業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度において、世界経済は新型コロナウイルス感染症の長期化の影響もあり先行き不透明な状況が続きましたが、当社グループは環境の変化にいち早く対応し、成長戦略に挙げたテーマに取り組んでまいりました。

 

「情報プラットフォーム」事業については、カーボンニュートラルやEV化の世界的な潮流を受けて自動車産業への関心が高まる中で、変化に適合させた営業戦略を取り、コンテンツの充実を進めた結果、売上高及び契約社数とも前年を大きく上回る結果となりました。昨年から導入したオンラインによる1対n(多数)形式の営業活動をグローバルで展開し、コロナの影響が少ない国や地域に営業リソースを順次シフトして新規顧客を獲得しました。特に、新鮮で柔軟な発想を持つ若い社員が力を発揮し(営業平均年齢33.4歳)、2019年から開始した新卒採用の効果も表れ始めました。

コンテンツ強化においては、ご要望の高いモデルチェンジ予測のデータベース化を実現し、ユーザーの利便性を向上しました。また、お客様の製品紹介を支援するアプリ「マークラインズおくってネ」を立ち上げ、コンテンツの一部として適時提供できるサービスを始めました。DX部門の増強とともに、サービスのスピードアップも進めました。翻訳支援ツールの活用などで翻訳リードタイムを1日に短縮、全ユーザーへのお知らせメール配信準備時間を1/8に短縮するなど、タイムロスなく情報配信ができるようになりました。以上の結果、「情報プラットフォーム」の契約企業数は前連結会計年度末から 571 社増加(前期371社増加)の 4,208 社と大幅に増加しました。

ベンチマーキング関連事業については、車両・部品調達代行サービスにおいて、継続して電動ドライブ関連の部品への関心が強く、堅調に売上が伸びました。また、Tesla Model Yの分解レポート販売が引き続き売上増加に貢献しました。LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業については、全契約企業の約8割弱が契約を更新、リピーター顧客が定着するとともに、年末にかけて中大型案件の新規契約が売上を伸ばしました。コンサルティング事業については、EV化の流れから市場動向調査案件が多くを占め、カーメーカー等からの実験・データ計測・分解調査案件の引き合いも旺盛で売上を牽引しました。プロモーション広告事業(LINES)については、オンライン展示会やセミナー集客のためのご利用が多く、顧客への手厚いサポートも功を奏し、前年を大きく上回る結果となりました。人材紹介事業については、ハイキャリア人材や外資系企業に注力することで昨年の落ち込みを挽回し、コロナ前の2019年を上回る結果となりました。自動車ファンド事業においては、12月末にファイナルクロージングを終え、最終的に16社様よりご出資いただき、ファンド総額は2,450百万円となりました。

 

この結果、当社グループの当連結会計年度における業績は売上高3,498百万円(前期比31.4%増加)、営業利益は、1,281百万円(前期比33.4%増加)、経常利益は、持分法による投資損失23百万円を計上したこと等から1,270百万円(前期比32.8%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益11百万円及び持分変動利益12百万円を特別利益に、また保有有価証券の株価下落による有価証券評価損34百万円を特別損失に計上したこと等により、885百万円(前期比40.5%増加)となりました。

 

 

各セグメントの経営成績は以下の通りであります。

なお、当社の連結子会社である株式会社自動車ファンドが事業活動を開始したことに伴い、当連結会計年度より「自動車ファンド事業」を報告セグメントとして新たに追加しました。

また、前第4四半期連結会計期間より、量的な重要性が高まったため「その他の事業」に含めていたプロモーション広告事業を独立区分し、報告セグメントとしております。

 

〇 「情報プラットフォーム」事業:売上高 2,225百万円 (前期比 15.6% 増加)、セグメント利益(営業利益) 1,287百万円 (前期比 18.6% 増加)

当連結会計年度における「情報プラットフォーム」契約純増社数は、前期実績371社を大きく上回り571社となりました。継続して効率的なオンラインでの営業や、コロナがまん延していない地域を中心とした営業活動を進めた結果、地域別では特に中国が前期比39.4%増と売上を牽引しました。

 

〇 「情報プラットフォーム」事業地域別売上高

地 域

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

  至 2020年12月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

(百万円)

増減率(%)

日本

1,019

1,104

+8.4

中国

250

348

+39.4

アジア

280

318

+13.2

北米

176

217

+23.2

欧州

187

225

+20.2

その他

10

10

△0.4

合計

1,925

2,225

+15.6

 

 

〇 ベンチマーキング関連事業:売上高498百万円(前期比79.9%増加)、セグメント利益(営業利益)114百万円(前期比75.6%増加)

当連結会計年度のベンチマーキング関連事業は、年初から車両本体受注が数件あったことに加え、9月にはTesla Model Yをカナダから輸入し、分解販売するプロジェクトが呼び水となり、売上が大きく伸長しました。分解調査データ販売においては、Tesla Model 3のCADデータ販売やModel Yのモーター・インバーターの販売が売上を牽引しました。

