(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(自2021年3月1日至2022年2月28日)における日本経済は、2021年暦年の実質GDPが前年の4.8%減から1.6%増とわずかにプラス成長となったものの、2022年年初から急激に拡大した新型コロナウイルス変異株による感染者急増や2月に勃発したロシア連邦のウクライナ侵攻などの景気への影響が危惧されている状況にあります。
コロナ禍2年目の当連結会計年度においては、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の発出期間が、東京、大阪では200日以上に達し、「Withコロナ」の概念は企業、家庭、自治体等、日本全国において着実に浸透してきました。この気運を背景にデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れは加速しており、公共サービスのデジタル化や企業における業務や働き方のDX化、健康経営の高まりによるHealthTechの旺盛な需要、学校教育におけるデジタル化推進、家庭におけるEC(電子商取引)やデジタルコンテンツ利用の拡大等、あらゆる領域でデジタル化が着実に進行しています。一方で世界的な半導体等部材の需給逼迫や価格高騰が続いており、IT業界や自動車産業等への影響が長期化しています。
こういった状況のなか、当社グループのDXソリューション事業においては、デバイス事業が長期にわたるコロナ禍によるインバウンド製品の受注激減、半導体等の部材逼迫、高騰などにより、昨年度から今年度上期にかけて厳しい状況を強いられていましたが、インバウンド製品中心の事業構造の見直しや新規案件獲得に向けた積極的な受注活動を展開してきたことと、半導体等の部材逼迫、価格の高騰に対して、設計見直しや代替部品への変更、部品の先行調達など、リカバリー策をいち早く実施したことが功を奏し、第3四半期からは復調に向かい、第4四半期においては大幅に業績を回復しました。また、サービスソリューション事業においては、DX関連の新規案件の受注や既存クライアントからの受注も回復傾向にあり、DXソリューション事業は、上期はセグメント損失を計上したものの、第3四半期からの回復に伴い、年間での黒字化を達成しました。X-Techサービス事業においては、第2四半期に発売したNintendo Switchソフト『クレヨンしんちゃん「オラと博士の夏休み」』が予想を上回るヒットとなり、当連結会計年度の全社収益に大きく貢献しました。また、「Withコロナ」対策の浸透を追い風としてDX化の流れが急速に拡大するなかで、健康志向の高まりをサポートする健康増進サービスや教育出版社向けの教育コンテンツプロデュース事業等のコンテンツ系Techサービス、法人向けに提供しているコミュニケーション管理、キャッシュレス決済などのビジネス系Techサービスともに好調に推移しました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は9,550,536千円(前年比12.4%増)、営業利益は516,604千円(前年比115.8%増)、経常利益は433,141千円(前年比99.4%増)となりました。営業利益と経常利益の乖離については、第2四半期累計期間において、株式会社バリューデザインが当社の持分法適用関連会社であったため、持分法投資損失を計上したこと等によるものです。また、純利益については、第2四半期における株式会社バリューデザイン株式の一部売却に伴う特別利益の計上と年度末時点での同社株価を基準額とした株式評価減等により、353,498千円(前年比11.9%増)となりました。
セグメント別の事業動向については以下の通りです。
<DXソリューション事業>
当連結会計年度におけるDXソリューション事業の売上高は6,401,527千円(前年比4.6%減)、セグメント利益は297,862千円(前年比34.1%減)となりました。
デバイスソリューション事業については、発生から二年目を迎えたコロナ禍により激減したインバウンド製品やモビリティ製品中心の事業構造の見直しを図り、各種IoT機器や法人向けICTデバイスなどの新規案件獲得に向け積極的な受注活動を展開しました。世界的な半導体等の部材逼迫や価格高騰に対しては、いち早く深圳のサプライチェーンを活用した代替部品への変更や設計見直し、また、長期部品の先行調達など、リカバリー対策を実行してきました。これらの活動が下期には実を結び、昨年度来、損失を計上していた事業を大幅に復調させ黒字化を達成しました。サービスソリューション事業においては、DX関連の新規案件の受注が伸びるとともに、コロナ禍で停滞していた既存クライアントの大手企業からの受注も回復傾向にあり、堅調に推移しました。
<X-Techサービス事業>
当連結会計年度におけるX-Techサービス事業の売上高は3,149,009千円(前年比76.3%増)、セグメント利益は500,731千円(前年比1,101.9%増)となりました。
コンテンツ系Techサービスにおいては、政府主導の「GIGAスクール構想」の進展を視野に入れた教育系出版社との協業による教育コンテンツプロデュース事業やコロナ禍における健康経営の高まりを受け、自治体、法人向けウォーキングイベントサービス「RenoBody」が順調に拡大しました。ビジネス系Techサービスにおいては、「Withコロナ」を背景に急速に浸透しつつあるDX化の流れをうけて、法人向けの業務効率化を目的とした「OfficeBot」などのコミュニケーションサービスや「Value Wallet」などのプリペイド決済サービスの採用が好調に推移しました。また、第2四半期に発売し当連結会計年度の収益に大きく貢献したNintendo Switchソフト『クレヨンしんちゃん「オラと博士の夏休み」』については、来年度リリース予定の海外版の開発に注力しています。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,982,263千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、775,604千円(前期は386,009千円の支出)となりました。これは主にたな卸資産の増加200,451千円などの減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益623,446千円などの増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は981,180千円(前期は1,811,760千円の支出)となりました。