課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、企業理念「Materials Innovation-マテリアルを通じて価値を創造し、人間社会(人・社会・環境)に貢献します。」を着実に実現しうる企業として、経営の効率化と透明性・健全性の維持により継続的に企業価値を創造し、全てのステークホルダーから信頼され、満足される魅力ある企業の実現を目指しております。創業から現在までに築き上げてきた良き企業文化を継承するとともに、時代や環境、価値観の変化に迅速に対応できるスピード感のある経営に努め、マテリアルを通じて価値を創造するイノベーション・カンパニーとして、全てのステークホルダーの皆様の信頼に応えてまいります。当社グループでは、好奇心・寛容さ・適応力に基づく文化を今後も発展させ、責任ある企業市民であるために、単に経営の知見だけではなく、企業としてのありたい姿に不可欠なコアバリュー(基本的価値観)を示してまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標

<中長期的な会社の経営戦略>

 経営方針では、持続的(Sustainable)成長を目指しすべてのステークホルダーに価値を創造すること及びあらゆる環境変化に適応する強靭な(Resilient)組織を作ることをVisionとして掲げております。

 今後の社会の発展に重要であり、市場の成長が期待され、技術革新の要求が高くJSRグループの強みを発揮できる、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業をコア事業と定めました。2024年度の数値目標としましては、デジタルソリューション事業とライフサイエンス事業の拡大の結果、二事業で売上収益3,000億円以上、過去最高益の更新、全社で株主資本利益率(ROE)10%以上を目指します。また、各事業については投下資本利益率(ROIC)による投下資本リターンの管理を行い最大化を図っていきます。

 

(3)経営環境について

 2022年度も、新型コロナウイルス感染症の再拡大による国際情勢の変化やウクライナ情勢の緊迫化などの地政学的変動、グローバル各国での物価上昇の広がりによる需要抑制、各国の金利政策を受けた為替影響など不透明な状況が続く一方で、コロナウイルスのワクチン普及、ブースター接種や治療薬の利用拡大、米国での良好な雇用環境や資産市場などにより景気の下支えが期待され世界の経済成長は回復基調が見込まれています。

 そのような情勢の中、当社の対面市場である半導体市場につきましてはデジタルインフラの需要に支えられ、社会に不可欠なエッセンシャル事業として力強く成長することが見込まれています。また、ライフサイエンス分野も中長期的な観点で堅調な需要見通しに変わりはありません。合成樹脂事業の主要対面市場である世界の自動車生産台数は回復基調が続くと想定しております。

 このような事業環境の中、当社は、レジリエンスとサステナビリティを重ね持った企業体となるために更なる事業構造及び経営体制の強化へ向け、成長事業である半導体材料事業、ライフサイエンス事業について積極的な研究開発および事業投資を今後も実行してまいります。

 

(利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当)

 当社は、長期的視点に立って研究開発の強化に努め、新たな事業展開などにより企業の競争力強化を図り、会社の業績を持続的に向上させることが最も重要な課題であると考えております。株主還元につきましては、業績と中長期的な資金需要とを勘案し、株主の皆様への利益還元と会社の将来の成長のための内部留保とのバランスを考慮しながら決定してまいります。当期の期末配当金は、配当の安定性に鑑み、期末配当金1株につき35円とさせていただく予定であります。これにより、当期の年間配当金は1株当たり70円となります。次期(2023年3月期)につきましては、長期的な視点に立って当社の業績を持続的に向上させることを目的に、株主の皆様への還元と会社の将来の成長のための内部留保のバランスを考慮し、当期と同額の1株当たりの年間配当金は70円を予定しております。

 

(4)対処すべき課題

<デジタルソリューション事業>

  デジタルソリューション事業については、半導体材料事業は、従来通り最先端プロセス向けを中心に展開し、中でも3ナノメートル世代以降向けEUVフォトレジストにより注力し、リソグラフィー材料のグローバル市場でのシェアを維持・拡大に努めます。また、実装材料では、材料ポートフォリオを広げ、半導体チップの微細化や5G需要を確実に取り込むべく、販売拡大に努めます。2020年度後半に新規に稼働を開始した米国の機能性洗浄剤工場は立ち上げ遅延により減損を行いましたが、既に安定稼働を行っており、今後現地生産を拡大するとともにコスト最適化を図り、早期の収益安定化に注力します。更に米国工場での採用を梃に、当社グループとして洗浄剤事業のグローバルでの拡大を図ります。

