課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針
 お客様とともに成長するグループとして、誠実な企業風土が育む高いブランド力を磨き上げ、社会にとって有意義な事業活動を通じて企業価値の増大を図ってまいります。
 

(2) 中長期的な会社の経営戦略並びに会社の対処すべき課題

当社グループは、2016年4月に2030年を見据えた長期経営計画「Progress2030」並びに6ヵ年の中期経営計画「Vista2021」を始動しました。Vista2021の後半3ヵ年(2019年度~2021年度)のStageⅡでは、基本戦略である「成長の源泉となる製品の利益拡大」、「新製品創出力の強化」、「社会および市場の変化への対応力向上」に基づく諸施策を着実に実行し、多くの成果を獲得してきました。そして、最終年度となる2021年度の営業利益は、目標を80億円上回る、510億円となり、8年連続で最高益を更新、Progress2030で掲げた目標営業利益を、9年前倒しで達成しました。足元の業績は好調ですが、Progress2030のあるべき姿を実現する新規事業の創出には、未だ至っていないと言わざるを得ません。加えて、新型コロナウィルスの世界的感染拡大、カーボンニュートラル社会の実現への取り組み等により、社会構造、事業環境は急激に変化しています。

そこで、大きな事業環境変化を踏まえ、企業理念に立ち返り、2050年に視座を高めた長期経営計画「Atelier2050」、そしてその通過点となる2027年の姿を示す中期経営計画「Vista2027」を、本年4月よりスタートさせました。

まず、当社グループが目指す方向性と存在意義を明確化するため、企業理念(存在意義・パーパス)の表現を見直し、次の通り再定義しました。

「社会が求める価値を提供し、地球環境の保護、人類の生存と発展に貢献する」

 

「Atelier2050」では、カーボンニュートラルの達成、食糧問題の解決をはじめ、社会からの様々な要請に応え、次の100年に向けて成長し続ける企業グループを目指します。更に、企業発展の原動力として、社内外の知を融合し、挑戦し続ける企業文化を醸成します。これらを踏まえ、2050年のあるべき姿を次の様に描きました。

「人と自然の豊かさを希求し成長する未来創造企業」

「強い情熱で変革に挑む共創者集団」

 

事業領域は、「情報通信」、「ライフサイエンス」、「環境エネルギー」の成長事業に、基盤事業である「素材・サービス」を加えた4つとします。新しいコア技術を獲得し既存コア技術と融合、深化させることで、新製品、新規事業を創出、成長路線を築きます。また、社会課題解決に貢献する製品・サービスの拡大に加え、地球環境への負荷軽減に根差した経営により、地域を含め社会全体からの信用と評価の獲得を図ります。そして、あるべき姿を実現していく当社グループ社員の基本姿勢を定め、未来の創出に挑みます。

 

「Vista2027」では、前半3ヵ年をStageⅠ、後半3ヵ年をStageⅡとし、それぞれの最終年度の数値目標を、2024年度は売上高2,550億円、営業利益585億円、2027年度は売上高2,850億円、営業利益670億円と定めました。

そして2050年の企業像実現に向け、4つの基本戦略を次の通り設定しました。

1.事業領域の深掘りとマーケティング力の向上

2050年のあるべき姿の実現に向けた研究開発力と企画力の向上

2.サステナブル経営の推進

サステナブルに関わる取り組み・施策の組織的推進、関連情報の社内外への発信強化

3.価値創造・共創プロセスの強化

社員の意思疎通、業務効率の改善等に寄与する新たな価値の創造・共創を促す基盤・環境づくり

4.現有事業のシェア・利益の拡大

成長源泉となる現有製品の伸長と新製品の確かな育成等による収益性の向上

 

 

 

主要指標については、従来の主要財務指標に加えて、社会に貢献する製品・サービスを明確化した日産化学サステナブルアジェンダの拡大、2030年目標を2027年度に前倒したGHG排出量削減目標など、非財務指標を掲げます。サステナブル経営を強力に推進することで、事業、研究、製造、それらを支える堅実な事業基盤、全ての事業活動の総合力向上を図ります。

 

当社グループは、「社会が求める価値を提供し、地球環境の保護、人類の生存と発展に貢献する」という企業理念に基づき、経営の健全性と透明性の向上、コンプライアンスの徹底、環境への一層の配慮、社会貢献活動などをより強力に推進します。これからも、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループの実現に総力を挙げて取り組んでまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、株主からの受託資本の運用効率を示す指標である「自己資本当期純利益率(ROE)」、高付加価値企業としての指標となる「売上高営業利益率」を最重要指標と認識し、今後も収益力の一層の強化に向けた事業展開を推進してまいります。

自己資本当期純利益率(ROE)につきましては、2019年4月に始動した中期経営計画「Vista2021」のStageⅡにおいて2019年度以降は16%以上を維持することを目標としており、2020年3月期、2021年3月期、2022年3月期は達成しております。

なお、2022年4月に始動した中期経営計画「Vista2027」では、主要指標を以下のように定めております。

 

財務指標(2022年~2027年)

売上高営業利益率

20%以上

自己資本当期純利益率(ROE)

18%以上

配当性向

55%維持

(2021年度44.9%から引き上げ)

総還元性向

75%維持

 

 

非財務指標(2027年)

日産化学サステナブルアジェンダ

(社会課題解決に貢献する製品・サービスの合計売上高/全体売上高)

55%以上維持

GHG排出量の削減

2018年度比30%以上

(2030年度目標を3年前倒し)

社員意識調査の人材育成に関する質問への肯定回答者

65%以上

研究所女性総合職比率

18%以上

 

 

 

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