(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部の個人消費等において弱さがみられたものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和され、総じて持ち直しの動きが続きました。
海外では、一部の地域で感染再拡大の影響による改善の動きの鈍化がみられたものの、経済活動の段階的再開や景気対策の効果により、総じて回復の動きとなりました。
産業別では、建材市場では住宅着工件数は前年比増加で推移しましたが、自動車市場は部品供給問題等による減産の影響があり、国内の家電市場は弱い動きとなりました。
このような環境の中、当社グループはグローバルな視点で市場別に顧客のニーズをきめ細かく確実に捉え、国内および海外の経営資源を効率的に活用して受注につなげることで業績の向上に努めました。
その結果、連結売上高は109,923百万円、前連結会計年度比(以下「前年同期比」)24.6%増加、連結営業利益は6,292百万円(前年同期比18.4%増加)、連結経常利益は6,889百万円(前年同期比21.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,941百万円(前年同期比21.9%増加)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は1,008百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ4百万円減少しております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
<トランスポーテーション>
国内では、半導体不足等による自動車の減産影響はあったものの、エラストマーコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。
海外では、自動車市場が新型コロナウイルス感染症の影響から回復し、コンパウンドの販売が増加したことで増収となりました。
セグメント利益につきましては、国内での販売が増加した事により増益となりました。
その結果、売上高は32,457百万円(前年同期比33.5%増)、セグメント利益は2,737百万円(前年同期比27.5%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は6百万円減少し、営業利益は8百万円減少しております。
<デイリーライフ&ヘルスケア>
国内では、新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向にあることから、生活資材市場の塩ビコンパウンド、メディア・サイン分野向けフィルム及び食品包材市場の業務用ラップの販売が増加し、増収となりました。
海外では、新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向にあり、米国・ASEANでの生活資材市場向け塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。
セグメント利益につきましては、原材料価格の高騰による影響があり減益となりました。
その結果、売上高は30,688百万円(前年同期比22.6%増)、セグメント利益は1,856百万円(前年同期比32.3%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は10百万円減少し、営業利益は3百万円減少しております。
<エレクトロニクス>
国内では、新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向にあり、エネルギー・情報通信市場の塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。
海外では、塩ビコンパウンドの販売がグローバルで増加し、増収となりました。
セグメント利益につきましては、国内および海外での塩ビコンパウンドの販売が増加したことにより増益となりました。
その結果、売上高は21,493百万円(前年同期比23.3%増)、セグメント利益は439百万円(前年同期比15.8%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は2百万円減少し、営業利益は6百万円増加しております。
<ビルディング&コンストラクション>
国内では、新型コロナウイルス感染症の影響から回復したことに加え、住宅市場・非住宅市場へのコンパウンド・フイルムの販売が増加し、増収となりました。
海外では、米国の景気回復により好調に推移した住宅市場へのコンパウンド・フイルムの販売が増加し、増収となりました。
セグメント利益につきましては、国内および海外での販売が増加したことにより、黒字化に至りました。
その結果、売上高は25,154百万円(前年同期比19.6%増)、セグメント利益は1,131百万円(前年同期は33百万円の損失)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は472百万円減少し、営業利益は1百万円増加しております。
当連結会計年度末における総資産は、商品及び製品、原材料及び貯蔵品等の棚卸資産と、売掛金等の売上債権の流動資産が7,548百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ7,432百万円増加し、102,641百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金等の流動負債が3,328百万円増加、長期借入金等の固定負債が267百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ3,060百万円増加し、37,192百万円となりました。
純資産は、利益剰余金等の株主資本が2,690百万円増加し、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額が1,330百万円増加し、非支配株主持分が350百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4,371百万円増加し、65,448百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が11百万円減少しております。また、自己資本比率は56.3%となり、前連結会計年度から0.1ポイント減少しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ403百万円減少し、20,677百万円となりました。
営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ4,815百万円減少し、4,572百万円でした。その主な内容は、税金等調整前当期純利益6,476百万円、減価償却費3,506百万円、仕入債務の増加3,962百万円等による資金の増加、売上債権の増加2,465百万円、棚卸資産の増加4,575百万円、法人税等の支払2,382百万円等による資金の減少であります。
投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ564百万円減少し、2,438百万円でした。その主な内容は、有形固定資産の取得による支出2,280百万円、無形固定資産の取得による支出455百万円等であります。
