業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)における世界経済は、コロナ禍による部品不足や流通網の混乱が多方面に影響を及ぼし、また、資源・原材料価格の上昇という変動要因も加わりましたが、総じて回復基調が続きました。

わが国経済も、部品不足、半導体不足および原料価格上昇などの影響を受けながらも、回復に向け歩み始めましたが、年末には新型コロナウイルスの変異株による感染者数の増加がみられ、再び経済への影響が危惧される状態となりました。

このような情勢下、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は1,563億1千3百万円(前年度比17.2%増収)、営業利益は176億7千6百万円(前年度比43.3%増益)、経常利益は189億8千3百万円(前年度比45.4%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は137億7千1百万円(前年度比69.1%増益)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

基幹化学品事業

電解・硫酸製品は、経済・生産活動再開の流れにより、全体として販売数量が増加し、増収となりました。アクリルモノマー製品は、アクリルゴムや塗料向けなどをはじめとして、需要が回復し増収となりました。工業用ガスは需要回復により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は703億1千2百万円(前年度比20.2%増収)となりました。

営業利益は、原材料価格の高騰もありましたが、販売数量増や販売価格の是正により、79億9千2百万円(前年度比75.7%増益)となりました。

 

ポリマー・オリゴマー事業

アクリルポリマーは、自動車関連製品向けは年間を通じて需要が好調で、化粧品向けなども堅調な出荷となり、全体的に増収となりました。アクリルオリゴマーは、国内外において塗料や電子製品向けの販売数量が増加し、増収となりました。高分子凝集剤は、他社からの販売事業の承継もあり増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は349億4百万円(前年度比29.5%増収)となりました。

営業利益は、原材料価格高騰の影響もありましたが、52億7千6百万円(前年度比68.0%増益)となりました。

 

接着材料事業

瞬間接着剤は、家庭用は国内では前年並みの販売数量となりましたが、米国および中国で販売数量が増加し増収となりました。工業用瞬間接着剤は自動車部品向け需要が回復し増収となりました。機能性接着剤は、自動車部品向け需要が回復し増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は113億6千4百万円(前年度比13.0%増収)となりました。

営業利益は、広告宣伝費および研究開発費が増加し、6億6千6百万円(前年度比14.7%減益)となりました。

 

高機能無機材料事業

高純度無機化学品は、半導体向け出荷が好調で増収となりました。無機機能材料は、電子部品向けイオン捕捉剤や消臭剤の販売数量増により増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は97億5千2百万円(前年度比8.6%増収)となりました。

営業利益は、積極的な設備投資に伴う減価償却費等の増加により、26億2千7百万円(前年度比2.4%減益)となりました。

 

 

樹脂加工製品事業

管工機材製品および建材・土木製品は、前年並みの出荷となりました。ライフサポート製品は、入浴関連の介護製品の出荷が好調で増収となりました。エラストマーコンパウンドは、海外向け出荷が好調で増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は261億3千1百万円(前年度比3.3%増収)となりました。

営業利益は、原材料価格の高騰もありましたが、販売数量増などにより、14億3千3百万円(前年度比20.6%増益)となりました。

 

その他の事業

新規製品の研究開発事業、輸送事業、商社事業などにより構成される当セグメントは、売上高は38億4千7百万円(前年度比5.9%増収)、営業損失は2億9千9百万円となりました。

 

財政状態につきましては、当社グループの当連結会計年度末の資産合計は、「受取手形及び売掛金」および「現金及び預金」が増加しましたため、前連結会計年度末に比べ171億2千2百万円、7.1%増加し、2,589億5千5百万円となりました。

負債合計は、「支払手形及び買掛金」が増加しましたため、前連結会計年度末に比べ81億5千2百万円、18.4%増加し、523億4千3百万円となりました。

純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により「利益剰余金」が増加しましたため、前連結会計年度末に比べ89億7千万円、4.5%増加し、2,066億1千2百万円となり、自己資本比率は77.9%となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ27億3百万円増加し、当連結会計年度末には465億4百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金負担は増加しましたものの、税金等調整前当期純利益が増加しましたため、前連結会計年度に比べ収入が5億4千8百万円増加し、212億1千9百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が増加しましたため、前連結会計年度に比べ支出が11億2千3百万円減少し、102億3千9百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が増加しましたため、前連結会計年度に比べ支出が1億5千3百万円増加し、86億4千4百万円の支出となりました。

 

なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりです。

 

(参考)当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移

 

