業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの拡大により経済活動が停滞し厳しい状況となりました。ワクチン接種の広がりと共に徐々に経済活動が回復に向かうことが期待されるものの、依然として先行きの見通せない状況が続いております。

当業界においては、人員不足を背景とした合理化・省力化へのニーズによる設備投資、情報システムやネットワークのセキュリティ対策及び信頼性の確保に対する取り組みに加え、第5世代移動通信(5G)、AI(Artificial Intelligence)、IoT(Internet of Things)、車載開発(CASE(※1))等の成長分野の進展に加え、エネルギー分野等の社会インフラや医療分野の需要拡大、RPA(Robotic Process Automation)を活用した業務効率化へのニーズの高まりから市場環境は良好な状態が続くと見込まれておりました。

しかしながら、感染再拡大により、企業におけるシステム投資は慎重な姿勢が続いております。

このような状況下、当社は引き続き新型コロナウイルス感染防止対策として、自社プロダクトである「楽々セキュアコネクト」を活用した独自のリモート環境による在宅勤務の徹底やオンライン会議システムを利用した営業活動、採用活動、社員教育を実施し、企業活動を継続してまいりました。

また、技術者による現場営業を強化し、既存顧客を中心としたリピートオーダーの確保や新たなニーズの掘り起こしを行うと共に、営業グループによる新規顧客の獲得や需要拡大が見込まれる成長分野に向けた提案活動を積極的に進めてまいりました。

以上の結果、当事業年度における経営成績は、売上高 155億28百万円 (前年同期比 13.6%増 )となりました。

利益面においては、増収及び出張旅費の減少に加え各種イベントの実施方法変更による経費の減少等により営業利益 9億53百万円 (前年同期比 15.2%増 )となりました。

さらに、営業外収益における助成金収入の増加により経常利益は 10億31百万円 (前年同期比 22.3%増 )、当期純利益 7億4百万円 (前年同期比 28.4%増 )となりました。

 

(※1)CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、
Electric(電動化)といった車載開発における技術内容

 

当事業年度におけるセグメント別の業績は以下のとおりであります。

[ソフトウェア開発事業]

当社の主力事業でありますソフトウェア開発事業は売上高 122億38百万円 (前年同期比 14.4%増 )、営業利益 17億54百万円 (前年同期比 12.1%増 )となりました。

ソフトウェア開発事業につきましては、制御ソフトウェア開発が車載システム案件等の作業規模縮小などにより減少しましたが、通信ソフトウェア開発において第5世代移動通信(5G)のコアネットワーク装置開発案件等が好調に推移しております。また、業務ソフトウェア開発につきましては、製造業向けシステム、流通系システム、金融系システム等の作業規模拡大により好調に推移いたしました。

 

[サービス事業]

サービス事業は売上高32億63百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益4億14百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

SIサービス(構築・保守・運用・評価検証サービス)においては、社会インフラ及び金融系を中心とした仮想化、クラウドへの移行案件、セキュリティ対策案件やネットワーク構築案件が堅調に推移しており、第5世代移動通信(5G)の基地局検証案件については好調に推移いたしました。

自社プロダクトである「Cyber Smart」シリーズ製品(Cyber IP-PBX、Cyber CTI、Cyber Phone)につきましては、コールセンター構築や年間保守の増加により好調に推移いたしました。

また、クラウドVPNサービス(※2)である「楽々セキュアコネクト」につきましては、新型コロナウイルス感染防止対策として好調に推移しており、位置情報ソリューション「Cyber Position Navi」につきましても好調に推移いたしました。

 (※2)VPN:通信事業者の公衆回線を経由して構築された仮想的な組織内ネットワークまたはそのようなネットワークを構築できる通信サービスのこと。企業内ネットワークの拠点間接続などに使われ、あたかも自社ネットワーク内部の通信のように遠隔地の拠点との通信を行うことができます。

 

② 財政状態の状況

[資産の部]

当事業年度における資産は、前事業年度末に比べて14億28百万円増加14.7%増)し111億37百万円となりました。その内訳は、流動資産が13億39百万円増加21.7%増)し75億2百万円となり、固定資産が89百万円増加2.5%増)し36億35百万円となったことによるものであります。

流動資産増加の主な要因は、短期貸付金の増加8億47百万円、売掛金の増加3億64百万円によるものであります。

 

