事業の内容

3【事業の内容】

(1)パーパス

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、労働生産性の低迷、多様な働き方への対応、テクノロジーの飛躍的進化など、日本の社会は大きく変容しています。当社は、こうした変化を適切に捉えながら、人や社会に必要とされる存在であり続けることを目指しており、職歴・学歴や年収など目に見える事項だけでひとを判断するのではなく、さまざまな情報を集めて人物像に奥行きをもたせることで、ひとの可能性を正しく理解できる世界をつくりたいと考えております。このような考えに基づき、当社が長期的に目指す姿や持続的に社会へ提供していく価値を明らかにするため、社会的な存在意義を明文化したパーパスを策定しております。

 

パーパス:“はたらく”にテクノロジーを実装し、個の力から社会の仕様を変える

 

このパーパスのもと、テクノロジーによって一人ひとりの個性や才能を理解することで、個人のキャリア形成や働き方が多様化される社会の実現を目指しております。

 

(2)当社のサービス

当社は、企業の人材情報をクラウド(注1)上で一元管理し、データ活用のプラットフォームとなるタレントマネジメントシステム『カオナビ』を提供しております。『カオナビ』は、社員の顔や名前、経験、評価、スキル、才能などの人材情報を可視化することで、最適な人材配置や抜擢といった企業の人材戦略を支援するシステムです。タレントマネジメントに役立つさまざまな機能を提供することで、次のような戦略的人事の実現を支援しております。

① 人材情報の一元化・見える化

② 人事業務の効率化

③ 経営の意思決定支援

④ 評価運用の効率化

⑤ 採用のミスマッチ・ハイパフォーマー(注2)分析

⑥ 人材配置・要員シミュレーション

⑦ スキル管理・人材育成

⑧ モチベーション分析・離職分析

⑨ 従業員満足度調査・エンゲージメント(注3)向上

 

なお、当社の事業はタレントマネジメントシステム『カオナビ』の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(3)当社の強み

正解のないタレントマネジメントへの取り組みに対して、顧客に「システム」と「サポート」の両輪を提供できることが当社の強みです。

「システム」の特徴として、柔軟性とユーザビリティを徹底的に追及した設計になっております。シンプルなユーザー・インターフェースは社員の誰もがマニュアル不要で直感的に操作することが可能であり、『カオナビ』の人材データベースは自由にカスタマイズを行うことができます。人材情報のなかで必要とされる項目は企業や業界によって大きく異なります。そのため、データベースに入力・保存できる項目が固定化されている場合、一部の情報がシステム化されず、紙やエクセルなどで別に管理する必要が生じてしまいます。『カオナビ』の技術的特徴として、ドラッグ&ドロップなどの操作でデータベースの設定やレイアウトを自由自在にカスタマイズできるため、工数と費用をかけずに顧客自身で簡単にデータベースを構築し、人材情報の一元管理を実現します。

また、「サポート」の特徴として、当社に蓄積されたタレントマネジメントの活用ノウハウを導入企業に対して存分に提供しています。経験豊富な専任スタッフによるサポートは勿論のこと、カスタマーサクセスの取り組みとして、他社と交流し活きた事例を学び合えるコミュニティ、自社の課題に合わせた学習プログラム、これまでの『カオナビ』の豊富な活用事例を検索できるライブラリなどを「カオナビキャンパス」において体系的に提供することで、顧客のタレントマネジメントの成功確率を高めるよう努めております。

一般的にタレントマネジメントシステムは、顧客の利用目的により使い方が異なります。そのため、システムを提供するだけでは顧客のタレントマネジメントを成功させることは難しく、同じような利用目的でタレントマネジメントシステムを使用している他社の活用事例など、システムの使い方の提供も重要になります。当社は、柔軟性が高く使いやすいシステムを提供するだけでなく、2,400社以上の導入実績により蓄積されたノウハウを顧客に積極的に提供することで、顧客のタレントマネジメントの成功に貢献していきたいと考えております。

 

(4)当社のビジネスモデル

『カオナビ』は、企業を主な顧客として、クラウドサービスの形でサービス提供を行っております。クラウドサービスとは、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由してソフトウエアをサービスとして提供する形態のことで、SaaS(Software as a Service)と呼ばれております。

当社は、自社のマーケティング活動と紹介パートナーからの紹介による新規顧客の獲得に加えて、セールスパートナー経由での販売も行っております。

 