 

〇 コンサルティング事業:売上高347百万円(前期比81.5%増加)、セグメント利益(営業利益)75百万円(前期比124.8%増加)

当連結会計年度のコンサルティング事業は、年初から電動化への流れが予想を超えた速さで進み、部品メーカー等からバッテリー構造調査などの技術動向調査が売上を牽引しました。5月には、WEB説明会を初めて開催し積極的な営業活動を行ったことも奏功し、実験調査など、電動化とは直接関わりの少ない案件も急増しました。以上の結果、売上高、セグメント利益ともに前期を大きく上回る結果となりました。

 

〇 プロモーション広告事業:売上高68百万円(前期比85.1%増加)、セグメント利益(営業利益)54百万円(前期比116.7%増加)

当連結会計年度のプロモーション広告事業は、昨年から引き続いてオンライン展示会やセミナー集客のための利用が増加しました。これまでのきめ細かい顧客ケアの効果が表れたことや、次第に当サービスの利用価値が認められるようになったこともあり、リピーター利用が108社(前期63社)と売上を牽引しました。

 

〇 LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業:売上高185百万円(前期比33.5%増加)、セグメント利益(営業利益)50百万円(前期比41.1%増加)

当連結会計年度のLMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業は、年後半に部品メーカーや半導体メーカーからの中大型案件が数件あり、売上を牽引しました。電動化の流れからパワートレイン関連の予測情報の売上が74%を占めました。

 

〇人材紹介事業:売上高133百万円(前期比42.8%増加)、セグメント利益(営業利益)48百万円(前期比142.7%増加)

当連結会計年度の人材紹介事業は、今期の成約件数が65件となり、前期45件を大きく上回りました。ミドルクラスやハイキャリアクラスへの成約に注力したことや、海外への人材紹介を進めたことなどから売上、セグメント利益ともに大きく伸長し、コロナ前における2019年の水準を上回りました。

 

〇自動車ファンド事業:売上高39百万円、セグメント損失(営業損失)2百万円

2021年1月29日に組成した「自動車産業支援ファンド2021投資事業有限責任組合」については、当連結会計年度より連結子会社として連結の範囲に含めておりましたが、セカンドクローズ時点で出資総額が2,050百万円となり、当社グループの出資比率が過半を下回ったため第3四半期連結会計期間より持分法適用の関連会社として取り扱っております。そのため、第3四半期連結会計期間から「自動車産業支援ファンド2021投資事業有限責任組合」より受領した設立報酬及び管理報酬を売上高として計上しております。

 

 

〇 事業セグメント別損益

 

前連結会計年度
(自  2020年1月1日

  至  2020年12月31日 )

(百万円)

当連結会計年度
(自  2021年1月1日

  至  2021年12月31日 )

(百万円)

増減率(%)

「情報プラットフォーム」事業

売上高

1,925

2,225

+15.6

営業利益

1,085

1,287

+18.6

ベンチマーキング関連事業

売上高

277

498

+79.9

営業利益

65

114

+75.6

コンサルティング事業

売上高

191

347

+81.5

営業利益

33

75

+124.8

プロモーション広告事業

売上高

36

68

+85.1

営業利益

24

54

+116.7

LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業

売上高

138

185

+33.5

営業利益

35

50

+41.1

人材紹介事業

売上高

93

133

+42.8

営業利益

19

48

+142.7

自動車ファンド事業

売上高

39

営業損失(△)

△12

△2

 

 

(2) 財政状態

(資 産)

当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度末と比較し、967百万円増加4,992百万円となりました。この増加の主な内訳は、現金及び預金の649百万円増加、売掛金の96百万円増加、前払費用の5百万円増加及び2021年1月に組成した「自動車産業支援ファンド2021投資事業有限責任組合」を持分法適用の関連会社としたこと等による投資有価証券251百万円増加であり、一方、減少の内訳は、建物及び構築物(純額)の22百万円減少、ソフトウェアの28百万円減少及び繰延税金資産10百万円減少等であります。

 

(負 債)

当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度末と比較し、294百万円増加1,398百万円となりました。

この増加の主な内訳は、買掛金の12百万円増加、未払法人税等の58百万円増加及び前受金の190百万円増加等であり、一方、減少の内訳は、未払費用2百万円減少及び賞与引当金1百万円減少であります。

 

(純資産)

当連結会計年度における純資産合計は、前連結会計年度末と比較し、673百万円増加3,593百万円となりました。この増加の主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益885百万円の計上及び配当金276百万円の支払いによる利益剰余金608百万円増加、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金のそれぞれ2百万円の増加等であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比較して連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の減少額240百万円を含め649百万円増加3,951百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主たる増減要因は、次のとおりであります。

 