[負債の部]

当事業年度における負債は、前事業年度末に比べて8億68百万円増加20.6%増)し50億92百万円となりました。その内訳は、流動負債が6億68百万円増加31.9%増)し27億65百万円となり、固定負債が1億99百万円増加9.4%増)し23億26百万円となったことによるものであります。

流動負債増加の主な要因は、未払法人税等の増加2億79百万円、未払費用の増加2億29百万円、買掛金の増加1億20百万円によるものであります。

固定負債増加の主な要因は、退職給付引当金の増加1億94百万円によるものであります。

 

[純資産の部]

当事業年度における純資産は、前事業年度末に比べて5億60百万円増加10.2%増)し60億44百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて7百万円減少0.8%減)し9億12百万円となりました。

営業活動により獲得した資金は、10億43百万円(前事業年度比4.6%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益10億31百万円によるものであります。

投資活動により支出した資金は、9億7百万円(前事業年度比17.7%増)となりました。これは主に、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)への短期貸付金の貸付によるものであります。

財務活動により支出した資金は、1億43百万円(前事業年度比5.0%増)となりました。これは主に、配当金の支払によるものであります。

 

 ④ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当事業年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前事業年度比(%)

ソフトウェア開発事業

9,948,072

+16.2

サービス事業

2,581,645

+8.9

合計

12,529,718

+14.6

 

(注) 1.金額は、製造原価で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3. その他はファシリティ事業であり、生産活動を行っていないため、記載しておりません。

 

 

b.受注実績

当事業年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前事業年度比(%)

受注残高(千円)

前事業年度比(%)

ソフトウェア開発事業

12,424,588

+14.3

1,998,655

+10.3

サービス事業

3,299,650

+10.4

590,799

+6.6

その他

24,596

+0.6

24,176

△8.3

合計

15,748,835

+13.4

2,613,631

+9.2

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前事業年度比(%)

ソフトウェア開発事業

12,238,520

+14.4

サービス事業

3,263,110

+11.5

その他

26,794

△47.3

合計

15,528,424

+13.6

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自  2020年1月1日

 至 2020年12月31日

当事業年度

(自  2021年1月1日

 至 2021年12月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

日本電気通信システム株式会社

1,959,756

14.3

2,650,506

17.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

2021年度12月期の計画達成状況は以下のとおりです。

 

売上高

営業利益

当期純利益

自己資本利益率

1株当たり
配当額

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(%)

(円)

2021年度計画

14,400

850

572

10.0

20.00

2021年度実績

15,528

953

704

12.2

20.00

計画比

107.8%

112.2%

123.2%

100.0%

 

 

売上高は、ソフトウェア開発事業及びサービス事業が共に好調に推移し、155億28百万円(計画比7.8%増)となりました。

営業利益においても、増収及び出張旅費の減少に加え、各種イベントの実施方法変更による経費の減少等により、9億53百万円(計画比12.2%増)となりました。

さらに、営業外収益における助成金収入の増加により当期純利益は7億4百万円(計画比23.2%増)となり、自己資本利益率(ROE)は12.2%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

当社の主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入等による資金調達で対応していくこととしております。

なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動によるキャッシュ・フローの水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりでありますが、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、以下の項目が重要であると認識しております。

また、新型コロナウイルス感染症については不確実な部分もありますが、財務諸表における会計上の見積りに及ぼす重要な影響は生じておりません。

 

(工事進行基準)

当社は、受注制作ソフトウェア開発に係る収益の計上基準について、進捗部分について成果の確実性が認められる契約については工事進行基準を適用しております。工事進行基準は受注総額及び総製造原価の見積りに大きく依存しており、契約及び見積りの管理や計画管理の正確性が求められております。受注総額及び総製造原価の見積りについて、実績との乖離が発生した場合は見直しを行い収益計上の精度を確保しておりますが、適切な対応が遅れた場合には当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(工事損失引当金)

当社は、受注制作ソフトウェア開発に係る将来の損失に備えるため、事業年度末における受注制作ソフトウェア開発のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる契約について、損失見込額を計上しております。しかしながら、受注制作のソフトウェアに関しては、開発途中での仕様変更や、想定外の事象の発生等により、当初想定していなかった追加的な工数が生じやすい特徴があるため、当初の見積りを超える原価が発生する場合には当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合、繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

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