  ディスプレイ材料事業は、顧客業界の変化に対応した構造改革を確実に実行したことで、引き続き液晶パネル市場の成長が見込まれる中国市場において、大型TV用液晶パネル向けに競争力のある配向膜、絶縁膜を中心に、販売の拡大を進めてまいります。

  エッジコンピューティング事業については、主にスマートフォンの小型カメラに使用されるNIRカットフィルターの更なる拡販などにより、事業拡大に努めます。

 

 

<ライフサイエンス事業>

  ライフサイエンス事業は、KBI、SelexisによるCDMO事業の新規受託拡大、パイプライン(先行契約)増加などの顧客基盤の拡大と業務の効率化、Crown BioのCRO事業における競争力あるサービスの拡大を中心として、売上収益及び利益率の更なる向上を図ってまいります。KBIは今期商業生産を見込む米国ノースカロライナ及びスイスジュネーブでの能力増強を活かして売上収益の向上に努めます。診断薬材料およびバイオプロセス材料のグローバルな採用拡大、MBLの診断薬事業の強化、また、JSR Bioscience and informatics R&D center(JSR BiRD)やJSR 慶應義塾大学 医学化学 イノベーションセンター(JKiC)などの研究活動なども合わせ、当社グループ一体となって力強い事業拡大を進めてまいります。

 

<次世代研究>

  RDテクノロジー・デジタル変革センターを中心にコンピュータ技術、データサイエンスの応用による研究開発業務全般の加速、新規事業創出に向けた高度な機能・特性を有する革新的材料の開発研究、JSR・東京大学協創拠点CURIEにおけるJSR製品開発の理論的な理解の探索を進めております。また、国内外の大学や研究機関との共同研究などのオープンイノベーションを推進しており、ライフサイエンス分野のJKiCでは、医学的見地と素材開発の知見を融合させて、様々な研究領域に取り組んでおります。更に、神奈川県川崎市の殿町国際戦略拠点 キング スカイフロントにJSR BiRDを設立しました。次世代医療およびマテリアルズ・インフォマティクスを軸とする新規事業創出にむけたオープンイノベーション拠点として、安全安心で豊かなデジタル社会、低環境負荷で持続可能な社会に貢献していくことを目指し、未来に向けた価値の創出に取り組んでおります。

 

(5)その他の対処すべき課題

▶持続性(サステナビリティ)と強靭化(レジリエンス)

 当社グループは、企業理念に立脚して様々なステークホルダー(利害関係者)と良好な関係を築き、信頼され、世の中に必要とされるグローバル企業となることを目指しております。企業理念を礎に中期的な成長および企業価値の向上を目指す一方、先行きが不確実で激変する経営環境の中で、組織の持続性(サステナビリティ)と強靭化(レジリエンス)をテーマとして事業活動を推進し企業価値の向上に努めます。

 

▶ESG課題への取り組み

E(環境)

 当社グループは、事業活動により顧客企業を通して、地球環境保全に貢献しています。また、2050年のGHG排出「実質ネットゼロ」※1を目指し、今後も積極的に挑戦していきます。2020年10月に賛同を表明したTCFD※2提言のシナリオ分析を活用して、気候変動がビジネスに与える影響を検討し、あらゆる局面に対応できるレジリエントな企業体制を構築します。

 ※1:最終的にCo₂の排出量をゼロにすること
 ※2:金融安定理事会(FSB)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース。2017年
6月、FSBは気候変動リスクが金融機関や企業、政府などにおよぼす影響を、財務報告において開示
することを求める提言を公表した。

 

 