2019年12月

2020年12月

2021年12月

自己資本比率(%)

78.4

79.8

77.9

時価ベースの自己資本比率(%)

67.6

64.1

55.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.6

0.6

0.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

196.4

225.5

218.8

 

(注) 1  各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2  株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3  有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、利息を支払っている負債(リース債務を除く)を対象としております。

4  営業キャッシュ・フローおよび利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を用いております。

 

③生産、受注および販売の実績

(イ) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年度比(%)

基幹化学品事業

63,539

31.3

ポリマー・オリゴマー事業

32,059

25.8

接着材料事業

10,272

5.4

高機能無機材料事業

9,374

16.1

樹脂加工製品事業

24,696

5.8

合計

139,942

21.7

 

(注) 1  その他の事業につきましては、主としてサービス業ですので記載しておりません。

2  金額は、販売価格により算出しております。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(ロ) 受注状況

当社および各社は受注生産はほとんど行わず、主として見込み生産であります。

 

(ハ) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

構成比(%)

前年度比(%)

基幹化学品事業

70,312

45.0

20.2

ポリマー・オリゴマー事業

34,904

22.3

29.5

接着材料事業

11,364

7.3

13.0

高機能無機材料事業

9,752

6.2

8.6

樹脂加工製品事業

26,131

16.7

3.3

その他の事業

3,847

2.5

5.9

合計

156,313

100.0

17.2

 

(注) 1  総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成においては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積りおよび判断を行っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表で採用する重要な会計方針および会計上の見積りは、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は、全般的な出荷が好調に推移したことから1,563億1千3百万円(前年度比17.2%増収)となりました。

営業利益は、販売数量の増加に加え市況も堅調に推移したため、176億7千6百万円(前年度比43.3%増益)、経常利益は189億8千3百万円(前年度比45.4%増益)となり、営業利益・経常利益は過去最高に次ぐ水準となりました。なお、セグメントごとの売上高と営業利益につきましては、(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況をご参照ください。

また、特別損益で投資有価証券売却益が発生したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は137億7千1百万円(前年度比69.1%増益)と過去最高の数値に並ぶ結果となりました。

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性については、必要資金は自己資金のほか、金融機関からの借入などで確保しています。2022年は、川崎工場での工場用土地取得などの設備投資および自己株式の取得を予定しており、主に自己資金を充当する予定です。また、必要に応じて、当社グループの財政状態および市場環境等を考慮しながら、金融機関からの借入や資本市場からの資金調達などを総合的に勘案し、最適な方法で資金調達を実施する予定です。当社グループの資金の流動性については、グループ内資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的にキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、グループ全体の資金効率化を図っています。また、緊急時の資金調達手段の確保を目的として、一部の取引銀行と当座貸越契約を締結しており、代替調達手段を備えております。

 

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2020年から2022年を対象期間とする中期経営計画「Stage up for the Future」の数値目標に対する進捗は以下のとおりです。

(単位:億円)

 

2020年

実績

2021年

実績

2022年

予想※2

2022年

計画

売上高

1,333

1,563

1,663

1,630

営業利益

123

176

180

170

EBITDA

221

282

288

270

高付加価値製品比率(売上高)

43.3%

43.8%

43.9%

47.0%

設備投資額(累計額)※1

118

367

703

440

海外売上高

221

290

308

325

1株当たり純利益(円)

62.43

108.14

109.22

106.00

総資産経常利益率

5.3%

7.6%

7.3%

7.0%

 

 

※1 設備投資額は認可ベースの数値

※2 収益認識に関する会計基準未適用の数値

 

当連結会計年度は、コロナ禍による部品不足や流通網の混乱が多方面に影響を及ぼし、資源・原材料価格の上昇という変動要因も加わりましたが、総じて回復基調が続きました。このような情勢下、当期の売上高は前年を上回り、純利益は過去最高の数値に並ぶとともに、営業利益・経常利益は過去最高に次ぐ水準となり、中期経営計画の数値目標である営業利益、EBITDA、1株当たり純利益(EPS)および総資産経常利益率(ROA)を1年前倒しで達成いたしました。

中期経営計画の最終年度である2022年は、引続き新型コロナウイルス感染症への対策を徹底し、従業員の健康維持を図りつつ、安全、安定操業を維持継続するとともに、積極的な設備投資、研究開発の強化、海外連結会社の稼働率向上に努め、新事業の創出や高付加価値製品事業のさらなる拡大に取り組んでまいります。

 

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