文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「社業を通じて医療進歩の一翼を担い、人々の健やかな生命と幸福に尽くし、もって社会の繁栄に寄与する」を社是とし、患者・医療従事者等の安全と医療機関等の経営の合理化・省力化に貢献できる製商品群を製造・販売しております。
(2)経営戦略等
今後の見通しにつきましては、常態化しつつある新型コロナウイルス感染拡大による社会及び経済への影響は当面継続すると思料いたします。ワクチン接種拡大による集団免疫の効果や経口薬の開発及び普及に期待が高まる一方、新たな変異株の出現や感染拡大に対する懸念が払拭され早期に状況が好転する想定は困難であり、厳しい環
境のまま推移することを想定しております。
また、ロシアによるウクライナへの侵攻に端を発する不安定な世界情勢も相俟って、原油や天然ガスなどの資源価格上昇が材料費や光熱費の高騰につながっております。加えて、為替変動による海外調達材料の上昇や、コロナ発生以来続くコンテナ不足及び海上輸送コストの上昇が続いており、原材料価格が世界的に上昇局面を迎えていることから企業努力だけではコストを吸収することが困難な状況です。
当社におきましても、引き続きコスト削減や生産性の改善など原価低減のための企業努力を継続しつつ、顧客価値の最大化に資する安定的で継続的な製品供給を第一義とする価格改定などを行う予定です。
2022年度診療報酬改定においては、救急あるいは重症患者に対する高度で専門的な急性期医療の充足に向けた施策が組み込まれるなど、今後は地域医療構想実現に向けた機能分化及び連携が加速すると想定されます。当社はこうした手術が集中化される可能性の高い高度急性期病院・急性期病院の経営課題に対して、「プレミアムキット」の提供価値を訴求しながら積極的に提案活動を進めてまいります。
さらに医療従事者の人員不足と地域偏在が顕在化しつつある中、医師の働き方改革対策や看護師の時間外労働規制等、働き方や職場環境の整備に対する議論が進められるなど、各医療機関におかれましては医療従事者の確保のための対策が課題となっておりますが、このような顧客課題に対して、業務負荷を徹底的に削減できる「プレミアムキット」の提案活動などを通じて、医療機関の人手不足や生産性改善に貢献してまいります。
海外事業におきましては、シンガポールの販売子会社ホギメディカルアジアパシフィックPTE.LTD.及び販売孫会社P.T.ホギメディカルセールスインドネシアが、シンガポールを中心にASEAN(東南アジア諸国連合)各国の基幹病院への製品導入を積極的に展開してまいります。
製造原価につきましては、今後も需要拡大が見込まれる「プレミアムキット」の生産量増大と生産効率向上のため、新キット工場Ⅱ期工事を着実に進めてまいります。製造子会社であるP.T.ホギインドネシアにおいても、内製化の推進や生産性の改善に取り組み原価低減を目指すものの、上記市場環境により原価率の上昇が見込まれます。
「R-SUD」(単回使用医療機器再製造)事業につきましては、検査・試験・再製造プロセスの円滑化と、許可申請及び承認までのプロセスの迅速化を図ると同時に事業化を推進しており、当期末時点での許認可取得件数は5件、申請数は1件となっております。
(3)経営環境
医療業界におきましては、受診件数や手術件数及び検査数は、感染者数に連動するように変化いたしました。各医療機関においては、感染防止対策を徹底しながら医療提供体制の確保に懸命に取り組んでおられますが、医療従事者の偏在や離職率の上昇など各医療機関における人員不足が常態化するなど、お客様を取り巻く環境は依然として厳しい状況です。
このような状況下、当社はお客様の安全に配慮することを最優先に、医療現場の業務の効率化に貢献すべく提案活動を進めてまいりました。当期の営業活動については、感染拡大防止を第一に、各医療機関の訪問規制ルールや各地域における感染状況に応じて臨機応変に行ってまいりました。また、当期においても医療機関への訪問を行うすべての社員に対し、定期的に自主的なスクリーニング用PCR 検査を実施するなど、お客様と従業員に対する安全に配慮した上で活動を行っております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、「社会貢献」、「安全なもの作り」、「安定生産」、「お客様との共存共栄」、「社員満足度の向上」、「安定成長」及び「利益改善」を経営のキーワードとして掲げております。当社が販売する製品は、医療の現場で使用されるものが多いため、安全な製品の安定供給は当社の存在意義でもあり社会的責任でもあります。以上のことを踏まえ、下記の対処すべき課題についてそれぞれの施策に取り組んでおります。これらを継続して遂行することにより、企業価値の向上を図ってまいります。
①安全な製品の安定供給
・安定供給のための生産管理体制の強化
・お客様が使いやすく、かつ安全な製品の追求
・新キット工場の自動化による安全性の向上
②継続的な利益成長
・プレミアムキットの販売強化
・新製品の販売強化
・新キット工場の自動化による生産性の向上
・インドネシア工場での生産性の改善
・材料の内製化推進
・海外販売事業の拡大
③医療環境の変化への対応
・働き方改革と医療安全に貢献するソリューションの提供
・進歩する医療技術に対応する新製品の開発
・SUD(単回使用医療機器)のリプロセス(再製造)の事業化
・新型コロナウイルス感染拡大による環境の変化への対応
④内部統制システム・コンプライアンス体制の整備
・情報管理の徹底、社員教育の充実
・リスクマネジメント体制の更なる強化
・5S(整理/整頓/清掃/清潔/躾)の徹底と費用対効果の向上
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営指標といたしましては、1株当たり当期純利益(EPS)、自己資本当期純利益率(ROE)、営業利益を重視しております。
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