業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、変異株を含む新型コロナウイルス感染の拡大及び緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の断続的な発令により、個人消費を含む経済活動は依然として停滞しており、特定の業界においては依然として不透明な状況が続いております。

 このような市場環境のもと、コロナ禍以降のニーズ・市場の成長を見据えたうえで戦略を策定し、成長を推進してまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ195,332千円減少し、4,977,579千円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ179,101千円減少し、3,913,434千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16,231千円減少し、1,064,145千円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高4,630,337千円(前連結会計年度比1.4%増)と、増収となりました。また、利益につきましては、営業利益164,070千円(前連結会計年度比30.9%増)、経常利益137,592千円(前連結会計年度比25.8%増)となりました。また、固定資産等の減損損失31,902千円等を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は28,671千円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失143,670千円)となりました。

 

 当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりです。なお、数値はセグメント間の取引消去後となっております。

(a) デジタルPR事業

 デジタルPR事業は、企業や官公庁・団体等に対して、インフルエンサーPRサービス、新聞・雑誌・WEB・SNS等各種メディアのクリッピング(調査・報告)サービス、製品・サービスや事業等に関するリリース配信サービスを運営しております。

 当連結会計年度において、インフルエンサーPRサービスは新型コロナウイルス感染拡大による影響からの回復に加え、アカウント運用等のストック型サービス拡販の効果もあり、案件数は増加(前連結会計年度比17.3%増)いたしました。メディアクリッピングサービスの案件数は特に取引先チェックサービスの牽引により増加(前連結会計年度比16.6%増)、リリース配信サービスについては前年度の営業推進による利用社数増加の効果に加え、緊急事態宣言明けの需要増もあり配信数は増加(前連結会計年度比6.7%増)いたしました。

 この結果、デジタルPR事業の売上高は前連結会計年度に比べ241,979千円増加し、2,632,264千円(前連結会計年度比10.1%増)となり、セグメント利益は前連結会計年度に比べ129,651千円増加し、593,711千円(前連結会計年度比27.9%増)となりました。

 

(b) シェアオフィス事業

 シェアオフィス事業は、アジア主要6都市(東京(新宿2拠点、六本木、青山、渋谷、新橋、日本橋)、横浜、仙台、シンガポール、インドネシア(※)、タイ)でシェアオフィスサービス、クラウド翻訳サービスを運営しております。

 当連結会計年度において、主要サービスであるシェアオフィスについては、2021年1月に「クロスコープ横浜」拠点を新規開設した効果もあり、国内拠点の累積稼働席数は増加(前連結会計年度比7.7%増)いたしました。加えて、新拠点となる「クロスコープ日本橋」を2022年1月に開設いたしました。一方、海外拠点については、前年度に決定したフィリピン及びインド拠点の撤退に加え、2021年9月にベトナム拠点の撤退を決定したこともあり、累積稼働席数は大幅に減少(前連結会計年度比44.9%減)いたしました。累積稼働率については、新型コロナウイルス感染による行動制限の影響が国内も含め大きかったことに加え、開設直後の拠点の稼働席数の伸びが軟調だったことから、72.1%(前連結会計年度比3.6ポイント減)となり、また費用面では、新拠点(横浜、日本橋)開設に伴い地代家賃及び減価償却費が増加いたしました。

 この結果、シェアオフィス事業の売上高は前連結会計年度に比べ177,725千円減少し、1,998,072千円(前連結会計年度比8.1%減)、セグメント損失は拠点新設による初期投資費用もあり、前連結会計年度に比べ94,899千円減少し、32,536千円(前連結会計年度は62,362千円の利益)となりました。

(※)インドネシア拠点はフランチャイズによる運営です。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は898,723千円と、前連結会計年度末に比較して44,190千円の減少となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は557,512千円(前連結会計年度は659,130千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益69,249千円、減価償却費393,611千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は260,967千円(前連結会計年度は817,230千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入71,222千円があった一方、有形固定資産の取得による支出201,231千円、無形固定資産の取得による支出60,148千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は353,298千円(前連結会計年度は164,004千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入232,000千円があった一方、長期借入金の返済による支出368,726千円、リース債務の返済による支出162,833千円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績及び受注実績

 当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(b) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年比(%)

デジタルPR事業(千円)

2,632,264

10.1

シェアオフィス事業(千円)

1,998,072

△8.1

合計(千円)

4,630,337

1.4

(注)セグメント間の取引については消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末における資産の額は4,977,579千円と、前連結会計年度末に比べ195,332千円の減少となりました。資産の減少の主な要因は、建物が204,349千円増加した一方で、減価償却の進捗により減価償却累計額が105,343千円増加したことや、使用権資産が128,199千円、長期貸付金が56,290千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債の額は3,913,434千円と、前連結会計年度末に比べ179,101千円の減少となりました。負債の減少の主な要因は、資産除去債務(流動負債を含む。)が81,735千円増加した一方で、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が138,090千円、リース債務(流動負債を含む。)が105,169千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産の額は1,064,145千円と、前連結会計年度末に比べ16,231千円の減少となりました。純資産の減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上28,671千円があった一方で、自己株式の取得38,660千円による減少等があったことによるものであります。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は4,630,337千円(前連結会計年度比1.4%増)となり、前連結会計年度に比べて64,253千円増加いたしました。セグメント別の売上高については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は2,160,562千円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。売上総利益率は前連結会計年度比1.4ポイント増加し、46.6%となりました。これは主にシェアオフィス事業における海外拠点の固定資産(建物、工具、器具及び備品、使用権資産等)の減損損失計上により、従来発生していた減価償却費の売上原価が減少したことによるものです。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は164,070千円(前連結会計年度比30.9%増)となりました。営業利益率は前連結会計年度比0.7ポイント増加し、3.5%となりました。これは主にシェアオフィス事業の国内大型拠点の新規開設費用があった一方、デジタルPR事業の営業推進による売上増加効果によるものです。

 

(c) キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性についての分析)

 当社グループは、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。

 運転資金及び設備投資については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は1,983,590千円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップなどの手段を活用しております。

 また、2023年3月期においては、変異株を含む新型コロナウイルスの世界的パンデミックの影響を見込んだ仮定の条件に基づく業績予想から、十分な資金の財源及び流動性を確保しておりますが、収束が想定以上に長引いた場合は、金融機関と締結している総額400,000千円の当座貸越契約による借入等、必要に応じ資金確保を行う体制をとっております。

 

③経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは2022年5月11日に、2023年3月期から2025年3月期の3か年における「中期経営計画」を発表しました。

 従来までの売上成長を重視した量の追求方針から、付加価値の追求による企業価値の向上へ方針を変えるとともに、顧客価値を最優先したプロダクト開発・提供を通じ、収益率の高い複数の事業ポートフォリオを保有する

高付加価値経営を軸とします。具体的な計画数値は以下のとおりとなります。

(単位:百万円)

 

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(計画)

2024年3月期

(計画)

2025年3月期

(計画)

売上高

4,630

5,000

5,400

6,000

営業利益又は営業損失(△)

(営業利益率)

164

(3.5%)

△155

(△3.1%)

400

(7.4)

650

(10.8)

親会社株主に帰属する当期純利益又は

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

28

△180

280

450

 

 

 

 

 

 

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得