業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 

① 経営成績の状況

 当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の再拡大の中、行動制限の緩和が進んだことにより、個人消費を中心に景気は回復基調の兆しが見られました。しかし一方で、ウクライナ情勢の長期化や中国のゼロコロナ政策に加えて、世界的な金融引き締め政策に伴う急激な為替の変動などにより、物価上昇が進行し今後の国内経済の回復は不透明な状況にあります。当社が事業展開するエンターテインメントサービス関連の市場においては、趣味嗜好の多様化やグローバル化がより一層進行し、市場内での競争も激化することが予想されます。

 当社は「楽しいね!を、世界中の日常へ。」というミッションを掲げ、世界中の一人でも多くの人々の日常に、家族や友達と「楽しいね!」と笑いあえるひとときを届け、国・言語・文化・年齢・性別などあらゆる壁を越えて誰もが楽しめるプロダクト・サービスを創り、コミュニケーションを通じた「笑顔」を世界の隅々まで広げることを目指しております。

 このような中、当社のエンターテインメントサービス事業においては、2022年7月に、当社初のチャレンジとなる『全世界同時配信・同時運営』の自社開発(オリジナル)タイトルとなる「アリスフィクション」をリリースいたしました。リリース後、一定規模のユーザー獲得に向けた施策の一環として大型の広告投資も行いましたが、想定していたユーザー数を獲得することができず、また、リリース後に発生した不具合の影響もあり、同タイトルの今期売上高は約1,140百万円と想定しておりましたが約480百万円となり想定を下回りました。費用面では、リリースまでの開発投資は期初想定内で推移いたしましたが、前述の広告投資によるユーザー基盤の確保を優先した結果、通期で広告宣伝費を約440百万円と想定しておりましたが、約830百万円となり想定を上回りました。

 当社オリジナルタイトル「クラッシュフィーバー」は、ユーザー満足度向上に努め、日本版、繁体字版、英語版によるグローバル展開を推進するとともに、同タイトルの中長期的な運営に取り組んでおり、全世界のダウンロード数は1,400万を突破いたしました。2022年5月には「クラッシュフィーバー」における協業パートナーであるプラスユー株式会社との業務提携を解消し、当社単独での運営に移行しております。同タイトルのMAU(注1)については、他社IP(注2)とのコラボイベントが堅調に推移したものの、第3四半期までの下方トレンドを挽回するには至りませんでした。

 LINE株式会社との協業タイトル「ジャンプチ ヒーローズ」は、日本版及び繁体字版を配信しており、全世界のダウンロード数は2,000万を突破しておりますが、MAUは日本版の周年イベント等で堅調に推移し、概ね計画どおりとなりました。

 また、2020年9月に株式会社サムザップとの協業タイトルとして配信開始した「この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ繁体字版」は、MAUの減少傾向が続いており、2022年11月にサービス提供を終了することを決定しております。受託開発を進めていた株式会社サイバーエージェント等と共同のメディアミックスプロジェクト「テクノロイド」のスマートフォンゲーム「テクノロイド ユニゾンハート」は2022年1月に配信を開始しております。

 中長期的な収益の拡大に向けた新規開発としては、コンシューマー系ゲーム開発会社との共同事業による新規タイトルの開発も開始しております。

 以上の結果、当事業年度の売上高は3,422,040千円(前年同期比4.6%減)、営業損失は1,272,138千円(前事業年度は営業利益260,618千円)、経常損失は1,291,273千円(前事業年度は経常利益261,057千円)となりました。当期純損失は、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を一部取崩し、法人税等調整額を591,419千円計上したことにより、1,887,307千円(前事業年度は当期純利益825,457千円)となりました。

 なお、当社はエンターテインメントサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注)1.MAU:Monthly Active Userの略。月に1回以上利用があったユーザー数。

(注)2.IP:Intellectual Propertyの略。著作権等の知的財産権のこと。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末の流動資産は2,232,678千円となり、前事業年度に比べ458,661千円減少しました。これは主に、2022年7月に「アリスフィクション」をリリースしたことにより売掛金が249,925千円増加したものの、「② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、営業活動及び投資活動の結果使用した資金が、財務活動の結果獲得した資金を上回る結果となり、現金及び預金が643,822千円減少したことによるものであります。

 固定資産は766,910千円となり、前事業年度に比べ253,014千円減少しました。これは主に、「クラッシュフィーバー」に係る共同運営権譲受により運営権が326,666千円増加したものの、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を一部取崩し、法人税等調整額を591,419千円計上したこと等により、繰延税金資産が611,411千円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は2,999,589千円となり、前事業年度に比べ711,676千円減少しました。

 

(負債)

