業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 業績

当連結会計年度の経済情勢は、国内では各種政策の効果やワクチン接種の進展により持ち直しが期待されましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で消費活動の低調やインバウンド需要の減少が継続しました。また、国内外で原材料価格の上昇や半導体不足、物流の混乱によるサプライチェーンへの影響が深刻化し、地政学的リスクの高まりもあり依然として厳しい経営環境が続きました。

このような環境の下、当社グループの当連結会計年度の業績は、ロックダウンによる長期間の操業停止の影響を受けた前期からの反動により、日本、米州、東南アジア、中国の全てのセグメントで売上高が増加した結果、グループ全体の連結売上高は、40,878百万円(前期比4,289百万円 11.7%増加)となりました。

また、利益面につきましては、売上高の増加等で日本、米州、東南アジアのセグメントで営業増益となったことにより、営業利益は1,280百万円(前期比127百万円 11.1%増加)、当期末における為替レートが円安となり為替差益が発生したことにより、経常利益は1,797百万円(前期比338百万円 23.2%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は831百万円(前期比62百万円 8.1%増加)となりました。

部門ごとの売上高は、ホース部門は11,267百万円(前期比1,819百万円 19.3%増加)、ゴムシート部門は5,051百万円(前期比177百万円 3.6%増加)、成形品部門は23,167百万円(前期比1,982百万円 9.4%増加)、その他部門は1,391百万円(前期比309百万円 28.6%増加)となりました。

なお、セグメントごとの業績は、(7)経営成績に記載のとおりであります。

 

(2) 財政状態

流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,980百万円増加し、27,929百万円となりました。これは、主として受取手形及び売掛金が884百万円増加したこと、棚卸資産が1,612百万円増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて779百万円増加し、19,705百万円となりました。これは、主として有形固定資産が620百万円増加したことによります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて3,759百万円増加し、47,635百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,062百万円増加し、9,570百万円となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が555百万円増加したこと、電子記録債務が809百万円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が350百万円増加したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて410百万円減少し、4,383百万円となりました。これは、主として繰延税金負債が178百万円増加したこと、長期借入金が550百万円減少したことによります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,107百万円増加し、33,681百万円となりました。これは、主として利益剰余金が531百万円増加したこと、為替換算調整勘定が1,371百万円増加したことによります。この結果、1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて101.48円増加し1,608.75円となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の68.7%から67.2%となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ255百万円増加し、当連結会計年度末には9,024百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動の結果得られた資金は、2,608百万円(前期比230百万円 8.1%減少)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,843百万円、減価償却費2,589百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額420百万円、棚卸資産の増加額1,336百万円、法人税等の支払額707百万円であります。

投資活動の結果支出した資金は、2,127百万円(前期比688百万円 24.5%減少)となりました。

収入の主な内訳は、定期預金の払戻による収入4,013百万円であり、支出の主な内訳は、定期預金の預入による支出3,859百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出2,256百万円であります。

財務活動の結果支出した資金は、718百万円(前期は539百万円の取得)となりました。

収入の主な内訳は、短期借入れによる収入650百万円、長期借入れによる収入150百万円であり、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出659百万円、長期借入金の返済による支出350百万円、配当金の支払額300百万円であります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本政策は、株主価値の維持向上を基本方針とし、事業チャンスを迅速かつ確実に捉えることを可能とするため、次の三つのバランスの下に確立しております。

①資本の有効活用:内部留保は戦略的事業投資(新製品開発・海外市場開拓・新規事業開拓)に優先充当

②財務の健全性:経済環境、金融情勢の変化に対応した資金調達の多様化

③株主還元:配当性向を踏まえた安定配当の維持継続

なお、当連結会計年度における資金需要は主に運転資金及び設備投資資金であり、主として営業活動、金融機関からの借入により必要とする資金を調達しております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

(6) 生産、受注及び販売

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

日本

12,141,428

+6.4

米州

11,118,032

+29.6

東南アジア

1,898,044

+17.2

中国

6,682,878

+17.8

合計

31,840,383

+16.7

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

② 受注実績

当社グループの製品は多種多様にわたり、同種の製品でも仕様(口径・肉厚・長さ等)が一様ではなく、また需要予測に基づく見込生産を行っている製品も多いため、受注実績は記載しておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

日本

18,866,401

+2.8

米州

14,147,460

+30.1

東南アジア

2,238,392

+14.5

中国

5,626,743

+4.2

合計

40,878,997

+11.7

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

本田技研工業㈱

16,087,863

44.0

17,682,647

43.3

Kuriyama of America, Inc.

