少し52,759百万円となりました。無形固定資産は、減価償却等による415百万円の減少により1,536百万円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の取得及び時価評価等による118百万円の増加、保険積立金134百万円の減少等により、194百万円減少し9,381百万円となりました。この結果、固定資産は63,676百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ9,278百万円増加し18,970百万円となりました。流動負債は、自己株式の取得に伴う資金の借入による1年内返済予定の長期借入金1,934百万円の増加、支払手形及び買掛金278百万円の減少等により、1,758百万円増加し9,348百万円となりました。固定負債は、自己株式の取得に伴う資金の借入による長期借入金7,667百万円の増加、繰延税金負債218百万円の減少等により、7,519百万円増加し9,622百万円となりました。

 

 当連結会計年度末の純資産は、2021年3月8日及び2022年2月8日開催の取締役会決議に基づく取得等による、自己株式18,658百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益4,370百万円の計上による増加、剰余金の配当による1,995百万円の減少等により前連結会計年度末に比べて15,955百万円減少し79,996百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の90.76%から80.79%となりました。また、1株当たり当期純利益(EPS)は前連結会計年度の164.03円から153.00円へ減少、自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度の5.23%から4.97%へ減少いたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより13,820百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,091百万円減少いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を6,286百万円、減価償却費を4,115百万円計上し、仕入債務の減少337百万円、棚卸資産の減少212百万円、法人税等の支払2,089百万円がありました。これらの結果、キャッシュ・フローは8,501百万円となり、前連結会計年度に比べ1,647百万円収入が増加いたしました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,048百万円、投資有価証券の取得による支出946百万円、無形固定資産の取得による支出153百万円等がありました。これらの結果、3,812百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ3,138百万円支出が減少いたしました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2021年3月8日及び2022年2月8日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得等による支出18,773百万円、2022年2月8日開催の取締役会決議に基づく長期借入れによる収入10,000百万円、配当金の支払1,995百万円、信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)による自己株式の処分による収入117百万円等がありました。これらの結果、11,049百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ8,549百万円支出が増加いたしました。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 生産実績のセグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。

 なお、当連結会計年度の生産実績を使用部署、用途・目的別に示すと、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

滅菌用品類(百万円)

3,105

102.1%

手術用品類(百万円)

31,431

97.5%

治療用品類(百万円)

29

117.5%

その他(百万円)

365

105.9%

合計(百万円)

34,932

98.0%

 (注)生産金額は、販売金額で表示しております。

 

 

b.商品仕入実績

 商品仕入実績のセグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。

 なお、当連結会計年度の商品仕入実績を使用部署、用途・目的別に示すと、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

滅菌用品類(百万円)

144

89.0%

手術用品類(百万円)

1,084

89.6%

治療用品類(百万円)

79

59.7%

その他(百万円)

38

102.1%

合計(百万円)

1,348

87.2%

 (注)金額は、実際仕入価格で表示しております。

c.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

d.販売実績

 販売実績のセグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。

なお、当連結会計年度の販売実績を使用部署、用途・目的別に示すと、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

滅菌用品類(百万円)

3,362

102.9%

手術用品類(百万円)

32,502

100.5%

治療用品類(百万円)

178

82.7%

その他(百万円)

735

108.0%

合計(百万円)

36,778

100.8%

 (注)当連結会計年度において総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので「主な相手先別販売実績」については記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については「第2〔事業の状況〕3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2〔事業の状況〕2〔事業等のリスク〕」に記載のとおりであります。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については「第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容についての記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については「第2〔事業の状況〕3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、資金については原則として短期的な資金で運用し、将来の設備投資等で使用する見込みの資金については長期的な預金で運用しており、不足分については銀行等金融機関からの借入により調達しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)連結財務諸表[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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