当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の項目と認識しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
「世界を驚かすサービスを創出する」という理念のもと、将棋等の頭脳ゲームAIを開発する過程で培った技術力を活用して、AI革命を起こし、未来を創っていく集団であり続けることを当社の基本方針としております。
(2)経営環境
当社が属するAI市場では、ディープラーニング等の機械学習関連アルゴリズムの高度化に加えて、機械学習に利用可能な計算機の能力向上やデータの増加により、更なる成長が続いております。今後、AI関連市場は拡大を続けるものと見込まれており、各産業で実用化に向けた取り組みが進んでおります。当社のAI関連事業は、将棋等の頭脳ゲーム領域から始まりましたが、現在はBtoB領域へと適用範囲を拡大しており、建設等の様々な業界向けにAIを開発しております。
(3)経営戦略
当社では、「将棋ウォーズ」やその他の頭脳ゲーム関連アプリケーションの開発を通じて、機械学習等のAI関連技術を蓄積しております。現在は、一般社団法人「日本ディープラーニング協会」の正会員や一般社団法人「人工知能学会」の賛助会員として、最先端の動向を把握するなど、AIを経営戦略における重要な技術と位置付け、ビジネスを行っております。当社では「驚きを心に」というコンセプトを掲げ、人々の生活が便利に楽しくなるように、AI(BtoC)サービス、AI(BtoB)サービスを展開しております。すなわち、個人向けには頭脳ゲーム等のアプリケーションにおいてAI技術を提供し、企業向けには様々な業界において機械学習等のAIサービスを提供しております。
なお、当社では、AI(BtoC)サービスから生じる知見やキャッシュ・フローを活用しながら、特にAI(BtoB)サービスを建設業界、金融業界やエンターテインメント業界をはじめとする様々な業界で、中長期的に成長させていきたいと考えております。
具体的には、以下の販売施策や事業拡大戦略に基づいて、今後の事業拡大を企図しております。
・AI(BtoC)サービス
リリース後のバージョンアップにおける機能追加、イベントの実施などを行う事で、サービス開始後も質・量ともにユーザー満足度向上につながる対応を行っており、今後も頭脳ゲーム領域での知名度を高めます。
・AI(BtoB)サービス
出来るだけ短期間で初期開発を完了させて継続フィーを受領できる段階に移行することや、将来的には、業界標準となるようなAIサービス創出による事業拡大を目指しております。
また、2019年12月24日の公募増資によって調達した資金について、新規人材の採用関連費用、機械学習用サーバ等への設備投資、同サーバ費用等の通信費、オフィス増床の為の敷金及び費用、当社事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資、運転資金等へその一部を充当しております。残額については、2022年6月10日に開示しております「資金使途の変更に関するお知らせ」にて記載の通り、当社事業に応用可能な周辺技術を有する企業等への投融資資金に充当していく想定であり、当社の中長期的な成長戦略の実現を目指してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取り巻く経済環境は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が引き続き懸念されるほか、ロシア・ウクライナ情勢等による不透明感が見られる中で金融資本市場の混乱等も懸念されるところであります。その一方で
情報サービス業界においては、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした、デジタル技術を活用した業務プロセス・ビジネスモデル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)の需要拡大が引き続き見込まれるものと認識しております。
このような状況の下で、当社では、継続的な事業拡大のため、主に以下の課題について対応が必要であると考えております。
① 新技術への対応
当社が強みとするAI関連の技術は、将来的な利用可能性の高さから世界的に研究開発が活発に行われております。このような事業環境の下で当社が事業を継続的に拡大していくには、様々な新技術に適時に対応していくことが必要であると認識しており、その対応を行っております。当社では、現在所属している一般社団法人「人工知能学会」の賛助会員や一般社団法人「日本ディープラーニング協会」の正会員として最先端の情報収集に努め、またコンピューター将棋や囲碁AI関連の大会等で上位入賞するための情報収集や試行錯誤を通じて、最先端のAI技術の開発と導入を行いながらその技術力向上に取り組んでおります。
② 人材の確保
当社は、AI市場の拡大、新規参入企業の増加、顧客・ユーザーのニーズの多様化に迅速に対応していくため、最先端の技術を有する人材の確保、育成が必要と考えております。
しかし、優秀な能力を持つ人材獲得は、他社とも競合し、安定した人材確保が容易ではない状況が今後も継続すると考えております。当社としましては、技術力の高さを通じて市場でのプレゼンスを高めることや、優秀な人材が興味や関心を持つ分野での各種取り組みを強化すること等によって会社の魅力を訴求していくことが重要であると考えております。また、社内研修の強化等を図っていくことで人材の育成につなげたいと考えております。
③ 情報管理体制の強化
