(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は1,556,882千円となり、前連結会計年度末と比べて62,538千円の増加となりました。流動資産は1,100,482千円となり、前連結会計年度末と比べて40,205千円の減少となりました。これは主に受取手形及び売掛金の減少53,610千円によるものであります。固定資産は451,466千円となり、前連結会計年度末と比べて100,513千円の増加となりました。これは主にソフトウエア仮勘定の減少92,070千円、ソフトウエアの増加128,877千円、投資その他の資産の増加69,463千円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は982,571千円となり、前連結会計年度末と比べて39,180千円の増加となりました。流動負債は567,541千円となり、前連結会計年度末と比べて147,519千円の減少となりました。これは主に短期借入金の減少150,000千円によるものであります。固定負債は415,030千円となり、前連結会計年度末と比べて186,700千円の増加となりました。これは社債の増加160,000千円、長期借入金の増加26,700千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は574,311千円となり、前連結会計年度末と比べて23,357千円の増加となりました。これは主に新株発行による資本金及び資本剰余金の増加14,080千円、親会社株主に帰属する当期純利益28,679千円の計上、及び配当金の支払いによる利益剰余金の減少13,941千円によるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度(2020年12月1日から2021年11月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策の中、緊急事態宣言の再発令や延長により経済活動の抑制が長期化、感染拡大の収束時期は未だ見通しが立たない状況が続いており、ワクチン接種が開始したことによる経済回復が期待されつつも、新たな変異株の出現による感染再拡大のリスクは解消されず、依然として先行き不透明な状況となっております。
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しており、あらゆる産業において、企業の競争力強化、業務プロセスの再構築、ビジネスモデルの変革に向けたIT需要は拡大していくことが見込まれております。
このような環境の下、当社グループは、コロナ禍における時差通勤・リモートワークの実施、WEB会議システムを活用した商談等により、感染拡大防止に努めつつ事業活動を安定的に継続してまいりました。しかしながら、緊急事態宣言期間が長期化する中、リモート営業においては商談リードタイムが伸長する傾向にあり、新規顧客の獲得及び新規案件の立上げに時間を要している状況が続いております。
システムインテグレーションサービスにおいては、既存顧客からの堅調な受注を背景に安定的な成長に向け、技術者教育制度による人材育成及び、パートナー企業との連携強化に努め、請負ビジネスの拡大と新規エンドユーザの開拓を積極的に推進しました。また、ソリューションサービスにおいては、コロナ禍におけるインサイドセールス活動の拡大、オンライン展示会でのリード獲得に注力し、販売店契約の増加や営業人員を増員し、受注拡大に向けた取り組みを実施し、新たな製品の研究開発、新サービスの提供に取り組み、更なる収益力向上に努めてまいりました。
また、2021年11月1日付で株式会社オレンジコンピュータを連結子会社化(当社の孫会社化)いたしました。これにより、組み込みソフトウエア開発の事業領域を補完し、当社グループの開発体制の充実を図ることで、更なる業容拡大に向けて取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、システムインテグレーションサービスの売上高は前期並みで推移しましたが、ソリューションサービスにおける新規案件の受注が鈍化したことにより、売上高3,865,268千円(前期比0.4%増)となりました。利益面では、システムインテグレーションサービスにおいては一部不採算案件が発生した影響による利益減少があったものの、プライム案件の受注が拡大したことにより回復傾向にある一方、ソリューションサービスにおいて、新規案件獲得が当初計画から遅れていることによる売上不足に伴う利益減少に加え、ソフトウエア償却費の増額並びに、広告宣伝等の販促費や新サービスの開発及び販売体制強化へ向けた先行投資を継続したことにより、営業利益59,633千円(同56.1%減)、経常利益60,796千円(同55.6%減)となり、また、当期において子会社本社移転費用16,779千円を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、28,679千円(同64.1%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、381,288千円となり、前連結会計年度末と比べて34,836千円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は128,736千円(前連結会計年度は40,330千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額44,016千円、減価償却費の計上額63,607千円、売上債権の減少額57,625千円による資金増加と、法人税等の支払額44,039千円の資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は144,452千円(前連結会計年度は82,354千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出95,247千円、その他投資活動による支出65,885千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は50,552千円(前連結会計年度は228,544千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金による収入100,000千円、社債の発行による収入295,973千円の資金増加と、短期借入金及び長期借入金の返済による支出207,600千円、社債の償還による支出132,000千円の資金減少によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注状況
当社グループの事業は、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。
サービス区分 |
当連結会計年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) |
|
販売高(千円) |
前期比(%) |
|
システムインテグレーションサービス |
3,500,593 |
101.1 |
ソリューションサービス |
364,675 |
93.7 |
合計 |
3,865,268 |
100.4 |
(注)1.当社グループは、情報サービス事業の単一セグメントであるため、サービス区分別の実績を記載しております。
2.サービス間の取引については、相殺消去しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年12月1日 至 2020年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社日立社会情報サービス |
