課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営方針

当社は、経営理念において「我が社は常に進歩を求め、人々のいきいきとした暮らしを支える「健康」「安心」「安全」を提供する。」と定めております。医療、介護、育児、労働をはじめとする様々なシーンにおいて、すべての世代の人が活き活きと暮らせるよう貢献することを当社の使命としたものです。

このような基本的な方針のもと、「株主重視」「顧客第一主義」「品質の向上」「高付加価値製品の提供」そして「企業の社会的責任(CSR)の推進」を重点施策事項として取り組んでおります。

 

(2) 経営戦略等

当社グループの中長期的な経営戦略として、特に次の8点に注力してまいります。

① 消費者志向

消費者の安全・安心を第一と考え、使用者の視点に立った製品開発と販売体制に重点を置いた施策を全社的に実施してまいります。

② 品質管理の徹底

当社は、当社製品の設計・開発、生産から販売に至るまで、安全性と安定した品質が確保できるよう、医療機器の国際品質規格であるEN ISO13485:2016をベースとした品質マネジメントシステムを構築しており、第三者機関より特定の製品群及びプロセスに対し、当該品質規格適合の認証、並びに、欧州で流通するため必要とされるCEマークを取得しております。

③ 医療機関の環境変化への迅速な対応

医療機関の経営改善のための施策や医薬品医療機器等法の改正等により日々変化する環境に対して販売部門、開発部門及び品質保証部門を中心とした全社的体制で迅速に対応してまいります。

④ 高付加価値製品の開発・育成

当社のマーケティング力を活かし、医療機器製造における専門知識、そして多様な滅菌技術等の製品開発力を駆使し、医療機関や学識経験者との共同開発についても積極的に取り組み、専門性や独自性のある製品を開発・製造し、高付加価値製品の販売比率向上に努めてまいります。

⑤ 流通の安定強化

全国の代理店及び特約店との結びつきを一層強固にすることにより、更なる流通の安定強化を図ってまいります。

⑥ 生産体制の効率化

当社大阪工場、浙江川本衛生材料有限公司、ニシキ株式会社及び株式会社サカキL&Eワイズの各工場の強みを活かしながら、グループ全体で生産体制の最適化に取り組んでまいります。

⑦ 企業の社会的責任(CSR)の推進

環境保護・地域社会への貢献・利害関係者(ステークホルダー)への公平な利益の還元及び法令の遵守(コンプライアンス)等、社会の一員として果たすべき責任を常に念頭に置き、社内制度の改革・整備及び啓発活動を継続的に実施してまいります。

⑧ 新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染管理製品の需要の増加への対応や従業員の働き方の見直しが必要となりました。現在は感染管理製品の供給は安定しているものの、当社としては不測の事態に備え、引き続き感染管理製品の原料・資材の安定した調達先の確保に取り組んでまいります。また、従業員の働き方の見直しにつきましては、2020年4月に発出された政府の緊急事態宣言後、感染防止対策として時差出勤やテレワークなどの取組みを継続して実施しております。

(3) 目標とする経営指標

株主の皆様からの受託資本を効率的に運用するために、自己資本利益率(ROE)を中期的な経営指標として重視し向上に努めてまいります。

 

(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループが属する医療衛生材料業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界規模で感染防止や公衆衛生への意識が高まり、国内では医療機関のみならず、商業施設や一般家庭においても感染防止に対する取組みが行われるようになりました。結果、全国的にマスクや手指消毒剤をはじめとした感染管理製品の需要が高まり、市場は大きく拡大いたしました。当期は前期と比べ、品薄だった感染管理製品も潤沢に市場に出回っており、感染管理製品の特需は減少しております。また、当業界は政府による医療費適正化に向けた取組みの流れの中にあり、衛生材料を含む医療消耗品は引き続き価格競争に晒されており、加えて、原材料費の高騰やサプライチェーンの問題など、厳しい事業環境が継続すると予想されます。

育児用品の業界におきましては、2021年の国内出生数は81万人となり、6年連続で低下するなど、マーケットの縮小に直面しており、こちらも厳しい事業環境が予想されます。
 次期、2023年3月期の見通しにつきまして、大きな感染管理製品の特需はないものの、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況から、拡大した感染管理製品の市場規模は継続すると想定しております。感染管理製品以外の医療衛生材料につきましては、医療費削減の流れより、引き続き価格競争に晒され、国内において厳しい事業環境が継続すると予想しております。
 加えて、ウクライナ情勢や円安に起因する資源や原材料価格の高騰によって製造原価が上昇しており、利益確保への一層の努力が必要と認識しております。
 このような状況の下、当社は、引き続き「自社製品の売上高の拡大」及び「利益率の改善」を最重要課題として、取組みを継続してまいります。「自社製品の売上高の拡大」につきましては、拡大した感染管理製品の市場に対して積極的な販売促進活動を継続し、加えて新製品開発にも取り組んでまいります。また、他社から医療機器を中心とした製造受託を拡大する活動に注力し、製造受託事業を収益の一つの柱にすべく取組みを継続いたします。

「利益率の改善」につきましては、手術関連製品などの高付加価値製品を拡販することに加え、工場稼働率を上げるための設備投資や全社をあげた経費削減に取り組んでまいります。また、医療や介護、育児用品などの周辺事業のM&Aも実施していきたいと考えております。
 品質保証体制につきましては、継続して効率的で高品質な生産体制を確立するための積極的な投資を図るとともに、品質保証体制の着実な運用を通じてお客様の信頼に応える品質確保に努めてまいります。
  次期(2023年3月期)の連結業績見通しは、売上高31,000,000千円(前期比3.0%増加)、営業利益850,000千円(同14.7%増加)、経常利益900,000千円(同5.0%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益630,000千円(同2.0%減少)を見込んでおります。

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