課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスを掲げ、世界中の経済情報を人とテクノロジーの力で整理・分析・創出することで、人々の生産性を高め、創造性を解放し、世界中の意思決定を支えるプラットフォームを作りあげたいと考えています。当該パーパスの実現を目指し、既存ビジネスの更なる改善・強化、新規ビジネスへの取り組みを図りたいと考えています。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略 

経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスを実現するために、B2B・B2Cのあらゆるシーンでビジネスパーソンの意思決定を支えるサービスを開発・提供しています。このためには、強い事業を生み出すことが最も重要であるという考えに基づき、NewsPicks、FORCAS、INITIAL等のプロダクトごとに子会社を設立してきました。これにより、意思決定権限の移譲及び経営責任の明確化による柔軟で強い意思決定を行える体制を構築し、各事業を成長させてきました。他方で、法人が異なることで事業間シナジーを十分に生かせないという側面もあり、そのような状況を解消するために2020年12月期においてはSPEEDA、FORCAS、INITIALをB2B SaaS事業として組織統合し、より事業間シナジーを効かせ、「One Uzabase」を実現するべくグループ横断での取り組みを始めました。さらに2021年12月期においては、この事業統合をより強力に推進するために、当社の完全子会社である株式会社FORCAS及び同じく完全子会社である株式会社INITIALを吸収合併しました。

また、既にSaaSプロダクトにおいてNewsPicksのコンテンツの提供を開始する等の取り組みを始めていますが、SaaSとNewsPicksのさらなる融合を進め、当社グループの保有する経済情報の中でも特に重要な「人の知見」を蓄積し全サービスで活用することで、長期的な競争優位性を実現させていきます。

このような体制のもと、2021年12月期から2025年12月期を通じた当社グループ全体の売上高成長率が平均30%以上となることを目指しています。また、収益基盤強化のため、同時にグループ全体としての高収益体質へのシフトについても経営上の最重要課題の一つであると考えています。国内事業においては、上場来一貫して黒字幅を拡大してきましたが、引き続き上述の施策を通じて、解約率の低下を図り、ユーザー層の拡大、顧客単価の上昇により獲得利益を増加させ、各事業における緻密な予算管理を通じて、正常収益率を向上させていきます。具体的には2025年12月期において連結のEBITDAマージン15%の達成を目指します。

2022年12月期においては、「SaaS」事業では高成長プロダクトであるSPEEDA EXPERT RESEARCH、FORCAS並びにAD/NPへの継続投資やSaaS事業の共通データ基盤への投資、「NewsPicks」事業ではNewsPicks事業におけるマーケティングへの段階的な投資等を実施する計画です。また、前述のとおりSaaSとNewsPicksの融合を実現するため、SaaS事業の各プロダクトとNewsPicksのユーザーIDの共通化等も進めていく計画です。

また、「SaaS」事業及び「NewsPicks」事業の各々の自前での更なる成長施策に加え、新規事業の立ち上げや、資本・業務提携等を通じて、経済情報のプラットフォームを提供する企業として、企業価値の更なる拡大を図っていきます。

 

(3) 会社の対処すべき課題

当社グループが対処すべき課題は、以下の項目と認識しています。

 

① 収益基盤の強化及び加速

当社グループは、従来より収益基盤の強化に努めてきました。これまで既存事業の正常収益力の強化及び新規事業の創出又はM&Aによって過去5年間において平均30%を超える売上成長率を果たしてきました。当社グループにおいて、中期的に高い売上高の成長を維持することが最重要課題の一つと考えています。そのために各事業の融合、継続的な機能・利便性・ユーザーインターフェースの向上・改善、コンテンツの一層の魅力の向上を進め、持続的なユーザー価値の拡大を進めていきます。またパーパスである「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」を実現するための新規事業立上げやM&Aについても積極的に検討していきます。これらの施策を通じて、2021年12月期から2025年12月期を通じた売上高成長率が平均30%以上となることを目指しています。

なお、収益基盤強化のため、同時にグループ全体としての高収益体質へのシフトについても経営上の最重要課題の一つであると考えています。国内事業においては、上場来一貫して黒字幅を拡大してきましたが、引き続き上述の施策を通じて、解約率の低下を図り、ユーザー層の拡大、顧客単価の上昇により獲得利益を増加させ、各事業における緻密な予算管理を通じて、正常収益率を向上させていきます。具体的には2025年12月期において連結のEBITDAマージン15%の達成を目指します。

 

② 事業を超えたシナジーの創出

経済情報を取り扱う当社グループにおいては、これまで、グループで展開する複数の各サービスにおいて、蓄積してきた豊富なデータ、制作してきた多様なコンテンツ、広範囲に築いてきた人的ネットワークを有します。また各サービスは、当該サービスを創出し成長させてきた開発、営業、マーケティング、管理といった機能を有しています。これらのコンテンツや機能をグループで最大限有効活用し、サービスの付加価値やグループ全体の競争力を一層向上させることが最重要課題の一つであると考えています。

