当社グループは、当社、連結子会社1社及び持分法適用関連会社1社で構成され、「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンのもと、Amazon.com, Inc.の関連会社 Amazon Web Services, Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス「AWS」のソリューション販売を主軸としたクラウドコンピューティング事業を展開しております。当社は、Amazon Web Services, Inc.の日本法人が設立される以前のクラウド黎明期より、他社に先駆けてAWS導入支援サービスの提供を開始し、AWSへの移行にかかるコンサルティング、クラウド基盤構築、クラウド移行後の運用支援サービス及び運用自動化のためのサービス提供等を一貫して行うことにより、ソリューションを提供しながら、AWSの利用にかかる再販売を行っております。また、今後クラウドファーストの潮流が一層鮮明化するに伴い、より一層多様化・複雑化する顧客ニーズを的確に把握し、顧客ニーズを満たす適切な商品・サービスを提供し続けていくことやマルチクラウドへ対応するため、2021年8月には、Google Cloud事業を展開する株式会社G-genを連結子会社として設立いたしました。
クラウドコンピューティング(※1)は、サーバー、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器などの初期投資、また運用にあたって多大な運用コストを要する従来型のオンプレミス(※2)と比較し、初期投資を必要とせず、必要に応じてコンピューティング・リソースを柔軟かつ迅速に拡張・縮小することが可能であります。その利便性の高さから、Web・ゲーム・スタートアップ企業のみならず、近年では障害や中断が許されない基幹業務系システム構築の領域においても主要な選択肢となりつつあります。従来の基幹業務系システムに限らず、今後の企業のイノベーションを後押しするビッグデータ(※3)、IoT(※4)、AI(※5)など、柔軟性と変化対応のスピードが要求される新しいビジネス領域はクラウド基盤に支えられた新たなデジタル技術を大前提としたものであり、クラウドをIT基盤の最初の選択肢に据える考え方はもはや常識化しつつあると認識しております。
当社は、国内外のIaaS/PaaS(※1)の市場で高いシェアを誇るAWSを、顧客企業毎に最適な状態で利用するためのコンサルティング業務、設計・構築業務、および運用支援サービスの開発・提供を行っております。
当社グループの事業は、サーバーワークスによるAWS事業、連結子会社G-genによるGoogle Cloud事業ともに「クラウド事業」単一セグメントであるため、以下については製品・サービス区分別に記載しております。
当社グループは、従来のオンプレミス環境で運用されてきた主に企業の基幹業務系システムをクラウド環境へ移行する際のクラウド基盤のデザイン、構築サービスを提供しています。従来のシステムをクラウド上に移行し(リフト)、コスト効果や生産性を向上するためにクラウドに最適化したシステムの再構築を図る(シフト)、リフト&シフト戦略を顧客企業に提案することにより、クラウドを活用することにより享受できる効用の最大化を図ります。
また、クラウド基盤の構築サービスの提供にとどまらず、顧客企業がクラウドを通じて実現するビジネス目標の設定、クラウドへの移行計画の策定やクラウド導入後の運用計画の策定支援まで、クラウドを導入することによって実現するIT基盤全体の最適化を見据えた上流のコンサルティングサービスも提供しております。
また、数多くのクラウド導入に携わってきた実績から得られたナレッジ・ノウハウをデータベース化して社内での技術トレーニングを行うことにより、Amazon Web Services, Inc.等が提供する各種認定技術者資格を保有する数多くのエンジニア(※6)を育成しております。公表実績AWS導入取引社数およびプロジェクト数のうち、クラウドインテグレーションの実績は以下のとおりであります。
(単位:社/件)
主として検収時に売上高を計上する一過性の売上が中心となっており、当社ではフロー売上と位置づけております。
当社は2011年7月に Amazon Web Services LLC(現Amazon Web Services, Inc.)とVAR契約(付加価値再販売契約)を締結して以来、日本におけるAWSのリセラーとしてAWSの再販売を行っております。顧客企業は、当社が提供する付加価値としての課金代行サービス経由でAWSを利用することにより、従来ハードウェアの調達やその管理に費やしていた時間やコストを削減することができます。また、当社がAWS利用料に手数料を加算した日本円建ての請求書を発行することにより、顧客企業は一般的な銀行振込による支払いが可能となります。
当社では、2016年6月より、既存の課金代行サービスに新たな付加価値サービスをパッケージとして組み合わせた「pieCe(現「AWS請求代行アドバンスド」)」の提供を開始しております。「pieCe(現「AWS請求代行アドバンスド」)」では、AWS利用料の決済機能だけでなく、「CloudAutomator」(当社のAWS運用自動化サービス)も併せて提供するなど、当社独自の付加価値を付与して提供しており、また、万が一AWSに障害が発生した場合の顧客企業が被った損害を補償する損害保険を東京海上日動火災保険株式会社との業務提携により付帯させております。当社が取扱う稼働するAWSアカウント数の実績は以下のとおりであります。
(単位:個)
AWSは、基本的には初期費用が不要であり、顧客企業のAWS利用時間に応じたオンデマンドかつ従量型課金制となっておりますが、利用するサーバースペックと利用期間を予約することにより大幅な割引を得ることのできるReservedInstance(リザーブド・インスタンス)およびSaving Plansと呼ばれる取引形態が存在します。
また、連結子会社である株式会社G-genでは、日本におけるGoogle CloudのリセラーとしてGoogle Cloudの再販売を行っております。
(AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」)