当社では、現在、様々な業界に対してAIサービスの提供を行っております。このようなAI開発のためには、それぞれの業界において蓄積されたデータが必要になるため、データを有する企業とのパートナーシップ戦略を採用しております。その結果、当社では顧客の機密情報を扱っており、また、当社のBtoCサービスではユーザーに関連する情報も扱っていることから、情報管理規程等に基づいた管理を徹底しております。今後も社内教育を継続して行ってまいります。
④ 社会的課題への取組み
当社は、自社のAI技術を活用して様々な社会課題を解決し、持続可能な社会を実現するべく、以下の重点方針に従い、SDGs(Sustainable Development Goals)に関する取り組みを進めてまいります。
<重点方針>
・DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
当社が提供するAIの活用を通じてDXを推進し、創造的な業務に注力できる産業構造を創出いたします。
・AIを通じた地域社会や地球環境への貢献
温度や湿度等を快適にする建物制御システムに当社のAIを搭載する等、省エネルギー化につながるAIを提供し、
環境負荷を軽減する取り組みに参加いたします。
・働きがいのある環境づくり
在宅勤務の導入や休暇取得の促進等、従業員の意向を踏まえた快適な労働環境を提供しております。また、残業
時間のモニタリングや産業医面談等、長時間労働や過重労働を防ぐための体制を作り、役職員の健康管理にも配慮
しております。
・人材育成・価値発揮
社員一人一人が、自己の能力を高めることができる業務体制や人事制度を整えているほか、研修や定期的な勉強
会を実施する等自己研鑽の機会を設け、社員が個性を発揮しながら創造力を働かせて挑戦し続けることができる環
境を提供しております。
・最先端技術のリード
高品質で最先端なAIを提供するよう努めております。また、当社が発案した知的財産の権利化を進め、可能な限
り、知的財産を活用できる取り組みも進めております。
⑤ システム基盤の強化
当社の収益の基盤となるサービスを展開するためには、大量の情報処理やシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、システムを安定的に稼働させるための人員の確保およびサーバの安定的な稼働に努めてまいります。
⑥ 知的財産権の確保等について
当社では、日々のAI開発業務から生じた新規性のある独自技術の保護のために、当社単独または共同開発企業等と共同で、それらに関する特許権等の知的財産権の取得を図っております。しかしながら、AI開発分野においては、国内外大手IT企業等が知的財産権の取得に積極的に取り組んでいるため、当社も特許権等の取得により当社の活動領域を確保することが課題であると認識しております。今後、様々な業界に対してAIを開発することによって有用な知見が得られることが期待されるため、外部専門家とも協力しながら、独自の技術分野については、他社に先立って戦略的に特許権等を取得していきます。
⑦ サービスの安全性及び健全性の確保
当社では、AI(BtoC)サービスにおけるユーザーが安心して当社のサービスを利用できるように、下記のガイドラインを設け、その安全性・健全性の確保に努めております。
当社の安全性・健全性に関するガイドライン
第1条(目的)
このガイドラインは、HEROZ株式会社(以下「当社」という)が運営・提供するゲーム等のサービスについて、当該サービスを利用する者(以下「利用者」という)が安心・安全に楽しめるサービスの提供を実現するために必要な施策を示すことを目的とする。
第2条(施策)
前条の目的を達するために以下の施策を行う。
(1)法令遵守の徹底
サービスの開発・提供に際して、景品表示法その他の関連する法令を遵守する。提供するサービスについて将来的に違法と判明した場合は、直ちに停止する。
(2)18歳未満の利用者の保護の徹底
入会時もしくは課金時に年齢認証を行い、18歳未満の利用者による過度な課金利用を未然に防止する。月間課金上限額(税抜)については、18歳未満利用者の場合、月額20,000円とし、16歳未満の場合は月額5,000円とする。
(3)リアル・マネー・トレード(RMT)の禁止
RMTは一切禁止とする。利用規約においてRMTを禁止している旨を明記するとともに、RMT利用が判明した利用者には、強制退会も含め、速やかに必要な措置を講じる。
(4)不適切行為に対する措置
利用規約違反など、サービスにおいて不適切と判断される行為を行った利用者に対しては、強制退会も含め、速やかに必要な措置を講じる。
(5)利用者間コミュニケーションの監視
利用者間のコミュニケーションが安心・安全に行われるよう、定期的に監視し、利用者間の不適切なコミュニケーションを発見した場合には迅速な対処を行う。
(6)適切な有料アイテム出現確率
有料ガチャのようにランダムで出現する有料アイテムについては、その出現確率を適切な水準に設定する。
(7)社員研修・教育
サービスの安全性・健全性を向上させるため、社員の研修・教育を実施する。
第3条(更新)
サービスの変化、利用者の状況の変化、その他社会状況等の変化に鑑み、当ガイドラインの内容を最適な状態とするべく努力をする。
⑧ 内部管理体制の強化
当社におきましては、今後もより一層の事業拡大を見込んでおります。そのため、当社の事業拡大に応じた内部管理体制の構築を図るとともに、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
また、当社の成長速度に見合った人材の確保および育成も重要な課題と認識しており、継続的な採用活動と研修活動を行ってまいります。
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