当社グループはこれまで、サービスごとに執行役員体制を執り、各担当執行役員に権限委譲を進めることで、事業ごとに迅速な意思決定ができるようにしてきました。

各サービスが一定規模に立ち上がり、ビジネスとして軌道に乗った段階を見計らい、2020年12月期において、各サービスを超えたシナジー創出を目指して「SPEEDA」「FORCAS」「INITIAL」といった国内のB2B SaaS事業を一気通貫で統括する経営体制へと変更し、2021年4月においては、当社の完全子会社である株式会社FORCAS及び同じく完全子会社である株式会社INITIALを吸収合併しました。そして、2021年11月より、SaaS事業とNewsPicks事業の融合によるシナジーの創出を目的として、当社子会社である株式会社ニューズピックスの代表を当社代表取締役Co-CEOである稲垣裕介と佐久間衡とする体制に変更しました。

また、2022年12月期よりグループ執行役員制度を導入しました。当該制度においては、グループ全体の中から、グループの重要経営課題に合わせてグループ執行役員が毎年選任(任期1年)され、多様なバックグラウンドをもつ経営人材が、ユーザベースグループ全体の視点を持って経営課題に取り組み、パーパスの実現とグループ全体の経営目標の達成にコミットします。2022年12月期のグループ執行役員としては13名が選任されています。

以上の取り組みにより、当社グループにおいてシナジーを最大限創出し、パーパスである「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」の実現を目指していきます。

 

③ 優秀な人材の確保

経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスをグローバルで実現するためには、優秀な人材の確保が必要不可欠であると考えています。当社グループにおいては、「The 7 Values」というコアバリューを掲げており、当該パーパスとバリューに共感する優秀な人材の確保に努めています。また、国内のみならず海外においても人材採用は重要な経営課題です。特に、今後の当社グループの成長を牽引するようなプロダクトの開発や全社的なシステム基盤の整備を進めるため、優秀なエンジニアの採用が課題であると認識しており、今後グローバル展開を加速させるためにも、引き続き、人材の採用に注力していきます。

 

④ 情報管理体制の強化

当社グループが運営する事業においては、顧客情報、個人情報を多く取り扱っており、これらの情報管理体制の一層の強化が重要であると考えています。

個人情報保護方針及びインサイダー取引の未然防止を含む社内規程の整備並びに規程の運用の徹底、社内研修の実施を通じて、これらの情報については厳正に管理していますが、引き続き関連社内システムの一層のセキュリティ強化、社内研修の更なる整備等を図り、情報管理のための体制を強化していきたいと考えています。

 

⑤ システムの安定的な稼働

当社グループの運営するサービスはインターネットを利用したサービスであり、システムの安定的な稼働が不可欠です。

かかる課題に対処するため、利用者の増加、取扱いデータ容量拡大に対応するためのシステム投資、メンテナンス投資及び運用監視体制強化を引き続き計画的に行っていきます。また、データのバックアップ体制強化のためのシステム投資についても計画的に行っていきます。

 

⑥ 迅速な意思決定を行うための組織体制の強化 

組織が拡大しても、引き続き高い成長力を維持していくためには、効率的かつ迅速に経営意思決定を行う必要があります。

具体的には、経営上の重要な意思決定を迅速に行うために必要な、主要なKPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)や財務数値を社内においてタイムリーに把握できる体制・仕組みを構築していきたいと考えています。また、内部牽制体制とのバランスを図りながら、意思決定を迅速に行うため役職員への適切な権限付与を整備することが重要と考えています。 

 

⑦ 内部管理体制の強化

継続的に当社グループが成長を遂げていくためには、経営上のリスクを適切に把握し、当該リスクを適切にコントロールするための体制強化や、未然の不正防止や業務の適正性を確保するための内部統制システムの強化が重要な課題と考えています。

具体的には、代表取締役及び監査等委員会直属の内部監査部門が、内部監査規程に基づき内部監査を実施しています。内部監査の結果は、被監査部門にフィードバックされるとともに、代表取締役及び監査等委員会に報告されます。

コーポレート・ガバナンスの一層の充実という観点から、2019年3月28日開催の第11回定時株主総会の決議に基づき、監査等委員会設置会社に移行しました。監査等委員会は社外取締役3名で構成されています。各監査等委員取締役が取締役会等に積極的に参加し、高い専門的見地から取締役の意思決定・業務執行について適宜意見を述べることにより、取締役会への監査・監督機能の一層の強化を図っていきます。監査等委員取締役、内部監査部門及び会計監査人による会合を定期的に開催することにより、監査・監督機能がより有効・適切に機能するよう努めていきます。

 

⑧ 新型コロナウイルス感染症拡大による環境変化への対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、当社グループでは、原則として在宅勤務とする方針を継続しています。長期間のリモートワーク継続並びにそれに伴う社内コミュニケーション量の低下により従業員の心身の健康状態が悪化する懸念がありますが、新型コロナウイルス感染症に関する業務上のガイドラインを整備、新型コロナウイルス感染症の感染状況に合わせて適宜ガイドラインの見直し等必要な対策を行いながら運用しています。また、営業活動においてはリアルのイベント開催が困難であることから方針の転換が必要となりましたが、当社グループにおいてはオンラインイベントの開催を積極的に進め、新規顧客の獲得を順調に進めています。今後も状況を注視し、必要な対策を講じていきます。

 

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