有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しております。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項目以外の記載事項を、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、当社グループの事業又は本株式の投資に関する全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)関連市場及び顧客経営状態に関連するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの顧客層は、自動車、産業機械メーカ、建設機械メーカ、デジタル家電メーカなど様々な分野に及んでおります。
大幅な為替変動や、グローバルな政策要因、地政学的要因等によって、それらの産業全体が業績に悪影響を被る場合があります。当社の主たる事業である組込ソフトウェアの開発は、顧客企業の数年先に発売される製品や研究試作に関する開発案件が大半を占めるため、足元の景気動向に左右される可能性は比較的低いと考えております。しかしながら、数年先に向けた顧客企業の投資計画に影響を与えるほどの事象が発生した場合、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクは毎期顕在化する可能性があるものと認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、それら顧客企業の個別の経営状態の変動に関しては、様々な産業セクターへの営業活動を行ってその影響をできるだけ小さくすることによって、関連市場及び顧客経営状態に関するリスクの低減に努めております。
(2)特定取引先及び特定産業分野への依存について
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの主たる売上は自動車分野であり、その多くは、トヨタ自動車株式会社および株式会社アイシン及び当該グループなどからの受注となっております。この自動車関連市場はCASEなどに代表される技術革新により今後も拡大していくと予測されます。
しかし何らかの要因により拡大予測が想定を下回る場合、特定取引先の経営状態の悪化や経営戦略の変更があった場合、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
自動車産業は電動化及び、カーボンニュートラル対応に関わる大きな技術革新を迎えており、ソフトウェアの重要性はさらに高まると考えております。このような技術革新環境においては、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。
しかし、グローバル環境下において、自動車産業の収益構造に大幅な変化が認められた場合、当該リスクが顕在化する可能性があると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、景気の変動や環境変化への耐性を高めるため、特定産業分野に集中した事業構造を脱却するよう尽力して参ります。具体的には半導体関連装置開発やソフトウェアを活用したサービス事業分野などの事業拡大を実現したいと考えております。
(3)品質不良による損害賠償のリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
ソフトウェア開発およびエンジニアリングサービス、自動運転/先進安全シミュレータ事業、各種コンサルティング事業において、品質不良や納期遅延による損害賠償が発生する可能性があります。特に自動車向け開発は品質や納期に関する要求が厳密であり、瑕疵対応や損害賠償を求められる可能性があります。当社グループの責による品質不良や納期遅延による損害賠償請求が発生し、当社が加入しているIT賠償保険では賠償額を十分にカバーできなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクに常に晒されておりますが、下記に示すリスク対応策を適切に実施することにより、顕在化する可能性は低く管理されていると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、業務受注時から受注審議会、開発途中におけるプロジェクト評価会を実施しており、品質不良による損害賠償のリスクの低減に努めております。
(4)不採算プロジェクトの発生について
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループのエンジニアリングサービスで不採算プロジェクトが発生する可能性があります。不採算プロジェクトの発生要因として、発注側の大規模または頻繁な要求仕様変更や、見積もりが適切になされず、開発に要する工数が大幅に増加した場合などがあげられます。
大規模な要求仕様変更に対応しなければならない場合、見積もりから逸脱した開発工数の増加や外注費が発生した場合、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクに常に晒されておりますが、下記に示すリスク対応策などを適切に実施することにより、顕在化する可能性は低く管理されていると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループでは全てのプロジェクトにおいて、予算管理、スケジュール管理、品質管理を実施しております。
また、受注前に内在するリスク(技術難易度、採算性、人的リソース)について十分に検討し、必要に応じて受注審議会に諮り、事業の将来性、リスク内容などを勘案し受注可否を判断しております。
(5)人材の確保と人件費、外注費の高騰について
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの事業継続及び拡大のため、新技術の獲得および既存技術の発展を支える技術部門のエンジニアを中心に、各部門で活躍できる十分な人材の確保が必要であります。
