3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の国内景気は、個人消費の一時的な回復基調がみられましたが、新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言の再発令等の影響で本格的な回復に至りませんでした。このような状況のもと、当社グループの事業につきましては、化学品セグメントは、基礎化学品とファインケミカルともに売上が増加しました。機能性材料セグメントは、ディスプレイ材料、半導体材料、無機コロイドが全て順調に推移しました。農業化学品セグメントは、増収となりました。医薬品セグメントは、「ファインテック」(課題解決型受託事業)は増収でしたが、創薬事業は減収となりました。
この結果、当期間における業績は以下の結果となり、営業利益、経常利益は8年連続、親会社株主に帰属する当期純利益は9年連続で、それぞれ過去最高益を更新し、2月に発表した業績予想値を上回りました。
(単位:百万円、百万円未満切捨て)
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」をご参照ください。
セグメント別概況は以下のとおりであります。
化学品セグメント
基礎化学品では、メラミン(合板用接着剤原料等)や尿素・「アドブルー ® *」(高品位尿素水)、高純度硫酸(半導体用洗浄剤)の売上が増加しました。ファインケミカルにおいても、「テピック」(粉体塗料硬化剤、封止材等)や環境化学品のシアヌル酸(消毒・殺菌剤原料)が好調でした。
この結果、当セグメントの売上高は376億48百万円(前年同期比57億39百万円増)、営業利益は37億96百万円(同23億13百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は3億円、営業利益は6億円の上ぶれとなりました。なお、基礎素材であるアンモニアの生産量は前連結会計年度を上回りました。
* アドブルー®はドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。
機能性材料セグメント
ディスプレイ材料では、「サンエバー」(液晶表示用材料ポリイミド)のノートPC、モニター向けが好調でした。半導体材料は、半導体用反射防止コーティング材(ARC ® *)及び多層材料(OptiStack ® *)が顧客の稼働好調を受けて増収となりました。無機コロイドは、「スノーテックス」(電子材料用研磨剤、各種表面処理剤等)、オルガノシリカゾル・モノマーゾル(各種コート剤、樹脂添加剤)ともに順調でした。
この結果、当セグメントの売上高は816億65百万円(前年同期比100億16百万円増)、営業利益は277億19百万円(同53億2百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は4億円、営業利益は4億円の上ぶれとなりました。
* ARC ® 、OptiStack ® はBrewer Science, Inc. の登録商標です。
農業化学品セグメント
フルララネル(動物用医薬品原薬)は、ロイヤリティ収入は好調でしたが、顧客在庫影響等により出荷が減少し、減収となりました。国内向け農薬は、「ラウンドアップ」(非選択性茎葉処理除草剤)が堅調な売上となりましたが、「アルテア」(水稲用除草剤)や「グレーシア」(殺虫剤)の出荷が減少しました。海外向け農薬は、「グレーシア」の販売が減少しましたが、「タルガ」(除草剤)、「サンマイト」(殺虫・殺ダニ剤)や「クィンテック」(殺菌剤)が好調に推移しました。加えて、昨年度第3四半期に買収した「ダイセン」(殺菌剤)が国内外ともに売上に貢献しました。
この結果、当セグメントの売上高は658億19百万円(前年同期比19億71百万円増)、営業利益は183億38百万円(同1億35百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は7億円、営業利益は10億円の下ぶれとなりました。
医薬品セグメント
「リバロ」(高コレステロール血症治療薬)原薬は、国内では増収となりましたが、海外では後発品の増勢の影響を受け減収となりました。「ファインテック」は、ジェネリック原薬が増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は66億30百万円(前年同期比22百万円減)、営業利益は9億47百万円(同5億90百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は2億円、営業利益は3億円の上ぶれとなりました。
卸売セグメント
当セグメントの売上高は804億37百万円(前年同期比106億16百万円増)、営業利益は29億3百万円(同4億4百万円増)となりました。業績予想比では、売上高は31億円、営業利益は4億円の上ぶれとなりました。
その他のセグメント
当セグメントの売上高は235億95百万円(前年同期比1億68百万円減)、営業利益は6億92百万円(同1億39百万円減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産実績については、「(1) 経営成績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
当社グループは原則として、受注生産方式を採用しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高の合計であります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、受取手形及び売掛金、商品及び製品、長期貸付金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比141億78百万円増の2,796億87百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金などの増加により、前連結会計年度末比67億30百万円増の716億78百万円となりました。
また、純資産は前連結会計年度末比74億47百万円増の2,080億9百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比1.3ポイント減少し、73.6%になりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費、運転資金の増減などから法人税等の支払額を控除した結果、419億49百万円の収入(前連結会計年度は399億39百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、工場などの設備投資を中心に123億95百万円の支出(前連結会計年度は128億54百万円の支出)となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、自己株式の取得による支出、配当金の支払、長期借入金の返済などにより278億68百万円の支出(前連結会計年度は256億29百万円の支出)となりました。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、換算差額の増加額5億91百万円を調整した結果、346億58百万円(前連結会計年度末は323億80百万円)となり、前連結会計年度末に比較して22億77百万円増加しました。
当社グループの資本の財源は、安定した事業活動から生みだされる営業キャッシュ・フローを主な源泉としております。2022年度においては、研究設備の充実や製造設備の増強等の資本的支出を予定しており、さらに毎年継続的に行っている自己株式の取得等の株主還元により資金の有効活用を図ると同時に流動性を保っていきます。
以上の営業活動・施策により、中期経営計画「Vista2021」の後半3ヵ年(2019年度~2021年度)のStageⅡにて掲げた以下の経営目標に対しほぼ順調に推移致しました
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
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