財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ149百万円増加し、2,946百万円でした。その主な内容は、短期借入金の返済による支出338百万円、長期借入金の返済による支出474百万円、配当金の支払額(非支配株主への配当を含む)2,112百万円等による資金の支払であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高
当連結会計年度の売上高は、109,923百万円、前連結会計年度比21,699百万円(24.6%)の増加となりました。国内では、回復傾向にある情報通信市場へのコンパウンド販売、住宅・非住宅市場へのコンパウンド及びフイルムの販売がそれぞれ増加し、増収となりました。海外においても、ASEANでの自動車及び情報通信市場、米国での住宅及び生活資材市場でのコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。
売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比19,598百万円(27.4%)増加し、91,008百万円となりました。主な要因は、売上数量の増加によるものです。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比1,122百万円(9.8%)増加し、12,623百万円となりました。主な増加要因は、支払運賃、支払手数料等の増加によるものです。
その結果、営業利益は、前連結会計年度比978百万円(18.4%)増加し、6,292百万円となりました。
営業外損益
当連結会計年度における営業外収益は、為替差益等により、前連結会計年度比202百万円(34.5%)増加の789百万円となり、営業外費用は、支払利息等により前連結会計年度比56百万円(22.5%)減少の192百万円となりました。
経常利益
当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度比1,236百万円(21.9%)増加の6,889百万円となりました。
特別損益
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益等の増加により、前連結会計年度比91百万円増加の107百万円となりました。
また、当連結会計年度における特別損失は、群馬工場対象資産の減損損失計上等により、前連結会計年度比483百万円増加の520百万円となりました。
税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比845百万円(15.0%)増加の6,476百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比707百万円(21.9%)増加の3,941百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
当社グループは、当連結会計年度をもって、「More Value to All 2021 共に生み出せ!さらなる価値を!」を経営方針とした3ヵ年中期経営計画を終了いたしました。
「グローバル経営の深化とシナジー」においては、アジアでのコンパウンドおよびフイルム事業の譲受ならびに投資設備の有効活用により、この3年間でグローバルに販売を伸ばしました。「戦略思考による収益力向上」においては、インフェクションコントロール製品の拡販および管理業務のシェアード推進による利益の向上を図りました。「効率を極めた生産体制の実現」においては、生産設備の自動制御および予兆管理システム導入の拡大、ユーティリティー設備の見直しによるエネルギーロス削減などの生産の効率化を実施いたしました。「サステナブルな社会への貢献」においては、持続可能な社会を目指したSDGsへの取り組みを「Blue Challenge」と称して強化してまいりました。「人材育成とガバナンス重視の経営による企業体質の強化」においては、グループのガバナンスポリシーの制定、連結子会社の管理強化等によるグループ全体のリスクマネジメントの強化を図りました。
中期経営計画における当連結会計年度の具体的な経営指標等の目標値は、売上高115,000百万円、営業利益8,500百万円、経常利益8,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,000百万円としておりました。
当連結会計年度における売上高は109,923百万円(計画比80.2%)、営業利益は6,292百万円(計画比70.8%)、経常利益は6,889百万円(計画比75.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,941百万円(計画比75.2%)となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市場の需要低迷および原材料価格高騰の影響もあり、売上高及び利益の実績は計画を下回りましたが、5つの主要課題に対する取り組みを進め、売上高および各段階利益は、過去最高を更新いたしました。
引き続き「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で記載しました新3ヵ年中期経営計画「Challenge Now for Change New 2024 変革への挑戦」に全グループを挙げて取り組んでまいります。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は増益であったものの、棚卸資産の増加、法人税等の支払額増加により、前連結会計年度比で減少しております。しかしながら、投資を行うための十分な資金は獲得しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に製造設備への投資となりますが、事業計画に基づいており、その投資額につきましては適切であると認識しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の増額等により、前連結会計年度比で支出が増加しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、次のとおりであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資やその他の投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当社グループは、中長期的に安定した成長のため製造設備への投資が必要となりますが、投資額については適切に管理されており、資金の流動性に問題はないと認識しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は9,859百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は20,677百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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