有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
<リスク管理体制>
当社グループは、事業上のリスクに対しては経営会議、企業運営上のリスクに対してはリスク・コンプライアンス委員会において協議を行い、その結果を取締役会に報告しております。
なお、これらのリスク管理体制等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
<経営戦略遂行上のリスク>
当社グループの経営戦略遂行上のリスクとして、以下を認識しております。
(1) 経営成績の変動要因について
当社グループの経営成績は、経済情勢や景気変動、技術革新、顧客企業のIT投資動向、大型案件の採算性等に影響を受けます。また、当社グループの基幹事業である情報サービス事業のシステムインテグレーションサービスおよびERP事業は、知識集約型の業務であると同時に労働集約的な面があり、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保が不可欠であります。当社は、プロフェッショナルサービスを提供するため技術者を社員として多数抱えており、人件費等の固定費水準が高いため、売上高が減少した場合は利益の変動額が大きい傾向があります。このため、市場の変化や急速な技術革新に当社グループが適切に対応できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社におきましては、顧客企業のIT投資動向、技術進化動向、大型案件の採算性等を注視するとともに今後はパッケージ化したサービスの販売など、技術者数に直接依存しない収益モデルを拡大させること等により、これまで以上に付加価値の高い知識集約型ビジネスを展開し、固定費水準の適正な管理を図っております。
(2) 経営成績の季節変動要因について
当社グループの基幹事業である、情報サービス事業のシステムインテグレーションサービスおよびERP事業は、大型案件等の顧客企業の予算執行タイミングおよび当社グループ事業会社の開発工期との関係から、第2四半期会計期間から第4四半期会計期間に売上計上が集中し、営業利益が下期に偏重する傾向があります。
(3) 事業内容について
① 受注構造の変化について
当社グループが属する情報サービス業界は、一部の大手企業と何階層にもわたる中堅・中小企業群という階層構造で成り立っており、当社グループにおける情報サービス事業のシステムインテグレーションサービスやERP事業は主に二次請けとして案件に参画しております。しかしながら、今後のシステム開発において、インフラとアプリケーションのクラウド化や、ツールの活用による効率化・自動化などが進展し、大手元請企業による二次請け活用が縮小した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、上記の既存ビジネスで収益を確保していくとともに、新たなニーズに呼応した新規ビジネスとして「デジタルトランスフォーメーション関連のサービス型ビジネス」を推進し、従来からの顧客企業IT部門や大手システムインテグレータとのビジネスに加え、顧客企業事業部門とのダイレクトビジネスを拡大してまいります。
② プロジェクト採算の管理について
当社グループの情報サービス事業およびERP事業におけるシステム構築業務においては、見積時点では想定できなかった事態の発生により受注時の見積工数・期間を超過し、プロジェクトの採算性悪化や、債務不履行による損害賠償請求、契約の解除等につながるおそれがあります。また、システム構築に際しては、予期せぬ不具合等が発生した場合、瑕疵担保責任等の法的責任を負うことにより、補修の追加コストが生じる場合があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、見積精度の向上およびプロジェクト管理の強化に努めており、専門組織において、受注リスクに関する評価を実施するとともに、プロジェクトレビューにより進捗・課題・リスクの状況とその対策等を総合的に評価および支援を実施し、不採算案件の発生防止に努めております。
③ 製品およびサービスのライフサイクルについて
a. 情報サービス事業 マスターファイルソリューションサービス
当社グループでは、住所マスターを40年以上前に開発し、長年、当社グループの業績に寄与してまいりました。しかしながら、製品のライフサイクルは成熟期を過ぎ、製品の主要な顧客である地方金融機関の統合により、顧客数も最盛期から減少しております。さらに、2020年の独占禁止法の適用除外を認める特例法により地方金融機関の経営統合本格化による顧客金融機関数の減少、他社製品への切り替えのリスクがあり、当該マスター市場の縮小が急速に進んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループと致しましては、一方で見込まれる顧客金融機関等の住所マスター製品の切り替え時の住所コード付番処理等のシステム移行関連業務の特需発生可能性を最大限に獲得する計画であります。
b. デジタルマーケティング事業
当社グループのデジタルマーケティング事業は、同事業が属する業界が競争の激しい市場であるとともに技術革新のスピードが速いことから、提供するサービスのライフサイクルが短いといった特徴を有しており、提供するサービスが陳腐化したり新技術への対応が遅れたりした場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客企業との情報共有に努めてサービス内容の充実を図るとともに、Google社を始めする広告プラットフォームの技術動向を注視して新技術への対応に取り組んでおります。
