業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績・財政状態に関する概況

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、通期では景気の持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令が社会経済活動に大きな影響を与えました。また、世界的な半導体不足や感染症の流行等による供給制約、エネルギーや原材料の価格高騰等によって先行きを見通しにくい状況が続きました。

当社がコンサルティングサービス及びソリューションサービスを提供する金融業界では、銀行各行は政府による積極的な支援策の下でコロナ禍にある企業の資金繰りを支えています。一方で、低金利による厳しい収益環境への対応として、業務コストの削減や金融以外のビジネスの拡大等の収益力強化に取り組むとともに、競争力強化をねらった合従連衡が加速しています。イノベーション事業の製品・サービスの主な提供先である小売・サービス業界では、新型コロナウイルス感染症による影響は業種業態によって大きく差があるものの、ウィズコロナに備えた取り組みを進めています。

このような環境の中、コンサルティング事業では、金融に関連する幅広い業態で基幹システムのプロジェクトマネジメント支援やITを活用した業務改善プロジェクトの推進支援等の需要が増加し、同時にその内容も多様化していくと見込んでおり、サービスの質向上及び採用と人材育成の強化に取り組んでまいりました。この一環として、新規顧客の開拓と受注拡大をねらい、保険業の支援に特化した部門を新設しました。また、幅広くプロジェクト推進へのサポートや助言を専門にする部門を新設し、ノウハウの共有・活用の促進を通じた提案力の強化と取引関係の深耕に取り組んでまいりました。ソリューション事業では、業務改善ソリューションの開発や次世代DXソリューションを活用したサービスの営業活動を推進してまいりました。イノベーション事業では、設置型AI搭載レジ「ワンダーレジ」の技術を活用した新製品・新サービスの開発に取り組み、書籍販売に特化した「ワンダーレジ-BOOK」と低価格のコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」の販売を開始しました。

関連会社の株式会社TOUCH TO GO(以下、「TTG」という。)は、無人決済システム「TTG-SENSE」及び狭小地向けの「TTG-SENSE MICRO」を中心に小売店舗の生産性向上に寄与する製品の開発、販売に取り組んでまいりました。この一環として、TTGは、無人決済システムのビジネス拡大を目的に株式会社ファミリーマート(以下、「ファミリーマート」という。)、東芝テック株式会社及びグローリー株式会社と資本業務提携するとともに、KDDI株式会社のコーポレートベンチャーキャピタル「KDDI Open Innovation Fund 3号」からの出資を受けました。また、当社は、TTGとファミリーマートのさらなる連携強化を目的に、当社が保有するTTG株式の一部をファミリーマートに譲渡しました。

以上の結果、当事業年度における経営成績は、売上高は2,119百万円(前期比4.0%増)となりました。利益面では、減価償却費が減少したことを主因に売上原価が減少したことや研究開発費を中心に販売費及び一般管理費が減少したこと等により営業損失378百万円(前期は営業損失596百万円)、経常損失382百万円(前期は経常損失611百万円)、TTG株式の売却益を特別利益に計上する一方で、固定資産の減損損失を特別損失に計上したことにより当期純損失291百万円(前期は当期純損失786百万円)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント利益又は損失はセグメント毎の営業利益又は営業損失であり、また損益計算書の営業損失と調整を行っております。

(コンサルティング事業)

基幹システムの更改・統合のプロジェクトマネジメント支援やIT部門のプロジェクト推進の支援業務が増加しました。また、既存業務の増員要請に対して、主に中途採用による増員等で応えてまいりました。新設部門においては、主に第3四半期会計期間以降、保険業界・新設銀行等の新規得意先の増加や既存得意先からの受注の増加等があった一方で、期初から要員を厚くしたことで費用が膨らみました。これらの結果、売上高は2,003百万円(前期比4.3%増)、セグメント利益は344百万円(前期比11.2%減)となりました。

 

(ソリューション事業)

ITシステムの構築及び投資に関するアドバイザリー業務のほか、業務改善ソリューションの開発を完了し、月次サービスとして提供を開始しました。また、事業性評価サービス等の月次サービスを提供しました。一方で、減収影響による売上総利益の減少があったほか、新規受注獲得に備えて必要な体制を維持しました。これらの結果、売上高は99百万円(前期比11.3%減)、セグメント損失は61百万円(前期はセグメント損失118百万円)となりました。

 

(イノベーション事業)

