当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、世界的パンデミックを契機としたデジタル化の進展によって「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の一体化」が加速し、新たな価値の創出につながるSociety 5.0実現へと向かっています(出典:総務省「令和3年版 情報通信白書」)。
このような環境のなかで当社グループは、保有する基盤コア技術を応用したビジネスデザイン、すなわち、クラウドマネージ、IoT、IIoT分野に加え「生物・細胞」がインターネットとつながるIoE(Everything)、そして人間の能力を拡張させるIoA(Abilities)分野におけるビジネスデザイン・プロジェクトを、国内だけではなくグローバルにおいても着実に進めております。
当社のクラウド・IoT分野全体を包括するデータコントロール事業の売上は、安定した完全ストック型ビジネス(サブスクリプションモデル及びリカーリングモデル)の継続課金売上と一時的なスポット売上で構成されております。当連結会計年度においても、引き続き月額課金案件の受注獲得を推し進め、前年同期と比較して月額課金売上は507,416千円純増しました。これにより、上場以来28四半期連続で過去最高の月額課金売上のプラス成長となり、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることなく極めて堅調に推移しております。なお、現在も積極的に先行投資を継続して実施していますが、当連結会計年度における営業利益の増減率は+55.7%、経常利益の増減率は+7.5%となり、前連結会計年度における営業利益の増減率△0.4%、経常利益の増減率△26.5%を大幅に上回りました。
IoT分野では、IoTエンジン「NEQTO」をベースに、あらゆる事業者のエンタープライズレベルのIoTソリューションに大きく寄与するスピーディーかつシンプルなソフトウエアサービスを展開しています。量産ハードウエア向け超極小IoT組み込みソフトウエアの「NEQTO-m」の提供を開始し、米国本土でのIoT基盤設置を完了することで米国顧客へのサービス価値を大幅に高めており、更なる深耕のための取り組みを継続しております。さらに、今後飛躍的に増加していくIoTデータコントロール・クラウドマネージドサービスへの要望に応えるため、国内外トリプル拠点に加え、大型の新コントロールセンター(SCC N44)開設によるサービス体制を強化しました。また、視覚再生プロジェクト「NEW-VISION」においては米国及び日本などで特許を取得し、自動操縦標準機開発プロジェクトにおいては施工現場への実証実験を実施するなど、各プロジェクトを実用化に向けて着実に推進しております。引き続き今後の高い事業成長を実現すべく、将来に向けた先行投資である研究開発費・販売促進費・人件費・グローバル展開のための先行投資を前年同期と比較し約284,000千円大幅に増加させております。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高2,751,120千円(前連結会計年度比25.5%増)、営業利益488,374千円(前連結会計年度比55.7%増)、経常利益488,230千円(前連結会計年度比7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益336,335千円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。さらに、当連結会計年度の財政状態は総資産2,640,558千円(前連結会計年度末比464,627千円増)、負債673,029千円(前連結会計年度末比80,174千円増)、純資産1,967,528千円(前連結会計年度末比384,452千円増)となりました。
なお、当社グループはデータコントロール事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,121,259千円(前連結会計年度末比230,968千円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、449,820千円(前連結会計年度は18,913千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益480,191千円の計上により資金が増加した一方で、法人税等の支払額99,238千円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により支出した資金は、134,657千円(前連結会計年度は134,441千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出105,695千円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により支出した資金は、65,246千円(前連結会計年度は68,505千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出68,018千円により資金が減少したことによるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1.各指標の計算方法は、次のとおりであります。
自己資本比率=自己資本÷総資産
時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産
※株式時価総額=期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)
キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い
2.各指標は連結ベースの財務数値により計算しております。
3.有利子負債は連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象とし、営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを、また、利払いは連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている利息の支払額を使用しております。
当社グループは、データコントロール事業の単一セグメントであり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
生産実績と同様の理由により、記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループはデータコントロール事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績は、いずれも総販売実績に対する当該割合が10%未満のため記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者の判断に会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 3.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
また、会計上の見積りにあたっての新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
資産
当連結会計年度末における流動資産は、1,790,834千円(前連結会計年度末比372,913千円増)となりました。これは主に、現金及び預金が増加(前連結会計年度末比235,470千円増)、売掛金が増加(前連結会計年度末比114,565千円増)したことによるものであります。
また、固定資産は、849,724千円(前連結会計年度末比91,713千円増)となりました。これは主に、有形固定資産が増加(前連結会計年度末比47,917千円増)、繰延税金資産が増加(前連結会計年度末比23,293千円増)、投資有価証券が増加(前連結会計年度末比21,003千円増)したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における総資産は、2,640,558千円となり、前連結会計年度末に比べ464,627千円増加いたしました。
負債
当連結会計年度末における流動負債は、560,594千円(前連結会計年度末比142,613千円増)となりました。これは主に、未払法人税等が増加(前連結会計年度末比77,624千円増)、買掛金が増加(前連結会計年度末比57,598千円増)したことによるものであります。
また、固定負債は、112,435千円(前連結会計年度末比62,438千円減)となりました。これは主に、長期借入金が減少(前連結会計年度末比60,000千円減)したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、673,029千円となり、前連結会計年度末に比べ80,174千円増加いたしました。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、1,967,528千円(前連結会計年度末比384,452千円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加(前連結会計年度末比218,812千円増)、自己株式が減少(前連結会計年度末比123,727千円減)したことによるものであります。
(経営成績の分析)
売上高
当連結会計年度における売上高は、2,751,120千円(前連結会計年度比25.5%増)となりました。当社事業の柱である自動運用をベースとした各種物理サーバ・クラウドサーバ・ハイブリッドサーバを対象とするマネジメントサービスの受注が順調に既存案件の積み上がり及び新規案件の獲得を推し進めたことにより堅調に推移し、売上高は通期として過去最高を達成いたしました。
営業利益
当連結会計年度における営業利益は、488,374千円(前連結会計年度比55.7%増)となりました。これは主に、当連結会計年度において、売上高が増加したことにより売上総利益が1,886,343千円となった一方で、販売費及び一般管理費1,397,968千円を計上したことによるものであります。
経常利益
当連結会計年度における経常利益は、488,230千円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。これは主に、営業利益に加えて、営業外収益7,393千円、営業外費用7,537千円を計上したことによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、336,335千円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。これは主に、経常利益に加えて、法人税等合計143,855千円を計上したことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、研究開発や人件費等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。
当社グループは、運転資金につきましては自己資金を基本としており、設備投資につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、安定的な事業拡大を通じて企業価値、特に「時価総額」を継続的に大きく高めていくことを経営目標の一つとするため、事業の収益力を示す売上高、経常利益、経常利益率、営業キャッシュ・フローを中長期的な経営指標と位置づけ、これらの継続的向上に努めております。
2021年12月期を含む、過去3ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。
当社データコントロール事業の売上は、安定した完全サブスクリプションモデル(完全ストック型ビジネス)の継続課金売上と一時的なスポット売上で構成されています。引き続き解約率の低い月額課金案件の受注獲得を推し進めており、上場以来28四半期連続で過去最高の月額課金売上のプラス成長となり極めて堅調に推移しております。将来に向けた投資である研究開発費・販売促進費・人件費・グローバル展開のための経費は増加しております。
2022年12月期においては、ストック型ビジネスの堅調な推移により過去最高の売上高となることが確実な状況ですが、引き続き今後の高い事業成長を実現すべく、将来に向けた投資も推進していきます。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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