課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、Santenグループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

Santenグループは、創業以来130年以上の歴史を通じ培った、徹底した顧客志向と眼科領域に特化した専門性・技術力を礎に、世界の患者さんのQOL(Quality of Life:クオリティ・オブ・ライフ)向上を目指し、グローバルな事業活動を展開しています。

Santenグループでは、眼に関する社会課題解決に向け、2030年までの長期ビジョンSanten 2030を掲げています。Santenが目指す理想の世界、「WORLD VISION」(Happiness with Vision)の実現に向け、世界中の技術や組織・人材をつなぎ、「見る」を通じて人々の幸せを実現するSocial Innovatorとして、眼の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減することを目指します。

眼科領域におけるSantenグループの強みをグローバルに展開するとともに、2030年とその先の成長ステージに向け、新たな技術やテクノロジーを取り入れ、各国・地域の眼科医療の発展と、眼の健康を通じた世界の人々の幸せな生活の実現に貢献してまいります。

 

(2)環境認識

世界では、少なくとも22億人が視力障がいや失明に至っており、そのうち10億人以上は未治療、もしくは未然に防ぐことができたとされています。アジアを中心とした世界的な人口増加や高齢化に加え、世界各国の経済発展により、加齢や生活習慣病による眼の疾患はますます増加することが予想されます。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって社会におけるITツールの浸透が加速したことも影響し、長時間のデジタル機器使用に起因する眼のストレスや近視等、何らかの支障をきたす人はこれまで以上に増えることが懸念されます。

一方、ライフサイエンス業界においても、この10~20年で大きな変化が見込まれています。より個人にカスタマイズされたサービスや、人々の健康・ウェルネスへの関心の高まり、AI・IoT・自動化等の技術革新、さらには細胞・遺伝子・電子デバイス等、眼の課題に対する新たなソリューションが期待されています。

このような環境変化に鑑み、Santenグループは世界における眼の社会課題にいかに対峙すべきか、眼を専門とする私たちが果たすべき役割は何か、どのように社会に貢献できるのかという課題認識のもと、2020年7月に新長期ビジョンを策定しました。

 

 

(3)新長期ビジョン「Santen 2030」

Santen 2030は、Santenグループが目指す理想の世界「WORLD VISION」(Happiness with Vision)の実現を目指し、2030年とその先に向けてSantenグループのありたい姿を示した「Santen's VISION」、そしてそのための「STRATEGY」、及び「GOAL」から構成されます。

 

Santen's VISION

:「WORLD VISION」(Happiness with Vision)の実現を目指し、2030年とその先に向けてSantenグループのありたい姿

 

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Santenグループは、眼科領域での強みに加え、世界中の技術や組織・人材をつなぎ、社会に価値あるイノベーションをもたらすことで、「見る」を通じた人々の幸せを実現するSocial Innovatorとなることを目指します。

 

STRATEGY

:Social Innovator としての3つの戦略

 

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A. Ophthalmology

眼科医療のイノベーション及び眼科医療エコシステムの発展加速

 

A1.眼科医療のイノベーション:

医薬品やデバイスの新製品創出はもちろんのこと、細胞治療や遺伝子治療等の革新的な治療アプローチへの取り組みに加えて、製薬企業としての枠を越え、患者さん起点で眼科医療ソリューションの開発と提供に取り組むことにより、眼の疾患からの解放と患者さんの生活の質向上を目指します。

 

A2.眼科医療エコシステムの発展加速:

眼科薬やサージカルデバイスの開発、販売、安定供給により、増大するメディカルニーズを充足させていくことに加え、眼科医療エコシステムの質的・量的充実や社会的効率の向上をステークホルダーとの連携のもとに推進していきます。

※眼科医療エコシステムとは、眼科医療の提供に寄与するさまざまな関係者の集合体とそれらが有機的に機能する連携関係のことです。

 

 

B. Wellness

より良い眼の状態に向けた重要性認識向上とアイケアの推進

 

昨今、人々の健康への意識の高まり、病気の発症・重症化予防の促進、医療周辺産業の規制緩和によるヘルスケア産業の振興が進展しています。一方で、眼に関しては、重要性に対する認識不足、疾患検出遅延による重症化、疾患認定されていない眼の不具合の蔓延といった課題があります。

SantenグループはSocial Innovatorとして、まずは「見える」ことが、日々の生活や人生において大切なものであることを、社会と人々に認知・理解してもらうことが重要だと考えます。そのうえで、デジタル技術を活用した、疾患の早期発見、眼の健康維持・向上を促す製品やサービス、眼の健康に対するリスクの予測・可視化等を図りながら、人々のライフステージに応じて「早期発見」と「より良い眼の状態の追求」を推進していきます。

 

C. Inclusion

視覚障がいの有無にかかわらず交じり合い・いきいきと共生する社会の実現

 

Santenグループは、Social Innovatorとして、視覚障がいの有無にかかわらず、全ての人々が交じり合い、いきいきと共生する社会を実現したいと考えています。そのために、視覚障がいに対する人々の認知・理解の向上、ともに楽しみ・価値観を共有できる取り組みの推進、視覚障がいの方のQOL向上に向けて、デジタル技術を中心とした新たなソリューション探索等を推進していきます。

 

