文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社のスローガンは、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」ことです。当社は、オリジナルのパッケージソフトウェアやサービスを自社で開発し販売していますが、常に世の中の変化やニーズを捉え、最新の技術を活用し社員発想の新しい製品やサービスも事業化しています。自社で製品を開発することにより、市場ニーズの変化にすばやく対応できるとともに、高度な独自技術を蓄積することで収益性の高い事業とすることができます。
これまでは、パッケージソフトウェアの販売、保守及びそれらのカスタマイズ(顧客のニーズに合わせて仕様変更)を基幹事業としてまいりましたが、この数年はクラウドサービス事業の拡大を図っております。さらにこれら事業でのカスタマーサクセスを目的としたコンサルティング事業も強化しています。
また、当社は以下の経営方針に基づき働きやすい環境作りを目指しています。
「風通しの良い相互尊重の精神あふれる職場環境をみんなで作る。
その働きやすい雰囲気の中で創造力・技術力を常に高め、
品質の高いソリューションをお客様に提供し続ける。」
当業界では「人」が唯一の資産です。昨今、ITエンジニアの採用は競争が激しく非常に困難な状況が続いていますが、入社後の人材育成と早期戦力化が最も重要な成功要因です。当社では、人材教育を積極的に行うとともに、社員が働きやすい環境作りに力を入れています。“風通しの良い、相互尊重の精神”という方針を掲げているのもそのためです。ヒトやコトに高い関心を持ち、いいものを評価し、尊重し、自身の創造力や技術力をさらに磨くことで、いい発想やアイデアを生むことができるのだと考えています。それには、自律・自立した社員がみんなで働きやすい職場環境を創り出していくのが理想と考えます。そのような仕組み作りが会社の責務だと認識し、これを経営方針としているのです。
(2)目標とする経営指標
当社は、成長性と収益性を重視しており、売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付けています。成長の指標として売上高を、内容の充実として利益率を指標とし、これらをバランスよく伸ばしていくことを経営課題としています。
成長率と利益率をみる経営指標として、主に次のような指標を注視しています。
・事業分野別の売上高と売上総利益の推移
・業態(フロー型、ストック型)別の売上高、売上総利益および契約解約率の推移
・部門(事業、製造、販売)別従業員一人あたりの売上高及び売上総利益
また、会社の健全性を表すものとして、次のような指標も重視しています。
・プロジェクト利益の計画・実績対比の推移
・プロジェクト失敗件数(含む赤字)の部門別、月別推移
・従業員別、部門別の稼働率の推移
・販売費率及び管理費率の推移
・離職率、社員満足度、顧客満足度の推移
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社のパッケージソフトウェアビジネスの戦略は「Catch and Grow」です。単一のパッケージソフトに依存するのではなく、市場のニーズをいち早く捉え(Catch)、新製品を次々と企画・開発していきます。最近では、AI(人工知能)やプログラミング教育を新たな市場ニーズと捉え、異常検知AIサービス「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」とプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC(トップシック)」を新規ビジネスとして進めています。現在はE-commerce、ERP、プロジェクト管理、データベース開発ツールの4製品を主要事業としています。これらをバージョンアップ及びラインナップ拡張することにより事業を拡大して安定した収益基盤を構築します(Grow)。このCatch and Grow戦略の利点は、事業のリスク分散を図ると同時に、複数の幹を太くしてトータル収益を拡大できる点にあります。
これからの製品はクラウドサービスで提供することを基本ポリシーとしています。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」のクラウドサービスや、主要製品のひとつであるプロジェクト管理システム「SI Object Browser PM」も2021年3月からWeb版のクラウドサービス「OBPM Neo」として生まれ変わりました。時代の変革に合わせてさらなる製品サービスを企画・開発していきます。
(4)経営環境
国内経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延によるマイナス影響から徐々に回復しており、企業においては生産性の向上、業務の自動化、働き方の多様化やAI活用の進展など、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れは益々加速しつつあります。これらを背景にIT業界は堅調な事業環境が続いております。当社は、この環境下で既存事業を拡大しつつ、新製品の開発投資やベトナムの開発拠点設置準備を行い、中期経営計画で掲げた重点目標の達成に向け取り組んでおります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 失敗プロジェクトの削減
プロジェクトの失敗は事業に大きな損失を与えます。当社は過去に何回か失敗プロジェクトにより業績を低迷させており、その都度リスク管理を強化してきました。第27期には開発担当役員をトップとした全社的なPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)委員会を設置し、プロジェクトリスクの早期発見、対策実施により失敗プロジェクトを発生させないようにしています。
② 開発体制の強化
IT業界は、ここ数年好景気が続いていました。DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れもあり、システム化投資を進める企業からの引き合いが増えています。こうした市場環境の良さにより、IT業界ではエンジニア不足が深刻化しています。当社でも好調な引合いに対応できず、案件を辞退するケースが続いています。この課題に対処するため、当社は社員の増員やパートナー企業の開拓などで開発体制を強化していくと同時に、海外の優秀なエンジニアを活用するためベトナム開発拠点を設置し、開発体制の拡充をはかります。
③ AI事業の収益化
当社のAI事業、画像認識AIによる異常検知システム「AISI∀ Anomaly Detection(アイシアAD)」事業は、顧客とともに技術検証を行いながら、本格的な製造ラインへの導入を進めている段階にあります。類似のAIサービスを提供する会社も複数出てきていますが、いまだ成功している会社はほとんどありません。当社はいち早くAI事業を収益化し、次の大きな事業の柱としていきます。
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