当社は、4月から新中期経営計画の初年度が始まります。中期経営計画の策定にあたって、改めて当社の基盤となる技術は何かを考えると「処方設計技術」「コンパウンド生産技術」「フィルム製膜技術」「フィルム加工技術」の4つの技術があげられます。この新中期経営計画では、もう一度基本に立ち返りものづくりに徹していくことが重要と考え、技術本部方針としてこの「4つの基盤技術を強化する」「カスタマーディライト商品のスピード開発」「常にイノベーションを創出し、持続的社会に貢献する」を掲げるとともに、それに対応した組織体制を見直しました。
会社の成長エンジン及び、持続的成長のキーは「設備投資」と「人材」が重要であると考えます。2021年度は念願の「売上高1,000億円の壁」を乗り越えることはできました。既存事業の半歩先、1歩先の領域には、まだ、未来を拓く可能性を秘めた数多くのテーマがあります。さらに伸ばしていくには、次世代を担う新技術開発、新事業創造のために、今こそ研究開発設備の再構築を行い、種まき、土壌の改良をしっかり行う必要があります。そこから更に歩を進め、未来に向けて新たな領域へ向いたいと考えています。
100年企業に向けて、研究・開発機能を集約し各分野の基盤技術を集結し技術統合をする事で、新技術や新製品創出を行っていかねばなりません。
研究開発センター(東京)は、2020年8月に増設棟(2号館)が完成し、隣接建物購入(3号館)、既存棟(1号館)を合わせ、延床面積(約5,000㎡)となり、開発拠点の中心となっております。今回、3号館改修とフィルム製膜試験設備移設・導入、2号館に機能性ゴム代替材料であるTPV開発のための試作機導入、同時に研究開発センター(埼玉)の整備を行います。
具体的には来期に向けて研究開発センターの再構築プロジェクトを推進して参りました。
(1)フィルム製品開発強化(組織体制強化、設備拡充)
①フィルム製膜(カレンダー、食品包材分野)は、研究開発センター(東京)に置き、配合技術と製膜技術(押出・Tダイ・カレンダー成形)を融合させた開発体制とする。コンパウンドで開発した製品もフィルム、シート化を考える。
②フィルム加工技術(2次、3次加工)開発は、研究開発センター(埼玉)にコーター試作機を拡充し、埼玉、群馬を融合し新製品開発促進を図る。
(2)新規TPV材料開発強化のため最新鋭中型試作機を導入しコンパウンド製造技術強化、TPEシート開発を進める。
また、プラスチック加工メーカーとして、我々が取り組まないといけない環境対応についてこれから大きな課題になっていきます。日本国政府は2020年10月に2050年カーボンニュートラルを宣言し、また今年4月には、2030年度の温室効果ガス排出削減目標について、2013年度から46%削減することとし、さらに50%の高みに向けて、挑戦を続けていくことを表明しています。
1990年代後半に、ダイオキシン問題により塩化ビニル樹脂が嫌われ、硬質PVCはABS、PP樹脂に軟質PVCはTPEに急激に素材が変わりました。これは、不明確な報道により産業界が一時期、動いてしまった過去があります。覚えている方もいらっしゃると思います。今回の脱炭素についても当社にとって同様な危機が訪れる可能性もあります。このように、プラスチックを取り巻く環境は大きな変革を求められている中、当社も2019年バイオマスプラスチックである「RIKEBIO」を上市しています。この「RIKEBIO」を如何に拡販していくかがこれからの大きな課題となります。また、この環境問題は当社にとって単なる「制約条件」だけでなく、攻めに転じることができる「挑戦機会」にもなります。ただ、いくら素材が環境に良くても、選ばれなければ環境負荷を抑えることはできません。多くのひとに選ばれるためには、お客様にとって有用で手が届くものを意識して開発を進めていく必要があると考えています。
当連結会計年度の成果として、
コンパウンド関係
1.「リケガード」(抗菌・抗ウイルス・防虫)に新シリーズ消臭、抗アレルゲンコンパウンドの開発
2.完全架橋エラストマーである「アクティマーG」の自動車部品への採用拡大
3.高耐熱・柔軟EV車用充電ケーブルの販売拡大
4.ハイブリッド架橋エラストマーである「リクロマー」発泡製品の開発
5.バイオマス材料である「RIKEBIO」、リサイクルコンパウンドの開発
6.自動車用グラスランチャンネル部材の全日系車への採用拡大
7.人肌に馴染む柔軟素材「LEOSTOMER FT」の上市
8.非Pb非Sn系射出用硬質PVC材料の上市
9.ACSの立上げ
10.医療用TPE材の採用拡大
等で開発が進み、一部流動することができました。研究開発費は、
フィルム関係
1.「リケガード」(抗菌・抗ウイルス・防虫)フィルムの採用拡大
2.各種塗装代替フィルムの開発
3.建装材用意匠性フィルムの流動
4.医薬品包装用フィルムの流動
5.高耐湿・高耐熱性FFC用フィルムの流動
6.ガラス代替フィルム「REPTY DC100」の製品化展開
7.ウィンドウ用フィルム「ICE-μ」の展開拡大
8.バイオマスフィルムである「RIKEBIO」フィルムの開発
等で開発が進み、一部の製品を流動できました。研究開発費は、
食品包材関係
1.自動包装機メーカー向け純正ノンストレッチPVCラップフィルムの販売拡大
2.食品包材の海外拡販検討
3.食品スーパーマーケット・バックヤード向け小型包装機用PVCラップフィルムの開発と採用
4.業界団体とのコラボレーションによるPVCラップフィルムの広報活動
5.製膜加工機における混練技術の基礎研究
6.バイオマスラップの開発
7.鮮度保持フィルムの開発
等の活動に要した研究開発費は、
お知らせ