文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で新しい幸せをあなたへ届けます。」に企業理念を改定し、顧客や社会の未来を見据え、化学事業を通じて新しい価値の創造と提供に挑戦し続ける価値創造型企業グループを目指すことを基本方針といたしました。
(2) 経営環境
当社グループを取りまく経営環境につきましては、コロナ禍による部品不足や流通網の混乱が多方面に影響を及ぼし、また、資源・原材料価格の上昇という変動要因も加わりましたが、総じて回復基調が続きました。しかし、年末には新型コロナウイルスの変異株による感染者数の増加がみられ、再び経済への影響が危惧される状態となりました。
今後の見通しとしては、ワクチン追加接種の前倒しなど感染症拡大防止策により、社会経済活動は活発化すると期待される一方、更なる変異株の出現が危惧され、不透明と言わざるを得ません。また、世界的なCO2削減の動きや、それに伴う自動車のEV化が加速しており、今後の需要動向に見合う製品の開発を促進する必要があります。
(3) 中期的な経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは、2020年から2022年までの3年間を対象とする中期経営計画「Stage up for the Future」を策定し、新事業創出と研究開発の機能をより一層強化することにより高付加価値製品事業のさらなる拡大を目指しております。
本中期経営計画の1年目である2020年は、瞬間接着剤を主体とした新製品開発および量産技術開発を拡充させるため「高岡創造ラボ」を開所するとともに、機能性接着剤の生産設備増強のため、高岡工場に新工場を建設いたしました。また、CO2を排出しない次世代燃料として期待される水素エネルギーの活用を推進するため、水素を産出する徳島工場で、水素ステーションの建設に着手いたしました。海外拠点のトウアゴウセイ・アメリカ・インクにおいては、省力化および効率化を目的に、家庭用瞬間接着剤(Krazy Glue)の自動ブリスター機を導入いたしました。
2年目となる2021年は、新ビジネスユニットの創出をスピードアップさせるため、新製品開発事業部を新たに設置するとともに、コア技術や新規材料の開発に注力するため、R&D総合センターに「第2技術開発ラボ」を開所いたしました。また、オープンイノベーションによる外部有望技術の導入および製品化に向け、バイオマテリアル企業への資本出資も行いました。既存事業におきましては、今後の需要拡大をみすえ、カセイカリ製造設備の増強に着手し、アクリル川下製品の展開を強化するため、高分子凝集剤の販売事業を他社から承継したほか、事業運営管理の効率化を図るため、連結子会社であった大分ケミカル株式会社を大分工場として吸収合併いたしました。
最終年度の2022年は、引続き積極的な設備投資、研究開発の強化および海外連結会社の稼働率向上に努め、中期経営計画の数値目標の達成に尽力するとともに、新たな成長に向けた新中期経営計画を策定いたします。
サスティナビリティに関しましては、気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しており、特に気候変動対策は当社グループにとって重要な経営課題の一つととらえ、社長を議長とする「サスティナビリティ推進会議」において重要項目として検討しております。また、「サスティナビリティ推進会議」の審議結果は、経営会議、取締役会に報告され、事業戦略の策定・経営判断、気候変動課題への対応策・目標に関し、審議、決裁されております。
上記体制のもと2021年には温室効果ガス(以下GHG)排出量削減目標を、「2030年に2013年比50%削減」「2050年にカーボンニュートラル(実質ゼロ)」と、新たに設定し、目標達成のためのGHG排出削減ロードマップを作成いたしました。
同時に、サプライチェーンを含めた3つの区分(Scope1-3)でのGHG排出量を算定し、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により、気候変動が当社の事業に及ぼすリスクと機会を把握し、今後の対応について明確にいたしました。これらを踏まえ、新たな目標の達成に向け、以下を今後の対応の柱とし、さまざまな面から施策を検討、推進してまいります。
·低エネルギー代替製造プロセスの開発、生産設備の自動化、省人化
·低GHG燃料への転換、再生可能エネルギーの導入
·自製水素の有効活用推進、水素関連事業拡大
·気候変動対策に資する製品(蓄電池関連、新素材等)の開発
具体的な事例といたしましては、水素エネルギーの活用推進策としての燃料電池車向け接着剤の開発と水素ステーションの建設、セルロースナノファイバーを低コストで製造するための技術開発など、持続可能で豊かな社会の実現に向けた取組みを進めております。
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