「Cloud Automator」は、AWSのAPI(※7)を、当社が提供するWebアプリケーションの画面上からプログラムレスで直感的・視覚的に操作することにより、クラウド運用の自動化・最適化による運用品質の向上を実現するための当社独自のSaaS(※1)であります。AWSの運用に欠かせないバックアップ、EC2(仮想サーバー)やRDS(リレーショナル・データベース)の起動・停止といった「ジョブ自動化機能」と、顧客企業が利用するAWS環境が安全に運用されていることを自動的にレビューする「構成レビュー自動化機能」の2つの機能を実装しており、ヒューマンエラーを極小化しながら運用・保守管理コスト削減と安定運用を実現します。
(ソフトウェアライセンス販売)
情報漏洩対策など顧客企業の関心が高いセキュリティ対策ソフトウェア・サービスは、クラウド環境を安全に運用し顧客企業の不安を払拭するうえで不可欠なものとなっております。当社グループは、顧客企業のAWS及びGoogle Cloud環境を運用する上で有効な各種ソフトウェア・サービスの仕入れ販売を行っております。
リセール、AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」、ソフトウェアライセンス販売ともに、主に利用時間・期間に応じサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。なお、AWSリセール及びGoogle Cloudリセールは取引の性格上、利用料金の総額を売上高に計上しております。
顧客企業がAWS及びGoogle Cloud上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスを提供しております。
当社グループは、24時間365日体制でインフラからアプリケーション層をカバーする性能監視、障害監視・復旧、バックアップ等の運用サービスを提供できる体制を整えております。サービス設計にあたっては、安定的なサービス提供と継続的な改善を管理するためにITIL(※8)に準拠した運用設計、運用フローとサービスレベルを規定しております。当社グループは、顧客エンゲージメントライフサイクル(計画、設計、移行または構築、実行および最適化)全体を通して、顧客企業をサポートするために持ち合わせておくべき能力を保有するとしてAmazon Web Services, Inc.に認定された最新の「MSPプログラム」を取得しております。主に利用期間に応じてサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。
また、近年においては大規模にクラウドへのシフトを進めている特定・大型の顧客が増加しており、従来の標準的なMSPサービス対応ではなく個別の対応が必要となってきております。このようなニーズに対しては専任チームを編成して対応にあたるSRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)(※9)を実施しております。
主に、AWS及びGoogle Cloud上で稼働する特定顧客企業のサービスにおけるシステム運用等を行っております。
当社グループでは、クラウドインテグレーションによる売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、基盤デザイン及び基盤構築等クラウドインテグレーションサービス提供時における役務提供による売上であって、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、導入企業を開拓することによりフロー売上を拡大させるとともに継続利用企業を蓄積することにより、前述の「ストック売上」(主に、顧客企業がAWS及びGoogle Cloudを継続的に利用するにあたり発生するAWS及びGoogle Cloudの月額利用料及び「Cloud Automator」をはじめとする自社サービスの月額利用料及びサードパーティーソフトウェア・サービスの継続利用に伴うライセンス料(前述(1)② リセール)並びにAWS及びGoogle Cloud上のサーバーの監視・バックアップ等の運用代行利用料及び保守料等(前述(1)③ MSP)による継続的な売上)の拡大による安定収益化を図っております。
[事業系統図]
〔用語解説〕
※1 クラウドコンピューティング: ソフトウェア、データベース、サーバー及びストレージ等をインターネットなどのネットワークを通じてサービスの形式で必要に応じて利用する方式のことを意味し、「IaaS」「PaaS」「SaaS」の大きく3つの種別に分類されます。
※2 オンプレミス:顧客企業が情報システムを自社で保有し、自社の設備において自社運用する形態を意味します。
※3 ビッグデータ:従来のツールやアプリケーションで処理することが困難な巨大・膨大で複雑なデータ集合のことを意味します。
※4 IoT: Internet of Things の略称であります。コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信を行うことにより認識や制御を自動的に行うことを意味します。
※5 AI:Artificial Intelligenceの略称であり、日本では「人工知能」として知られております。従来から概念として広く知られた言葉ですが、ロボティクス同様、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯び始めています。
※6 2022年3月末日現在、AWS認定資格取得者数は以下のとおりであります。
※7 API:Application Program Interfaceの略称であります。あるコンピュータプログラムの機能や管理するデータを、外部の他のプログラムから呼び出して利用できるようにする仕組みを意味します。
※8 ITIL: Information Technology Infrastructure Libraryの略称であります。ITサービスマネジメントの成功事例(ベストプラクティス)を体系化したITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインであります。
※9 SRE:Site Reliability Engineeringの略称であります。米Google社が2003年に提唱した、利用が拡大する大規模ITシステムを運用していくための概念で、ITシステムの信頼性を担保するための性能、可用性、拡張性、セキュリティなどを向上させることがミッションであり、様々なツールの導入や、顧客とのコラボレーションを強化することで継続して改善していける仕組みを構築する手法のことであります。
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