業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

①経営成績

当期における、連結売上高は348億5千1百万円(前期比25.7%増)、経常利益は53億9千5百万円(同78.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は37億3千3百万円(同12.4%減)となりました。経営成績に重要な影響を与えた要因は、以下のとおりであります。

1)売上高

当期の売上高は、国内での薬価引き下げがあった一方、前期に国内外における新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けた反動に加え、ロイヤリティー(当期より営業外収益から売上高に表示区分を変更)の大幅な増加やLAL事業及び海外製品の堅調な伸長により、348億5千1百万円(同25.7%増)となりました。

セグメント別の売上状況は次のとおりです。

医薬品事業の売上高は256億9千6百万円(同23.6%増)となりました。

・国内医薬品(114億4千7百万円、同0.0%減)

・海外医薬品(76億5千2百万円、同12.9%増)

・医薬品原体・医薬品受託製造(26億7百万円、同41.2%増)

LAL事業の売上高は91億5千5百万円(同31.9%増)となりました。

2)販売費及び一般管理費

当期の販売費及び一般管理費は、160億3千3百万円(同19.9%増)となりました。これは主に、研究開発費の増加によるものです。当期における研究開発費は90億5百万円(同24.9%増)となり、売上高に占める割合は25.8%となりました。

3)営業外損益

当期の営業外収益は10億5百万円(同25.8%増)となりました。これは主に為替差益の増加によるものです。

営業外費用は1億5百万円(同350.8%増)となりました。これは主に減損損失の発生によるものです。

4)特別損益

当期の特別損益は発生しておりません。

 

②財政状態

総資産は、前期末に比べ53億2千8百万円増加の752億4千4百万円となりました。

負債は、前期末に比べ25億9千2百万円増加の89億4百万円となりました。

純資産は、前期末に比べ27億3千6百万円増加の663億4千万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ75億9千9百万円増加し、233億6千7百万円となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、81億9千2百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、8億7千万円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、21億5千1百万円の支出となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品

21,518

4.4

LAL

8,137

15.8

合計

29,656

7.3

(注)金額は販売価格によっております。

 

2)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品

1

LAL

599

31.2

合計

601

31.1

(注)金額は仕入価格によっております。

 

3)受注状況

 当社グループは、主に販売計画に基づいて生産しております。

受注生産を一部行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。

4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品

25,696

23.6

LAL

9,155

31.9

合計

34,851

25.7

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

科研製薬株式会社

9,068

32.7

8,984

25.8

ジンマー バイオメット

ホールディングス インク

4,894

17.6

4,818

13.8

 

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

また、重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、「2.事業等のリスク」に記載しております。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計上の見積り」に記載しております。

なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績

当期の売上高は、国内での薬価引き下げがあった一方、前期に国内外における新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けた反動に加え、ロイヤリティー(当期より営業外収益から売上高に表示区分を変更)の大幅な増加やLAL事業及び海外製品の堅調な伸長により、前期と比べ25.7%増の348億5千1百万円となりました。

営業利益は、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603追加臨床試験の進展に伴う研究開発費等の販管費が増加しましたが、増収効果が上回り、99.9%増の44億9千5百万円、経常利益は78.4%増の53億9千5百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に繰延税金資産計上の増益要因があった反動により、12.4%減の37億3千3百万円となりました。

なお、2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を適用しています。また、収益認識に関する会計基準等の適用については、収益認識に関する会計基準第84項に定める原則的な取扱いに従って、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用しています。

セグメント別の売上概況

<医薬品事業>

・国内医薬品(114億4千7百万円、前期比0.0%減)

関節機能改善剤アルツは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い前期に外来受診数が減少した反動に加え、競合品からの切り替え施策が奏功し、医療機関納入本数は増加しました。当社売上高は薬価引き下げの影響により微減となりました。

2021年5月19日に販売を開始した関節機能改善剤ジョイクルにつきましては、添付文書の「重大な副作用」の項にてショック、アナフィラキシーに係る注意喚起を行っていましたが、本剤の投与後にショック、アナフィラキシーの発現が複数報告されたことから、医療関係者の方々にさらなる周知を実施するために、同年6月1日に安全性速報(ブルーレター)を発出しました。引き続き、販売提携先である小野薬品工業株式会社と連携し、副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供を積極的に進めています。また、専門家や医療機関等の協力を得ながら、原因究明に向けた医師主導の臨床研究を開始しました。