GOAL

:眼の疾患や不具合に起因する世界中の人々の社会的・経済的な機会損失を削減することを目指す

 

Santenグループは、「WORLD VISION」(Happiness with Vision)の実現を目指し、Social Innovatorとして、人々の眼の健康に関する社会的な課題の解決を通じ、「見る」を通じた人々の幸せの実現に貢献していきます。

 

(4)中期経営計画「MTP2025」及び目標とする経営指標

Santen 2030を実現するための前半5年間の計画が中期経営計画「MTP2025」です。基盤事業の価値最大化に注力するとともに、新たな事業領域への参入を進め、2026年以降の成長につなげていく、重要な5年間と位置づけています。

Vision 2020で培ったグローバル眼科企業としての強みと既存パイプライン・保有アセット、並びに日本を中心とした世界各地の事業基盤を活用し、着実な売上・利益の成長を実現し収益力を高めていきます。加えて、米国における医療用医薬品事業への本格参入を通じ、中期的にグローバルでの成長を目指します。並行して、これまで培ってきた眼科専業企業としての組織的能力を活かしながら、新規イノベーションへの投資や細胞治療等新規事業領域への参入、並びに工場投資を含めた設備投資等を通じ、Santen 2030で掲げた中長期的な成長を目指していくとともにSocial Innovatorへと変革するための戦略的施策を着実に遂行していきます。

 

1.MTP2025で取り組んでいく経営テーマ

2025年度までにグローバル化の深化・新規領域への参入を達成するため、以下のとおり、眼科領域で培ってきた強みを核にした医薬品事業のグローバルプレゼンス・収益力強化を図ります。

・基盤事業の利益率向上

-各地域での利益最大化

・新規領域の拡大

-米州での収益体制の確立

-新規疾患・その他アップサイド

・グローバル企業としての土台の強化

-製品開発能力の強化

-製品供給基盤の強化

-全社財務KPI&事業KPIへの落し込み

-グローバルプラットフォーム整備

2.2025年の目標

製薬業界上位1/2の水準のTSR(トータル・シェアホルダーズ・リターン)実現に向けて、2025年を目標とする以下の経営指標を定めています。

売上収益

3,150億円以上

営業利益率

21%以上

ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)

13%以上

海外売上収益比率

50%以上

 

3.株主還元方針

株主還元については、経営の最重要事項と位置付けており、配当は配当性向40%以上を目途に利益成長とともに段階的増配を行います。また、一定期間留保した余資は、自己株式の取得により機動的に還元していきます。

 

4.ESG戦略/施策

4つのマテリアリティに注目し、基本理念のもと、社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続的な成長を目指します。

①社会的意義(Happiness with Vision)のある製品・サービスの開発・安定的供給

-Ophthalmology, Wellness, Inclusionの3つの柱にそった製品・情報・サービスの充実

-責任のあるサプライチェーン、安全性監視、顧客サービスの充実

-貢献患者数6,000万人以上*1目標

②価値創造を促進する組織風土の醸成

-DE&I*2 ジェンダー・国籍・視覚障がい者を中心とした多様化の推進

③ガバナンスの強化・社会の公正・公平実現への貢献

-中長期的な成長を担保する経営の実効性・多様性・継続したコンプライアンスの遵守・人権の尊重

④地球環境保全

-気候変動対策、環境負荷低減

・Scope1・2、CO2排出量

2025年度:25%削減

2030年度:50%削減

-点眼容器のバイオマスプラスチック化

2030年度:点眼容器プラスチック材料に対して、60%のバイオマスプラスチック使用

 

*1 JMDCの弊社医療用医薬品毎の延べ推計患者数及び弊社出荷データを基に算出した2019年度における(疾患領域:炎症・アレルギー、角膜、緑内障、白内障)推算される延べ貢献患者数は約4,300万人

*2 Diversity,Equity & Inclusion

 

(5)財務戦略

財務戦略は眼科領域で競争優位を構築することで収益性を高め、キャッシュ創出力、ひいては株主価値の最大化を追求することを基本としています。

2021年度を起点とする中期経営計画「MTP2025」においても、成長性、効率性、健全性、将来の成長のための内部留保、株主還元を最適化することで、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)の向上に取組むことは変わりありません。

特に、成長のための投資については、パイプラインの強化、グローバル展開の加速、新規医療技術、グローバルな事業基盤拡充に向けた生産拠点、次世代ERPを含めたデジタルや情報システムへの投資などに、積極的かつ効果的に資源投入を図ります。案件如何では負債の活用を検討しますが、その場合においても信用格付A+(R&I)を維持できることを意識して、財務基盤の安定性は確保してまいります。

 

(6)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する取り組み

新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、各国各都市においてロックダウンの措置が講じられるなどの非常事態においても、Santenは基本理念に基づき、製品を安定的に供給し、眼科治療薬などを世界中の患者さんにお届けし続けることが我々の使命であると考えています。また、社会に貢献するライフサイエンス企業の一員として、ウイルス拡散に繋がる活動を自粛すること、そしてこのような非常事態においても、将来の眼科医療のイノベーションに向けた取り組みを継続することを大切にしています。対策として、引き続き内部統制部門を中心に、日本及び世界各拠点の状況をモニターするとともに、各地域、関係部門が連携した取り組みを行っています。

 

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