当社の主要サービスである『カオナビ』の収益構造は、顧客に対してクラウド上で提供するサービスの利用料金を、使用期間に応じて受領するサブスクリプション(月額課金)モデルとなっており、これをストック収益として計上しております。『カオナビ』の利用料金は従業員の登録人数に応じた料金体系となっており、さらに利用プランに応じて料金が異なります。利用プランは、人材情報の一元管理を図るデータベースプラン、人事評価業務の効率化を図るパフォーマンスプラン、戦略的な人材マネジメントを図るストラテジープランの3つが用意されており、機能ニーズに応じたプランをお選びいただけます。また、「パルスサーベイ」や「申請ワークフロー」といった有料のオプション機能も提供しております。

1顧客あたりの利用単価を高めて少数の顧客に販売する形態ではなく、相対的に低単価で多数の顧客に利用されることを前提としているため、売上高上位10社の全体の売上高に占める割合は5%以下となっており、特定顧客からの収益には依存しておりません。また、ソフトウエアのライセンス販売(注4)などの売り切り型ではなく、継続したサービス提供を前提としているため、利用期間において顧客の満足度を高めることが契約の更新に繋がり、それにより長期利用の顧客が増加し、継続的に収益が積み上がっていくストック型の構造にあります。

2012年4月に事業を開始して以来、『カオナビ』は継続的に成長し、2022年3月期におけるストック収益は3,930,959千円、売上高ストック比率(注5)は87.4%となっております。また、『カオナビ』を利用する企業や団体等のユーザー数も成長を続けており、2022年3月末の利用企業数は2,497社となっております。なお、直近5事業年度における各指標の推移は以下のとおりです。

 

 

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

ストック収益

(千円)

724,566

1,283,602

2,102,134

2,991,485

3,930,959

売上高ストック比率(%)

76.1

75.9

80.1

87.9

87.4

利用企業数(社)

854

1,293

1,791

2,061

2,497

※当社は2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しております。

 

サービスの継続利用が前提となるビジネスモデルであるため、当社は、顧客のサービス活用推進を図るためのカスタマーサクセスの活動に注力しております。具体的な活動としては、上述した「サポート」の提供のとおりですが、この取り組みによって、当社の解約率(注6)の直近12ヶ月平均は、2022年3月において0.56%と低い水準を維持しております。今後もプロダクトの機能強化とカスタマーサクセスの取り組みにより顧客体験価値を高めることで、低い解約率を維持できるよう努めてまいります。

 

(注)1.クラウド

クラウドコンピューティングの略語で、インターネット経由で必要な時に必要なだけITシステムを利用する仕組みの総称をいいます。サーバーやソフトウエアなどのITシステムの設備を自社で保有することに比べ、ITシステムに関する開発や保守・運用の負担が軽減され、コスト削減に寄与します。

2.ハイパフォーマー

スキルや経験、ノウハウを生かして高い成果を生み出せる優れたパフォーマンスを持つ人材のことをいいます。ハイパフォーマーの特徴や行動パターンを分析することで、人材育成のためのデータや、採用時に用いる採用基準への活用も期待できます。

3.エンゲージメント

企業と従業員が相互に影響し合い、共に必要な存在として絆を深めながら成長できるような関係を築いていくことをいいます。

 

4.ソフトウエアのライセンス販売

ソフトウエア使用権の販売のことをいいます。企業は購入したソフトウエアを半永久的に使用可能ですが、導入時の初期費用の金額が大きくなる傾向があり、また、バージョンアップやメンテナンスの費用が継続的に発生します。

5.売上高ストック比率

売上高全体に占めるストック収益の比率をいいます。

6.解約率

MRRの解約率を示しています。MRRとはMonthly Recurring Revenueの略語で、月額利用料金の合計額をいいます。MRRの解約率は、当月の解約により減少したMRRを、前月末のMRRで除して算出しております。

 

[事業系統図]

 

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当社は、『カオナビ』のサービス提供に加えて、導入顧客に対する設定支援等の有償のユーザー支援サービスを提供しております。さらに、『カオナビ』から外部のサービスを利用する外部連携サービスも提供しており、当社は外部連携サービスの提供事業者(コラボレーションパートナー)から『カオナビ』のプラットフォーム提供の対価として、プラットフォーム利用料を受領しております。

 

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