しかしながら、計画した正社員の採用やパートナーの確保が十分にできない場合、退職者が続出した場合、また近年の採用難や働き方改革を背景にして人件費、外注費、オフショア費用高騰が起こった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクに常に晒されておりますが、下記に示すリスク対応策などを適切に実施することにより、顕在化する可能性は低く管理されていると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、社員のエンゲージメント向上を目的とした人事・給与制度の見直しや教育研修の実施、福利厚生の拡充など労働環境の改善のほか、新卒・中途採用のための活動強化、新たなパートナー企業の確保に努めております。
(6)研究開発および製品化投資に関するリスク
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
技術優位性の向上や新たなサービス事業の創生のために、研究開発投資および製品化投資を実施しております。
研究開発等の対象とする技術分野やサービス分野における技術進歩は著しく、当社事業の優位性を確保するためには相応の投資が必要であります。事業収益が研究等の投資額を下回る場合、研究開発及び製品化の進捗が想定より遅延した場合、または想定通り実現できなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当社グループが想定する未来想定とソフトウェア技術進歩が大きく乖離している場合、当該リスクが顕在化する可能性があります。
(リスクへの対応策)
研究開発投資は自己資本による実施と公的資金を活用した投資があります。短期的な投資回収が可能と判断できる研究には自己資本を活用し、基礎研究要素が高いものは公的資金を活用し、当該リスクの低減に努めております。
また、製品化投資は、研究事業および試作等により得られた成果を活用し、市場技術動向、社会動向を勘案し投資の可否を判断しております。これにより当該リスクの低減に努めております。
(7)のれんの減損リスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
企業結合により発生したのれんは、被取得企業の今後の事業展開によって期待される超過収益力として、取得原価と被取得企業の識別可能資産及び負債の企業結合日時点の時価との差額で計上し、その効果の及ぶ期間にわたって定額法により償却しております。今後、事業環境の急激な変化等により関係会社の業績が当初の想定を下回り想定していた超過収益力が低下した場合、当該のれんについて減損損失が発生し当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、現時点では予測困難であると認識しております。
(リスクへの対応策)
対象となる被取得企業について、定期的な報告をもとに協議する機会を設け、経営の効率化・グループ間シナジーの創出等を進めることで収益力強化に努めております。
(8)法令違反、法的規制に関するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの事業において、税制や商取引、労働問題、知的財産権など様々な法的規制を受けております。万が一これらの法規制、ルールを遵守できなかった場合、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、現時点では予測困難であると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、コンプライアンス重視のもと、これらの法規制やルールを遵守した経営を行うことによって、法令違反、法的規制に関するリスクの低減に努めております。
(9)その他訴訟等による損害賠償責任に関するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
当社グループの提供するエンジニアリングサービスは、ソフトウェアの開発が主たるサービスとなります。そのため、他社から何らかの知的財産権の侵害についての申し立てを受ける可能性は否定できません。当社グループが保有している個人情報や組込ソフトウェア開発に関する仕様、顧客企業が保持する技術情報などが社外に流出するリスクが存在します。また安全衛生上や労務上の問題により訴訟が発生する可能性があります。
何らかの事由によって訴訟となる事案が発生し、当社が賠償を求められた場合、当社グループの財政状態および業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、現時点では予測困難であると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループは、セキュリティ委員会を設置し、各種情報の管理体制を強化すると同時に、セキュリティ教育、eラーニングによる教育などを行っております。また労働基準法の遵守や社員の健康管理に努めており、訴訟等による損害賠償責任に関するリスクの低減に努めております。
(10)新型コロナウイルス感染症に関するリスクについて
(リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響の内容)
新型コロナウイルス感染症拡大から数年経過し、感染症との共存社会が構築されつつあります。当社グループ事業の顧客企業においても、感染拡大初期と比較して業務執行への影響が軽減されつつあります。
しかし、提出日現在においても、感染症の終息時期は不透明であり、感染症再拡大による世界経済への影響が発生する場合や、当社グループ社員およびパートナー企業の社員に感染者が増加し、開発遅延や失注が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクが顕在化する可能性の程度や時期)
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期につきましては、現時点では予測困難であると認識しております。
(リスクへの対応策)
当社グループの従業員及びその家族、パートナー社員の健康に配慮し、マスク着用や体調管理、テレワークやオンライン会議の実施等により新型コロナウイルス感染拡大防止に努めております。
同時に、顧客企業の業績、開発投資の動向などを注視し、業務シフトなど柔軟に対応し、リスク低減に努めております。
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