④ 特定製品への依存について
当社グループのERP事業では、SAPジャパン株式会社とパートナー契約を締結し、同社のパートナー企業としてSAP導入支援サービスに注力しております。SAP社のERP製品は、ERP市場において長期間に渡り市場占有率の高い製品であり、今後短期間で急速に訴求力が低下する可能性は低いと考えますが、仮に同社製品の市場における訴求力が大きく低下した場合や、同社の新製品に対して当社グループが適切に対応できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループと致しましては、旧バージョン製品である「SAP ERP」の保守サポート期限が2025年から2027年に延期されたことによるSAPユーザー企業の動向等を注視するとともに、当社グループによる保守サービスの充実および最新バージョン「S/4 HANA」への対応をさらに進めてまいります。
⑤ 新規性の強いサービスに伴うリスクについて
当社グループにおける情報サービス事業のプラットフォームソリューションサービスやデジタルマーケティング事業については、技術革新や顧客ニーズ及びビジネスモデルの変化に対応するため、新規性の強いサービスを創出することに特化して取り組んでいく方針であります。しかしながら、新規性の強いサービスにおいては採算性に不透明な点が多く、結果的に当初予想した収益が得られない可能性があります。また、新たな人材の採用、システムの購入や開発、営業体制の強化など追加的な投資が必要とされ、安定した収益を生み出すまでにある程度の時間を要する可能性があること等が予想されます。
当社グループでは新規性の強いサービスの開始において、市場動向や顧客のニーズ、当社グループの優位性、収益性や成長性の観点から事業戦略を検討し、各事業の担当会社から週次で業績状況の報告を受ける等のモニタリングを実施し、経営会議、取締役会等において議論を重ね、必要に応じて速やかに対応策を検討する体制を構築することにより、リスクの低減を図っております。
⑥ 特定媒体への依存について
当社グループのデジタルマーケティング事業においては、主にGoogle社が運営するプラットフォームを活用したサービスを提供しております。そのため、当該プラットフォームのサービス停止その他の基準変更等が行われた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、Google社との良好な取引関係の維持に努めるとともに、同社の事業方針やサービス内容の動向を常に注視し、同社におけるサービスの変更や停止、その他の基準変更等に継続的に対応しております。
(4) 事業体制について
① 人材の確保と育成について
当社グループの事業運営にあたっては、一定水準以上の専門技術、知識を有する技術者要員を確保する必要があります。しかしながら、近年の少子高齢化、労働力人口の減少に加え、働き方の多様化等により、優秀なIT人材の確保に向けた競争は激しくなっており、仮に十分な人材を確保・育成ができない場合や中核となる人材の流出等があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新卒採用及び中途採用等の計画的採用活動により人材の確保を図ると同時に、階層別研修、技術研修やOJT等により専門性の高い技術者の育成に注力し、「働きやすさ」「働きがい」の2つの視点で人事評価制度および報酬制度を構築し、従業員の成長意欲に応えることに努めております。
② 協力会社の確保について
当社グループの情報サービス事業のシステムインテグレーションサービスおよびERP事業において、顧客の多種多様なニーズに対応すること等を目的として、業務の一部について当社グループ社員の管理統括のもと、信頼できるパートナーと位置付ける協力会社へ外注をしております。しかしながら、協力会社から十分な技術者要員を確保できない場合、あるいは協力会社における問題等に起因してのプロジェクトの品質低下又は遅延等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、協力会社の確保及びその連携体制の強化が図る仕組みとしてパートナー会を運営し、協力会社との情報共有および協力会社の新人教育支援等により、協力会社との関係構築を図っております。
③ 従業員の安全衛生について
ソフトウェア等の開発プロジェクトにおいては、当初計画にない想定外の事象が発生すること等が原因で、品質や納期を厳守するために法定内での時間外労働等が生じることがあります。仮に、やむを得ない事情によりこのような事象が発生した場合には、それらに起因する健康問題の発生や生産性の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、労働安全衛生法その他法令や通達等を遵守し、安全衛生管理に努めております。また、時間外労働や休日労働につきましては、労働時間管理を徹底し、顧客との調整や作業分担の見直し、および従業員のローテーション等により、労働時間の抑制に努めております。
(5) 今後の事業展開について
① 事業再編のリスクについて
当社グループでは、社内外の事業環境の変化等に応じて、持続的な成長の実現と安定した収益の確保を目的とした既存ビジネスの再構築を図っておりますが、当社グループが新たな事業の創出や、新製品・新サービスを開発するためには投資が先行する場合があり、それに伴いコストが増加する可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業再編にあたって、市場動向や顧客のニーズ、当社グループの優位性、収益性や成長性の観点から事業戦略を検討し、各事業の担当会社から週次で業績状況の報告を受ける等のモニタリングを実施し、経営会議、取締役会等において議論を重ね、必要に応じて速やかに対応策を検討する体制を構築する体制を構築しております。
