業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループの当連結会計年度の業績は、増収減益となりました。売上高は76,034百万円(対前年同期比1.4%増)となり、海外売上高の増加などにより増収となりました。

利益面では、販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は17,064百万円(対前年同期比4.1%減)、経常利益は17,542百万円(対前年同期比3.7%減)となりました。販売費及び一般管理費が増加した主たる要因は、研究開発費が対前年同期比25.0%増加し、8,420百万円となったためであります。親会社株主に帰属する当期純利益はコーバス社より導入した全身性強皮症及び皮膚筋炎治療剤「レナバサム」に関する減損損失計上等による特別損失が発生したことにより、9,549百万円(対前年同期比28.8%減)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。前連結会計年度比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細につきましては、連結財務諸表「注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

薬業

医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は減少したものの、原発性腋窩多汗症治療剤「エクロック」、ジェネリック医薬品等の売上増加及びJubliaの売上が伸長したことによる海外売上高増加により増収となりました。

農業薬品につきましては増収となりました。

この結果、売上高は73,623百万円(対前年同期比1.4%増)、セグメント利益(営業利益)は15,710百万円(対前年同期比4.0%減)となりました。

なお、海外売上高は6,956百万円(対前年同期比41.7%増)となりました。

不動産事業

不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,410百万円(対前年同期比1.9%増)となりましたが、セグメント利益(営業利益)は、関西支店建て替えに伴う費用が発生したことから、1,353百万円(対前年同期比4.5%減)となりました

 

新型コロナウイルス感染症の拡大への当社グループの対応及び事業・業績への影響>

新型コロナウイルス感染症が未だ収束の見通しが立たない中、当社グループは、高品質な医薬品を安定的に供給することを社会的使命と考えております。取引先企業とも連携し、安定供給は維持されており、現時点においても当社医薬品の生産及び医療機関への供給体制に支障を来すような事態は生じておりません。今後も社員の感染予防・健康管理などを徹底し、感染拡大防止に配慮したうえで安定供給に向けて最善を尽くしてまいります。

当社グループの取り組みに関わらず、新型コロナウイルス感染症による影響が当社グループの想定を超えて深刻化、長期化した場合には、医薬品の供給体制や研究開発活動にも影響が生じたり、それらが繰り返される可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が収束した場合であっても、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に対して、一定期間継続して影響を及ぼす可能性があります。

 

(実施している感染防止対策)

新型コロナウイルス対応本部を設置し、フレックスタイム制度や時差出勤、在宅勤務、発熱(37度以上が目安)等があった場合の出勤自粛等の感染症対策を講じております。また、医薬情報担当者(MR)等の情報提供活動に関しましては、デジタルツール等も活用し、医療関係者のニーズに合わせて実施しております。なお、医療機関に訪問する際は、十分な感染防止対策を講じております。

 

(業績への影響)

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関への受診抑制などにより、当社グループの業績に影響が生じており、今後も継続して影響が生じることを想定しております。

(研究開発活動への影響)

患者さんや治験実施医療機関の安全性確保と負担軽減を最優先して治験を実施しております。一部の医療機関においては治験業務の遅延等が発生しておりますが、現時点でスケジュールに大きな遅延はありません。

 

以上のように、当社グループの事業活動・業績が新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けておりますが、今後もフレックスタイム制度や時差出勤、在宅勤務、ICT(情報通信技術)を活用したリモートワーク環境の整備・拡充を積極的に行うことによって、働き方改革を推進し、生産性の向上に取り組んでまいります。

 

当連結会計年度末の総資産は、前期末比1,849百万円増加し、165,181百万円となりました。これは主に、仕掛研究開発の増加によるものであります。

当連結会計年度末の負債合計は、前期末比219百万円減少し、26,855百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少によるものであります。

正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、91,564百万円であり、流動比率は580.7%で財務の健全性は保たれております。

当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比2,068百万円増加し、138,325百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。

自己資本比率は、83.4%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,680百万円減少し、74,625百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比ベ1,043百万円収入が減少し、13,336百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ6,243百万円支出が増加し、7,888百万円の支出となりました。これは主に、連結子会社株式の取得による支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ623百万円支出が減少し、8,129百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得額の減少によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

薬業

38,157

+3.0

不動産事業

合計

38,157

+3.0

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 

b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

薬業

22,764

+1.8

不動産事業

合計

22,764

+1.8

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

c. 受注実績

当社グループは、主として販売計画に基づく生産計画によって生産を行っており、受注生産は行っておりません。

 

