(研究開発戦略)
Santenグループは、患者さんの目の健康を守るために、未充足ニーズに対応し、QOL向上に大きく貢献する製品の創出に努めています。当社は、患者さんのQOL向上に注力することで、患者さんのみならず、眼科医や医療関係者をはじめとした重要なステークホルダーの期待にも応えていきます。
ネットワーク製品創製(※1)を活用し、治療成果を最適化する挑戦的な新しい技術への取り組みも始めています。また、臨床開発の精度を高め、患者さんの治療に貢献するために、トランスレーショナル・リサーチ(※2)を通じたバイオマーカーの探索(※3)や新しい診断方法の開発に取り組んでいます。既存製品についても、患者さんの一層の利便性の向上と負担軽減を目指し、製剤化技術を駆使した防腐剤フリー製剤の開発や、ドラッグデリバリーシステム(※4)の活用、容器の改良に努めています。
※1 社外に存在する化合物や技術を積極的に活用し、製品創製に応用する手法
※2 基礎研究・臨床研究・診療をつなげて、医療発展に寄与する成果を効率的・効果的に実用化させる橋渡し研究
※3 病気の存在や進行度などを識別するため、生体情報を客観的に測定・評価する指標
※4 必要な薬効成分を、必要な時間に、必要な部位へ送達させるように工夫された製剤技術
(グローバル体制)
Santenグループでは、創薬研究及び臨床開発をグローバルのSantenグループや関係機関で展開し、グローバルな医療ニーズに合致した製品を、より早く創出し続ける体制を強化しています。
研究分野では、奈良研究開発センターに基礎研究、非臨床試験、製剤研究の各機能を集約することで各部門の英知を結集し、より良い製品の創出に努めています。また、社外に対しては、独自のネットワークを通じ、外部機関とも情報交換や共同開発が行える協力体制を強化しています。
臨床開発においては、市場ニーズや薬事規制を踏まえ、日本、米国、欧州並びに中国をはじめとするアジア主要国や新興国での臨床開発の高質化、効率化への動きを加速させています。
(開発パイプラインの状況)
<緑内障・高眼圧症領域>
プロスタグランジンF₂α誘導体及びβ遮断剤の配合剤STN1011101(DE-111A、一般名:タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩)は、中国で2019年1月から第Ⅲ相試験を実施しています。
EP2受容体作動薬STN1011700(DE-117、一般名:オミデネパグ イソプロピル)は、米国で2021年11月に米国食品医薬品局(FDA)から審査完了通知を受領し、指摘事項への措置を講じたうえで再申請を行い、2022年6月に受理されました。日本では2018年11月に発売しました。アジアでは、順次販売承認を申請しており、韓国で2021年2月に発売しました。
FP/EP3受容体デュアル作動薬STN1012600(DE-126、一般名:sepetaprost)は、米国で2021年12月に追加の第Ⅱ相試験を終了しました。日本では、後期第Ⅱ相試験を完了しています。欧州で2021年9月に第Ⅱ相試験(探索的試験)を開始しました。
緑内障用デバイスSTN2000100(DE-128)*は、日本で2022年2月に販売承認を取得しました。欧州で2019年4月に発売しました。アジアでは、2020年3月以降順次販売承認を申請しており、2021年9月以降シンガポールなどで承認を取得しました。韓国で2021年4月に非承認通知を受理し、再申請を検討中です。
プロスタグランジンF₂α誘導体の乳化点眼剤STN1013001(DE-130A、一般名:ラタノプロスト)は、2022年3月に欧州及びアジアでの第Ⅲ相試験を終了しました。
ROCK阻害剤STN1013900(AR-13324、一般名:netarsudil mesylate)は、日本で2020年11月から第Ⅲ相試験を実施しています。アジアで2022年3月に販売承認を申請しました。
*2021年5月に、米州、オーストラリア及びニュージーランドでの製品開発、商業化及び販売の権利をGlaukos Corporation(米国、以下、Glaukos社)へ供与しました。米国では2022年4月に米国食品医薬品局(FDA)から非承認通知書を受領しました。カナダで2021年3月に、オーストラリアで2021年5月に販売承認を取得しました。
<角結膜疾患(ドライアイを含む)領域>
春季カタルを対象とするSTN1007603(DE-076C、一般名:シクロスポリン)は、欧州、アジア、カナダなど既に承認・販売されている諸国に続き、中国では2022年4月に販売承認を取得しました。米国では2022年5月に発売しました。
ドライアイを対象とするSTN1008903(DE-089C、一般名:ジクアホソルナトリウム)は、日本で2022年6月に製造販売承認を取得しました。
マイボーム腺機能不全を対象とするSTN1010905(一般名:シロリムス)は、日本で2021年10月に前期第Ⅱ相試験を開始しました。
アレルギー性結膜炎を対象とするSTN1011402(一般名:エピナスチン塩酸塩)は、日本で2022年2月に第Ⅲ相試験を開始しました。
フックス角膜内皮ジストロフィを対象としてアクチュアライズ株式会社と共同開発契約を締結しているSTN1010904*(一般名:シロリムス)は、第Ⅰ相試験を完了し、米国等での前期第Ⅱ相試験についてFDAへ治験届を提出しました。(*開発コード(STN1010904)は、第Ⅱ相試験終了時に当社が独占的実施権を獲得した後に附番予定のコードです。)
<網膜・ぶどう膜疾患領域>
ぶどう膜炎を対象とするSTN1010900(DE-109、一般名:シロリムス)は、事業性の再評価に基づき開発を中止しました。
<新規疾患領域>
小児における近視を対象とするSTN1012700(DE-127、一般名:アトロピン硫酸塩)は、日本で2019年8月から第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施しています。中国で2022年4月に第Ⅰ相試験を終了しました。アジアでは2020年4月に第Ⅱ相試験を終了しました。
小児における近視を対象とするSTN1012701(SYD-101、一般名:アトロピン硫酸塩)は、導入元であるSydnexis Inc.(米国)により欧州及び米国で第Ⅲ相試験が実施されています。当社は、欧州、中東及びアフリカ地域における独占ライセンス権を保有しています。
近視を対象とするSTN1013400(化合物名:AFDX0250BS)は、日本で2021年9月に第Ⅰ相試験を終了しました。
老視を対象とするSTN1013600(一般名:ウルソデオキシコール酸)は、日本で2022年4月に第Ⅰ相試験を終了しました。
※開発コードの附番方法変更に伴い、新開発コード(STNXXXXXXX)及び既存開発コード(DE-XXX)を併記しています。なお、AR-13324はAerie Pharmaceuticals, Inc.(米国)、SYD-101はSydnexis Inc.(米国)での開発コードです。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
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