業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態

 当事業年度における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりです。

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ、82,218千円増加し、3,580,630千円となりました。

 流動資産は、前事業年度末に比べ257,191千円増加し2,801,857千円となりました。これは主として、現金及び預金の増加157,701千円、売掛金の増加250,274千円、仕掛品の減少159,460千円などによるものであります。
 固定資産は、前事業年度末に比べ174,973千円減少し778,772千円となりました。これは主として、建物の増加18,766千円、ソフトウエア(ソフトウエア仮勘定を含む)の減少104,730千円、投資有価証券の減少37,260千円、繰延税金資産の減少54,641千円などによるものであります。

 負債は、前事業年度末に比べ200,879千円減少し866,094千円となりました。これは主として、前受金の増加75,349千円、未払法人税等の減少55,328千円、受注損失引当金の減少231,609千円などによるものであります。

 純資産は、前事業年度末に比べ283,097千円増加し2,714,535千円となりました。これは主に当期純利益の計上391,006千円、配当金の支払88,064千円などによるものであります。

 

②経営成績

 当事業年度の業績は、売上高4,817,559千円(前期比13.1%増)、売上総利益1,684,802千円(前期比19.5%増)、営業利益587,212千円(前期比40.9%増)、経常利益588,964千円(前期比39.0%増)、当期純利益391,006千円(前期比33.4%増)となりました。

 各セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 Object Browser事業の売上高は677,541千円(前期比3.1%増)、営業利益は151,548千円(前期比32.1%減)となりました。

 E-Commerce事業の売上高は1,209,229千円(前期比45.5%増)、営業利益は412,192千円(前期比94.4%増)となりました。

 ERP・AI事業の売上高は2,886,200千円(前期比5.6%増)、営業利益は124,221千円(前期比291.1%増)となりました。

 その他は、報告セグメントに該当しない新規事業を含んでおり、売上高44,587千円(前期比21.1%増)、営業損失100,749千円(前期は50,384千円の損失)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,631,290千円となりました。主な要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは406,453千円のプラス(前事業年度は683,559千円のプラス)となりました。これは主に税引前当期純利益の計上553,161千円、減価償却費の計上203,184千円、たな卸資産の減少159,465千円などの資金増加要因が、受注損失引当金の減少231,609千円、売上債権の増加250,274千円、法人税等の支払額150,224千円などの資金減少要因を上回ったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは160,306千円のマイナス(前事業年度は363,693千円のマイナス)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出27,225千円、無形固定資産の取得による支出118,679千円、敷金及び保証金の差し入れによる支出23,477千円などによるものであります。無形固定資産の取得による主な支出は、自社パッケージ開発に伴うソフトウエアの増加によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは88,445千円のマイナス(前事業年度は142,788千円のマイナス)となりました。これは配当金の支払額88,445千円によるものです。

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

Object Browser事業

179,036

76.6

E-Commerce事業

669,680

150.5

ERP・AI事業

1,816,247

102.3

報告セグメント計

2,664,964

108.1

その他

67,273

172.0

合計

2,732,238

109.1

(注)1 金額は、当期総制作費用であります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

Object Browser 事業

684,695

104.5

17,861

166.8

E-Commerce事業

1,423,715

166.9

284,351

407.0

ERP・AI事業

2,668,769

104.7

810,829

78.9

報告セグメント計

4,777,180

117.8

1,113,043

100.4

その他

41,437

103.7

合計

4,818,618

117.6

1,113,043

100.1

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

Object Browser 事業

677,541

103.1

E-Commerce事業

1,209,229

145.5

ERP・AI事業

2,886,200

105.6

報告セグメント計

4,772,972

113.1

その他

44,587

121.1

合計

4,817,559

113.1

(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年5月25日)現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、また、新型コロナウイルス感染症による国内経済への影響や企業の設備投資動向など当社事業活動に影響を及ぼす可能性も加味したうえで合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容

a.経営成績等

 

1)財政状態

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ、82,218千円増加し、3,580,630千円となっています。これは主に現金及び預金の増加157,701千円、売掛金の増加250,274千円、仕掛品の減少159,460千円、ソフトウエア(ソフトウエア仮勘定を含む)の減少104,730千円などによるものです。自己資本比率は前事業年度末の69.5%から当事業年度末は75.8%と6.3ポイント上昇し、財務健全性は高い水準を維持しております。また、総資産経常利益率は前事業年度は12.5%でしたが、当事業年度は16.6%と4.1ポイントの増加となりました。