528,542 |
13.7 |
676,994 |
17.5 |
富士通株式会社 |
536,614 |
13.9 |
547,913 |
14.2 |
株式会社NTTデータ・アイ |
463,949 |
12.0 |
402,217 |
10.4 |
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況について連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表作成のための重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルスによる影響は軽微であると判断し見積りを行っております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上高は3,865,268千円(前期比0.4%増)となり、売上総利益は801,461千円(前期比9.5%減)となりました。
主力のシステムインテグレーションサービスは、公共・通信・金融・エネルギー等の分野を中心に、社会インフラ系基幹システム開発及び、ネットワーク基盤構築の受注を柱にしており、安定した受注の確保を実現しています。当期は、主要顧客からの受注は堅調に推移している中、通信・金融分野の受注が減少した一方、公共システム運用案件及びエネルギー関連案件の受注が増加し、またエンドユーザとの直接取引となるDX支援案件が拡大したことにより、売上高は3,500,593千円(前期比1.1%増)となりました。
また、ソリューションサービスは、デジタルマーケティング、CADソリューション、認証ソリューション及びドローンソリューションなどのその他サービスを行っております。当期は、新サービスの開発及び販売体制強化へ向けた先行投資を継続して実施し、売上高は364,675千円(前期比6.3%減)となりました。各ソリューション別の状況は以下のとおりであります。
a.デジタルマーケティングサービス
デジタルマーケティングサービスは、デジタルブックの制作・配信並びに、紙媒体の電子化サービス、電子書籍化サービス、社内文書管理サービス、教育現場での電子教科書への対応及び、閲覧データ解析によるマーケティングツールとしても活用できる「Wisebook」のサービスを提供しております。当期は、サブスクリプション型クラウドサービス「Wisebook ONE」を4月にリリースし、社内文書のデジタル化を今すぐ始められるDX支援サービスとして新たなユーザの獲得に努めてまいりましたが、コロナ禍において商談リードタイムが伸長するなどの影響により、新規受注の獲得が当初想定より延伸となったため、売上高は99,356千円(前期比21.0%減)となりました。
b.CADソリューションサービス
CADソリューションサービスは、高機能で幅広い互換性を持つ2次元汎用CADである「DynaCAD」シリーズの開発・販売や自治体の電子化に伴うコンサルティング、紙図面の電子化サービスを行っております。当期は、自治体向け3次元CADの「DynaCAD CUBE」を3月にリリースし、自治体のCIM/i-Construction推進支援と受注拡大に努めてまいりました。その結果、CADソリューションサービスの売上高は191,273千円(前期比4.0%増)となりました。
c.認証ソリューションサービス
認証ソリューションサービスは、3D顔認証を始めとした生体認証機器の販売及びモバイル認証や非接触型ICカード入退管理システム、勤怠管理システムとの連携などによる総合的認証ソリューションサービスを提供しております。当期は、コロナ禍における感染拡大防止対策のための検温機能付顔認証システム関連の受注が堅調に推移しましたが、前期は大型案件の受注があったことから、売上高は62,131千円(前期比3.4%減)となりました。
d.その他ソリューションサービス
上記の他、ドローン操縦技術者講習等を実施するドローンソリューションサービスなどを行っております。当期は、Drone International Association(DIA)が国土交通省の定める所要の要件を満たし、8月に「講習団体」から「管理団体」に登録されるなど、積極的に事業拡大を推進してまいりました。その結果、売上高は11,914千円(前期比122.1%増)となりました。
売上原価及び売上総利益につきましては、システムインテグレーションサービスにおいては一部不採算案件が発生した影響による利益減少があったものの、プライム案件の受注が拡大したことにより回復傾向にある一方、ソリューションサービスにおいて、新規案件獲得が当初計画から遅れていることによる売上不足に伴う利益減少に加え、ソフトウエア償却費の増額などの影響により、売上原価は3,063,807千円(前期比3.3%増)となり、売上総利益は801,461千円(前期比9.5%減)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当社グループの販売費及び一般管理費は、人件費、賃借料、支払手数料が概ね8割を占めております。当期は、緊急事態宣言下での活動抑制による営業経費の圧縮があった一方、広告宣伝等の販促費や新サービスの開発及び販売体制強化へ向けた先行投資を継続したことにより、販売費及び一般管理費は741,827千円(前期比1.0%減)となり、営業利益は59,633千円(前期比56.1%減)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
営業外収益は、人材開発支援助成金などの助成金収入が大半を占めており、当期は7,228千円(前期比5.2%減)となりました。営業外費用は、金融機関からの借入金等に係る支払利息が大半を占めており、当期は6,066千円(前期比10.4%減)となりました。この結果、経常利益は60,796千円(前期比55.6%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、子会社本社移転費用16,779千円を特別損失に計上、法人税、住民税及び事業税は28,914千円、法人税等調整額は△13,577千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は28,679千円(前期比64.1%減)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等支払いを目的とした運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当しておりますが、資金調達が必要な場合には、案件の都度、金融機関からの借入又は新株発行による資金調達の検討を行っております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループの売上高の約90%はシステムインテグレーションサービスとなっております。システムインテグレーションにおいては、基準生産性を基にした工数管理が一般的な指標であることから、人月工数と売上高を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における上記指標は、人月工数の年間合計は5,502工数(前期比4.4%増)であり、その結果、売上高は3,500,593千円(前期比1.1%増)となりました。
これらの指標につきましては、引き続き改善できるよう努めてまいります。
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