ワンダーレジ、ワンダーレジ-BOOK及びEZレジの設置や販売が増加しました。また、得意先金融機関から、人追跡技術を活用した店舗内の動線や混雑状況を可視化するソリューションの開発と技術検証業務を受託しました。加えて、TTG-SENSE等の無人決済システムの設置が増加したことで、ロイヤリティの受け取りが増加しました。研究開発活動については、ワンダーレジ-BOOKとEZレジの開発、ワンダーレジ等の運用に関するシステムの開発及び改良に取り組みました。これらの結果、売上高は16百万円(前期比355.5%増)、セグメント損失は328百万円(前期はセグメント損失598百万円)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

資産合計は2,300百万円となり、前事業年度末と比べて150百万円増加しました。

流動資産は1,699百万円となり、前事業年度末と比べて266百万円増加しました。これは主に借入金の返済や運転資金の支出による現金及び預金の減少要因があった一方で、第8回新株予約権の行使によって506百万円の資金を調達したこと等によるものであります。

固定資産は600百万円となり、前事業年度末と比べて116百万円減少しました。これは主に有形固定資産及びソフトウエア等の無形固定資産を減損処理したこと等によるものであります。

(負債)

負債合計は760百万円となり、前事業年度末と比べて79百万円減少しました。

流動負債は493百万円となり、前事業年度末と比べて百万円減少しました。これは主に未払消費税等が28百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が23百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は266百万円となり、前事業年度末と比べて79百万円減少しました。これは主に社債が20百万円及び長期借入金が74百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

純資産合計は1,539百万円となり、前事業年度末と比べて229百万円増加しました。これは主に当期純損失291百万円の計上により利益剰余金が減少した一方で、資本金及び資本剰余金がそれぞれ262百万円増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,332百万円(前事業年度末に比べて232百万円増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは360百万円の支出(前事業年度は601百万円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失287百万円の計上及び関係会社株式売却益232百万円のマイナスの調整項目の影響があった一方で、減損損失137百万円等の非資金損益項目の計上による資金の増加要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは202百万円の収入(前事業年度は360百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の預入による支出10百万円やソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出91百万円等の資金を支出した一方で、関係会社株式の売却による収入290百万円により資金が増加したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは390百万円の収入(前事業年度は1,043百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出97百万円があった一方で、新株予約権の権利行使による株式の発行による収入508百万円により資金が増加したことによるものであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

② 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

コンサルティング事業

2,049,119

12.3

249,952

22.5

ソリューション事業

122,596

△54.7

249,825

10.1

イノベーション事業

31,774

164.4

25,861

151.5

合計

2,203,490

4.5

525,639

19.1

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

コンサルティング事業

2,003,287

4.3

ソリューション事業

99,598

△11.3

イノベーション事業

16,194

355.5

合計

2,119,080

4.0

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社ジェーシービー

374,760

18.4

496,737

23.4

アセットマネジメントOne株式会社

337,172

16.5

349,486

16.5

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成していますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債及び収益・費用の数値に反映されております。

これらの見積りについては、継続評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大が会計上の見積りに与える影響については、当事業年度末時点において事業活動に重要な影響を与えていないことから、当社に与える影響は軽微であり、重要な影響はないものとして見積りを行っております。

当社の財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下であります。

 

(固定資産の減損)

当社は保有する固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額された金額を減損損失として計上しております。

減損の兆候の判定及び回収可能価額の前提となる将来キャッシュ・フローについては、一定の仮定をおいて算出しています。今後の経営環境の変化等により将来キャッシュ・フローへの重要なマイナスの影響がある場合には、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

(関係会社株式の評価)

市場価格のない関係会社株式の実質価額が著しく低下した場合の減損処理の要否については、将来の事業計画に基づく回収可能性により判定しています。実質価額が著しく低下し、将来の不確実な経済条件の変動などによって将来の事業計画に基づく回復可能性がない場合には、関係会社株式評価損の計上が必要となり、翌事業年度の計算書類に重要な影響を与える可能性があります。


(継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断)

当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断にあたり、貸借対照表日の翌日から1年間のキャッシュ・フローを見積っております。経営環境の変化等により将来のキャッシュ・フローが大幅に変動した場合、当該不確実性の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営成績の分析

a.売上高

コンサルティング事業において、第3四半期会計期間以降から、新設部門の受注が増加した他、既存得意先からの受注も堅調に推移しました。また、イノベーション事業においても、ワンダーレジ-BOOKやEZレジの設置・販売が増加したこと等により、売上高が増加しました。一方で、ソリューション事業においては、業務改善ソリューションの開発の完了等があったものの、他のサービスの販売が前期に比べて減少しました。これらを要因に売上高は、前期比4.0%増加の2,119百万円となりました。