d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

薬業

73,623

+1.4

不動産事業

2,410

+1.9

合計

76,034

+1.4

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アルフレッサ㈱

13,349

17.8

13,486

17.7

㈱メディセオ

11,236

15.0

11,237

14.8

㈱スズケン

11,375

15.2

11,192

14.7

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a. 経営成績の状況

中期的な重点課題として、パイプラインの充実やクレナフィン及び新製品の価値最大化などに取り組んでまいりました。

パイプラインの充実につきましては、資源投入の集中と研究開発の効率化により、最優先課題として活動しております。当連結会計年度においては、開発パイプラインの充実に向けて国内バイオベンチャー企業アーサム㈱を2021年12月に買収いたしました。同社は、形成外科領域における開発品「ART-001」(対象疾患:難治性脈管奇形)及び皮膚科領域の開発品「ART-648」(同:水疱性類天疱瘡)を有しており、本買収により開発パイプラインの強化に加え、アーサム㈱の有するドラッグリポジショニングに関わる技術と経験を当社が保有する既存化合物に適用する等のシナジー効果を実現し、当社の研究開発能力の更なる向上をはかってまいります。その他の開発パイプラインとしましては、希少疾病用医薬品に指定されております熱傷焼痂除去剤「KMW-1」の製造販売承認申請がなされるとともに、アタマジラミ症治療剤「イベルメクチン0.5%外用剤(KAR)」は、フェーズⅢ、掌蹠多汗症治療剤「BBI-4000」がフェーズⅠにそれぞれステージアップいたしました。また、がん免疫療法剤「KP-483」がフェーズⅠ、ニューマブ・セラピューティクス社と共同開発しておりますアトピー性皮膚炎を対象にした新規多重特異性抗体医薬候補物質「NM26-2198」がフェーズⅠ準備中に新たにステージアップいたしました。

クレナフィンの価値最大化につきましては、国内では競合環境が厳しくなる中、営業基盤の強化と効率化に取り組むとともに、海外展開を推進しております。当連結会計年度においては、アルミラル社と欧州における独占的ライセンス実施許諾及び供給契約を締結いたしました。

 

中期的な数値目標につきましては、2019年を起点とする3か年の中期経営計画において、2021年度に、連結売上高945億円、連結営業利益250億円、連結ROE12.0%以上としておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による医療機関への受診抑制及び想定以上の薬価改定、競合環境の変化等により最終年度の2022年3月期は連結売上高760億円、連結営業利益170億円、連結ROEは7.0%という結果でありました。

 

  2022年を起点とする10か年の経営計画においては、製薬業界を取り巻く厳しい状況や、それに伴う当社の長期的課題を分析し、当社の2031年ビジョンとそのビジョンの実現に向けた戦略を掲げております。

≪2031年ビジョン≫

  1. 画期的新薬の迅速な創出・提供により健康寿命延伸に貢献し続ける企業

2. 皮膚科、整形外科領域を中心にグローバルに展開する創薬企業

≪ビジョンの実現に向けた戦略 ~3つのTransformation~≫

  (1)研究開発Transformation 

① 自社研究基盤の活用

② 新規診療領域への展開

③ 新たなモダリティへの挑戦

④ 研究開発への積極的投資

  (2)海外展開Transformation

① 自社創薬と製品・開発品の導入による海外展開品の充実  

② 海外自社展開(開発・販売)による製品の価値最大化

(3)経営基盤Transformation

① プロフェッショナルとして変革を追求し続ける人材の育成及び就業環境整備

② データとデジタル技術を活用して変革し続ける企業風土の醸成

③ 患者さんファーストのための製品価値最大化及び高品質な医薬品の安定的な生産体制の構築

 

 また、2026年度経営数値目標として、連結売上高800億円、連結営業利益180億円、連結ROE8.0%以上、2031年度経営数値目標として、連結売上高1,000億円、連結営業利益285億円、連結ROE10.0%以上をめざしてまいります。

 

b.経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は76,034百万円(対前年同期比1.4%増)、営業利益は17,064百万円(対前年同期比4.1%減)、経常利益は17,542百万円(対前年同期比3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,549百万円(対前年同期比28.8%減)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。前連結会計年度比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細につきましては、連結財務諸表「注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

主要科目の状況は、次のとおりであります。

(売上高)

薬業

医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は減少したものの、原発性腋窩多汗症治療剤「エクロック」、ジェネリック医薬品等の売上増加及びJubliaの売上が伸長したことによる海外売上高増加により増収となりました。

農業薬品につきましては増収となりました。

この結果、売上高は73,623百万円(対前年同期比1.4%増)となりました。

なお、海外売上高は6,956百万円(対前年同期比41.7%増)となりました。

不動産事業

不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,410百万円(対前年同期比1.9%増)となりました。

 

(売上原価)

当社グループの売上原価は、主に工場の製造原価、仕入商品原価、不動産事業の役務収益原価から構成されます。売上原価は34,458百万円であり、売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度45.4%、当連結会計年度45.3%となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費につきましては、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費や販売促進費などの営業活動費用であり、当連結会計年度は24,511百万円と前連結会計年度比6.0%増加いたしました。主たる要因は、研究開発費が前連結会計年度比25.0%増加し、8,420百万円となったためであります。

 

c.財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、74,625百万円であり、事業運営上適切な水準であるとともに、経済環境の急激な変化にも一定程度耐えうる流動性を確保できていると考えております。また、継続している新型コロナウイルス感染症の影響は、この認識の修正を要する程度には至っておりません。

当社グループの主要な資金需要は、開発パイプライン拡充のための研究開発費用及び導入費用、当社製品製造のための原材料購入費用及び製造費用、商品仕入費用、研究・生産・営業効率を向上させるための設備投資費用であります。持続的な成長のための資金需要には、財務健全性を考慮したうえで積極的に対応していく方針であります。これら資金需要への対応は、営業キャッシュ・フローにより積み上げられた自己資金によることを基本としておりますが、追加的に資金が必要な場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施できる体制も整えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、連結財務諸表「注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

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