眼科手術補助剤オペガン類は、新型コロナウイルス感染症拡大により前期に減少した白内障手術件数が回復しつつあることから、医療機関納入本数は増加しました。当社売上高は前期に出荷水準が高かったことに加え、薬価引き下げの影響を受け減少しました。

内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた反動がありましたが、販売提携先の在庫調整により、当社売上高は前期並みとなりました。

腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアは、販売提携先とともに医療機関への積極的な情報提供活動を推進したことにより、医療機関納入本数が着実に伸び、当社売上高も増加しました。

・海外医薬品(76億5千2百万円、前期比12.9%増)

米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンは、少数回投与製品が選好される傾向の継続や、販売提携先による競合品からの切り替え施策が奏功し、現地販売本数及び当社売上高が増加しました。

5回投与の関節機能改善剤スパルツFXは、複数回投与製品には厳しい市場環境が継続していますが、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた反動により、現地販売本数が増加しました。当社売上高は流通リスク回避に向けた前倒し出荷もあり、増加しました。

中国向けアルツは、集中購買を落札した地域での積極的な販売促進活動の推進や、新型コロナウイルス感染症拡大による流通停滞を懸念した医療機関からの受注増により、現地販売本数が増加しました。当社売上高は包装資材変更に伴う前倒し出荷もあり、大幅に増加しました。

・医薬品原体・医薬品受託製造※1(26億7百万円、前期比41.2%増)

医薬品原体は微減となりましたが、海外子会社ダルトン ケミカル ラボラトリーズ インクの医薬品受託製造等の売上が年間を通じて加わったことにより、大幅に増加しました。

これらに加え、ロイヤリティー※2(39億8千9百万円、前期比455.6%増)の大幅な増加もあり、医薬品事業の売上高は256億9千6百万円(前期比23.6%増)となりました。

※1 2020年3月に子会社化したダルトン ケミカル ラボラトリーズ インクの売上高は、2021年3月期に係る第2四半期連結会計期間より医薬品事業区分に含めています。

※2 2022年3月期よりロイヤリティーの表示区分を営業外収益から売上高に変更しています。

 

<LAL事業>

海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクにおける販売活動強化に伴うエンドトキシン測定用試薬及びグルカン測定体外診断用医薬品の増加や、受託試験サービスの受注増に加え、国内販売が堅調に推移したことから、売上高は91億5千5百万円(前期比31.9%増)となりました。

2)財政状態

当期末における総資産は、前期末に比べ53億2千8百万円増加の752億4千4百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加によるものです。

負債は、前期末に比べ25億9千2百万円増加の89億4百万円となりました。これは主に未払金及び繰延税金負債の増加によるものです。

純資産は、前期末に比べ27億3千6百万円増加の663億4千万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。

3)キャッシュ・フロー

当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ75億9千9百万円増加し、233億6千7百万円となりました。

当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、81億9千2百万円の収入となりました。主な収入の内訳は、税金等調整前当期純利益53億9千5百万円、売上債権の減少額11億9千5百万円、減価償却費8億7千万円です。前期比では69億3千4百万円収入が増加しております。

投資活動によるキャッシュ・フローは、8億7千万円の収入となりました。主な収入の内訳は、有価証券及び投資有価証券の取得と償還などの運用による収入24億7千3百万円です。主な支出の内訳は、有形固定資産の取得による支出18億3千9百万円です。前期比では1億5千3百万円収入が減少しております。

財務活動によるキャッシュ・フローは、21億5千1百万円の支出となりました。主な支出の内訳は、配当金の支払額16億3千3百万円及び自己株式の取得による支出2億2千1百万円です。前期比では6億4千4百万円支出が増加しております。

4)資本の財源及び資金の流動性

・資本の財源

円滑な事業活動に必要な資金の調達について、当社グループは、今後の成長戦略への資金需要や変化の激しい事業環境における経営の安定性確保など、様々な要因を総合的に勘案し決定しています。新薬開発はリスクの高いビジネスであるため、強固な財務体質維持の必要性から一定の財務基盤を確保しており、主として、営業キャッシュ・フローで得た資金を財源に、新薬開発を中心とした研究開発や高い品質の製品を安定的に供給するための製造設備などへの投資を行っています。

・資金の流動性

成長戦略への投資や株主の皆さまへの継続した利益還元に対する適切な資金の配分に加え、新薬開発には承認を取得するまでに長期間にわたる多額の研究開発投資が必要なことから、将来の事業に対する待機資金としての性格も鑑みて、現預金残高を維持しています。さらに、主要取引銀行とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結することなどにより、十分な資金の流動性を確保しています。

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