 

2)経営成績

 中期経営計画「SDGs Mind 2021」の初年度である当期は、①「既存事業の拡大とブランド力向上」、②「海外展開」、③「新事業の収益化」、④「社員のスキル向上」、⑤「アジアTOPの合理化企業」という5つの目標を掲げ、各目標ともに着実に進行しています。しかしながら、業績目標については、顧客事情による大型案件の計画変更や、世界情勢の変化による景気見通しの変化など、業績の見通しに影響を与える事象が発生していることから、当初の計画を若干見直し、より堅実な目標に修正をいたしました。

 

(売上高)

 昨年度は新型コロナウイルス感染拡大による企業経済活動の縮小の影響やERP事業における不採算案件などにより、減収減益の決算となりましたが、当事業年度は、E-Commerce事業、ERP・AI事業が売上高、利益ともに前期比で増収増益となりました。以上の結果、当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ13.1%増加の4,817,559千円となりました。

 

 

(売上総利益)

 売上総利益は、前事業年度に比べ275,026千円増加の1,684,802千円となりました。売上総利益率は、前事業年度に比べ1.9ポイント上昇し、35.0%となっています。

 

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ104,445千円増加の1,097,590千円となりました。

 

(営業利益・経常利益)

 営業利益は、E-Commerce事業、ERP・AI事業が前期比で増益となり、全社営業利益は、前事業年度に比べ170,581千円増加の587,212千円となりました。

 経常利益は、営業外収益が5,196千円減少し、営業外費用が204千円増加しましたが、営業利益の増加により前事業年度に比べ165,180千円増加の588,964千円となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ97,946千円増加の391,006千円となりました。

 これは、営業利益の増加によるもので、課税所得、税効果計算、税額計算において特別な事象はありません。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 なお、当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要・③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「a.経営成績等 2)経営成績」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 

資金需要

 資金については、現金及び預金が当事業年度末は1,631,290千円と前事業年度末に比べ157,701千円増加しております。これらの資金は、今後の事業拡大のため、既存製品の機能拡充のための製品開発投資、人工知能ビジネス拡大のための研究開発投資、社員教育及び人材採用等の人材開発投資、及びベトナム拠点設置等の海外投資資金として活用してまいります。

 

財務政策

 当社は、財務の基本方針として設備投資等の資金需要については、まずは自己資金を充当することとしており、一時的に多額の資金が必要となる場合には、必要に応じ金融機関からの借入れを行うこととしております。当事業年度末における手元資金は1,631,290千円と資産合計の45.6%を占めており、現時点では借入れを要する多額の投資等の予定はありません。

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社の経営方針は、「風通しの良い相互尊重の精神あふれる職場環境をみんなで作る。その働きやすい雰囲気の中で創造力・技術力を常に高め、品質の高いソリューションをお客様に提供し続ける。」というものです。

 ソフトウエア企業にとって人材こそが最も価値ある資産であり、ソフトウエア開発には、創造力や技術力が必要です。良い発想やアイデアは良い労働環境なくしては生まれてきません。そして、その環境は会社が一方的に与えるものではなく、社員全員で創り出していくものだと考えています。

 当社では、風通しの良さ、相互尊重の精神を実現するため、部下が管理職を評価する行動指針アンケート、働きやすい職場環境を実現するための社員満足度アンケートを毎年実施しています。これらの取組みにより比較的離職率が高いといわれるIT業界において、当社の離職率は長年5%未満を維持してきました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、リモートワーク率を高めたことでコミュニケーションの低下が発生し、2021年度での離職率は8.4%となっています。新型コロナウイルス感染症の収束状況を見ながら、出社とリモートワークとのバランスを取り、コミュニケーションを高める取組みを行ってまいります。

 また当社は働き方改革にも積極的に取り組んでいます。社員が心身ともに健康であることが良い仕事をするために重要であり、ワークライフバランスを保つことが必要です。そのためには生産性の向上が不可欠です。当社は中期経営計画「SDGs Mind 2021」の重点施策としてアジアトップの合理化企業を目指し、絶え間なく様々な業務改善、効率化に取り組んでいます。