■ 気候変動への取り組みとTCFDへの対応

 JSRグループは、社会が直面する気候変動問題を当社の最重要課題の一つと捉え、社内外の温室効果ガス排出量削減等に向けて積極的に取り組んでいます。化学素材の提供メーカーである当社グループは、保有する製造事業所や流通を通じての様々な気候変動への影響や、素材製品を通じた間接的な気候変動緩和など、自社に大きく係わりがある課題と認識しております。こうした中、当社グループは2020年10月にTCFD提言への支持を表明しました。TCFDによる提言は、脱炭素経済への移行に向けた持続可能な社会の発展に資するものと考えています。化学企業として気候変動に真摯に向き合い、事業活動が影響する機会・リスクを深く理解し行動するとともに、その取り組みの積極的な開示に努めてまいります。2021年に当社グループが宣言した2050年ネットゼロの達成とともに、製品を通したGHG排出量削減への貢献を目指してまいります。

 TCFD提言では、気候変動に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の各項目に関する情報開示が求められています。当社グループは、TCFD提言に沿って次のように対応を進めています。

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<ガバナンス>

 当社は、取締役会による監督体制の下、気候変動など経営上のリスクとなりうる課題に関して、適切な対応を検討し、実行する意思決定を行っています。2020年度よりサステナビリティ推進担当専任の取締役(CSO)を設置し、取締役会における監督を一層強化しています。

 サステナビリティ推進活動については、CSOを委員長とするサステナビリティ委員会にて、気候変動対応を含めたサステナビリティ活動への取り組みを検討、推進しています。この委員会での決議事項は、定期的に年間4回開催されるサステナビリティ推進会議にて報告・審議され、さらに重要事項は取締役会において報告されます。サステナビリティ推進会議は社長が議長を務め、各部門を担当する執行役員も参加し、当社グループのすべての事業と機能にわたる体制を以て運営しています。特に気候変動問題への対策については、中期経営計画や経営目標に落とし込み、取締役会で承認を受けています。その中期経営計画は年度毎の環境推進計画に落とし込まれ、その計画や目標に沿って各部門で施策を実行し、進行状況についてサステナビリティ推進会議で報告、議論され、その結果を取締役会で監督・モニタリングし、改善のフィードバックに繋げています。

※気候変動を含む審議があった取締役会の実績(2021年度)

 サステナビリティ(ESG)活動(気候変動対応含む)状況報告(6月)

 TCFD提言への取り組み状況報告(6月)

 サステナビリティ指標(KPI)および目標(気候変動対応含む)の設定報告(12月)

 サステナビリティKPI中長期計画策定報告(3月)

※気候変動対応と役員報酬の連動

 CEO、社長の年次賞与について、全社業績連動部分(90%)の他、全社的なサステナビリティ経営指標(GHG排出量の削減、DE&Iの推進等)に関する取り組みの進捗について非財務評価部分(10%)が設定されています。非財務評価部分については、報酬諮問委員会にて審議し、その評価結果を反映して非財務評価部分の支給額を0%から200%の範囲で取締役会において決定します。

<戦略>

 当社は気候変動に関する戦略・リスク管理・指標・目標を策定するために、2019年度よりTCFD提言に沿ったシナリオ分析に着手しています。2020年度には、気候変動重要性評価、気候変動シナリオ分析(定性把握)を終了し、着実に対応を進めてまいりました。しかしながら2021年度は、当社グループの評価対象としてきた主要事業領域(デジタルソリューション事業、ライフサイエンス事業、エラストマー事業、合成樹脂事業)のうち、最も気候変動の影響が大きいエラストマー事業が譲渡(カーブアウト)されることから、これまでの定性分析の結果を見直すことにいたしました。

 尚、全社のGHG排出量の大きなウェイトを占めていたエラストマー事業がカーブアウトしたことで、リスクが軽減する方向と考えることも出来ますが、手を緩めることなく引き続き十分な施策を打っていきます。また、2022年度は引き続き定量評価を進めるべく準備を進めています。

 一方で、気候変動への対応は世界的に猶予がない状況であることをJSRグループは認識しており、既にGHG排出量削減に対する対応策の策定と指標、目標の設定を先行させて実行に移しています。

(1)気候関連リスクの重要性評価

 当社グループ事業に関係する社会環境について、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)における気候変動による影響評価を行いました。