3,141,583

8.6

4,518,110

11.1

 

 

 

(7) 経営成績

当社グループの当連結会計年度の経営成績の概要は、「(1)業績」に記載のとおりであります。

① 為替変動の影響

前連結会計年度からの円の為替レートの変動により、当連結会計年度の売上高は約2,079百万円増加、営業利益は約52百万円増加したと試算されます。ただし、この試算は、当連結会計年度の外貨建の売上高、売上原価、販売費及び一般管理費を、前連結会計年度末の直物為替相場により円貨に換算して算出したものであり、為替変動に対応した販売価格の変更の影響は考慮されておりません。

② 売上高

売上高は、前連結会計年度の36,589百万円から11.7%増加し、40,878百万円となりました。

③ 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、前連結会計年度の29,861百万円から増加し、33,586百万円となりました。原材料費や人件費の増加等により、売上高に対する売上原価の比率は0.6ポイント悪化して82.2%となっております。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ436百万円(7.8%)増加し、6,012百万円となりました。これは、運賃及び荷造費が増加したこと並びに給料及び手当が増加したことが主因であります。研究開発費は1.6%減少して1,083百万円となり、売上高に対する比率は2.6%となりました。なお、販売費及び一般管理費の対売上高比率は0.5ポイント良化して14.7%となっております。

④ 営業利益

以上の要因により、営業利益は、前連結会計年度の1,152百万円から11.1%増加し、1,280百万円となりました。

⑤ 営業外収益(費用)

営業外収益(費用)は、前連結会計年度の307百万円の収益(純額)から、517百万円の収益(純額)となりました。受取利息から支払利息を差引いた純額は、前連結会計年度の30百万円の収益から減少し、25百万円の収益となりました。当連結会計年度は、前連結会計年度に比べて円が米ドルに対して安くなったことにより、米ドル建ての貸付金の換算差益が発生しました。

⑥ 経常利益

経常利益は、前連結会計年度の1,459百万円から23.2%増加し、1,797百万円となりました。

⑦ 特別利益(損失)

特別利益(損失)は、前連結会計年度の41百万円の利益(純額)から、46百万円の利益(純額)となりました。特別利益は、当連結会計年度に投資有価証券売却益64百万円を計上したため、前連結会計年度の50百万円から増加して68百万円となりました。特別損失は、当連結会計年度に固定資産除却損21百万円を計上したため、前連結会計年度の8百万円から増加して22百万円となりました。

⑧ 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の1,501百万円から22.8%増加し、1,843百万円となりました。

⑨ 法人税、住民税及び事業税

当連結会計年度は1,843百万円の税金等調整前当期純利益に対して、812百万円の法人税等を計上し、税負担率は44.1%となりました。

⑩ 非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、Tigerflex Corporationの非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度の159百万円に対し、当連結会計年度は198百万円となりました。

⑪ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の769百万円から8.1%増加し、831百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の38.46円に対し、当連結会計年度は41.60円となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① 日本

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、得意先から有償で支給される部品・原材料について、売上高と売上原価の総額表示から売上高の減額表示に変更したことにより、売上高と売上原価がそれぞれ1,171百万円減少しております。

この影響により、自動車部品・ゴムマット類の販売は減少しましたが、産業用ホース・家電用ホース・ゴムシート類の販売が増加し、売上高は20,829百万円(前期比931百万円 4.7%増加)となりました。販売増加が減価償却費や運賃等の増加を吸収して、セグメント利益(営業利益)は696百万円(前期比8百万円 1.2%増加)となりました。

 

② 米州

米国では、自動車部品は、前期のロックダウンによる操業停止の反動で販売は増加しましたが、原材料費や人件費、諸経費が増加し、増収・減益となりました。産業用ホースは、需要の持ち直しと原材料費の上昇に対する価格改定や生産効率の改善効果により、増収・増益となりました。メキシコの自動車部品は、円安による為替換算上の影響により増収となりましたが、原材料費や諸経費が増加し減益となりました。その結果、売上高は14,160百万円(前期比3,270百万円 30.0%増加)、セグメント損失(営業損失)は199百万円(前期はセグメント損失250百万円)となりました。

 

③ 東南アジア

タイでは、自動車部品の国内販売や米州向け販売が増加し、増収・増益となりました。マレーシアでは、家電用ホースの販売が減少したことに加え、人件費や諸経費が増加し、減収・減益となりました。その結果、売上高は2,968百万円(前期比520百万円 21.3%増加)、セグメント利益(営業利益)は228百万円(前期比191百万円 517.7%増加)となりました。

 

④ 中国

自動車部品の販売は減少しましたが、家電用ホースの販売が増加したことに加え、為替換算上の影響により、売上高は6,890百万円(前期比572百万円 9.1%増加)となりました。人件費や諸経費の増加等により、セグメント利益(営業利益)は555百万円(前期比30百万円 5.2%減少)となりました。

 

また、当社グループは、売上高、営業利益及び経常利益を主要な目標指標とし、計画した売上高と利益の達成及び更なる増加を目指しております。当連結会計年度の当初計画は、売上高39,700百万円、営業利益1,200百万円、経常利益1,350百万円であり、売上高、営業利益及び経常利益ともに当初計画を上回りました。なお、株主資本利益率(ROE)は2.7%となり目標値を下回りました。

 

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