当社グループは、当社、連結子会社5社(Akatsuki Taiwan Inc.・株式会社アカツキライブエンターテインメント・株式会社アカツキ福岡、EMOOTE PTE. LTD.(注)、株式会社アカツキゲームス)、持分法を適用していない非連結子会社及び関連会社25社(Akatsuki Entertainment USA, Inc.他24社)の合計31社により構成されております。
当社グループは、「世界をエンターテインする。クリエイターと共振する。」をミッションに、「ゲームを軸としたIPプロデュースカンパニー」として事業を展開しております。IPの世界観を深く理解したゲームを開発・運営する力、オリジナルIPを創出する力、IPの価値を高めるソリューションの力を強みに、人々の心を動かすエンターテインメントを世界に広めてまいります。
なお、当社グループは、全セグメントに占める「ゲーム事業」の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいことから、セグメントごとに区分せずゲーム事業のみを記載しております。
(注)2022年5月5日付でAKATSUKI INVESTMENT SINGAPORE PTE. LTD.はEMOOTE PTE. LTD.に商号を変更しております。
(1) ゲーム事業について
当社グループは、国内SNS運営事業者が提供するプラットフォーム(注1)やApple Inc.及びGoogle Inc.などのプラットフォーム運営事業者が運営する各アプリマーケットにおいて、モバイルゲーム等を提供するゲーム事業を行っております。
モバイルゲームは、これまでの家庭用ゲーム専用機のタイトルとは異なり、ユーザーが気軽に楽しめるゲームであり、月額基本料無料、一部アイテム課金制(注2)を採用するタイトルが主流となっており、当社グループが提供しているモバイルゲームにつきましても同様の仕組みでサービスを提供しております。また、モバイルゲームの開発においては、「オリジナルタイトル」の制作だけではなく、アニメや漫画等の、ユーザー認知度の高いキャラクター等のIP(注3)を有する他社(IP使用会社)との協業により、IPを利用したモバイルゲーム(以下、「他社IP利用タイトル」という。)の制作を行っております。
(注)1.モバイルゲーム等を提供する際の土台・基盤として利用されるSNSのこと
2.無料で入手することが可能であるアイテムやカード等をゲームを有利に進めるために有料で提供すること
3.Intellectual Property:著作権等の知的財産権
① オリジナルタイトルの制作
当社配信のオリジナルタイトルにつきましては、企画、開発、運用及びマーケティングまでのモバイルゲームを提供する一連の過程を自社で実施しております。当連結会計年度末現在、当社グループの主要なタイトルである「八月のシンデレラナイン」を提供しております。
② 他社IP利用タイトルの制作
当社配信の他社IP利用タイトルにつきましては、企画、開発、運用及びマーケティングまでのモバイルゲームを提供する一連の過程を自社又は他社との共同事業で実施しております。
また他社配信の他社IP利用タイトルにつきましては、基本的には、IPを利用して他社との協業によりユーザーへモバイルゲームを提供し、その収益についてはIP使用会社から当社グループへ配分されております。
当連結会計年度末現在、当社配信及び他社配信の他社IP利用タイトルは合計で6タイトルとなります。
<主な提供タイトル>
当社グループでは、各プロダクト毎にターゲットユーザーを定め、それぞれ独自の世界観と体験を通じてユーザーに貢献するべく、サービス提供を行っております。
タイトル名 |
プラットフォーム |
オリジナル/他社IP |
ゲーム内容等 |
ドラゴンボールZ ドッカンバトル |
App Store Google Play |
他社IP |
「ドラゴンボールZ」を題材としたモバイルゲーム |
八月のシンデレラナイン |
App Store Google Play |
オリジナル |
「青春×女子高生×高校野球」をテーマにした“青春体験型野球ゲーム” |
ロマンシング サガ リ・ユニバース |
App Store Google Play |
他社IP |
23年ぶりとなる「ロマンシング サガ」完全新作RPGゲーム |
UNI'S ON AIR |
App Store Google Play |
他社IP |
櫻坂46・日向坂46を応援する[公式]音楽ゲームアプリ |
EXtreme LIVES |
App Store Google Play |
他社IP |
EXILE TRIBE史凝縮ライブ体感アプリ |
[事業系統図]
(注)1.ユーザーからの課金アイテム等利用代金から決済手数料及びプラットフォーム手数料(プラットフォー
ム運営事業者による代金回収代行業務及び売上管理業務に対する手数料)を差し引いた金額が、プラット
フォーム運営事業者から当社グループへ支払われます。
2.ユーザーからの課金アイテム等利用代金から決済手数料及びプラットフォーム手数料を差し引いた金額が
プラットフォーム運営事業者からIP使用会社へ支払われ、当社グループへの配分額はIP使用会社より支払われます。
3.ユーザーからの課金アイテム等利用代金から決済手数料及びプラットフォーム手数料(プラットフォー
ム運営事業者による代金回収代行業務及び売上管理業務に対する手数料)を差し引いた金額のうち、一定の配分額をIP使用会社へ支払っております。
(2) 当社グループの特徴及び強み
当社グループの主な特徴及び強みは以下のとおりです。
① 企画力・プロデュース力
(a) オリジナルタイトルの企画力
当社グループは、これまでブラウザゲーム及びネイティブアプリで合計18本の自社によるオリジナルタイトルをゼロから企画・開発しております。モバイルゲーム市場については、ユーザーがおもしろいと感じて楽しめるタイトルを提供することが重要と考えており、当社グループはモバイルゲームを自社によるオリジナルタイトルでゼロから企画・開発を行っている強みがあると考えております。