② 投資先の業績によるリスクについて
当社グループでは「グループ展開力の強化」「先進的外部企業との提携強化」を目的として、当社グループ外企業への戦略投資を行っております。その実行においては、市場動向、収益性や成長性、当社グループとのシナジーの観点から投資先を選定し、対象企業及び事業について外部機関の評価を含む財務、法務等のデューデリジェンス(適正価値精査)を実施し、十分な精査、検討を行うことによってリスク低減を図っております。また、投資先から業績状況の報告を受ける等のモニタリングを実施しており、必要に応じて速やかに対応策を検討する体制を構築しております。
<一般的なリスク>
当社グループの経営および事業運営上のリスクとして、以下を認識しております。
(1) 自然災害およびシステム障害等について
地震、火災、水害等の自然災害や、戦争、テロ、感染症の流行等により、当社グループにおいて人的被害又は物的被害が生じた場合、又は、外部通信インフラ、コンピュータネットワーク等の障害が生じた場合等の事由によって、当社グループの事業継続に支障が生じる場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、安否確認システムの導入や災害備蓄等、事業継続のための体制を整備しております。また、リスク・コンプライアンス委員会において、リスクの評価、対策等、広範なリスク管理に関し協議を行い、具体的な対応を検討するとともに、事業継続計画(BCP)の改善に取り組んでおります。
(2) 法的規制等について
① 当社グループが運営する事業に関する法的規制について
当社グループが行う事業に関しては、主に人材を活用する事業であることから、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」及びその他関連法令の規制を受けているほか、ビジネスパートナーとの協業においては「下請法」及び関連法令、また社員の労務管理においては「労働基準法」及び関連法令の遵守にも特に留意する必要があります。これらの法的規制は、社会状況の変化等に応じて、今後も適宜改正ないし解釈の変更等がなされる可能性があり、これらに当社グループが的確に対応できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、コンプライアンスとリスク管理を一体で推進するため、リスク・コンプライアンス規程を定めております。また、リスク・コンプライアンス委員会の下、各種法令の遵守に向けたコンプライアンス体制の構築及び社員教育等により、リスクの低減を図っております。
② 情報管理について
当社グループは業務に関連して顧客の機密情報や個人情報を保有は社内規程に基づく厳格な管理を行っており、個人情報取得の際にはプライバシーポリシーに基づき利用目的を明示し、その範囲内でのみ利用しており、プライバシー保護を重視しております。また、外部からの不正アクセスやウィルス感染、内部からの情報流出等を防止すべく、プライバシーマークや情報マネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しております。さらには、テレワークやクラウドサービス利用の拡大に対応したセキュリティ基盤の構築等、情報システムのハード面・ソフト面を含めて対策を講じております。一方、外部からの不正アクセス及びその他不測の事態により、万が一情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償を含む法的責任を負う可能性があるほか、当社グループの社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権の対応について
当社グループは、第三者が保有する知的財産権等を侵害することがないよう、第三者の知的財産権への抵触の有無について可能な限り確認しておりますが、認識の範囲外において第三者の知的財産権を侵害した場合、当社グループが損害賠償を含む法的責任を負う可能性があるほか、当社グループの社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、第三者が保有する知的財産権等を侵害することのないよう、弁理士や弁護士等と連携し、細心の注意を払って調査を行い、当該リスクの予防に努めております。
④ 訴訟について
当社グループの事業活動に関連して、予期せぬトラブルが発生し、当社グループに対して訴訟その他の請求を提起される可能性があります。これらの結果、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令及び契約等の遵守のため社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めており、社外取締役に法律専門家を選任するほか、法的な問題が懸念される案件については、弁護士等に事前に確認し、仮に訴訟等が発生した場合には、速やかに弁護士に相談できる体制をとることにより、リスクの低減を図っております。
(3) その他のリスクについて
① ストックオプションの付与について
本書提出日現在における当社の潜在株式数は352,800株となり、発行済株式数2,691,700株の13.1%に相当します。これらの当該新株予約権(ストックオプション)が行使された場合、当該割合において資本増加がなされる一方、1株当たり利益等の株価指標等に影響を及ぼす可能性があります。
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