(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)におけるわが国経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進む一方で、世界的な金融引締め等に伴う海外景気の下振れが、わが国の景気の下押しに波及するリスクがある状況となっております。物価上昇や供給面での制約に加え金融資本市場の変動等による影響に注意していく必要があります。
当社グループの主力事業であるソリューション事業の属するスマートフォン関連市場においては、IoT(※)やAI(人工知能)技術の急速な進化により事業環境は目まぐるしく変化し、企業間競争は激化しております。そのようななか、経済産業省発表の2022年7月の特定サービス産業動態統計月報によれば、情報サービス産業の売上高合計は前年同月比8.4%増加と好調に推移しております。飲食関連事業の主要市場である外食産業市場において、特に居酒屋業態等の売り上げの回復には時間を要しており、厳しい事業環境が続いています。教育関連事業の属する人材育成及び研修サービス市場は順調に回復しており、当社グループの手掛ける求職者向けの訓練事業においても、オンライン授業の拡充による運営の効率化を継続し、業績は上昇基調にあります。
このような状況のなか、当社グループは、2022年1月1日にTHE WHY HOW DO COMPANY株式会社に商号変更し、「多くの出会いや情報ネットワークを通じて、先端的でユニークな顧客価値・社員価値・社会価値を発見し、真に豊かな生活文化を創造する」という新経営理念の下、ブランディングを重視したビジネスモデルの改革を目指しております。
新たな取組みとしては、近年成長が著しいNFT(非代替性トークン)のマーケットプレイスを提供するプラットフォームである「Why How NFT」のサービスを開始いたしました。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復に時間を要していることから、のれん及び店舗関連資産等について将来の回収可能性を検討した結果、減損処理を行い、減損損失230百万円を特別損失に計上致しました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は919百万円(前連結会計年度比1.9%増)、営業損失は161百万円(前連結会計年度は営業損失514百万円)、経常損失は162百万円(前連結会計年度は経常損失405百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は403百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失581百万円)、EBITDAは77百万円の赤字(前連結会計年度は394百万円の赤字)となりました。
また、販売費及び一般管理費においては、業務効率化や費用の見直し等に取り組み、530百万円(前連結会計年度比6.6%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(ソリューション事業)
ソリューション事業は、スマートフォン向けプラットフォームソリューションやIoT関連ソリューション、ビンゴ向けシステム開発等を展開する「プラットフォーム」分野、ソーシャルゲームやアプリ関連等を行う「コンテンツサービス」分野及びその他受託開発案件等を行っております。
プラットフォーム分野においては、安定的な収益軸のひとつである携帯電話販売店の店頭デモ端末管理システム「Multi-package Installer for Android」等は堅調に推移し、ストック型ビジネスとして継続しております。
中長期的な成長を目指した新たな取り組みとして、暗号資産取引業を行うBitgate株式会社及びNFTマーケティングを行う株式会社世界と業務提携を行い、NFTマーケットプレイスを提供する新たなプラットフォーム「Why How NFT」のサービスを開始するとともに、写真家 津熊清嗣氏と作家 百田尚樹氏とのコラボによるNFTの販売等を開始いたしました。
「インターホン向けIoT(※)システム」や「i・Ball TechnicalPitch」の開発など、システム開発を基盤としたIoT関連事業の拡大に向けた取り組みも継続して進めており、スポーツIoTプラットフォーム「アスリーテック・オンラインレッスン」においてはレッスンコンテンツの拡充を図りました。
コンテンツサービスの分野においては、複数のプラットフォームでソーシャルゲームやアプリを提供し、市場獲得に取り組んでおります。公益財団法人日本サッカー協会公式ライセンスのもと提供している「サッカー日本代表ヒーローズ」は2011年12月のサービス開始から10周年を迎え、引き続き多くのコアなファンに楽しんで頂いております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は602百万円(前連結会計年度比0.3%減)、セグメント利益は85百万円(前連結会計年度は169百万円の損失)となりました。
(飲食関連事業)
飲食関連事業は、商標権の管理、不動産のサブリース及び飲食業等を行っております。情報の発信地「渋谷」において多数の年間顧客動員数を誇る「渋谷肉横丁」商標権の管理を行い、そのブランド知名度と実店舗への集客力を活かした新たな連携による展開を目指しております。不動産のサブリースでは、首都圏に3店舗を展開しております。飲食業では、東京都渋谷区のちとせ会館の「渋谷肉横丁」において8区画を運営しております。また、ごまそば、北前そばの専門店チェーン「高田屋」のうち1店舗を運営しております。直営店については、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復に時間を要しており、前年同期比では改善しているものの、厳しい収益状況が続いております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は176百万円(前連結会計年度比4.9%増)、セグメント損失は26百万円(前連結会計年度はセグメント損失105百万円)となりました。
(教育関連事業)
教育関連事業は、新宿校において3教室を開講し、主に訓練期間を約半年とする求職者向けITスクール等の研修を行っております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう雇用情勢の悪化傾向を受けて、受講希望者が増加したこと及び制度面の改善によりオンライン授業もできるようになったことから効率的な運営が可能になった結果、業績が向上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は140百万円(前連結会計年度比29.4%増)、セグメント利益は36百万円(前連結会計年度比52.4%増)となりました。
(注)※ IoT
モノのインターネット(Internet of Things)。
従来は主にパソコンやサーバー、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットに、それ以外の各種家電製品、生活環境などの情報を取得する各種のセンサー等、さまざまな"モノ"を接続する技術。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,104百万円となり、前連結会計年度末より367百万円増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は139百万円(前年同期315百万円の支出)となりました。これは主に、減損損失230百万円、のれん償却額34百万円、商標権償却額12百万円、減価償却費11百万円及び貸倒引当金の増加額が40百万円、未払金及び未収消費税等の増減額が14百万円等の収入があった一方で、資金減少要因として税金等調整前当期純損失386百万円、売上債権の増加38百万円、仕入債務の減少13百万円等の支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は135百万円(前年同期46百万円の収入)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が29百万円、敷金及び保証金の回収による収入が13百万円等の収入があった一方で、短期貸付金の増加42百万円、貸付による支出が100百万円、無形固定資産取得による支出30百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は616百万円(前年同期409百万円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入698百万円及び新株予約権の発行並びに行使による収入が20百万円等があった一方で、短期借入金の純増減額60百万円の減少、長期借入金の返済による支出42百万円等があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
ソリューション事業 |
(千円) |
334,450 |
△37.6 |
飲食関連事業 |
(千円) |
120,244 |
△32.4 |
教育関連事業 |
(千円) |
85,816 |
27.8 |
その他 |
