研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社では、生活分野、工業分野において、基礎研究から生産技術に至るまで幅広い研究開発を行っております。研究開発センターでは、新製品の研究開発の迅速化をはかるために開発部内に4つの開発グループを設置するととも に、基礎研究所を設置して新技術・新素材に関する研究開発や当社コア技術を進化させる基礎研究を行っております。また、製品力強化推進室では、再成長を狙う既存製品を特定し、生産技術中心の開発から研究要素も加え、事業強化に注力する体制をとっています。さらに、生産技術センター及び各事業本部において、担当する分野での新製品・新商品の開発や、品質改良・生産技術の革新などの役割を担っております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,784百万円であります。また、セグメント別の研究開発を進めており、生活分野と工業分野それぞれにおいては、重合技術・含浸技術・押出技術・発泡技術・微粒子化技術・ゲル化技術をベースとして市場ニーズを見据えた機能性素材の開発、土木・住環境システム商品に関する技術開発を行っております。

 環境面では、環境貢献製品群を強化すべく、リサイクル原材料を活用した製品カテゴリーの「ReNew」、生分解性またはバイオマス由来プラスチックスを活用した製品カテゴリーの「BIO Cellular」の両カテゴリーブランドを制定し、当社グループが製造するすべての製品を対象に、2030年度までに、使用原料の50%を、リサイクルまたはバイオマス由来のものに置き換えるという目標を掲げ、それら開発を強化しています。環境に配慮した新素材開発を加速させ、両ブランド製品のラインアップ拡充で循環型社会の実現に貢献していきます。

 

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。

 

(1) 生活分野

 当社のコア技術である押出発泡、発泡シート成形、懸濁重合、含浸発泡、型物成形技術をベースに、多様化するニーズに基づいた製品改良や新たな機能付与を進めています。需要が拡大している内中食市場に向けた電子レンジ容器対応の耐熱性発泡シート、食品トレーや納豆容器など広く使用されている一般の発泡ポリスチレンシート、即席麺容器などに使用されているラミネートシートにおいては、最終商品に求められる素材物性や機能性を向上させる開発や省資源化に貢献するさらなる軽量化に対応する開発に加え、石油由来のプラスチックスから再生可能資源であるバイオマス由来プラスチックスを活用した製品開発などを進めています。また、軽量緑化システム「スーパーソイレン工法」は、都市部の景観づくりだけでなく、断熱効果による省エネ対策やヒートアイランド緩和の役割を期待され、商業施設やオフィスビルの屋上庭園などに採用されています。「ソイレンマットER」は、「スーパーソイレン工法」の構成材のひとつである保水排水基盤材であり、難燃性のリサイクル原料を100%使用し、従来品と比べて生産時のCO排出量を21%低減できる環境貢献製品として新たに開発しました。

 これら生活分野に係る研究開発費は、372百万円であります。

 

(2) 工業分野

 環境貢献製品開発として、植物由来グレード「テクポリマーBIO EF-Cシリーズ」を開発し、バイオマス認証を取得しました。これは、バイオマス度40%のソフトな触感や復元性を持つ軟質粒子であり、つや消しに加えて塗料の触感改良にも使用できます。

 また、フッ素系樹脂粒子を水に分散できる「非フッ素系分散剤」のサンプル提供を開始しました。フッ素系界面活性剤は生態蓄積性や環境残留性が指摘されており、欧州などで規制が強化されつつあります。そのため、フッ素系界面活性剤を代替する非フッ素系分散剤が工業的に求められています。この度、フッ素元素を含有しない代替分散剤の開発に成功しました。本研究の分散剤を用いることで、疎水性粒子を水に分散させる際に廃液へのフッ素元素の溶出がなく、生態や環境への負荷を低減した工業プロセスへの転換に貢献していきます。

 さらに当社独自のポリマー重合技術と発泡技術を深化させ、通常の製造工程での生産を可能としたことで、100倍発泡体を製造する原料「エスレンビーズHCMH」を新たに開発しました。この原料を用いることで、浮力と剛性に優れた大型の発泡ブロックを生産できることから、水上ソーラーの浮力材として採用されています。プラスチックス使用量を高発泡化で大幅に削減し、太陽光発電システムの普及に貢献するものです。

 これら工業分野に係る研究開発費は、2,412百万円であります。

 

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