*外部情報として、IPCC_RCP2.6、RCP8.5、IEA_B2DSなどを活用

(2)気候変動シナリオ分析(定性把握)

 気候関連リスクの重要性評価に基づき、気候変動の事業に対する影響についてシナリオ分析を行いました。昨年のシナリオからの見直しとして、エラストマー事業を対象から外しました。

1)評価対象

 当社グループの主要事業領域として、デジタルソリューション事業、ライフサイエンス事業、合成樹脂事業を選定致しました。

2)評価実施方法

 ① 前提となる社会経済シナリオから関係事業への影響シナリオを策定し、事業別に影響度を把握しました。

 ② さらに、発生の可能性、事業へのインパクト(人的損失、財務的インパクトなど)を踏まえ、特に重要なリスク・機会を抽出し、JSRグループの対応の方向性を定めました。その際、国際的な議論の動向、展開地域、他社事例なども考慮しました。

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<リスクマネジメント>

 JSRグループは、重大な危機の発生を未然に防ぐこと、および万一重大な危機が発生した場合に事業活動への影響を最小限に留めることを経営の重要課題と位置づけ、「リスク管理規程」を定め、「リスク管理委員会」を中心にリスクマネジメントを行っています。2009年度より独自のリスクマネジメントシステムを運用し、リスク管理委員会主導のもと、定期的にグループ企業を含む国内外全部門において、リスクの洗い出しを行っています。経営への影響度と発生頻度で表すリスクマップを活用し、洗い出されたリスクのうち事業継続に大きな影響をおよぼす可能性があるリスクを「JSRグループ重要リスク」と位置づけ、経営層自ら把握したリスクのモニタリングと定期的な見直しで、未然防止と危機発生に備えた体制の構築と維持を図っています。気候変動に関するリスクもこれらに含まれていますが、本年度に予定しているシナリオ分析の定量的な結果は顕在するリスクとして統合され、より的確なリスクマネジメントに繋げていきます。リスクマネジメントの詳細につきましては、サステナビリティレポートのリスクマネージメントをご参照ください。

 機会に関しては、気候変動に対する社会の対応がJSRグループが展開している事業環境を大きく変化させていくことを予想していますが、それらを新たな事業機会と捉えています。将来に向けた技術研磨と技術イノベーションをタイムリーに社会に提案していくことで事業拡大に繋げてまいります。

<指標と目標>

 当社グループは、2050年度までに自社排出分のカーボンニュートラルを目指すことを表明するとともに、そのマイルストーンとして、2030年中間環境目標と各年度ごとのGHG排出量削減計画を策定しました。GHG排出削減実績については、サステナビリティレポートの気候変動緩和をご参照ください。

 2050年目標

 我々JSRグループは2050年 GHG排出「実質ネットゼロ」目指し、今後も積極的に挑戦していきます。

 2030年中間目標

 省エネルギー対策や再生可能エネルギーへの転換をグローバルに推進することを主体に、2030年度 CO₂排出量について2020年度比30%の削減を目指します。また、革新的なエネルギー技術導入に挑戦するとともに、環境対応型の事業製品を推進し低炭素・循環型社会の形成に貢献しています。

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S(社会)

 当社グループは、持続的成長を目指しすべてのステークホルダーにとって価値を創造し、あらゆる環境変化に適応できる強靭な組織を築き上げるため、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを尊重し、すべての従業員個々の可能性を最大限に引き出すことに注力しております。今後も、従業員ひとりひとりが健康でエンゲージメント※3の高い状態を維持できるよう、各種取り組みを継続的に行います。この取り組みを支援するために、2020年度には初めてグループ全体の従業員エンゲージメントサーベイを実施しました。従業員のエンゲージメントに影響する因子を解析し、各種施策等への反映や、各部門やグループ会社の課題発掘のため、従業員エンゲージメントサーベイは2022年度以降も継続いたし  ます。また企業存続の前提は従業員の健康であると再定義し、従業員個々の健康ニーズをサポートする「JSR Health Promotion」活動の強化に取り組んでまいります。このような取り組みを通じて、競争力強化と企業価値向上を目指してまいります。