(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
540,510 |
△32.3 |
(注)1.金額は、製造原価によっております。
2.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績に記載しております。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注状況は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
ソリューション事業 |
258,303 |
△18.2 |
12,095 |
△64.4 |
教育関連事業 |
2,610 |
△2.2 |
450 |
△25.0 |
合計 |
260,913 |
△18.0 |
12,545 |
△63.7 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.当連結会計年度において、受注高及び受注残高に著しい変動がありました。その内容等については、(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績に記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
前年同期比(%) |
|
ソリューション事業 |
(千円) |
602,088 |
△0.2 |
飲食関連事業 |
(千円) |
176,585 |
4.8 |
教育関連事業 |
(千円) |
140,410 |
29.3 |
その他 |
(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
919,084 |
1.9 |
(注)1.連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績に記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
KDDI株式会社 |
196,150 |
21.8 |
147,865 |
16.1 |
東京労働局 |
95,076 |
10.5 |
125,070 |
13.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループにおいて当連結会計年度は新たな経営理念のもと事業活動を推進してまいりました。特にM&Aの戦略実行による足元のキャッシュ・フローを固める施策を優先したため、のれんの償却に係るコストが増えることを想定しておりました。そのような状況から重要な経営指標といたしましてEBITDAの黒字化を最優先課題として取り組んでまいりましたが、主として新型コロナウイルス感染症の影響により、77百万円のEBITDAの赤字となりました。
連結損益計算書における売上高及び利益につきましては、ソリューション事業においてはスポーツIoTや抗体パスポート関連ビジネス等が計画未達となったほか、新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食関連事業における直営店舗の時短営業等の影響により、業績予想に対して未達となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ17百万円増加し919百万円(前期比1.9%増)となりました。これは主に、ソリューション事業のスポーツIoT関連が振るわなかった一方で新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いたことにより、飲食関連事業の直営店舗やビンゴ事業の売り上の回復に向けた動きがあったためであります。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ297百万円減少し550百万円(前期比35.1%減)、売上総利益は前連結会計年度に比べ315百万円増加し368百万円(前期比588.4%増)となりました。
(営業利益及び営業損失)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ37百万円減少し530百万円(前期比6.6%減)となりました。その内訳として、販売手数料、給料手当及びのれん償却額が主たるものとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、161百万円(前期は営業損失514百万円)となりました。
(経常利益及び経常損失)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ78百万円減少し42百万円(前期比64.7%減)となりました。営業外費用は、前連結会計年度に比べ30百万円増加し43百万円(前期比231.9%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常損失は、162百万円(前期は経常損失405百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ0百万円増加し6百万円(前期比17.9%増)となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べ51百万円増加し230百万円(前期比28.9%増)となりました。
また、法人税等として16百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、403百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失581百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,413百万円となり、前連結会計年度末に比べ456百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が367百万円、前渡金が68百万円及び売掛金が34百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は256百万円となり、前連結会計年度末に比べ192百万円減少いたしました。これは主に長期貸付金が78百万円増加し、のれんが193百万円、建物及び構築物が65百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、1,670百万円となり、前連結会計年度末に比べ264百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における負債は567百万円となり、前連結会計年度末に比べ90百万円減少いたしました。これは主に借入金が102百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,102百万円となり、前連結会計年度末に比べ354百万円増加いたしました。これは主に資本金及び資本剰余金がそれぞれ349百万円増加し、利益剰余金が403百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は62.7%(前連結会計年度末は51.6%)となりました。
b. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウェア開発の製造原価に当たる人件費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規ソフトウェア開発投資、情報機器の設備投資、新規事業の立ち上げやM&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することが重要と考え、主にEBITDAを重視しつつ、営業キャッシュ・フローの安定した黒字化に努めてまいりました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響の終息時期の予測が難しい中、新株式及び新株予約権の発行により718百万円を調達し、手元流動性の確保に努めております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は416百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び預金の残高は1,104百万円となっております。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいて、当連結会計年度は新たな経営理念のもと、初年度から継続して経営基盤の抜本的な強化に努めてまいりました。これに取り組むにあたり、企業の継続にとって最も重要である「本業の儲け」を表す指標とされるEBITDAを重要な経営指標とし、EBITDAの黒字化及び継続的な成長を目標としておりますが、主として新型コロナウイルス感染症の影響により、77百万円のEBITDAの赤字となりました。
引き続き、既存事業の強化や新規事業の取得を進めることにより、持続的な成長を図り、経営指標の改善に努めてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)(4)」に記載のとおりであります。
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