 

b.売上原価及び売上総利益

主にコンサルティング事業の従業員が増加したことにより労務費が増加しました。一方で、主にコンサルティング事業で外注費が減少した他、前期に減損損失を計上したことにより、当期の減価償却費が減少しました。これらを主因に、売上原価は前期比0.4%減少の1,530百万円、増収により売上総利益は前期比17.4%増加の588百万円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費及び営業損失

採用活動を積極的に進めたことにより、採用活動に関する費用が増加しました。また、事業セグメントに属さない要員が増加したことにより人件費が増加しました。一方で、研究開発費が前期に比べて212百万円減少しました。これらを主因に、販売費及び一般管理費は前期に比べて11.9%減少の967百万円となり、営業損失378百万円となりました。

 

d.特別利益

当社が保有するTTGの株式の一部譲渡を関係会社株式売却益232百万円として計上したこと等により、特別利益は233百万円となりました。

 

e. 特別損失

特定の得意先向けに開発したクラウドサービス及びイノベーション事業の収益性の低下等により、両事業の固定資産に対して減損損失を計上しました。また、近時の業績を踏まえて、共用資産についても減損損失を計上しました。これらの結果、特別損失は137百万円となりました。

 

f. 当期純損失

主に、法人税等還付を受けたこと等により、当期純損失は291百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績・財政状態に関する概況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社の営業活動に関する資金需要のうち主なものは、コンサルティング業務やソリューション開発に従事する役職員の人件費、パートナー企業への委託料、販売及び営業活動によるものであります。また、当社の投資活動に関する資金需要のうち主なものは、研究開発活動、関係会社への投融資及び資本業務提携に伴う株式投資等であります。これらの資金は、主に営業活動で得られた資金及び手元資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行、資本市場からの調達をすることがあります。

当事業年度においては、当期純損失291百万円、営業活動によるキャッシュ・フロー360百万円のマイナスを計上しましたが、新株予約権の権利行使による資金調達を行いました。これらの結果、当事業年度末時点の現金及び現金同等物の残高は1,332百万円、自己資本比率66.9%、流動比率344.0%となり、事業の円滑な運営に必要な流動性を十分に確保しております。また、複数の金融機関との間で借入枠を有しており、緊急時の流動性を確保しております。これらにより、当社の事業運営や成長に向けた投資資金は適切に調達することが可能であります。

 

⑤ 次期の経営方針

2023年2月期は、これまで中長期的な成長に向けて蒔いてきた種から収穫を得ていくときと位置付けています。

コンサルティング事業は、2022年2月期第3四半期会計期間から新設部門が堅調に受注を増やしています。2023年2月期は、通期で新設部門の売上高の増加が寄与するほか、地域銀行とそのグループ会社、投資運用会社及びクレジットカード会社等の得意先からの受注も堅調に推移する見込みです。コンサルティングサービスとソリューションサービスをより柔軟に組み合わせ、さらに付加価値の高いサービスを提案していく方針です。

イノベーション事業は、ワンダーレジ-BOOKとEZレジの営業活動の成果が表れ、販売数を大きく伸ばす計画です。加えて、保有技術を活用した新サービスの開発を受託しており、開発の進捗や成果に応じて売上を計上する予定です。

当社は、DXに関する技術やノウハウの事業化及びオープンイノベーションを通じた事業創出並びにこれらの推進力の強化を目的に、2022年3月1日に「DX・地方共創事業部」を新設しました。2022年2月期から当該事業部の前身となるチームを立ち上げて、地方共創の取り組みに賛同する仲間づくりやビジネスモデルの考案と試行、得意先開拓に取り組んでおり、創設初年度から一定の売上を確保する見込みです。

なお、新型コロナウイルス感染症の再拡大や海外情勢の変化が当社事業に与える影響は限定的と考えています。一方で、半導体不足によって、ワンダーレジ-BOOKやEZレジの製造及び販売が制約を受ける可能性があります。

これらの結果、2023年2月期の業績見通しは、売上高は2,893百万円、利益面では、コンサルティング事業の増収効果とイノベーション事業の損益の改善により営業利益26百万円、経常利益22百万円、当期純利益16百万円を計画しています。

なお、2023年2月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期増減率及び2022年2月期実績値は記載しておりません。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

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