 当社の経営戦略は、「Catch and Grow」です。時代のニーズをいち早くキャッチして新製品を企画・開発し、これをデファクトスタンダード製品に育てていきます。特定製品や特定分野に依存しないことで事業リスクを分散し、着実な成長を図っていくことができます。また、当社は「社員全員が一流の技術者」であることを社是に掲げ、技術力で勝負をする会社でありたいと考えています。特定製品や特定分野に依存しない「Catch and Grow」戦略は、世の先端をいく新しい技術を事業に取り入れていく戦略でもあります。当社は時代ニーズに合わせ常に進化を続ける会社であり、社員もまた同様に日々研鑽を重ねて成長していくことができます。この「Catch and Grow」戦略で現在までに、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」、プロジェクト管理パッケージ「SI Object Browser PM(OBPM Neo)」の4製品を収益の柱に育て、次の製品として、プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」、AI(人工知能)を使った異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection」を新たな柱へと成長させるべく取り組んでいます。新中期経営計画「SDGs Mind 2021」では、新製品の研究開発や既存製品の機能拡張などを行いながら2023年度には経常利益803,000千円、経常利益率14.1%を目標としています。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

<Object Browser事業>

Object Browser事業は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」、データベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」、統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(OBPM Neo)」及びアプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」の4製品から構成されています。

「SI Object Browser」と「SI Object Browser ER」は、ソフトウエア開発の生産性を向上させるツールとして業界で多く利用されており、安定した収益源となっています。2022年1月にはOracle Databaseの新バージョンに対応した「SI Object Browser for Oracle 21.2」と「SI Object Browser ER 22」をリリースし、更なる利便性向上を追求し進化を続けています。

統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(OBPM Neo)」は、プロジェクト管理を合理化するツールとしてIT業界を中心に着実にユーザーを増やし、導入実績は220社超となりました。2021年3月から販売開始したクラウドサービス「OBPM Neo」は、IT業界だけでなく製造業やエンジニアリング業にも利用が広がっています。クラウドサービスはサブスクリプションモデルなので、従来の売り切り型販売に比べ売上高成長率が短期的に鈍化します。当事業年度はこの影響を受けていますが、新規契約数は順調に伸びており、中長期的には大きな売上高成長を実現できる見込みです。

アプリケーション設計ツール「SI Object Browser Designer」は、ソフトウエア開発におけるCADという新しい発想の製品で、既に特許も取得しています。2019年からクラウドサービスとして販売を開始し、設計作業の生産性を大幅に向上させるツールとして着実にユーザーを拡大しています。2021年8月に追加の製品開発投資と本製品の販売計画の見直しを決定しました。これにより既存のソフトウエア資産について35,803千円の減損損失を計上しております。

以上の結果、Object Brower事業の売上高は677,541千円(前期比3.1%増)、営業利益は151,548千円(前期比32.1%減)となりました。

 

<E-Commerce事業>

E-Commerce事業は、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力製品として構成されています。当社は20年以上もECサイト構築事業を行ってきたノウハウを生かして、大規模ECサイトの構築を強みとしており、高い成功率を武器に収益性の高いビジネスを展開しています。コロナの巣ごもり需要によりEC市場は非常に活況で、当社のE-Commerce事業も計画を上回るペースで成長しています。

2021年8月から、EC事業者向け「SDGs支援プログラム」を開始しました。SDGs達成に取り組むEC事業者に対し、「SI Web Shopping」のライセンス料を最大87.5%割引で提供するプログラムとなっています。今後もSDGsの目標を支援する機能を順次実装していく計画としており、E-Commerce事業を通じて社会課題の解消を支援していきます。2021年9月に「SI Web Shopping V12.11」をリリースし、ECサイトでは必須となるセキュリティを大幅に強化、EC事業者の運用効率・開発効率を改善する機能を追加しました。2022年3月1日には、「適格請求書等保存方式(インボイス制度 注1)」に対応した最新バージョン「SI Web Shopping V12.12」をリリースし、ECビジネスのコアシステムとしてEC事業者の売上向上へ貢献する製品となっています。

以上の結果、E-Commerce事業の売上高は1,209,229千円(前期比45.5%増)、営業利益は412,192千円(前期比94.4%増)となり、大幅な増収増益となりました。

 

注1:インボイス制度・・2023年10月から開始する適格請求書等保存方式のことで、所定の記載要件を満たした請求書を発行、保存することにより、消費税の仕入税額控除を受けることができるものです。なお、売り手側は「適格請求書発行事業者」になることで、本制度を適用することが可能となります。

 

<ERP・AI事業>

ERP・AI事業は、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」を主力製品とするERP事業とAI製品であるディープラーニング異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」を主力製品とするAI事業から構成されています。