 当事業年度末の流動負債は1,820,460千円となり、前事業年度に比べ682,996千円増加しました。これは主に、前受金が274,870千円減少したものの、「アリスフィクション」のリリース直後の広告投資等により未払金が788,543千円増加し、さらに1年内償還予定の社債が194,000千円増加したことによるものであります。

 固定負債は751,261千円となり、前事業年度に比べ542,916千円増加しました。これは、財務体質の強化を図り、中長期的な事業成長に向けた必要資金を確保することを目的とした資金調達を実施したことにより、社債が326,000千円、長期借入金が216,916千円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は2,571,721千円となり、前事業年度に比べ1,225,912千円増加しました。

 

(純資産)

 当事業年度末の純資産は427,868千円となり、前事業年度に比べ1,937,588千円減少しました。これは主に、当期純損失の計上及び配当金の支払い等により、繰越利益剰余金が1,852,620千円減少したことによるものであります。

 

 上記説明には、収益認識会計基準等の適用による影響額が含まれており、当期首残高への影響額は主に、仕掛品219,803千円の減少、前受金285,137千円の減少、利益剰余金45,342千円の増加であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ643,822千円減少し、1,203,499千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、890,000千円(前事業年度は17,034千円の獲得)となりました。これは主に、未払金の増加額789,958千円による収入があったものの、税引前当期純損失の計上1,291,273千円、売上債権の増加額249,925千円による支出があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、399,567千円(前事業年度は83,518千円の獲得)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出350,000千円、有形固定資産の取得による支出30,321千円、敷金及び保証金の差入による支出19,402千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、645,745千円(前事業年度は684,908千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出263,209千円、自己株式の取得による支出99,958千円、社債の償還による支出80,000千円があったものの、社債の発行による収入584,650千円、長期借入れによる収入500,000千円があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 販売実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

販売高(千円)

前期比(%)

3,422,040

95.4

 (注)1.当社の報告セグメントは、エンターテインメントサービス事業のみであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年9月1日

至 2021年8月31日)

当事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

Apple Inc.

1,144,129

31.9

1,089,534

31.8

Google LLC

1,208,053

33.7

1,074,954

31.4

LINE株式会社

1,204,185

33.6

1,017,190

29.7

 (注)主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の分析

 当社の報告セグメントは、エンターテインメントサービス事業のみであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

(売上高)

 当事業年度の売上高は、3,422,040千円(前期比4.6%減)となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご確認ください。

 

(売上原価及び売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、主に新規タイトルリリースに伴う外注費の増加により3,243,281千円(前期比16.7%増)となりました。これらの結果、売上総利益は178,759千円(前期比77.8%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、主に新規タイトルリリースに伴う広告宣伝費等の増加により1,450,897千円(前期比166.0%増)となりました。これらの結果、営業損失は1,272,138千円(前事業年度は営業利益260,618千円)となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご確認ください。

 

(営業外損益及び経常利益)

 当事業年度の営業外収益は、主に補助金収入、為替差益が減少したことにより4,294千円(前期比63.4%減)となりました。営業外費用は、主に社債発行に伴う費用が増加したことにより23,429千円(前期比107.4%増)となりました。これらの結果、経常損失は1,291,273千円(前事業年度は経常利益261,057千円)となりました。

 

(特別損益及び当期純利益)

 当事業年度において特別利益及び特別損失は発生しておりません。

 また、2022年8月期において企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」における会社分類の変更を行い、当事業年度及び今後の業績動向を総合的に勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を一部取崩し、法人税等調整額591,419千円を計上しました。これらの結果、当期純損失は1,887,307千円(前事業年度は当期純利益825,457千円)となりました。

 

③ 財政状態の分析

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ 財政状態の状況」をご確認ください。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の主な資金需要は、アプリ・ゲームの開発・運営に係る人件費や外注費、広告宣伝費等であります。これらの資金需要に対しては、自己資金のほか、金融機関からの借入や社債の発行及び新株発行による調達を併用し十分な資金の流動性を確保することを基本方針としております。

 新株予約権の権利行使により、当事業年度において12,024千円の資金調達を行っております。

 また、運転資金として金融機関より総額500,000千円の長期借入及び総額600,000千円の社債の発行を実施しております。

 なお、調達した資金は、流動性確保のために主に普通預金で運用することとしており、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,203,499千円となっております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 なお、当事業年度は、「アリスフィクション」の計画未達を主因に、会社全体で当初計画を下回ることとなりました。この結果を厳粛に受け止め、2023年8月期は「通期の営業黒字化」の徹底を目指します。「アリスフィクション」の売上高の年間フル寄与による通期での当事業年度比増収、また、上半期において「アリスフィクション」の費用圧縮の移行途中でありますが、通期では投資対効果に見合った運営費と効果的な広告投資に努め、新規開発投資等を含め費用コントロールに努めてまいります。

 

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