(b) ノウハウの蓄積・企画立案プロセスの整備
当社グループは、企画、開発及び運営に至る主要なプロセスを自社で一貫して行うことにより、モバイルゲームの開発及び運営のノウハウを蓄積してまいりました。また、既存タイトルにおける過去の施策とそのユーザー分析結果を開発・運営部門全体で共有することにより、新規タイトルの企画、開発や既存タイトルの運営にも応用しており、組織としてノウハウを蓄積・活用できる体制を構築していると考えております。
なお、企画立案のプロセスからマーケティング部門が関わり、社内レビューやユーザーテストなどを繰り返し実施し、「世界観」と「面白さ」とを備えたゲームを分析的・継続的に再現できるプロセスを導入しております。
②長期運用力
(a) オリジナルタイトル及び他社IP利用タイトルの展開
当社グループはオリジナルタイトルの開発と他社IP利用タイトルの開発を行っております。オリジナルタイトルはゲーム内で使用するイラスト費やプロモーションコストを当社グループで負担する必要がありますが、当社グループに対する収益分配率は高くなります。一方、アニメや漫画等の有力なIPのうち、当社が配信する場合は、IP使用会社等への収益分配があるため、収益分配率がオリジナルタイトルと比べ低くなりますが、ユーザーの認知度が高いため、サービス開始直後から一定のユーザーの獲得を見込むことができると考えております。また他社が配信する場合には、当社が配信する場合と同様である他、ゲーム内で使用するイラスト費やプロモーションコストを抑えることが可能であると考えております。そのため、ターゲットユーザーや収益構造が異なるオリジナルタイトルと他社IP利用タイトルのゲームコンテンツを共に提供することによりリスクをヘッジすることが可能と考えております。
(b) 複数タイトルの運営体制
当社グループは、継続的に安定的な収益を確保するために、ノウハウの共有やツール等の自動化を行い、複数の既存タイトルの運営と新規タイトルの開発を同時並行で行う体制を構築しております。また、国内外において優秀な人材の採用を積極的に進めることにより、一人当たりの効果的な生産性を実現し、少ない人員数でそれぞれのタイトルを運用する体制を実現していると考えております。
(c) データ分析及びPDCAサイクルの実行
モバイルゲームは、これまでの家庭用ゲーム専用機向けタイトルとは異なり、サービスの開始後もユーザーの動向に合わせてゲーム内容の改良を常に行っていくことが必要となっております。当社グループは、DAU、課金率、ARPPU(注)等の基礎的なデータを初めとして、ユーザーの行動履歴を示す各種指標を取得することによりユーザーの動向を把握し、各種施策を適時に実施することで収益向上に取り組んでおります。また、ユーザーから寄せられたクレームやコンテンツの問題点を認識し、それを改善するための計画の立案、実行及び修正というPDCAサイクルを繰り返し実行することにより、ユーザー基盤の維持・拡大とさらなる収益の拡大を図っております。
(注)DAU(Daily Active Users):1日においてサービスを利用したユーザー数
課金率:サービスを利用しているユーザーのうち課金アイテムを購入したユーザーの割合
ARPPU(Average Revenue Per Payed User):課金ユーザー1人当たりの平均売上高
(d) マーケティング力
当社グループでは、ウェブだけでなくテレビCMを含めた効率的なマーケティングを意識して実践しております。具体的には、マーケティング部門が各ゲームタイトルの企画・開発段階から関わることにより、プロダクトを理解した上でマーケティング施策を立案できる体制を構築していると考えております。また、各マーケティング施策に対して詳細なデータ分析を行い、PDCAを実施することにより、ユーザー獲得単価を適切な水準にコントロールできております。
また、マルチメディア展開、他社とのコラボレーションやリアルイベントなどにより、ユーザーを長期的にファン化する取り組みも積極的に行っております。
これらの結果、広告宣伝費を効率的に活用し、収益性の確保に努めております。
③ 海外オペレーション力
当社グループは、国内だけでなく今後成長が見込まれる海外市場においても、当社グループのモバイルゲームを提供していく必要があると考えており、台湾にある海外子会社(Akatsuki Taiwan Inc.)が運用主体となって、日本のノウハウを展開することで、日本と同水準のユーザーエンゲージメントでのサービスをグローバルに展開するオペレーション体制を構築しております。具体的には、当社グループで実績のあるタイトルにつきましては、台湾子会社にて海外向けにローカライズ(注)することにより提供し、国内での運用ノウハウを展開することにより、効率的な運用を目指しております。
また、新規タイトルにつきましては、当社グループ内で密に連携することにより、国内・海外において各国の市場の状況に応じて適時にモバイルゲームを提供できる体制を構築していると考えております。
(注)ローカライズ:ソフトウェアの現地最適化であり、国際化されたソフトウェアを各国に対応させること
④ 組織力・企業文化
当社グループは、メンバー一人ひとりがモチベーション高く、それぞれの才能を最大限活用でき、さらにチームとしても最高のパフォーマンスを発揮できる組織作りや、新しいサービスを生み出すという「ものづくり」としての企業文化構築を重視しています。そのために企業理念やカルチャーに適合する人材を採用するとともに、人材育成のための研修や人事施策、企業文化の醸成やオフィス環境の整備に対して積極的に投資しております。
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