「GRANDIT」はコンソーシアム方式なので、同一製品を複数のコンソーシアム企業が販売しています。当社はGRANDITコンソーシアム内において、1年間に最もGRANDITを販売した企業に与えられる「GRANDIT AWARD Prime Partner of the Year」を過去6回受賞しており、名実ともにGRANDIT事業をリードしています。当社は「GRANDIT」の企画・開発から携わった開発力と業務知識を強みに、以下のアドオンモジュールを自社で開発し、当社のお客様だけでなく他のコンソーシアム企業にも販売しています。

 ・生産管理アドオンモジュール

 ・工事管理アドオンモジュール

 ・原価管理アドオンモジュール

これらの製品の効果で製造業、工事・エンジニアリング業などの業種向けに販売数が増えています。当社の強みは、自社の基幹業務に「GRANDIT」を利用し、自らがIT企業における理想的な合理化モデルを実現している点です。自社内で運用することで、利用している企業ならではの効果的な提案ができています。最近はクラウド上に基幹業務システムを構築するケースがほとんどです。当社でも「GRANDIT」や「OBPM Neo」をアマゾンウェブサービス(AWS)クラウドに移行し、その構築・運用ノウハウをベースに、ワンストップサポート企業としてお客様のクラウド運用をサポートしています。また、2019年から「GRANDIT」サブスクリプションモデルも提供しており、2021年11月1日には、業種特化型クラウドERPサービス「GRANDIT SaaS」IT企業モデルの提供を開始しました。今後は製造業、工事・エンジニアリング業など対象業種モデルを順次リリースし、中小企業も含めてターゲット範囲を拡大していきます。ERP事業は、前期に大型案件での受注損失引当金計上があったことから営業利益が減少しましたが、当事業年度において納品完了したことから、大幅な利益増加となりました。

AI事業は、新事業として2018年からディープラーニング異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」の販売を開始しています。目視検査を自動化したいという各社のニーズに応じて導入に向けたPoC(概念実証)を複数こなしながら、数件の本格導入案件も進めています。提案、導入にあたっては、カメラ、照明、工場設備のベンダーと協業した総合力が要求される事業となってきています。当事業年度で実際の製造ラインで稼働予定であった案件の検収時期が延伸したことから、当事業年度での売上計上には至りませんでしたが、来年度以降の事業展開においては確実な手ごたえを得ることができております。

以上の結果、ERP・AI事業の売上高は2,886,200千円(前期比5.6%増)、営業利益は124,221千円(前期比291.1%増)となりました。

 

<その他事業>

その他の事業には、プログラミングスキル判定サービスの「TOPSIC」、新製品開発に向けた研究開発費投資が含まれています。

プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、2018年から新規事業としてスタートしています。「TOPSIC」はオンライン・リアルタイムで受験者のプログラミングスキルを判定できるクラウドサービスです。中途採用における受験者のスクリーニングや社員のプログラミング教育などのニーズをとらえて、契約社数は順調に増加しています。2021年からは、TOPSICの新たなシリーズ製品としてデータベース言語であるSQLのスキルを判定する「TOPSIC-SQL」をリリースし、アルゴリズム能力を問う「TOPSIC-PG」とSQLスキルを問う「TOPSIC-SQL」の2つのサービスとなっています。また、イベント事業として2018年から注力しているプログラミングコンテスト「PG Battle」は、年々知名度が高まり、2018年の第1回目は260チーム780名の参加でしたが、第4回目となる2021年では423チーム1,269名が参加するイベントとなりました。なお、第2回目からスポンサー制度を採用し、第4回目となる2021年は過去最多の37社から協賛をいただきました。本イベントを通じてIT業界全体の活性化に貢献していきます。

研究開発投資としては、当事業年度で2つの新製品の研究開発を実施し、2021年10月18日にエンドユーザーの声を集めて蓄積・管理できるカスタマーサクセス支援サービス「VOICE TICKETS」をリリース、2021年11月18日にアイデアの創出と育成を促すアイデア創出プラットフォーム「IDEA GARDEN」をリリースしました。2製品とも当社初の社員による企画開発製品となり、スタートアップビジネスとして既存ビジネスとのシナジープロモーションを推進していきます。

以上の結果、その他事業の売上高は44,587千円(前期比21.1%増)、営業損失は100,749千円(前期は50,384千円の営業損失)となりました。

 

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