研究開発の基本方針
当社グループは、保有している基盤技術の深耕による既存事業の拡大を図るとともに、マーケットイン型R&Dの実行による次世代中核事業の創造を研究開発の基本方針として、既存事業における次世代製品の開発ならびに新規事業の創出にかかる開発に取り組んでおります。
さらに開発過程で得られた知的財産を経営資源化し、研究開発活動の推進強化を行っております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1)自動車関連資材分野
エンジン用濾材は、用途として主に吸気用、潤滑油用、燃料用フィルターに使用されております。
天然パルプ、コットンリンター、ポリエステルなどの合成繊維を主原料として、空気中のゴミ、他車から排出されるスス、潤滑油中のカーボン粒子、燃料中のゴミ、水分などを取り除き、エンジンに清浄な空気、燃料を供給すること及び潤滑油の性能を維持することができます。当該分野では小型かつ高効率、ダストの高捕捉量を満たすフィルターが求められており、これらニーズに対応するための研究開発を行っております。
当連結会計年度においては、一部メイン商品の潤滑油用でVAを目的とした開発品がお客様から良好な評価結果を得ております。また産業機械向けの油圧用に開発を注力しております。
(2)水処理関連資材分野
① 分離膜支持体用不織布
分離膜支持体用不織布は、主に世界の水処理用分離膜メーカーが製造する逆浸透膜モジュールに分離膜支持体として使用されております。
当商品は、専用の抄紙機及び加工機で製造されたポリエステル繊維100%の湿式不織布であります。耐水強度が高く、平滑性に優れることから水処理用の支持体として最適です。用途市場としては、海水淡水化や廃水処理などのインフラ用途をはじめ、工業用、家庭用浄水器など高度な水の需要に対応する分離膜に幅広く使用されており、高い伸び率で成長しております。
当連結会計年度においては、お客様により一層安定して使用していただくため、コストダウン対応に加え、品質のさらなる向上を目的とし、設備改良を含めた製品開発に取り組んでおります。
世界トップシェア維持を確実なものとすべく新規顧客に対して積極的にサンプルワークし、受注獲得に至っております。また市場の幅広いニーズに対応するためポリエステル繊維以外を原料とした製品開発も進めており、製品ラインナップを充実し、市場展開を行うべく引き続き注力してまいります。
② M-fine(エム・ファイン)
M-fine(エム・ファイン)とは、当社が提供するメンブレン(ナノレベルの微細な孔径を有する分離膜)及び水処理などのモジュール・ユニットの総称であります。
当社の事業領域の拡大の一環として、廃水処理に使用されるMBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜及びユニットの事業化推進に取り組んでおります。品質のさらなる向上や高性能化に向けた開発を継続的に行っており、M-fine ユニット新型 Generation 2の開発に努めております。今回の新型は、特に散気量削減によるCO2削減効果が期待でき、またユニットの構造的にも当社の薄くて軽い膜の強みを生かした製品となっております。
また、新たに当社の小型ユニットを活かした「小型廃水処理装置」の開発にも着手しております。「池・河川水浄化用膜処理装置」や、「独立水循環型快適トイレ」等、排水・再利用の様々なニーズにお応えできるように、事業の川下化に向けた取り組みを積極的に行っております。
(3)一般産業用資材分野
一般産業用資材分野の電気・電子部品用機能紙は、主に電子機器などの断熱部材や放熱部材としてのいわゆるサーマルマネジメント材として使用され始めており、電子機器の過酷な発熱環境下における厳しい要求が強まり高い伸び率が期待されている分野です。また、主に耐熱プレス用の工程紙として使用される耐熱クッション紙や金型の製造工程で発生する粉塵を除去するためのワイヤーカット用濾紙などがあります。その他、食品用として主に加工食品の鮮度保持用に使用される脱酸素剤の包材として使用されております。
当連結会計年度においては、上記ワイヤーカット用濾紙の開発品がお客様からの良好な評価結果を得ております。特に自動車の電動化による成長が期待されるサーマルマネジメント材(M-Thermo)についての具体的な成果としては、高温まで耐えうる軽量で薄くて可とう性がある断熱材及び絶縁性熱拡散材などの様々な差別化技術を開発し、特許出願致しました。東京ビッグサイトで開催された「N-PLUS」(展示会)(2022年2月)にこれらの商材を展示し、顧客要求に直結した製品開発を行っております。
お知らせ