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動により獲得した資金は、1,080百万円(前連結会計年度に営業活動により獲得した資金は760百万円)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の1,260百万円、減価償却費の42百万円、前受金の増加額175百万円、投資有価証券評価損34百万円、持分法による投資損失23百万円及び未払消費税等の増加額21百万円であり、一方、主な減少要因は、固定資産売却益11百万円、持分変動利益12百万円、売上債権の増加額95百万円及び法人税等の支払額338百万円等であります。

    

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動により獲得した資金は、26百万円(前連結会計年度に投資活動により使用した資金は61百万円)となりました。この主な要因は、京都保養所売却に伴う有形固定資産の売却による収入38百万円等があった一方で、有形固定資産の取得による支出8百万円、無形固定資産の取得による支出3百万円等があったことによります。

 

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により使用した資金は、248百万円(前連結会計年度に財務活動により使用した資金は233百万円)となりました。この要因は、非支配株主からの払込みによる収入25百万円及び新株予約権の行使に伴う新株発行による収入額4百万円があった一方で、配当金の支払額276百万円等があったことによります。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況)

① 生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため該当事項はありません。

 

② 受注実績

当連結会計年度(自 2021年1月1日  至 2021年12月31日)の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

コンサルティング事業

397,190

+94.7

76,422

+185.5

合計

397,190

+94.7

76,422

+185.5

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度(自 2021年1月1日  至 2021年12月31日)の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

「情報プラットフォーム」事業

2,225,465

+15.6

ベンチマーキング関連事業

498,610

+79.9

コンサルティング事業

347,538

+81.5

プロモーション広告事業

68,405

+85.1

LMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売事業

185,215

+33.5

人材紹介事業

133,837

+42.8

 自動車ファンド事業

39,615

合計

3,498,688

+31.4

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(5) 経営者の視点による経営成績の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 ① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
 この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果は資産・負債、収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。

 

 ② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度における連結売上高は、セグメント別では全体の63.6%を占める「情報プラットフォーム」事業が前期比15.6%増加となりました。「情報プラットフォーム」以外の事業については、ベンチマーキング関連事業、コンサルティング事業及びプロモーション広告事業を中心に各事業とも好調に推移し前期比72.5%増加となりました。この結果、全体では前期比で31.4%増加の3,498百万円となりました。

 

(売上総利益)

当連結会計年度において、売上総利益は前期比26.7%増加の2,242百万円となり、売上総利益率は66.4%から64.1%となりました。これは、主にベンチマーキング関連事業の受注増に伴い仕入が152百万円増加したこと、及び情報プラットフォーム事業を中心に人員体制強化を図ったことにより人件費等の売上原価が増加し、売上原価比率が前期の33.6%から35.9%へと上昇したことによります。

 

(営業利益)

当連結会計年度において、営業利益は前期比33.4%増加の1,281百万円となり、売上高営業利益率は前期36.1%から36.6%へと増加しました。これは、売上高の増加が営業部門の人員増強による人件費等の販売費及び一般管理費の増加を吸収したことによります。

 

(経常利益)

当連結会計年度において、経常利益は前期比32.8%増加の1,270百万円となりました。これは、営業外費用の為替差損が前期比12百万円減少した一方で、持分法による投資損失23百万円を計上したこと等によります。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として計上した投資有価証券評価損が前期比で22百万円減少したこと、また、特別利益として固定資産売却益11百万円及び持分変動利益12百万円を計上したこと等により前期比40.5%増加の885百万円となりました。

この結果、当連結会計年度における株主資本利益率(ROE)は、前連結会計年度の23.2%から4.0ポイント増加し、27.2%となりました。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要は、経営活動に必要な運転資金(人件費、ソフトウエア・データベースの保守維持、業務委託費、データ購入費用、取材費用等)の他、国内外の事務所移転や増床に係る支出、PC、サーバー等の有形固定資産等の取得に係る投資資金であり、その資金の主な財源は、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金を源泉として、全て自己資金で充当しております。預入期間が3か月を超える定期預金を除いた現金及び現金同等物の期末残高は、3,951百万円であります。

 

 

 ④ 経営戦略の現状と見通し

自動車産業を取り巻く環境は、半導体不足や新型コロナウイルス感染症再拡大など先行き不透明な部分はあるものの、カーボンニュートラル実現に向けた研究開発投資の活発化や電動化など新技術の進展が産業界の構造変化を加速させるなど、大きく変動しております。

このような環境において、完成車メーカー、部品メーカーなどを中心に当社が提供するサービスへの関心は高く情報プラットフォーム事業については引き続き安定的に成長するものと見込んでおります。また、電動化及び自動運転技術などへの研究開発投資は引き続き高水準で推移することが予想され、コンサルティング、部品調達代行、分解調査データ販売、LINES及びLMC Automotive Ltd.製品(市場予測情報)販売など情報プラットフォーム事業以外の事業が提供するサービスへの需要はさらに高まるものと見込んでおります。

今後当社グループは、顧客領域を拡大させて契約企業数の増加を図ると同時に、変化の先頭に立った、新しいコンテンツ領域を開発・提供し、また新しいサービスを展開しながら、収益拡大を図って参ります。

 

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