 ※3従業員が企業理念や方針を理解し、企業を信頼して貢献意欲を持っている状態

 

G(コーポレート・ガバナンス)

<取締役会の概要>

 当社の取締役会は代表取締役CEOを含む5名の社内取締役と、経営執行および財務活動に精通した4名の独立社外取締役から構成されており、1名の常勤監査役と財務・会計・税務および会社法を含む法務の専門家2名の独立社外監査役が毎回出席しております。
 グローバル化、IT化、デジタル化等の事業環境の急速な変化に対応すべく、メンバーの過半数を独立社外取締役で構成し、筆頭独立社外取締役が委員長を務める指名諮問委員会からの答申に基づき、2021年度には外国籍社外取締役が選任されるなど、取締役会のさらなる多様性の拡充を進めております。

 

<当社グループの経営体制の継承と評価(指名諮問委員会の取り組み)>

 指名諮問委員会は、筆頭独立社外取締役を委員長とし、独立社外取締役4名(委員長含む)、代表取締役CEOおよび代表取締役社長兼COOの6名で構成され、CEOおよび社長の選解任、取締役会の構成及び選任や当社グループの経営体制、重要な経営ポストの継承計画について客観的かつ長期的に検討を行っております。

 2021年度についても、CEOおよび社長から同委員会に対する年間経営活動報告が行われ、年間経営活動に対する評価を行いました。また、今後の経営層の後継者計画や取締役会の構成及び選任等に関する検討を行いました。

 

<役員報酬体系の合理性と透明性の確保(報酬諮問委員会の取り組み)>

 報酬諮問委員会は、筆頭独立社外取締役を委員長とし、独立社外取締役4名(委員長含む)、代表取締役CEOおよび代表取締役社長兼COOの6名で構成され、外部機関からデータおよび助言を受けて、毎年度の業績などを考慮しながら公平、透明性、かつ競争力を持った報酬制度および報酬額、役員報酬の基本方針の取締役会への答申を行っております。

 2021年度は、例年通り、ベンチマークデータに基づき報酬制度および報酬額、または役員報酬の基本方針の妥当性の確認を行うとともに、新たな業績連動型の株式報酬の導入などの報酬制度の改定に取り組みました。

 

<当社取締役会の実効性評価の結果概要について>

 当社取締役会では、毎年、取締役会の実効性評価を実施し、実効性の向上を通じて、当社の企業価値の最大化を図っております。2021年度の実効性評価の結果、当社の取締役会は有効に機能しているとの結論を得ました。今後も実効性評価を実施してまいります。

 

<政策保有株式の縮減>

 個別の政策保有株式につき、保有目的、リスク・リターン、資本コスト等を考慮し、取締役会において政策保有株式の保有状況および保有方針を確認し、最適化を進めております。

 

<危機管理の取り組み>

 当社は、平時および有事におけるBCM/BCP体制をまとめたBCM規程を制定しております。本規程では、BCMを統括する組織や運用体制、BCPとして目標復旧時間・BCP発動と解除の基準・BCP発動時の組織体制・重要事業と重要業務などについて定めております。新型コロナウイルス対応において、当社グループは世界の基幹産業を支える素材産業として、日本、アジアおよび欧米の当社グループの主要製造・研究・開発拠点の稼働を維持するための行動規範の制定、保護具の供給および着用の徹底、全世界の従業員との情報共有、各拠点での在宅勤務環境の整備など安全に企業活動ができるよう、自社の経済活動の継続に努めました。また、ロシアのウクライナ侵攻に伴う各国の制裁・規制強化に対しては、日本、アジアおよび欧米の当社グループの原料調達や輸送などサプライチェーンへの影響、顧客への影響確認、欧州駐在員ならびにその家族への対応、従業員に対するサイバー攻撃への注意喚起などの施策を実施いたしました。

 今後とも世界各拠点の文化の違いや独自性を尊重しつつ、情報の一元管理を行い適切なアクションに繋げることで、危機管理および事業継続に努めてまいります。

 

 以上のような課題に対して確実に取り組み、CEOおよび社長のリーダーシップの下、グローバルに遅滞なく遂行してまいります。

 なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

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