業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

 当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①業績

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の再度の拡大が収束しつつあり、社会経済活動の正常化の動きがみられましたが、依然として企業活動や個人消費等への影響が懸念される状況であります。世界経済においても、不安定な世界情勢の影響等による資源価格の高騰や、各国の政策金利引き上げに伴う急激な為替変動など不透明な状況が継続しており、景気の先行きについては予断を許さない状況となっております。

 このような経営環境下、当社のソフトウェア開発技術を活用し未来社会の構築に貢献すべく「Speed up your Business」をスローガンに掲げ、コンピュータの性能を最大限に引き出し大量データの高速処理を実現するソフトウェア及びハードウェア等を提供するとともに、これらの知見がより広く社会に活用されることを目指し、新規SaaS事業の展開を行っております。

 主力のSolution事業では、自動運転を対象としたアルゴリズム開発や高速化案件、半導体メーカー向けソフトウェア開発案件が長期安定して継続しております。その他においても、高速化サービスに対する旺盛な需要を背景に、日本国内の製造業向け案件を中心として安定的な収益を獲得しております。

 SaaS事業においては、量子コンピュータ向けプログラムの開発・実行プラットフォーム「Fixstars Amplify」、AIコードレビュー「Sider」、乳がんAI画像診断支援事業等の開発を進めております。

 また、海外事業では、米国子会社のFixstars Solutions, Inc.が日本のお客様の米国業務の一翼を担う一方、研究機関等を対象とした高速化案件の拡大に取り組んでおります。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は6,310,732千円(前連結会計年度比14.7%増)、営業利益1,624,068千円(前連結会計年度比67.1%増)、経常利益1,690,053千円(前連結会計年度比76.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,082,575千円(前連結会計年度比99.3%増)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。2022年7月1日より、会社組織の変更に伴い、GENESIS事業の報告セグメントを「SaaS事業」から「Solution事業」に変更しております。セグメントの業績については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて算出しております。なお、以下の数値はセグメント間の取引消去後となっております。

(Solution事業)

 Semiconductorの分野では、モバイル機器やデータセンタ等で利用の進むNANDフラッシュメモリを対象として、ファームウェア及びデバイスドライバの開発等を行っております。Mobilityの分野では、自動運転を対象としたアルゴリズム開発及び高速化案件や、次世代モビリティに関連する研究開発及び高速化支援を行っております。LifeScienceの分野では医療画像診断装置における高精細画像のリアルタイム処理やゲノム解析、Financeの分野ではリスク計算やHFTの高速化支援、Industrialの分野では産業機器等におけるマシンビジョンシステムの高速化支援等を提供しております。

 この結果、売上高は6,161,139千円(前連結会計年度比13.5%増)、セグメント利益(営業利益)は1,818,576千円(前連結会計年度比35.6%増)となりました。

 

(SaaS事業)

各SaaS事業において、将来の収益獲得に向けて積極的な投資・開発を行っております。

 この結果、売上高は149,593千円(前連結会計年度比99.2%増)、セグメント損失(営業損失)は194,507千円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)369,797千円)となりました。

 

 

②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ375,415千円増加し、当連結会計年度末には、5,056,616千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果得た資金は1,488,034千円(前連結会計年度比72.1%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(1,680,752千円)、売上債権の増加(△282,738千円)、法人税等の支払額(△393,037千円)等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は76,204千円(前連結会計年度比84.4%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(△41,369千円)、投資有価証券の取得による支出(△32,720千円)等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は1,170,973千円(前連結会計年度比10.6%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出(△795,996千円)、自己株式の取得による支出(△291,625千円)、配当金の支払額(△162,170千円)等によるものであります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 生産に該当する事項がないため、記載する事項はありません。

 

②受注実績

 当社グループの事業は、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

 

③販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

Solution事業     (千円)

6,161,139

13.5

SaaS事業       (千円)

149,593

99.2

合計         (千円)

6,310,732

14.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.2022年7月1日より、GENESIS事業の報告セグメントをSaaS事業からSolution事業に変更しており、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて算出しております。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年10月1日

至 2021年9月30日)

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

キオクシア㈱

1,871,854

34.0

2,020,874

32.0

ルネサスエレクトロニクス㈱

185,000

3.4

880,000

13.9

㈱ネクスティエレクトロニクス

599,751

10.9

649,607

10.3

 

(3)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

②財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて765,829千円増加し、8,161,977千円となりました。営業債権の回収等により現金及び預金が375,415千円増加、業績の拡大等により売掛金が349,746千円増加したこと等が主な要因であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて175,485千円減少し、3,577,876千円となりました。これは、借入金の返済等に伴い長期借入金が795,996千円減少した一方で、業績の拡大等により未払法人税等が293,890千円増加、従業員に対する特別賞与支給のため賞与引当金が196,729千円増加したこと等が主な要因であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて941,314千円増加し、4,584,101千円となりました。これは、利益剰余金が928,765千円増加した一方で、自己株式が263,635千円増加したこと等が主な要因であります。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は6,310,732千円(前連結会計年度比14.7%増)となりました。当社の主力であるSolution事業において、高速化サービスに対する旺盛な引き合いが継続し、増収となりました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、3,026,130千円(前連結会計年度比32.5%増)となりました。これは主に増収によるものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,402,061千円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。主に新規事業に対する投資や事業規模の拡大に伴うものであります。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、1,624,068千円(前連結会計年度比67.1%増)となり、営業利益率は25.7%と、前連結会計年度に比べて8.1ポイント上昇致しました。

 増収に伴う利益率の改善に加え、前期において本社移転に伴い一時的な費用が発生したこと等により、当期は大幅に利益率が上昇しております。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は、1,690,053千円(前連結会計年度比76.0%増)となり、経常利益率は26.8%と、前連結会計年度に比べて9.3ポイント上昇致しました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、1,082,575千円(前連結会計年度比99.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益率は17.2%となり、前連結会計年度に比べて7.3ポイント上昇致しました。

 

④資本の財源及び資金の流動性

(キャッシュ・フロー)

 キャッシュ・フローの状況については、「(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(資金需要)

 当社グループの資金需要のうち主なものは、各事業におけるエンジニアを中心とした人件費、ハードウェア販売案件におけるハードウェアの仕入れ等の運転資金及び新規事業向け研究開発費や事業拡大に伴う設備投資資金等であります。

 

(資金の源泉)

 運転資金や研究開発費、事業拡大に伴う設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を財源としております。当連結会計年度末において5,056,616千円の現金及び現金同等物の残高があり、当面の資金需要に充当し得る十分な資金を保有しております。

 

⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「Speed up your Business」のスローガンの下、経営の効率化と継続的な事業の拡大を通じて企業価値を向上し続けていくことを経営の目標としております。

 具体的な経営指標としては、売上高の成長を第一にとらえ、自己資本利益率、営業利益、フリーキャッシュフローを高水準で維持していくことを目標としております。

 当連結会計年度を含む、直近3連結会計年度の推移は以下のとおりであります。

 

2020年9月期

2021年9月期

2022年9月期

売上高(千円)

5,764,630

5,501,506

6,310,732

自己資本利益率(%)

19.9

15.6

27.2

営業利益(千円)

1,184,296

971,665

1,624,068

フリーキャッシュフロー(千円)

736,682

377,025

1,411,829

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得