これは主に関係会社株式の取得による支出694,937千円、投資有価証券の取得による支出400,000千円、無形固定資産の取得による支出224,754千円など減少要因があったものの、関係会社株式の売却による収入2,332,800千円などの増加要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、1,085,239千円(前期は193,184千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出475,858千円、自己株式の取得による支出115,290千円などの減少要因があったものの、長期借入金の借入による収入1,800,000千円などの増加要因によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
DXソリューション事業(千円) |
1,587,393 |
93.0 |
X-Techサービス事業(千円) |
1,449,737 |
174.2 |
合計(千円) |
3,037,131 |
119.6 |
(注)1.金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
DXソリューション事業 |
7,175,640 |
148.9 |
1,642,185 |
189.2 |
X-Techサービス事業 |
3,193,678 |
187.5 |
128,699 |
153.2 |
合計 |
10,369,319 |
159.0 |
1,770,884 |
186.0 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
DXソリューション事業(千円) |
6,401,527 |
95.4 |
X-Techサービス事業(千円) |
3,149,009 |
176.3 |
合計(千円) |
9,550,536 |
112.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお金額には消費税等は含まれておりません。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ソースネクスト株式会社 |
2,218,683 |
26.1 |
- |
- |
任天堂株式会社 |
- |
- |
1,205,643 |
12.6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、8,786,113千円となり、前連結会計年度末と比べて1,909,791千円増加いたしました。この増加の主な要因は、金融機関からの長期借入等の実行、及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。前連結会計年度末と比べ、現金及び預金が2,932,122千円増加しておりますが、これは前述の金融機関からの長期借入等の実行に加え、株式会社バリューデザインの株式の一部を2,332,800千円で譲渡したこと等によるものであります。なお、同社は前連結会計年度末時点においては当社の持分法適用関連会社であったため関係会社株式として表示しておりましたが、本件株式の一部譲渡により同社株式の保有比率が減少したことから当社の持分法適用関連会社から除外し、投資有価証券として表示しております。
当連結会計年度末の負債については、3,193,103千円となり、前連結会計年度末と比べ、1,549,555千円増加しておりますが、この増加の主たる要因は、前述のとおり、中長期運転資金として金融機関から長期借入等を実行したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産については、5,593,010千円となり、前連結会計年度末と比べて360,235千円増加いたしました。この増加の主たる要因は、当連結会計年度中において115,290千円の自己株式を取得したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が353,498千円増加したこと等によるものです。
③経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載をしましたとおり、当社グループを取り巻く様々なリスク要因が当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があるものと認識しております。
このため、当社グループは、様々なリスクに対し可能な限りの対策を講じることで、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与えるリスク要因を低減させ、リスク要因に対して適切に対応していく所存であります。
⑤キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、IoT、ICTデバイスの製造やソフトウェア開発に係る人件費のほか、原材料を含む部材調達費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資目的の資金需要は、主に設備投資、業務提携先への出資、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や業務提携先への出資、M&A等の資金は、自己資金を基本としつつ、必要に応じて金融機関からの長期借入や新株予約権等の発行を行うなど、資金調達の多様化を図っております。
なお、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は4,982,263千円であり、有利子負債の残高は1,696,542千円となっております。
⑦経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的な事業規模拡大と利益の増大、および効率的な株主資本の運用による継続的な企業価値向上を目指しております。このような観点から、当社グループの重視する経営指標は、営業利益、経常利益、純利益、及び自己資本利益率(ROE)と考えており、これらの目標を設定し、その達成に向けて取り組んでまいります。
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