(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスワクチン接種の普及などによる経済活動の本格的な再開の動きを受け回復基調となりましたが、変異株による感染再拡大の懸念や中国のゼロコロナ政策継続によるサプライチェーンの混乱に加えて、ウクライナ情勢悪化による原材料・燃料価格の更なる上昇が重なり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
自動車関連部品市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた前年比では回復が見られるものの、半導体をはじめとする部品不足による減産が長引き、緩やかな基調となりました。
一方水処理用分離膜市場は、半導体産業などの工業用プロセス水や家庭用飲料水用途の増加に加え、海水淡水化用途も回復しており、アジア・中東地域を中心に需要が堅調に推移しました。
このような事業環境下において、当社グループでは当期にスタートしました第3次中期経営計画「Awa Breakthrough Plan」のもと、基盤事業の拡大と強化および新事業の創出に向けた活動やDXによる労働生産性向上に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の売上高については、前連結会計年度より大きく回復いたしましたが、物流の混乱による輸送費の増加や原材料・燃料価格上昇の影響を受けました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高15,023百万円(前年同期比2,471百万円増、19.7%増)、営業利益269百万円(前年同期は営業損失153百万円)、経常利益275百万円(前年同期は経常損失114百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益282百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失444百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における資産総額は、15,534百万円となり、前連結会計年度末より204百万円減少しております。主に受取手形及び売掛金が431百万円、原材料及び貯蔵品が259百万円、繰延税金資産が128百万円増加し、有形固定資産が492百万円、電子記録債権が450百万円、現金及び預金が79百万円減少いたしました。
負債総額は9,161百万円となり、前連結会計年度末より475百万円減少しております。主に電子記録債務が330百万円、支払手形及び買掛金が266百万円、流動負債のその他に含まれる未払消費税が88百万円増加し、長期借入金が684百万円、短期借入金が455百万円減少いたしました。
また、純資産につきましては、6,373百万円となり、前連結会計年度末より271百万円増加しております。主に利益剰余金が282百万円増加いたしました。
以上の結果、自己資本比率は28.9%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は361百万円となり、前連結会計年度末と比較して、79百万円の減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、1,524百万円(前年同期比1,325百万円増、665.6%増)となりました。これは主に棚卸資産の増加額311百万円の減少要因があったものの、減価償却費772百万円、仕入債務の増加額601百万円、税金等調整前当期純利益268百万円の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、316百万円(前年同期比156百万円減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出230百万円、出資金の払込による支出92百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、1,291百万円(前年同期は220百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出735百万円、短期借入金の純減額455百万円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車関連資材(千円) |
7,788,792 |
20.1 |
水処理関連資材(千円) |
5,915,878 |
23.0 |
一般産業用資材(千円) |
1,260,915 |
8.7 |
合計(千円) |
14,965,585 |
20.1 |
(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目の名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車関連資材(千円) |
7,845,918 |
18.5 |
水処理関連資材(千円) |
5,920,978 |
24.0 |
一般産業用資材(千円) |
1,256,137 |
9.0 |
合計(千円) |
15,023,034 |
19.7 |
(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社サンコー |
2,797,788 |
22.3 |
3,833,611 |
25.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等について
当連結会計年度における経営成績は、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。これは、主に自動車関連部品市場において、半導体をはじめとする部品不足による減産が長引いた影響もあり、緩やかな基調ながら新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた前年比では回復が見られたことによるものであります。また、水処理用分離膜市場においても、半導体産業などの工業用プロセス水や家庭用飲料水用途の増加に加え、海水淡水化用途が回復し、アジア・中東地域を中心に需要が堅調に推移しました。
当期にスタートしました第3次中期経営計画『Awa Breakthrough Plan』のもと、基盤事業の拡大と強化、新事業の創出に向けた活動やDXによる労働生産性向上に取り組んでまいりました。今期は、デジタル営業の推進や人財育成等に向けた更なる取り組みをおこない、持続的な発展と高収益企業の実現を目指してまいります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因として、主要市場における経済状況、原燃料の価格上昇、自然災害などがあります。
当社グループが関連する市場としては、主として自動車部品業界や水処理関連市場となりますが、成長市場であることから、今後もグローバル競争の激化や有力な新規参入の増加などが予想されます。こうしたなか、当社グループは、グローバル企業として成長していくため、高性能品の開発や商品ラインナップの拡充、安定供給体制の確立などに努めてまいります。
原燃料価格の変動については、サプライチェーンの混乱による輸送コストの高騰に加えて、ウクライナ情勢悪化によりさらに上昇しております。当社グループは、調達方法の見直しや製品価格の是正などで生産効率の向上を図り、収益確保に努めてまいります。
自然災害については、当社グループの国内生産拠点が徳島県内に集中していることから、自然災害の発生により当社グループの生産体制に支障をきたす可能性が想定されますが、BCP対応に努め、災害時においても早期に安定供給体制が復旧出来るよう体制整備に取り組んでまいります。また、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による社員への健康被害が事業運営の影響と業績に影響を及ぼす可能性が想定されます。新型コロナウイルスの感染拡大の事業への影響につきましては、現時点で合理的な算定が困難であるものの、今後も注視してまいります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社グループでは、健全経営維持と企業価値向上のため、事業領域の拡大と収益性の向上を目標としております。また、資産効率と収益性の両面を測る指標として、「総資産経常利益率(ROA)」を経営の重要指標として位置付けております。
この指標を達成するために、当社グループとして「売上高経常利益率」や「総資産回転率」の向上に注力しております。具体的には、アライアンスを含めた新事業の創出、基盤事業の強化と収益改善、総資産の効果的かつ効率的な運用に努めております。
当連結会計年度におけるROAは1.8%(前年同期は△0.7%)となりましたが、引き続き指標の達成に向けて、グループ一丸となって注力しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材などの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や研究開発投資などによるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,438百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は361百万円となっております。
当社グループは、厳しい環境下においても将来を見据えた設備投資や研究開発投資を維持してまいります。必要な資金は営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に金融機関からの借入により調達していく方針であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付型制度の退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、事業計画をもとに最新の経営環境に関する情報等を反映し見積っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
お知らせ